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2011/4/13 10:00 · 技術解説

「PDPコンテキストについて解説してください」と言うご要望をいただきました。なんつーか、マニアックだなぁと思いつつ、そういうマニアックな方向にこのサイトを持って行っちゃった私自身の責任なので、取り扱わせていただきます。

でも正直、PDPは苦手です。無線屋的視点で言っちゃえば、「そんな雲の上のことはしらん」と言うのがホンネです(笑)。でもなんとなく数少ない要望なので出来るだけお応えしたいという気持ちをモチベーションにがんばって見ます。※通信:要望意外と少ないんです。もっとどしどし#お寄せください

さて、PDPって何、と言うことに対する端的な答えは、「Packet Data Protocol」です。終わり。

嘘です。ご質問では、PDPがなぜ必要なのか、それにいくつかの種類があるのはなぜなのか、と言うあたりの解説をご希望でした。と言うことで、まずはそもそものところから始めましょう。

データ通信、と一言で言っても、いろいろな方式がありますし、通常、データ通信ではいろんな方式がネットワーク上で混在・共存して支えあうようにして一つのデータストリームを成り立たせています。たとえば、通常の家庭用インターネットの場合、PCからブロードバンドモデムまではLANケーブルや無線LANでつながっていると思いますが、そこでは「イーサネットアドレス」の仕組みを使って「このPC」と「あのモデム」を結び付けています。

と言うと、「え、じゃぁIPアドレスは?」となります。こういう話なら、IPアドレスなんて無くても通信できちゃいそうですよね。しかし、無線LANアクセスポイントとかルータとかよりも向こうの誰かと通信したいとき、「イーサネットアドレス」は役に立ちません。イーサネットアドレスはあくまで、お互いが直接見える場所にあるときに役立つ仕組みです。そのため、IPアドレスはさらにその向こうとの接続のために使います。

携帯電話のネットワークもこれと似たようなものです。携帯電話端末がネットワークに接続するとき、まずは直接見える「基地局」につながらなければなりません。基地局、というか、正確に言うと基地局を含めた「無線アクセスネットワーク(RAN)」です。端末もこのRANの参加者で、このRANの内部であれば、無線アクセス方式のアドレス方式でお互いに結びつけることが出来ます。

しかし、インターネットはまだはるか遠くです。無線アクセスネットワークは、無線コアネットワークに接続され、無線コアネットワークからようやく(プロバイダ網を介して)インターネットにつながります。このため、端末は、無線アクセスネットワークより向こうの無線コアネットワーク内での自己識別の仕組みを持たなくてはなりません。

WCDMAやGPRSでこれを提供しているのがPDPです。そして、端末を一意に識別するIPアドレス的役割を持っているのが、PDPコンテキストと言うわけです。もちろん、RANのノードも、下につながっている端末がどのPDPコンテキストなのかを保持していて(IPとイーサネットアドレスが、間の機器のAPRテーブルで保持されているように)、どのPDPコンテキストだったらどこ宛に送ればいいか、と言うルーティングっぽいことをしています。

これで端末とコアネットワーク(の出口)までの結びつけが終わり、ようやくそこからIPの世界が始まります。ここから先は、端末が持っているIPアドレスを使ってIPネットワークの世界にアクセスすることになるわけです。

これでなんとなく分かっていただければと思ったりもするのですが、もう一つご質問を頂いていまして、「PDPにIPタイプとPPPタイプがあるのはなんで?」とのことでして、これは、ちょっと理由の出所の趣向が異なってまして。

PPPとIPの何が違う?なんていうと、全く別物のレイヤを比べるという愚を冒すことになるわけですが、これは「IPアドレスと認証情報をだれが握っているか?」と言うあたりの問題に還元することが出来ます。

PPPの簡単なおさらい。PPPでは、端末はPPPサーバに直接1対1の接続を持つもので、PPPの手順の上に、PAP/CHAP認証やIP割り当ての手順が組み込まれています。このため、端末はきわめて実装のシンプルなPAP/CHAP認証を持つだけでよいですし、実際にはIPアドレスはPPPサーバ自身が持つことになり、さらにPPPサーバは自身を通過するトラフィックもすべて把握できますので、PPPサーバで認証情報とIPアドレス、そして課金情報を一括管理できるというご利益があります。ただその代わり、すべてのトラフィックがPPPサーバに依存するため、アクセス端末数が増えるとPPPサーバにもそれなりのパワーが必要になってきます。

一方、IPタイプは、と言うと、簡単に言っちゃえば、DHCPでアドレス割り当てをするタイプのネットワークのことです。一度DHCPでIPアドレスとゲートウェイさえ教えてあげれば後は端末自身が勝手にIPの世界にアクセスしてくれるので、ネットワーク側のノードの負担は軽くなります。ただし問題の一つは「認証」で、このタイプのアクセスをする場合は、「認証なし」になってしまいます。と言うのは一番手抜きをした場合の話で、ちゃんと認証をする場合、RANが代理認証をしてあげて、ダメだったらDHCPに「この人割り当てNGね」と伝えて・・・なんていう面倒な手順が必要になります。また、課金情報を取得するためには、DHCPでのIP割当記録とゲートウェイでのIPアドレス通信量記録とRANでのアクセス網認証記録などを全部突き合せなければならないため、パケット課金できっちり漏れなく課金する場合には向いていないかもしれません。

このようにどちらにもそれぞれ特徴があるので、だれがどちらのタイプを選択するか、と言うのは、接続先網のセキュリティと課金の精度などの(プロバイダとしての)事業者ポリシーによるところが多いかと思います。ご質問の方も「なぜドコモはPPPタイプなの?」と気にしてらっしゃいましたが、多分ですが、ドコモはiモード網の認証をきっちり行いつつuidとIPアドレスの突合せや通信量の突合せ(メールとWEBを別々に課金とか)などなどを高品質で行いたいため、お化けみたいなPPPサーバをわざわざ立ててPPPを採用したのかなぁ、と思っています。

と言うことでちょっと歯切れが悪いですが、えーと、苦手なおかずなので許して(苦笑)。以上、PDPについてでした。

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2011/4/13 10:00 · 技術解説 · (No comments)
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