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2012/6/11 10:00 · ひとりごと

私は未だにPHSを使っています。それはPHSという方式に対する愛もありますが、それでも、それを持っていることによる直接的な恩恵があるからそうしているのです。感情論抜きにしても合理性がそこにあるのです。ということで、私がなぜまだPHSを持っているのかを勝手にまとめて、最後に毒吐いて終わります。

結構前までは、「高音質が」ってことをよく言っていました。これは、確かに今でもそう思ってはいるんですが、ちょっと必須条件ってほどでもなくなっています。というのも、その高音質がいまいち発揮しにくい端末所持状況になってしまって。たとえば、W-SIM端末とか。ストラップフォンとか。「受信感度がよろしくない」「マイク・スピーカ性能がいまいち」な端末が身の回りを占めてきて、高音質があまり活かせない状況になっています。要するに、せっかくの音声ながら、ノイズが乗っちゃうのね。

そこは割とどうでもいいんですが、やっぱり今でも持っている、持ち歩いているのは、2011年3月11日の記憶です。あの日、持っていた携帯電話が全滅して、唯一家族と連絡を取り合えたのがPHSでした。NTTでさえ、着信側交換機が混雑してつながらなくなっていたのに、PHS同士だけはつながりました。つながらなかった時間帯は、私の体感でわずか5分。

メインをドコモに完全移行し、EVDO/WiMAXというモバイルデータ手段も確保でき、いよいよPHSはお払い箱か、と思っていた矢先のあの災害で、PHSだけが唯一家族をつないでくれました。

災害時は災害伝言板を使いましょう、なんて言われますが、正直、モバイルデータ通信も全滅状態でした。最後まで残っていたのはWiMAXとPHSデータだけ。ほかは、つながらない、つながってもデータが落ちてこない、という状態が夜遅くまで続きました。

そしてそんな中で、PHSだけは音声もメールもデータも、ほぼ確実につながり、混雑も限定的でした。

中でも最も活躍したのは、「ライトメール」でした。音声通話と全く同じように端末同士が直接つながる仕組み、世界的にもほとんど例のないかなり特殊なメッセージングシステムです。音声通話のように呼び出し、メッセージを届けるので、タイムラグなしで相手が圏外なのか受け取れる状況なのかがわかります。たとえば他の携帯のSMSは一旦センターを経由するので結構タイムラグが許されるし、「圏外」以外の交換輻輳などの原因での未達も起こり得るため、相手の状況をダイレクトに知る手掛かりにはなりません。ライトメールの場合は、交換輻輳なら「おかけ直しください」になるし相手が圏外なら「電波の届かないところか電源が~」というトーキーになります(一部のPHSではこのトーキーをマスクしてあることもあるようですが)。

あの時、このライトメールと音声通話をうまく活用して、都内でばらばらだった家族と落ち合うことができ、PHSデータを使って各種情報をスムーズに入手できたためその日のうちに安全に公共交通機関を使って帰宅することが出来ました。会社の同僚は、「とにかく情報がないからひたすら家に向かって歩いた」と言っていました。もしあの時十分に情報を得られなかったら、私も危険覚悟で歩いていたかもしれません。後から見れば簡単なことで、情報さえあれば、結構な数の交通機関が夜そんなに遅くない時間に復旧する見込み、ってことはわかることだったんです。

前にも別記事で書いた通り、「PHSの耐災害性が最強」なんてことをいうわけではありません。そうではなく、全く異質のダイバシティルートを持つこと、これが重要なんです。たとえば、3Gにしても、WCDMAとCDMA2000ではネットワークのつくりが違うので、異なる災害応答プロファイル(「災害」というインパルス入力に対するネットワークの混雑度などの時間変化)を持つはずです。それが時系列上でたまたま重ならなければ、両方持っていればどちらかのルートが利用可能ということ。ただ、同じセルラー3Gである以上その差は微々たるもの。だから応答が重なってしまう(同時に悪くなり同時に良くなる)ことが多いと想定されます。それに対して、PHSもWiMAXも全く異なるシステムであるため、大きく異なる災害応答プロファイルを持つわけです。そして、PHSは音声もメールもデータも提供可能なネットワーク。異質なダイバシティルートとして確保しておくのにこれほど向いたシステムはありません。

もちろん、災害を抜きにしても、突発的な混雑でもPHSだけが無事なことがあります。それはもちろん、混雑に対する応答プロファイルが違うから。私が知らないだけで、3Gは問題なくつながるのにPHSだけは輻輳してつながらない、ということが起こっているかもしれません(たぶん起こっているはずです)。違いすぎるネットワークだからこそ、携帯とPHSが同時にダウンするという確率を小さくできるわけです。

まぁそれを言ったらイリジウムでも持ってろ、って話なんですけど、もちろん、こういった特徴に加えて、PHSだからこその良いところがあるわけですよ。料金が手ごろってことも、ダイバシティ用に維持するのであれば重要な部分ですし、一部を除けば待ち受けだけならめちゃくちゃバッテリが持つってことも重要です。たいていの端末は、待ち受けだけなら1週間充電しなくても平気。1週間充電を忘れた端末でも、いざという時に問題が解決するまでくらいの時間ならちゃんと動ききってくれます。

というようなわけで私はPHSをまだ持っているわけですが。

DIGNO DUAL。ウィルコムの最新PHS端末。ライトメールなし。データ通信なし。Androidだからバッテリも1日も持たないよね。どうすんのこれ、って感じの端末。幸い、これ以外のフィーチャーフォン的PHSがまだ出てきてくれているので良いんですけど、もしこういうのが主流になって、PHSの良いところがどんどん削られるハメになっていくんだとすると、いよいよPHSを持つ意味がなくなっていきますよ。ただでさえ、基地局統廃合とか言って、なんだか圏外になっちゃったお店が近所に結構出てきているのに。

まぁ、PHSがダメになりそうだったらその時は、イリジウムでも持ちます。たとえば、ウィルコムプランDが月額6755円です。イリジウムは月額5000円ですから、同じ「ただ持っているだけ」なら、イリジウムの方がお得って話になっちゃうんですよね。あ、着信は厳しいっぽいけどドコモのアイサットフォンでもいいですね。こっちも月5000円です。まぁ今の状況でそこまで先読みすることはなくて、600円とか980円とか1450円とかで回線を維持できているなら、それを徹底的に使うだけですけど。もしARPU向上がどうとか言ってプランD必須端末ばかりにしちゃおうなんてたくらんでるんだったら、考え直した方がいいですよ>ウィルコム様。

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2012/6/11 10:00 · ひとりごと · (No comments)
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