うわーしばらくニュース見てないうちに大変なことに。
ソフトバンクとイー・アクセスが経営統合ですって。まぁ実質、ソフトバンクによる買収なんでしょうけど。やっぱりオーナーが安定株主の会社は強いですね。どんなにギリギリまで余力を吐き出しても絶対に買収されたりしないっていう安心感から常時全力勝負ができるという強みがあります。
んなことはどうでもよくて、この影響です。正直、イーモバの加入者状況はあまりよろしいものではなさそうで、加入者速報をしなくなった辺りからちょっと経営的にも怪しげな感じがしていたくらい。なので、そもそもの顧客基盤吸収と言う効果は限定的かもしれません。
インフラでいうと、イーモバのインフラは、結構良いんですよ。前にもどこかで書きましたが。無用な基地局数競争なんていう土俵に乗らなかった分、セオリー通りにきれいなインフラが作られています。ただ、やっぱり地方で弱いのは相変わらずですし、面的な拡大はあるころから急減速していることを考えると、ソフトバンクのエリアを面的に補完するという意味はそれほど強くなさそうです。
やっぱり重要なのは、厚み、つまり周波数でしょうね。イーモバが持っている周波数を全部ソフトバンクが使えるようになる、と。この件で、ソフトバンクは900MHzも700MHzもまんまとゲットできたことになります。いや正直、700MHz事業者選定の時点ではこの辺の話の大枠はほぼ決まってたんじゃないかなーなんておもうわけで、なかなかうまいことやったもんです。
で、「そもそも700の割り当ては900割当にならなかった事業者に限ると言う決まりはどうなんだ」、と言うご質問もいただいているのですが、これはもう過去の事例を見ればわかる通り、割り当て時のルールそのものは、割り当て後の再編にはほぼ適用されないという慣例が出来上がっています。また、経営統合とはいえ事業者は違うんですと言い張ればこれまた遡上適用すべきと言うことになったとしても問題なし。どっちにしろ、この辺のルールは適用されないし、適用されないことをとっくに行政との間でも調整・確認済みだろう、と言うのが私の考え。その程度の調整もせずに認定事業者同士の合併をするなんてことは考えられないので。
あとは、1.7G帯域の話ですね。iPhoneで使えるとか使えないとかそういう話。一応、理屈上は使えるはずです。ただし、日本の1.7Gのバンド9そのものには対応していないので、米国のバンド3対応で、って形(つまりイーモバのLTE基地局で「この電波はバンド3ですよー」と報知する)。ただ、もしこのやり方だとうすると、ちょっと気になる点が二つ。
一つは、PHS共存規定。バンド3は、PHS共存規定がありません。つまり、バンド3のみ対応の移動機はPHS共存規定である送信特性試験を通していません。一方、バンド9はもちろんこの規定が適用されていて、ちゃんと試験されています。つまり、バンド3に対応した、と言う宣言だけでは、日本の電波法規定に合格していることが確定できていないということです。これは現状まだクリアできていない問題だと私は思っています。[追記]ゴメン嘘書いた。Release11からバンド3にもPHS共存規定が追加されてましたね。一応この問題はクリアされてます。[追記2]無線特性に関する規定はRelease番号関係なしに最新版適用、っていう3GPPルールがあるので、仮にiPhoneがRelease9/10ベースだとしても無線規定だけはその時点での最新版仕様書が適用対象となります。ので、iPhoneのバンド3は多分PHS共存規定をクリアしているはず。
もう一つは、バンド3が、バンド9よりも2dB程受信感度が低いということ。要するに、電波の飛びが悪くなるってことです。ざっくりいうと、バンド9の受信感度を100%とすると、電波の受信感度が6割ほどに落ちます。それに伴ってエリアも狭まることになります。イーモバは、受信感度100%を前提にエリア設計していますから、それを、6割程に落ちたiPhoneが使うと、あちこちが穴ぼこだらけになる恐れがあります。
しかしまぁ、なかなかどうして、思い切りがいいですね。ってことで、次の買収の仕掛け先は、KDDIってことになるんでしょうけど。おそらくその辺が一つの区切りで、歩調を合わせて電波行政に大きな見直しが入る、みたいな感じで裏では進んでいるような気がします。
と言うことでお久しぶりでした。もうしばらく忙しそうです。でわ。
あれ、EM LTEって、もともとバンド3で構成してませんでしたっけ?