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2020/7/29 17:38 · 技術解説

久々に易しい電波のお話。今日は電波の干渉について。

さていきなりですが、土星を見ています。

いやー、いい望遠鏡使ってますね。とか言う話は置いといて。この土星、ちゃんとわっかの縞々までしっかり見えています。じゃあ、どうなったら、これが見えなくなるでしょう。目をつむるとか無し。

隣に太陽置いてみました。目が、目がぁ~。まぶしくて土星が見えなくなりましたね。
電波の干渉で通信ができなくなるっていうのはおおよそこういうことでいいです。
見たいものよりもまぶしいものが目に飛び込んできて見えなくなる。そんな感じです。

終わり。

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終わりません。

さすがにそばに太陽置いたら見えなくなるのは当たり前すぎます。実際の電波を使った通信でここまで強烈な干渉源(ここで言う太陽本体)があることはありません。では、うっかり隣に木星が見えたらどうなるでしょう。

こんなやつを隣に置きます。

土星も木星も、夜空で光っていますので、その周囲に光彩ができています。電波で言うとこういうのを「サイドローブ」とか言ったりして厳密には違う現象なんですが、まあ大体そういうところは電波も可視光も似たようなもんなので、同じということにしておきます。
で、よく見ると、木星の光彩が土星にかぶってしまっていますね。そのために、土星の環のディテイルが潰されてしまっているのが分かるかと思います。縞々が白飛びして見えない感じ。
これが、同じくらいの電波発射源でも隣同士に並んでいたら干渉してしまう理屈です。

さて、猫登場。

これが、猫が土星を見ているところです。

木星を見るときはこう。

で、両方視界に入ってしまうと、こんな感じで干渉して、大切な縞々が潰れてしまうわけです。

では、電波を使った通信では、これをどのように解決しているのでしょうか。
答えはこんな感じ。

木星から光が漏れないように囲ってしまいます。ただし、下の青い猫は木星を見たい猫なので、下の猫のために一方向だけ開けてあげます。こうして、オレンジの猫には見せずに青い猫は木星を見ることができます。電波で言えば、こういうのを「指向性アンテナ」とか「ビーム」とか言ったりします。かっこよく「ビームフォーミング」とか言いだしたりしますがめんどくさいのでほっときます。

で、実際に土星の近くに木星があったとしてもこんな感じで、オレンジの猫は土星だけを見ることができます。
この、木星を囲む壁ってのがまた設計が難しくて、青い猫のすぐ近くに木星を見たくない猫がいるかもしれないので、慎重に方向や開口部分の広さを計算しなくちゃいけないんですね。携帯電話ネットワークを作るときに難しいのはまさにこの辺。やみくもにアンテナを増やしてもダメ。なんです。

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さて、最後にもう一つ、ちょっとトリッキーな干渉対策を紹介します。

まず、縦の縞々模様のフィルターを準備します。

フィルターというのは、画像に濃淡をつけたりするためのものと思ってください。今回の例では、単純に画像の各画素からフィルター画像の明るさを減算するようなものにします。
同じように、横の縞々も。

これが横の縞々。
次に、一つルールを作ります。
土星の中の人は、自分の光を出すときに横の縞々フィルターを使うこと。
木星の中の人は、自分の光を出すときに縦の縞々フィルターを使うこと。

つまりこういうこと。土星は、

で、木星は、

ということです。この二つが一緒に視界に入ってくると、

こんな風に重なって見えます。ここで、土星を見たい人はさっきのルールを思い出します。あ、土星は横縞フィルター使ってるんだっけ、と。
てことは、この画像に、

この横の縞々を「足し算」すれば、土星画像が復元されるかもしれない。

やってみた。何となく、縞々のディテイルが残っている気がします。

左が土星の元画像。真ん中が何もフィルター使わなかったとき。右側が縦横フィルターを使い分けたとき。一部白飛びしそうなところがあるものの、大切な縞々は何とか判別できそうです。
こんな感じで、最初から画像=電波にわざと違う種類の汚れをつけて、その汚れの取り除き方をあらかじめ伝えておく、という方法で、干渉を取り除く方法もあります。なんちゃらMIMOとかそういうのは大体こんな感じです。

ということで、干渉の起きる仕組みと起こさない仕組みのお話でした。

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2020/7/29 17:38 · 技術解説 · (No comments)
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