スマートフォン 表示
メールフォームでよろづ質問受付中
スマートフォン速度統計への人柱ご協力をお願いします。

無線にゃん、ここ数年大規模通信障害を起こし、まことにもうしわけ

という話ではなくて。昨日のauとか、去年くらいのドコモとか、大規模通信障害というやつが起こっていますね。しかも、起こったらとことん大規模。

実際、この辺は避けようがないというのが実態だと思うんです。そもそも論ですが、携帯電話ネットワークというのは、どういう風に作られているのか、というと、超たくさんの基地局をたくさんの制御局に収容してそれらをほどほどの数の交換局に集約して、みたいな感じに作られているものですよね。LTE以降、この辺はIPアクセスによるフラットなネットワークを志向、なんていうことも言われていますが、実際に物理的にネットワークを作ろうとすると、どうしてもどこかに「呼処理」が集中するポイントが生じてしまいます。

呼処理というのは、簡単に言えば、ある携帯電話が正当なものであることを確認しその通信要求が正当なものであることを確認し適当なポリシーのもとに通信リソースを割り当てる、一連の処理のことです。ある一人の加入者が全国どこでも使えるようにする、という要求を満たす場合、すべてのネットワークノードは必ずつながっていなくてはなりません。さらに、その加入者の通信オプションや課金を正しく扱うためには、その加入者の情報がすべてのノードで整合性ある形でアクセスできなければなりません。今回のauの障害でもキーワードで出てきた、加入者情報の不一致云々、の話です。

仮に加入者情報サーバを二重化していたとしても、その二台のサーバの間に「データの不整合」が生じてはならないので、二台の間では常に整合性のためのやり取りが行われます。また、今回の障害の原因と言われているVoLTE交換機(IMS)も同じように「ある加入者の唯一性」を保証しなければ正常な処理はできません。そうした唯一性の保証が必要なサーバ類をたくさん置いて障害が起きても一部にしか影響が出ないようにする、というのは当然どこのキャリアもやっているわけですが、では、それらのサーバ間を直接メッシュ接続できるか? というと、そんなことはもちろん無理です。メッシュ接続というのは、例えば2台と3台のサーバ群同士をつなげる場合、6本の線を直結させる、というやり方。今や加入者情報サーバだのIMSだのは何十台という規模で、メッシュ接続するとなると数百本の接続が必要になります。もちろん、論理的にこれができることは当然ですが、じゃあ物理的にできるか、というと、一つの筐体に何百本のケーブルをつないでそれぞれが独立した回線で全国につながる、なんていうことは無理です。回りくどく書きましたが、物理的にはどこかで集約するための巨大なルータ的なものに入ることになります。このルータにはもちろんその他いろんな通信が論理的には別々の回線のようにふるまいながら収容されています。

さて、もしこのルータが壊れたら。当然、このルータも冗長化されていますから、即座にスタンバイ系に切り替わるわけで、一見、あらゆる呼処理が集中していても問題がないように思われます。ただ、この冗長化した二台のルータは、つながっています。比喩でもなんでもなく、冗長、というのは、その二台を束ねる何らかのコントローラの上で成立するものです。このコントローラ機能は、古くは独立した装置だったりしましたが、最近では二台のルータ間やルータの下位ノードとの間で成立している冗長化プロトコルのステートマシンという論理的な存在が担っています。なんにしろ、その二台の状態を把握して障害時に正しく切り替え処理を行う頭脳の役割が存在し、それを介して必ず冗長した二台のルータはつながっている、ということです。

そしてこの頭脳そのものは、冗長化できません。だから、もしこの頭脳に何らかの変調が起きると、冗長機能が働かなくなります。もちろん、その状態でもルータ自身が正しく動いていれば問題ありませんが、この頭脳が変調を起こすような設定の誤りやバグというのは、えてして、片方のルータが落ちたときに顕在化するものです。つまり、あらゆる呼処理が集中しているルータ自身、どんなに完璧な冗長を組んだとしても全台破綻、ということがありうるわけです。これは隕石が落ちてくるほどの低い確率ですが、でも実際に隕石は落ちてくる。だから、そうした事態に備えた訓練を各キャリアは欠かさないわけです。

こうした呼処理が集中する場所で通信断が起きると、先ほどの「唯一性」と「整合性」を重視するサーバたちは一斉にうごめき始めます。データの不整合が発生した可能性がある以上、何とかして最新の情報を得なければならないからです。また、そういった状態になると、端末側も通信の接続や再開ができないために、何かあったのかもしれない、ということで、通信の手続きを最初からやり直そうとします。こうしたことが雪だるま式に膨らんでいくことで設備の処理能力が枯渇し、なおかつ「唯一性」に自信が持てなくなった各種ノードは通信手続きをやめてしまうわけで、大規模な障害に至るということです。

こうした大規模な障害を回復させるには、まず、入ってくる量を減らすところから始めます。つまり、基地局で「規制」をかけます。これで、端末が何度もアクセスすることを防ぎます。次に、「唯一性」と「整合性」を回復させなければなりませんが、これも、冗長を組んだたくさんの装置を一台ずつ同期させていくという地道な作業になるはずです。なおかつ、その同期させようとするデータが大きすぎるとこれまた設備負荷になり、安全弁が働いて途中で止まり、芋づる式にデータすべてが再び不整合、なんていう面白いことが起こったりします。面白くないですねすみません。そんなことを考えると、一度集約部分で混乱が起きるとその終息にどのくらい時間がかかるかというのは全く誰にも読めない、と思われるわけです。

実際、最近は小規模な障害は比較的減っていますが、ごくまれにこういうどでかいのが起こる感じですよね。それは、障害を防ぐ仕組みがどんどん進んでいるから、ということの裏返しでもあります。標準化でも障害耐性というのは大きなテーマで、障害を防ぐ、障害が起きた時も小規模で済ます、起きた障害が速やかに収束する、そうした仕組みを標準の中にどんどん作り込んでいるので、実は日常的に小さな障害は起こってるんだけど利用者にばれるほどにまで大きくならない、みたいなところはあります。で、最後に残ったのが、こういう物理的にドカンとくるやつ。こういうのもしっかりと機能と収容加入者数をばらして分散化していけばいいわけですが、いかんせん、「唯一性」の問題があり、どこかにどうしても集中する場所が生じることになります。仮にそういうのを物理的にばらして置いたとしても、その物理的に離したサーバの間を加入者が移動するような場合には情報を交換する必要があるわけで、やっぱりそこでは最低二台の間での集中は起こります。ついでに言えば、昨今の官製値下げの影響で、各社ともぎりぎりまで設備を集約して効率化しようと頑張っています。三社ともアホみたいに利益を出しているように見えますがそれぞれがそれぞれに帳簿上の利益を減らせない大人の都合があってしわ寄せは設備投資に向かうわけです。

こういうことが起こらないようにするにはどうすればいいのか? という話については、まあぶっちゃけ、完全に物理的に隔離された冗長ネットワークがあればいいんじゃね? ってことになります。簡単に言えば、別キャリアです。もちろん別キャリアにしてローミングで救済する仕組みにしても、そこに「ローミング接続」があったら無意味です。なので、ローミング情報も何らかの形で隔離して持っていく必要があります。13桁のパスワードをかけたUSBとかで。というのは冗談にしても、実際、一つのキャリアの全域である加入者の唯一性を保証するという条件でネットワークを物理的に分断することはできないので、最悪他キャリアにローミングできる仕組みを全キャリアでしっかりと話し合った方がいいよね、と私は思うのです。もちろん、大障害の時にローミングアクセスが集中してローミング先も落ちた、なんていう本末転倒なことは必ず起こるので、ローミングでの利用については相当に絞った形にするしかないでしょうが。で、そのローミング利用料をお互いに払うようにすれば、ある意味、障害のリスクをカネで解決してるわけですから、お互いいろいろと楽になるよね。

ということで、無線にゃん、今後一切このような長期間の障害を起こすことのないようしっかりと見直しを・・・いや、別にしなくていっか。ではまた来週か来月か来年か♪

tweet TWEET

 ロシアが近々、インターネットを完全に遮断するというニュースがありました。そんなこと本当に可能なんでしょうか。

 結論から言うと、理屈上は可能です。が、条件付きで抜け穴は作れます。

 インターネットが相互に通信できている核となっている技術は、ルートDNSサーバの存在と、経路広報の仕組みです。

 ルートDNSは世界に13個ぐらいしかない、最大の権威を持つDNSサーバで、事実上すべてのドメイン名の解決の「根っこ」になっています。近隣の権威サーバでたいていは事足りますが、国をまたぐようなドメイン名の解決ではまれにこのルートDNSが解決の役を果たすことになります。逆に言うと、最後の最後にはルートDNSが大岡裁きをしてくれることがインターネット上の他のDNSサーバの権威を支えているということです。

 ではロシアはそのルートDNSへのアクセスまでも遮断してしまって通信は成り立つのか? という疑問については、成り立ちます、と答えます。なぜなら、ルートDNSへのアクセスは遮断されているので、ロシア国内の権威DNSがルートDNSと同等の権威をもつことになるからです。どれだけ好き勝手な名前解決をしても上から怒られないんだから、やり放題です。google.co.jpというアドレスをロシア国内のてきとーなサーバのアドレスに読み替えるくらいのことをしてもいいですし、なんなら、トップレベルドメインが.ru以外のドメインは全部特定のアドレスに割り当てちゃえばいいんです。そのサーバにアクセスすると、「残念、それはプーチンのおいなりさんだ」とでも表示するようにしておけば。逆引き? 何それおいしいの? 逆引きが必要なのは(ユーザ・サーバ間の公平な)セキュリティを確保したいときくらいです。政府に都合のいい似非セキュリティを確保するためにインターネット切り離すっつてんだからセキュリティなんて確保するわけねーじゃん。

もういっこ、大切なのは、経路広報です。アドレスを解決しても、そのアドレスにパケットが飛んでいかなきゃならない、その時、大まかにこのアドレス帯はこのルータのこっちのポートの先にあるっぽいよ、とお互いに教えあっているのが、経路広報の役割です。この情報をもとに、パケットを受け取ったルータはバケツリレーでパケットを運びます。通常は、そのアドレスを持っている団体なりなんなりが自分の責任で「このアドレス帯域はここだよ」と隣のルータに広報しています。それを受け取った隣のルータが、必要なら他のアドレス帯域と併せてさらに隣のルータに伝達するわけです。

 じゃあやっぱりインターネットを遮断したらその広報情報も届かないからダメじゃん、ってなりますが、別にいいんです。だってそれやりたいんだもん。ロシア国内のルータのロシア国内からロシア国外に通じるすべてのポートをシャットダウンして、代わりに、そのポートで受け取っていた経路広報情報をあたかもロシア国内の別の場所にあるかのように偽装して広報すれば完了です。こうすることで、DNSを使わずにIPアドレスでアクセスしようとした人を、ロシア国内のてきとーなサーバに誘導することができます。そのサーバにアクセスすると、「残念、それはプーチンのおいなりさんだ」とでも表示するようにしておけば。

 という感じのことをやるんだと思いますし、実際に2019年末にそれらしい演習をやったらしいですね。詳しくはわかりませんが。演習の成果を出せる、とウキウキしている技術者がいっぱいいそうです。

 しかし。これは、ロシア国境を超える通信がIPである場合の話。非IP通信の場合は、そう簡単にはいきません。いや、インターネットっつってんだから非IP通信なんてありえないだろ、と思うことなかれ。

 一番強力で対処方法がないのは、イリジウムです。そう、あの衛星携帯電話の。あれ自体は、独自の伝送方式でポイントツーポイントで結んだトンネルの中にIPを通しているだけです。さらに重要なのが、イリジウムは衛星間通信を使って地球局がない場所から地球局がある場所へと伝送路をつなぐことができます。イリジウムが南極でも使えるのはそのためです。話題のStarlinkは、その方式がありません。あくまで、地球局から直接見える衛星を経由してユーザ端末との間でデータリンクを張る方式。なので、ロシア国内でStarlinkを使うためにはロシア国内にStarlinkの地球局を置くしかなく、その地球局が当局に抑えられたら終わりです。

 また、アナログな方法ですが、国際電話でモデム通信をする、という方法で逃れることもできます。電話は単なる音声ですから、IP遮断の対象ではありません。じゃあ電話も全部禁止ー、というところまで踏み込めるかっていうと、そこまではやり切れない気がします。フィンランド国境とかならアマチュア無線でIP交換やってる猛者もいるかもですね。

 実のところ、これに似た非IP的手法でいろんな通信をロシア国内外でやり取りしている会社は結構あると思います。衛星とか光ファイバとかで非IPの信号をやり取りしているパターンですね。今我先にとロシアから逃げ出している会社はまさにそういった会社なんじゃないですかね。拠点にロシア兵が踏み込んでくるかも、って状況では営業どころじゃないですからね。特に、データセンターを持ってる会社はやばいので、とっとと電源落としてディスク叩き割ってるんじゃないかな。

tweet TWEET

 キャッシュレス化には、懐疑的なんです。こんにちは無線にゃんです。

(なんだこの書き出しは)

 なんか政府肝いりでキャッシュレス社会がどーとか言い出して猫も杓子もキャッシュレスな昨今。キャッシュレスって本当に便利かな? なんていうベーシックな疑問からもっと深堀した課題まで考えを進めると、どうしても懐疑的にならなきゃならなくて。どうなんでしょね。

 キャッシュレス化を進めようとしている意図は、オリンピックとその先のインバウンドの拡大を見据えたものだろうことは容易に想像がつきます。現金って刷れば刷りっぱなしでそれ以降はコストがかからないもの、ではないんですよね。現金の回転数が増えれば損耗も増えますし、現金の流通範囲が広がれば偽造リスクも上がります。なんにしろ、使う人の数と範囲が広がることは日銀に負荷をかけることが分かっているので、そうした負荷を下げたい、という意図があるんだろうなー、と思うわけですけど。

 物理カード内部にセキュアに保存された電子マネー。まあ、これは分かる。現金代替物としてはたぶんこれが唯一にして最良のソリューションだと思います。使うための準備が面倒なんですけど。

 クレジットカード。これも、分かる。まあ、いろんなところに目を瞑って、なんとか認められる範囲。

 QRコード決済。ないわー(笑)。

 なんでこんな評価になっているのかというと、それは私が通信オタクだからです。

 電子マネーは、内部の電磁的な記録を、接触か非接触かで店舗の『金庫』に移し変えるものです。接触型であればほとんど心配は有りません。まあ、接触型電子マネーって逆に見たことないんですけど。非接触でも、NFC的な近接無線は結構な信頼度が有りますから、それほど心配していません。店舗の『金庫』にたまった電子マネーも、一日に一度かそのくらいで電気通信的な手段で口座に入金すればいいわけですから、現金を使っているのとほとんど同じです。仮にその一日一度の入金作業のときに通信が途絶しても、「じゃあ明日でいっか」で済むわけです。当然ながら、入金に使う通信回線はお店が自分で契約しているものですから、シビアな入金管理をしているなら、それなりに信頼性と補償の充実した回線を契約すればよくて、通信起因で一日入金が遅れたらその分の損害を補償してもらうくらいのことまでお店でコントロールできるわけです。

 クレジットカードは、支払い行為をした瞬間にセンターと通信して承認を取る必要があるため、通信途絶時に買い物が出来なくなるというリスクがあります。まあそれでも、昔ながらの『券面のカーボンコピー+サイン』って方法があるので多少決済が遅れても買い物が全く不能になるってことはないんですけど。でも、未だにクレジットカードの券面をガチャコンッとカーボンコピーできるアレ(名前知らん)を置いてるお店なんてあるんですかねぇ(笑)。もちろんそのときにはオンラインでの信用照会が出来ないので、偽カードも使い放題だし。『店を停電させる』→『偽カードのオフライン決済で買い物する』という攻撃が成立します(笑)。まあなんにしろ、ほとんどの場合はお店が用意した通信回線の信頼性に依存するということです。つまり、決済の信頼性も信用補償もお店が自分の裁量でほとんどコントロール出来るわけですね。

 QRコード決済には、大きく二通りのやり方があります。『お店の印字QRをスマホで読み取り、金額を入力して支払い済み画面を店員に確認してもらう』『スマホ画面に表示したQRをお店で読み取り自動決済する』の二つ。後者は、どちらかと言うとクレジットカードに近いですね。というかほぼクレジットカード決済と同じ。決済する瞬間にお店の回線が繋がっている必要があります。回線が途絶すると、代用手段は有りません。また多くの場合、支払いごとに新しいトークンが生成されるため、客のスマホ側も通信回線が正常である必要があります。前者は、なんというか、やりたい放題です。犯罪者が(笑)。印字されたQRを読む方式は、言ってみれば、お店としてオンラインでQR決済システムに連携するシステムを(コストなどの理由で)持てないことが主な理由です。となると、スマホ画面に偽の「決済済み画面」を表示して店員に確認させたとしても、店員がその場で本当に決済が済んだのかを確認する方法が有りません。その方法を準備できるくらいなら後者の方法を取りますから。やっぱり、決済のためにそれなりに信頼性の高い回線を準備すると言うのはコストがかかります。読み取り機の購入金額とかよりも、将来的にも固定費となってしまう回線の維持費のほうが、クレジットなどの導入をためらう理由のはずで、だからこそ前者のQR決済方式がもてはやされているわけです。それが、やりたい放題(笑)。そのうち、絶対に各QR決済システムに対応した「偽決済完了画面生成アプリ」が出来ますよ。もちろんそんな不正なアプリはapp storeなりgoogle playなりで弾かれる。ほんと? その弾く作業が本当に正しく行われてるかってどうやって確認します? 海の向こうの言葉も通じない誰かの良心が決済の信用性のよりどころなんですよ。また、通信オタクの観点で言うと、どちらの方式も、『客が契約している回線の信頼性に依存している』という最大の欠点があるように思うわけです。先日のソフトバンクの全国全ユーザ断というとてつもない障害を引き合いに出すまでもなく、通信設備の小規模の障害は毎日起こっています。基地局1基が落ちるレベルの障害は発表さえされません。それがたまたま自分がお店を持つエリアで起きたら。たとえば基地局が置いてあるビルが火災になりました、基地局は全部焼け落ちてしまいました、店内の通信復旧は周辺局のアンテナ調整などで半日後です、じゃあ半日間売り上げが激減してもしょうがないとあきらめられますか。ねぇ。あきらめるしかないんです。自分とは全くかかわりのない客の契約した携帯会社の障害のせいで損害食らって、それで誰にも補償の請求を出来ない、万一海の向こうのアプリ審査者が不正アプリを見逃して不正決済で損害を食らってもアプリ掲載ストアには一切補償の請求なんて出来ない、そんな決済手段を喜んで導入しているお店はちょっとアレがアレなんじゃないかと思います。で、売り上げの0.5~2%の手数料を喜んで払ってるわけですよね、下手するとクレジットと同じくらい。ないわ~。

 ってことでね、普及するのは勝手ですけど、QRコード決済の普及を以って『キャッシュレス社会を実現しました』なんて吹いてほしくないわけです(笑)。もうそれ言いたいんだったら、政府が自分のお金で国民全員に電子マネーカードと電子マネー金庫(読み取り機能付き)を配るくらいしなきゃ。あ、キャッシュレス社会の実現は一応民間企業が自主的にやってる体になってるんでしたっけ? よくわかんないや。まあそんな感じで。

tweet TWEET

 年末に質問をいただいていました。
 意訳すると、

「800MHz帯はLTE向けにBand18とBand19の二つが定義されていますが、実際は一続きですよね。なんで二つに分かれちゃったん?」

えー、なんでだろー。わかんなーい(棒読み)。

 バンドが二つに分かれた当時の話をすると、当時はまだLTEのような広帯域の無線デバイスの出来があまりよくありませんでした。なので、広いバンドをパスしつつその両端をきっちり切り落とすフィルターなんてものが結構高価で、一つのバンドをあまりに広くしすぎるとその周辺バンドに対する干渉基準を守れない恐れがあったんですね。なので、割と古い時代のバンドは、狭いバンドが多いです。

 2GHz帯についても、日本は隣にPHSがいるので干渉基準が世界でもとりわけ高く設定されていました。そのため、一番下のバンド(KDDI向けバンド)は、日本で使う場合は電力落とすかリソースブロック削減するかなんかしないとダメよ、と標準規格上も特別扱いされていたくらいです。800MHz帯もそれと似たような流れです。

 おや、この前見た夢の話を思い出した。ちょっと書いてみよう。

 日本の800MHz帯は、そのすぐ下にテレビ放送関連の周波数がいました。例によって、日本の周波数保護基準はものすごく手厚いので、テレビ放送関連の周波数への干渉基準はかなり厳しくなっています。一方、3GPP的なところでは、日本の800MHz帯を一つのバンドとして策定しようという作業が続いていました。しかし、上側のバンドを獲得した某キャリアにとってはちょっと面白くない話が持ち上がってきました。それは、「そのバンド全体をパスできるフィルターでは、下方のテレビ放送向け周波数帯への干渉を抑えきれない」というお話。デバイスのコストを下げたい各国のメーカーはこぞって「日本の800MHz帯では送信電力を低下させることにしましょう」と提案します。下側半分のバンドを獲得した別の国内キャリアもやむなしと考えていましたが、上側キャリアは、面白くありません。だって、自分のところのバンドを使う限りは下側には干渉を与えないはずなのにそろって電力規制になったらせっかくのプラチナバンドなのに通信エリアがめちゃくちゃに狭くなります。そこで、いろんなメーカーを焚きつけて「このバンドは二つに分けるべきだ、それなら両バンドとも送信電力規制から逃れられる」という議論を起こします。某3GPPは全員合意が原則。二案対立になった時点で作業はストップです。で、上側キャリアは、下側キャリアに対して、「ねぇ、このまま『メーカーたちの対立』が続いたらこのバンドいつまでも使えなくて僕も君も損だよね。ここはステークスホルダーたる僕らがリーダーシップを発揮して、早期標準化を進めるべきだと思うよ」とそそのかすわけです。どちらの案になっても干渉との厳しい戦いは避けられない下側キャリアは、まあバンド狭くすれば多少はマシかも、ということで、上側キャリアの意見を飲んで、分割案を支持。そうなると、このバンドを持っているたった二つのキャリア両方が分割案を支持した以上、分割案に決まるしかなかったわけです。

 その後、制限もなく使いやすい上側バンドに対応する端末は低コストでざくざくと出てきましたが、電力規制こそ逃れたもののすぐ近くに厳しい干渉制限がありフィルターコストばかりかかる下側バンドには世界中誰も見向きもせず、下側キャリアは地団太踏んで悔しがりましたが後の祭りでしたとさ。

 ……なんていう夢を見ましたが、なんでしょうね、これ。

 ということで、2バンドに分かれている理由は、策定当時のデバイスがまだこなれていなかったので「バンドはなるべく狭く」的な価値観がまだあったから、というのが理由です。夢の話は蛇足でしたね。でわ。

tweet TWEET
2018/3/29 16:00 · その他技術ネタ · (No comments)

マルチギガ化したよ。いや、新しいONU自体は思ったより早く届いたんですけど、入れ替え期限まで60日もあったんでほっといた(苦笑)。

で、先日、twitterにとってつけたようにooklaの計測結果貼り付けちゃった件に気づいた方もいらっしゃるかもしれませんが、コピペできなかったんでメモ代わりにtwitterに投稿しておいたやつです。

当然、家のLANが全部1Gbpsなので、1G以上は出ないのは分かった上で測定してみたんですが。

下り600Mbpsくらい。まあこのくらいの数字はよく見る数字なので、こんなもんか。むしろ変わんないのか。えー。

上り900Mbps。この数字は初めて。調子がいいときで800Mbps前後だったので、ネットに抜ける回線自体が太くなったことでマージンが出来て宅内回線ギリギリまで使いきれてる感じになったのかな?

そんな感じ。上りがほんのりとパワーアップしているのに対して下りは今まで通り、ってことを考えると、下りに関しては、NICを10Gにしてもそこまでは上がらないかも、なんて思います。ちなみに我が家のインターネット回線の用途、トラフィック軸でランキングつけたらたぶんネットへの動画送信(実家や車載からのリモート視聴とか)が突き抜けて多いと思うので、なんにせよ上りが強くなるのはうれしいです。

だれか10G NICちょーだい。ロープロファイルで。

tweet TWEET
2018/3/29 16:00 · その他技術ネタ · (No comments)

そうそう、3/1にauひかりが5G/10Gのサービスを始めてですね、確認してみたらうちも見事にサービスエリア内でした。

ってことで、よっしゃー、追加料金なしで5Gになるなら申し込んじゃうぞー、と思ってですね、申し込もうと思いつつ、そうそう、宅内側もマルチギガ対応にしないと意味ないよね、とおもむろにamazonなんぞで検索してみて。

しょうがない。10G対応スイッチが3万円前後ってのは、まあ分かる。これでもかなり安くなった。最悪、マルチギガにしたいPCだけHGWの10GBASE-Tポートに挿しちゃえばいいし。

10G対応のNICが、冗談みたいな値段。怪しいものを除くと、PCIeアダプタが軒並み2万円前後ですよ。なんじゃそりゃ。5GBASE-T対応のUSBアダプタなんてものもあるんじゃないかなーって検索してみたら確かに引っかかったけど、6万超え。なんじゃそりゃ。

家の中の配線は、一応、cat6 37m未満で設計したんですね。いや、ハウスメーカーのなんか社内規格の関係でcat6e/a以上のケーブルを採用できないとかなんとかで苦肉の策で、だったんですけど。で、スイッチはハウスメーカーの埋め込み品を断って、LAN集合コンセント(パネル)だけ作ってもらって、自分で持ち込みにして、スイッチだけ交換すれば10G-LANが構築できるよ、っていうもくろみだったんですけど。

NICがネック。ニックがネック。ニックキュウはネッコ。

まあそんな感じで。

とりあえず手数料以外はかからないので申し込みはするんですが、5Gの本気スピードを見るのはまだ先になりそうです。5G←→10Gの間の契約変更はペナルティなしで出来そうなので、環境がそろったら一瞬10Gに切り替えて本気を見てみたいですね。

まあそんな感じで。

(オチなし)

tweet TWEET

はまってる人多いんじゃないかと思って、エントリーしておきます。

Windows10で、無線LANと携帯ネットワーク(内蔵無線WAN/LTE)を同時にONにして置き、なおかつ、どちらも「自動的に接続」に設定してあるとき。
気が付くと、無線LANが切断されていることがあるんですね。自宅なのに、LTE接続で使ってることが。

頻発するので、自宅にいるときはわざわざ携帯ネットワークをOFFにしたりしていたんですけど、めんどくさいなあ、って思ってて。ネットワークアダプタのメトリックを携帯ネットワーク>無線LAN>イーサネット、の順にして、ルーティングの優先度を変えてみたりしたけど、ダメ。

調べてみたら、Windows10には、ネットワーク接続の「数」を最小化するっていう機能があるんですね。省電力のために、なるべく接続数を絞ろうとするみたい。で、スリープから復帰したときとか、たいていは無線LANが接続、その後携帯ネットワークが接続、って順番で、どうも、そのタイミングで「じゃ無線LANいらないよね」って切断してくれちゃってるみたい。

ということで、解決策は、レジストリエディタでした。

コマンド名実行でregeditを実行。
場所は、
[HKEY_LOCAL_MACHINE] -> [Software] -> [Policies] -> [Microsoft] -> [Windows] -> [WcmSvc] -> [Local]

ここに、
[fMinimizeConnections]という名前で[DWORD32]の値を追加します。値は”0″で。すでに存在している場合は、値が”1″になっていると思うので、これを”0″に変えます。

一応これで直りました。お役立てください。

値が存在していて”0″になってて、それでも同じ症状に悩んでいたら・・・わかりません(コラ)。

tweet TWEET

どうしてスマホにハードウェアキーが無くなっていっちゃったんでしょうね、と言うお便りをいくつかいただいています。本当にどうしてでしょうね。

片方の都合はよく分かるんです。作る側の都合。可動部って一番コストがかかるから作りたくないんです。何度でも書きますが、全面タッチパネルのカマボコ板が一番低コストで誰にでも作れるんです。ボタンだのヒンジだのをつけるとそれだけでどんどん設計難度が上がっていきます。

技術の蓄積が無くても、お試しレベルで作れちゃうのがカマボコ板。凝ったデザインになればもちろん複雑な組み立てラインが必要でそれなりの会社にしか作れないでしょうが、それでも、内部設計は簡単。出来合いの配置図どおりにチップとアンテナを配置するだけで作れちゃうレベル。一方物理ボタンがここに増えていくと、つまり、電気的な接点が余計に増えていくわけです。電気的な接点は無線設計上は厄介な邪魔者。ちゃんと技術があればそれでも性能の出るものを作れますが、それでは、新興国の安物にコスト競争でとてもかなわない、と言うことなんでしょうね。

作る側としては、一台作るごとにコストの発生するハードウェアに余計な仕掛けを入れるよりは、売れば売るほどコストを回収できるソフトウェアに力を入れたほうがいい、と判断するのは、自然なことだと思います。通信環境が整っているので、実際のコーディングは地球の裏でやっても良い訳ですし、であれば、一番人件費の安い国をいつだって好きなように選べる、と言うのも、ソフト重視の流れを強く後押ししています。

もう片方の都合。使う側の都合なのですが、こちらがよく分からない。確かに、タッチパネルがひとつあればあらゆる操作ができちゃうので、物理ボタンは必須ではない、ってことはよく分かるんです。ただ、思いのほかそれを不便と思う人が少ないんですよね。

むしろ、全部タッチパネルのほうがかっこいい的な流れじゃないですか、今。よろしくないですね(個人的に)。どうしてタッチ操作しかなくてまともに使えるのかが、まったくもってわからんのです。正直、タッチ操作情報端末の黎明期(palmとかzaurusとか)からタッチ機器をそれなりに使いこなしてきたと自負する私でも、タッチ操作はメインの操作方法にはなりえない、としか言えないのです。

まず、スマホを持ったとき、片面の9割以上が「触ると反応する操作部であり操作しないときは触っちゃダメエリア」ってのが苦痛。せめてタッチ部と把持部を分けてくれればいいんだけど、全面ですからね。あと、触って操作する前に操作しようとしている対象が間違っていないかどうかを確認できないってのも苦痛。タッチして操作が入力された後でタッチ位置がずれてたと初めて分かるインターフェース。物理キーなら今指がどのキーの上にあるかを操作する前に確認できる。もちろん確認しなくたって操作ができる。完全にマニピュレータとしてデグレ。

だと思うんだけど、いまいちこれを理解してくれる人がいないんですよね。なんで?タッチ操作なら全部できるし好きなところ押せるから便利だしフリックとかなんとかの新しい操作もできるじゃん。と言う感じで。もちろんその通りだから、タッチパネルをやめろなんていうつもりは無くて、タッチパネルを物理キーの置き換えにしちゃうのをやめろ、って話なんですけどね。理想の端末インターフェースの組み合わせは、Advanced W-ZERO3[es]。懐かしい。把持すべき場所はハードキー主体で誤操作なし、画面はタッチ操作可能。さらにQWERTYキーまで隠し持って。あれはWMだったのでタッチ操作が貧弱でしたが、あの形でAndroid作れたらかなりいいものになると思うんですけどねぇ。きっと売れないんでしょうねぇ(苦笑)。

質問への回答じゃなくて愚痴になっちゃいましたが、いろんな事情があるんでしょうね、と言うお話。ほんとに愚痴だなこれ。

tweet TWEET