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2010/12/21 10:00 · 技術解説

今日はMVNOの話。MVNOと言うのはどのようにして実現しているのでしょうか、と言う疑問にお答えします。

と言っても、MVNOにもさまざまなタイプがあります。今回はいろいろなタイプを思いつく限り説明してみたいと思いますが、私の知らないタイプも多分あるはずですので、解説のご要望をいただければ追ってわかる範囲での考察と解説をしたいと思います。

さてまず最初は、L2接続タイプ。一番古典的だけど一番技術的難易度が高く、実現できているキャリアも少ないタイプです。このタイプでは、貸し出し元キャリア(以下MNO)は、レイヤ2(イーサネットなど)でインターフェースを開放します(もちろん接続のための仮のIPアドレスなどは別途あります)。MNOはIPより下のレイヤの中継だけはしますが、認証やIPアドレス割当を含むそれ以上の機能は一切提供しません。

たとえば、端末がPPPで接続する場合、端末はネットワークに向けてPPP接続と言うことを通知しながら無線接続を起動します。MNOネットワークは、その端末がMVNO端末であれば、PPP接続のルーティングなどを行わず、その情報の載った認証パケットをMVNOに丸投げします。MVNOはそれに対応したゲートウェイを用意し、PPP接続先情報を認証パケットから判別し、最適な接続先へのルートを確立して、中継します。実際の認証はさらにその先のPPP接続先(プロバイダ)の役割です。大抵は、このプロバイダもMVNOが兼ねているので、実際は同じMVNO内のPPP終端サーバと認証サーバで処理され、認証サーバからPPPサーバにIPが払い出され、IPアクセスが確立することになります。

これが出来ているのは、ドコモとウィルコムだけのはずです。と言うのも、そもそも3GはIP直接払い出しと言う仕組みがあるため、L2接続は非常に困難だからです。ドコモは3Gですが、独自のL2相当のインタフェースを開放して対応している模様です。

L2接続の最大の利点は、MVNOが自分で回線の管理を出来る点です。もっとはっきり言ってしまうと、接続中の回線をMVNOから強制的に切断したり出来るということ。たとえば、時間制限付きのプランで、時間オーバーした場合に強制切断する、と言うようなことが可能になります。これが無い場合(たとえば後述次回のL3接続の場合)、つないでいる間はつながりっぱなしで、時間オーバーしても切断されません。次に接続するときに初めて時間チェックで引っかかって接続を拒否するという受動的な動きで対応できることになります。

また、使っているプロトコルによらずに、純粋な無線上のビット量での課金が出来ます。IPパケットも端末が生成したIPパケットそのものが接続点を通過するため、これが出来ます。L3接続では間のルータでIPパケットが都度再構築されているため、無線上を通過したパケットサイズと接続点を通過するパケットサイズが異なってきます。

しかし、この方式はなんと言っても、難しい、ハードルが高い、と言うのが最大の難点です。MVNOはPPP的なものを一旦終端してルーティングする珍しい装置を用意しなければなりません。汎用のPPPoE用装置を再利用できる可能性はありますが、それでも無線ネットワークに特化した独自のインターフェースを作りこむ必要があるため、買い物だけで済ますということはほぼ無理です。

この方式の場合、IPアドレス数などはMNOキャリアは把握できませんので、IPアドレス数によるMVNOへの課金などは出来ません。課金できる単位としては、接続点の数、接続点でのスループット、端末数、などになると思います。よく、「全国○Mbpsで○○○万円」と言うMVNO貸し出し条件を見ますが、これは全国のスループットを真面目に合計しているのではなく、この接続点にスループット制限装置をつけている、あるいは、1接続点に付き1Mbpsの伝送路だけを用意していて、接続点の数をいくつ申し込むか、と言う形で提供している、と言うものです。

一方、MVNO自身が端末利用者に対してどのように課金できるか、と言うのも接続方式で代わってきます。L2接続の場合、自身で認証からIPアドレスの払い出しまで行うので、IPアドレス数での課金も出来ますし、自前で固定IPアドレスサービスなどを提供することも出来ます。もちろん、厳密な無線接続時間での課金も出来ますし、PPP終端装置で計測できるためデータ量での課金も出来ます。要するにMNOがやっているのとほとんど同じ自由度があるのがL2接続の特徴です。

なんだか書き始めると膨らんじゃって大変なことになってしまいましたので、今日はL2方式をざっと説明するまでにしておいて、残り、L3接続タイプと再販タイプは次回以降とさせていただきます。では。

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2010/12/21 10:00 · 技術解説 · 3 comments
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3 Comments to “MVNO (1. L2接続型)”

  1. […] This post was mentioned on Twitter by たくのん, 無線にゃん. 無線にゃん said: MVNO (1. L2接続型) http://wnyan.jp/207 […]

  2. […] さて、前回をお読みいただいているという前提で話をいきなり始めさせていただきます。 […]

  3. […] さて、前々回と前回をお読みいただいているという前提で話をいきなり始めさせていただきます。 […]

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