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2011/8/22 10:00 · 技術解説

と言うことで今日はWiMAXの方式について解説したいと思います。

WiMAXは、元々無線LANの拡張として無線MAN(Metropolitan Area Network;都市域網)を作ろう、と言うところから始まったもので、無線LANの一つ、802.11gで使われているOFDM伝送方式を採用し、より広いエリアで安定して使えるように設計されたものです。

無線の伝送はOFDM方式、ユーザの多重化はOFDMAを使い、OFDMのシンボルとサブキャリアそれぞれをどのユーザに割り当てるかと言う方法でたくさんのユーザが繋がるようにします。その諸元にも幅がありますが、現状は最大20MHz幅、WiMAX2では40MHz幅以上が規定されることになります。

また、WiMAXの使用としてはTDDもFDDも定義されています。今回の話では世界的に多く使われているTDD方式を取り上げます。

TDD WiMAXでは、他のTDDと同じように、下りチャネルと上りチャネルが時間的に交互に配置されます。下りチャネルが○ミリ秒のあと上りチャネルが△ミリ秒、と言うように整然と並んでいるわけです。また、下りと上りの長さはある程度可変で、下りと上りを分離するためのガードタイムを含めて合計5ミリ秒が1セットです。

OFDMに関しては大雑把な説明をこちらに置いてありますが、一つの周波数を細かいサブキャリアに分けて使う方式。なので、それぞれのサブキャリアの中の一つのシンボルが最小単位になります。WiMAXでは、この最小単位を碁盤の目のように並べたグリッドを想定し、その平面の中から長方形に切り取った区画ごとにユーザに割り当てます。

その割当情報は、下りチャネル中の先頭に「DL-MAP」として置かれ、これを受信した端末はその内容を解析して、どの区画が自分宛の割当なのかを検出し、その区画の内容を読み取って自分のデータとして取り込みます。この情報は毎回下りチャネルの先頭についてくるので、瞬間的に割当区画をものすごく大きくしたり、いらなくなったら瞬時に割当をゼロにする、と言うようなことが極めて自由にできるのがWiMAXの特徴の一つです。

上りチャネルについては、下りチャネルよりも少しシンプルな割当ルールで、碁盤の目を一旦直線に引き伸ばし、一直線上のどこかを送信してもいい場所と言うように割り当てるという形になっています(図では省略していますが、実際には端っこが階段状になります)。この割当情報は、下りチャネル中の「UL-MAP」と言う部分でもらいます。端末はこのUL-MAPから自分がどの部分に割当をもらったのかを知り、その部分に自分のデータを乗せて送信します。実際にはこのまま送信することは無く、それぞれの最小区画単位で再び全上りチャネル全領域にランダム的にばら撒き直すことで、送信信号の耐性をアップさせるということが行われます(特定の周波数近辺に電力が集中するということは無い、と言うこと)。

また、上りの割当情報を下りチャネル中でもらっていなかった場合のために(たとえばまだ電源を入れたばかりだったり)、もう一つRanging Subchannelと言う領域が用意されています。この領域では、どの端末も初期アクセスやハンドオーバアクセスのために好きに送信して良いことになっています。また、複数の送信がぶつかって干渉したときのために、CDMAと同じような符号化も施されます。

上り・下りの送信の仕組みは大雑把にこのくらい。次にもっと上の制御の話。WiMAXは元が無線LANの親分としてスタートしたので、実は、端末はMACアドレスでネットワークにアクセスします。そのため、毎回アクセスのための仮IDの払い出しなどをもらう必要はなく、いきなり同期してRanging Subchannelから「割当よろ」と要求しても良いことになっています。また、基地局も原則それにはすぐに「おっけー」と答えることになっています。無線LANとかなり近い、自由なアクセスです。

ここから先はWiMAX方式そのものからは少し離れるのですが、一旦割当をもらったら、今度は端末はIPアドレスの割当を、割り当てられた伝送路の上で、普通のDHCPを利用して要求します(MACアドレスを持っているので)。この辺から先は本当に無線LANと同じです。ただし、そのIPを払いだす前に802.1xなどEthernet上で動く他の認証プロトコルで認証を行ったり、払いだすIPをMobile IPにすることで移動に対応するなどのネットワーク側の工夫がいろいろと載っています。もちろん認証に失敗すればIPアドレスはもらえないので、端末が自発的に「ごめんね」と言って基地局との無線接続をOFFにするわけです。この辺は無線方式そのものとは直接関係ありませんが、WiMAXサービスを実現する肝なので、以上軽くご紹介しておきました。

さて、移動無線としてもう一つ重要なのが、「待ちうけ」です。上の説明では、WiMAXは接続するとずっと基地局との間で5ミリ秒単位の送受信を繰り返さなければならないように見えますが、モバイル用の方式として、携帯電話と同じように消費電力低減のための「待ちうけ状態」を持っています。

通信が終わって無通信時間が一定時間続くと、端末は無線をOFFにして休止状態に入ります(この時間はあらかじめ示し合わせておきます)。で、携帯電話と同じように、定期的に無線をONにして自分宛のデータが無いかをチェックするのですが、ここでちょっと携帯電話とは違うユニークな仕組みがあります。と言うのが、携帯電話ではこの無線ONタイミングで自分宛のデータが無かったら再び寝る、と言う動きなのですが、WiMAXでは、そのタイミングで基地局が「あなた宛のデータはありませんよ」と言う信号を送ることになっているんです。

これをちゃんと受信して「あ、データは無いのか、なら安心」と言って再び寝るのがWiMAXの動き。このやり方だと、たとえば移動しながら基地局から離れてしまった場合、この「データはありませんよ」が届かなくなり、端末は「あれ、データが無いって言われなかった、なんかおかしいぞ」と言って調べることができます。調べた結果、隣の基地局が見えていたらそちらにハンドオーバ、と言うことをしたりするわけです。携帯電話では電波強度をしっかりとモニターして、一定基準を下回ったらネットワークに通知して指示をもらう、と言うように作りこんでありますが、WiMAXはそういった制御手順を単純化するためにこういった仕組みになっているものと思われます。

さてでは、ネットワーク側にその端末のIPアドレス宛のデータが届いたときはどうするのか。

はい、予想通り。「データがありますよ」と言って端末を起こしてから、DL-MAPでその端末宛の割当を流し、実際にデータの送り付けを始めます。実際にはちゃんとACKなどもあるので、端末に届かなかったらいろんなやり方で救済する仕組みがあるようです。

端末からデータを送りたいときはこんな感じ。

送りたいデータが出たら、先ほどのRanging Subchannelを使って「ちょっとデータあるから割り当てて」と頼んで、基地局が「おっけー」と言ったらすぐにUL-MAPの割当が始まり、その中にデータを入れる、と言うことになります。要するに最初にアクセスするときとほぼ同じで、認証やIPアドレスの割当などが不要になっている(既にIPを持っているので)と言う感じ、本当に無線LANと同じように必要なときだけ占有するけど後は黙ってるよ、と言う感じになっているわけです。

と言う感じでおおざっぱにWiMAXの無線伝送方式と無線制御方式を紹介してみました。例によってご質問歓迎いたしますので、お気軽にお寄せください。それでは。

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2011/8/22 10:00 · 技術解説 · 1 comment
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1 Comment to “WiMAX”

  1. ここは酷い漂着ですね…

    国後拘束の日本人、サバイバルゲーム中漂着か : 社会 : YOMIURI ONLINE(読売新聞) http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110823-OYT1T00640.htm 国後沖拘束の男性 「強風で流された」とロシア当局に説明-北海道新聞[国際] http://www.hokkaido-np.co.jp/news/international/313659.html 邦人に国境侵犯の意図なしと判断 ロシア側 – 47NEWS(よん……

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