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2012/11/28 10:00 · 技術解説

PHSの通信方式を見ると、各フレームにCRCこそついているけど、誤り訂正ビットが全くないみたいです、これで通信本当に大丈夫なんでしょうか、と言うご質問をいただきました。

分かっている人には釈迦に説法で申し訳ないですが、誤り訂正の仕組みを簡単に説明。たとえば送信データが100ビットあったとします。もしこの100ビットだけを送信して、そのうちの1ビットが何かの理由で壊れてしまったとすると、これはもうこのデータに意味はありません。全部破棄です。それを検出するのがCRCの役目。PHSフレームにはこのCRCビットがついています。

さて、100ビット頑張って送ったのにたった1ビット壊れて残り99ビット破棄はさすがにもったいない。ってことで考え出されたのが、送る全ビットに複雑な計算を施して、計算結果のビットを余分なビットとしてつけておく手法。100ビットの送信のために100ビットを余分につけて200ビット送信する、みたいなイメージ。たとえば、元データのビットをa1,a2,a3…、余分ビットをb1,b2,b3…としておいて、a1が0だったらb2が1になってるはず!みたいな法則性を持たせておくんですね。一番簡単なのは元データ=余分ビット、ですが、これだとどっちかが壊れてもどっちが壊れたか分かりにくい。ってことで、もう少し複雑な計算をすることで、確実に間違いの起こった場所を特定できるような工夫がいろいろと考えられています。この余分なビットが誤り訂正ビット。最近は、元データといっしょくたにまぜこぜにしているので、誤り訂正ビットとは呼ばず、単になんちゃらコーディングとか読んでいたりもします。比較的新しい無線通信方式では必ずこの誤り訂正機能がついています。

さて質問の方に戻ります。PHSの話です。こういう仕組みがPHSにはないけどそれで大丈夫なのか、と言う話です。

元々から言えば、古い携帯電話方式はみんなこんな仕組みは持っていません。なぜかというと、古い方式になるほど、1ビットを伝送するコストが高くなるからです。もちろん、こういった誤り訂正機能を動かせるほどの演算パワーを小さな携帯端末に持たせるなんて夢にも思わない時代にできた方式だったから、と言うのもあります。

そして、PHSもまさにそんな時代に生まれた方式です。たとえば、PHSが世に出たほぼ同時期、WCDMAの仕様が作られていくとき、その複雑な演算パワーを必要とするいろんな仕組み(誤り訂正を含む)に対して、「こんなに莫大な演算エネルギーを浪費するようなデバイスが携帯電話サイズになるはずがないし、それを支えるバッテリなんて永久に出てくるはずがない」なんていうことを言う評論家さえいたほどでした。

そんなわけで、第二世代携帯電話くらいの時代は、とにかくシンプルな仕様となっていたわけです。そういう方式では、演算パワーで誤りを訂正するのではなく、単純に強い無線リンクを使う、と言う方向で問題を解決しています。前にもちょろっと書きましたが、ビットを詰め込むことで無線リンクが弱っていくことを莫大なデジタル処理で補う、と言うのがここ十数年の通信のトレンドです。デジタル処理コストが安くなることで伝送(アナログ)で無茶ができるようになってきているわけです。

ってことで、PHSは、こういうトレンドが起きる前のやり方、つまり、ほどほどに強い伝送路を確保することで、そもそもビット誤りが起きにくいようにする、と言う作戦を取っています。たとえば、フレームをできるだけ細切れにすることで、少ないビット誤りが広い範囲に波及することを防いでいたり、強い伝送路を確保するために強い変調を使っていたりします。強い変調は伝送速度が下がるし、フレームを細切れにするとヘッダの比率が上がってしまうので伝送効率の面では非常に不利なので、通信速度が上げにくいのは間違いがありません。

本来なら、たとえば同じ世代のPDCが退役するくらいのタイミングでPHSも完全に退役してもいいくらいの話なんですよね、こういった技術の進歩との兼ね合いで見ると。と考えると、「伝送路上の誤りへの弱さやそれを補うための伝送速度低下」と言う一面の弱さを持ちながらも今でも現役でいることは、PHSの持つ他の特長、自律分散による設計フリー密集配置と言う強みが、伝送の非効率をを補って余りあるからなのだろうと思います。

と言うことで、なぜPHSが誤り訂正をしていないのかについてのお話でした。

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2012/11/28 10:00 · 技術解説 · (No comments)
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