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2019/7/25 10:07 · ニュースコメント

T-Mobile deploys LTE for offshore workers in Gulf of Mexico
海カバーが熱い! T-Mobileがメキシコ湾をLTEでがっつりカバーする計画を発表しました。油田掘削施設とかを活用するみたいです。海は障害物がなくてどこまでも電波が届くからとてもカバーしやすい……なんてことはなくて、海面反射が結構めんどくさいらしいですよ。凪の日と荒れた日で伝播プロファイルがコロッと変わるし、もちろん潮の満ち引きで超長周期のフェージングも起こる。これをまともに使えるレベルできっちりカバーするのは相当に高度な技術が必要です。まあ、実際はまともに使えるレベルできっちり、とまではやらずに、何となく電波が届いていて「無いよりマシ」程度になればいいなあ、というところで手を打つんでしょうけど。ただ、今回の発表した計画のすごいところは、そのカバーエリア。六万平方マイル以上ですって。なじみの単位に変換すると15.5万平方キロメートル。日本の国土が38万平方キロメートルですから、日本国土の半分に近い面積。おそらく日本の携帯電話カバーエリア全体を上回るはずです。それだけの巨大なエリアがポンと出現するというのは、世界の携帯電話史でもちょっとしたマイルストンになるんじゃないでしょうか。まあ、本当に実現すれば、ですけど。記事中でT-Mobileの人が、T-Mobileは今後はこんな感じでちょっとマニアックなエリアカバーを作っていきたい、みたいなことを言っています。いや、本当のインフラ競争って、そういうもんですよね。みんながみんな同じエリアを同じ厚みでカバーしたら、そりゃ単なる料金競争だのキャッシュバック競争だのになりますよ。お役所も一枚噛んでるらしい『僻地エリアの鉄塔共用』なんてのは、競争の観点では愚策も愚策。単なるインフラ屋土管屋に落ちぶれることが決定しているキャリアが目指さなきゃならないのは「多少高コストでもうちにしかないエリア」のはずなんです。そうじゃなきゃ、競争キャリアにほぼ平等に周波数を割り振る意味がないですもん。みんなが同じエリアをカバーするんなら、幹事キャリア一社に全周波数割り当ててほかのキャリアが局単位MVNOとして借り受けすればいいわけですから。ってことで、例えば日本の主要フェリー航路を完全カバー! なんていう面白キャリアが今後出てきてくれるといいなあなんて言うお話。

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