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2012/1/10 10:00 · 技術解説

すみません、結構前に「WiMAXとLTEのちがい、どっちが結局いいのか」という趣旨のご質問をいただきまして、ちょっとあまりに難しい問題なので放置していました。

そもそも出自が違う、という前提は置いておくとして、それでも、いずれもOFDMベースの通信方式として、OFDMの常套手段的高速化高品質化技術をたっぷりと取り入れてそれなりに良いものに仕上がっている、という事情があります。つまり、どちらも、OFDMとしてはやれることは十分にやった、というところまで来ているんですよね。

なので、重箱の隅をつつくような話をします。

まずデータレート。LTEが5MHzで37.5Mbps、WiMAXが10MHzで40Mbpsという数字がよく出てきます。この二つは、占有する周波数リソースという意味では厳密に同じです。つまり、LTEは5MHzを上りと下りそれぞれ使うので合計10MHzで下りスループットは37.5Mbps、WiMAXは一つの10MHzを上りと下りに分けて使ってその結果の下りスループットが40Mbpsです、ということになります。つまり単純比較すれば、WiMAXがほんのわずかだけ速いけどほぼ同等、ということになります。

しかし、いつぞやUQの社長だか誰だかが言っていましたが、これはあまり公平な比較ではありません。WiMAXの理論速度40Mbpsは、LTEでいうところの報知情報やページングなどのあらゆる情報部分もオーバヘッドとして引き抜いた結果の数字です。LTEではそれに相当するものも含めたデータ速度が出ているため、単純にそれを引き算すると、ユーザデータレートとしては約32Mbps程度にまで落ちてしまいます(=無線にゃん試算、前提によりやや増減します、たぶん)。

もちろんWiMAXは上下を非対称に使う、ということをすることで下りを多めにとっているため、同じ周波数リソースであればWiMAXの方が速くて当然なんですよね、実は。ちなみに、ここから、LTE=10MHz、WiMAX=20MHzというように増やしていくと、それぞれ少しずつ効率は良くなりますが、大体傾向は同じままです(WiMAX>LTE)。

ということで、重箱の隅をつつくようなスループット比較でいうとWiMAXにやや分があるという結果になります。しかし、それ以外のシステム部分でいろんな違いがあります。

たとえば、エラー訂正処理。LTEでは、ネットワークがデータを送った4ミリ秒後には端末からエラー検出結果をもらえるため、そのさらに4ミリ秒後には再送でエラーを訂正できます(つまり再送まで合計8ミリ秒)。一方、WiMAXでは、下りと同じフレームでエラー検出結果を送ることもできますが、そこで送らなければならないとは規定されていません。もし端末が超々高性能で受け取った瞬間にエラー検出を完了できるなら、下りフレームの直後の上りフレームで検出結果を返答でき、次のフレーム、つまり最初の送信の5ミリ秒後には再送ができます。しかし、端末の性能が限られていた場合は検出に時間がかかるため報告も次のフレーム以降になってしまい、再送タイミングは最短10ミリ秒後になってしまいます。つまり、たいていの場合は、エラー訂正能力はLTEより劣ることが期待されます。この辺は、さまざまな能力の端末がいることを前提としたWi-Fiの思想を受け継いでいるようです。

また、制御情報(システム情報)についても、WiMAXでは全帯域に広く展開するのに対して、LTEでは周波数的に一か所に集中させようとする傾向があります。広くばらまくことで短時間で伝送が可能ですが、周波数選択性の強い干渉を受けた場合には全情報が丸ごと潰される危険が大きくなります。逆に、LTEのように狭く集中させ長く伸ばす、という形にすると、全情報の取得に時間がかかってはしまいますが、周波数選択性干渉の影響を最小限に抑えることができます。

スケジューリング(端末ごとのリソース割り当て)にもやや違いがあり、LTEでは最短で1ミリ秒ごとに割り当てができるのに対して、WiMAXは最短で5ミリ秒ごとになります。また、LTEでは基本的なチャネルでOFDM特有の遠近問題(上りシンボルの端末間ズレ)の解決を任意の時間に開始し6ミリ秒で完了できますが、これもWiMAXでは最短で10ミリ秒(実際は基地局・端末でのメッセージ処理時間があるためさらに5ミリ秒単位で増加)です。このため、端末が高速で移動したりして伝送路品質や伝播時間が目まぐるしく変わるような状況に対しては、LTEの方が高い品質を維持できることが期待されます。

という感じで、おおざっぱにいうと、WiMAXは元々があまり移動しないものなのでパフォーマンスは高いけど不意の干渉などに弱く、LTEはそういった干渉や変動に対して比較的安定側に設計してある、というイメージ。たとえば弱電界でも(遅いながらも)安定して使えるのはたぶんLTEで、WiMAXはとぎれとぎれになりがちなのかなぁ、という気がします。弱電界になりやすい2.6GHzという高い周波数であることも含めて、WiMAXはLTEより移動や屋内に弱いという傾向は今後強く出てくるだろうと思います。

そんな感じで、あまりスペック的なところでは見えない違いについて、まとめてみました。でわ。

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2012/1/10 10:00 · 技術解説 · (No comments)
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