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2011/6/28 10:00 · 技術解説

さて最近余り見る機会の無くなった「圏外」なのですが、この「圏外」とはどういう状態なのか、と言うのを、馬鹿にされるのを覚悟で改めてまとめてみたいと思います。

圏外って、意外とどういう状態かって真面目に考えることが余りないわけで、と言うのは、大雑把に「電波が届かない状態」と言う簡単な説明があるからなのですが、もう少しきちんとみてみると、単に「電波が届かない」だけでは言い表せない状態もいろいろと含んでいることに気がつきます。

端末の画面上に「圏外」と出る条件についてはこれまたいろいろと細かい条件があったりするのですが、簡単に書くと「一定時間以上、端末内に登録されている携帯電話ネットワークの特定のエリアを示すIDが見えなくなっている状態」です。

この「携帯電話ネットワークの特定のエリアを示すID」、知っている人用に書きなおすと、「ページングエリア(呼び出しエリア)(に相当するエリア区分)のID」です。たくさんの基地局(セル)から出来ている携帯電話ネットワークは、セル数十個程度のある程度の大きさで大雑把に分割されていて、それぞれが一つのページングエリアとして機能しています。

それぞれのページングエリアにはIDが割り当てられていて、基地局はそのIDを常に定期送信しています。携帯電話は、自分宛の呼び出しのあるなしと合わせてそのIDを常に監視しています。携帯電話にとってはそのページングエリアIDは「自分に割り当てられたエリア(マイID)」です。そのエリアだけがその携帯電話にとっての「電波の届く範囲」であり、それが見えなくなったら「圏外」とする、と言うのが最も基本的な携帯電話の仕組み。

では、あるページングエリアにいる端末がにょろにょろ~っと隣のページングエリアに移動しちゃってマイIDの電波が見えなくなっちゃった場合は、必ず圏外になっちゃうのでしょうか。

もちろんそんなことはありませんね。携帯電話は「移動できる電話システム」として、ネットワークに対して「こっちに移動しましたよ」と知らせる機能があります。ネットワークが「オッケー分かった」と返事をすると、端末は内部に登録されているID(マイID)を「新しいID」と書き変えることができます。と言うことは、これを常に即座に行ってさえいれば電波上に見えているIDが常に「マイID」であるため、実質圏外状態は存在しません。このようにして、いちいち圏外にならずにページングエリアをまたぐことができるわけです。

では圏外とは。それは、あるエリアでIDを見ていて、品質が悪くなってきた、そのときに別の電波を探しても見つからない。なので切り替えることも出来ずにだんだん品質が悪くなっていって、ついに、電波を復調しても正しいビットが得られないようになり、エラー訂正をもってしても正しいデータを取り出せなくなり、ついにページングエリアIDがきちんと取得できなくなった、このときが正確な「圏外になるタイミング」です。実際にはもう少し上のレベルに「電波の強さ・品質がこの数字を下回ったらもはや圏外と思うべし」と言う閾値が設けられていて、それをまたぐと圏外表示になります(ただしこの閾値の有無や指定方法は方式による)。

これが最もオーソドックスな圏外。電波の強さ・品質が基準です。もちろんこの場合、そもそも「電波は見えない」と言うタテマエなので、端末は電波を一切出しません。ただ定期的に受信回路をONにし、電波を探す状態。ただ、全く手がかりのない状態で新しい電波を探すのは大変な処理が必要で、圏外で消費電力が増えるのは主にこの大変な処理が原因です(一方、圏内状態で隣に切り替えるときはネットワークからある程度のヒントをもらえるので処理は比較的軽い;ただしこれも方式による)。

さてこれが基本的な「圏外」状態。たとえば電源を入れたばかりの状態でも、「マイIDが(まだ)見えていない」と言う状態なので、しばらく圏外になったりします。というのは、電源を入れたばかりでは「マイID」は「白紙」だからです(実際はちょっと違うけど、ほら、話の流れ的に)。その状態で新しい電波を一生懸命探し、見つけたところで「ここにいますよ」とネットワークに通知して、「オッケーわかった」と返事をもらったらようやく「マイID」に「今いるページングエリアのID」を登録できるので、圏内表示になれるわけです。

ではちょっと違う「圏外」について考えて見ましょう。先ほども書いたとおり、「圏内」は「マイID」と「無線で放送されているページングエリアID」が一致していなければなりません。これが一致していない場合も「圏外」です。

そんなことあんの?と言うことなかれ。案外これは起こります。一つは、エリアの端っこぎりぎりとかの状況。先ほども書いたとおり、電波が弱って弱ってもうダメだというのは、送信されている電波の中のビットが読めなくなっちゃった状態。実は、電波自体が結構弱くてもページングエリアIDとかを送信しているチャネルは意外と偶発的に読み取れちゃったりします。このとき、「電波は来てるんだけど圏外」です。

もちろんこのとき、端末は「新しいIDが読めた!早く通知しなきゃ」と電波を発射。ところがその電波が基地局に届かないということが起こります。あるいは、最初の一発は届いても、その後の通知のやり取りの途中でエラーで通知メッセージが壊れてやり取りが完了しないということも起こります。すると端末はネットワークから「オッケー分かった」の返事をもらえないわけで、と言うことは「マイID」を書き換えることも出来ませんから、圏外状態が続いてしまうわけです。

そしてもう一つ、これはレアなケースですが、ネットワークの「ここにいますよ」を受け取る装置が故障中の場合。認証系のお仕事で書いた加入者情報サーバのことです。このサーバかこのサーバに繋がるルート上のどこかが故障していると、やはり「オッケー分かった」の返事がもらえません。と言うことは、電波は十分に強いのに圏外表示ということも起こってしまうのです。

という感じで、「圏外」ってのがどういう状況を表しているのかを書き連ねてみました。よくある、「圏外でもサーチのために電波を出している」と言う俗説、ある意味では正しいのですが、それはあくまでレアケースで、圏外のときは電波を出す手がかりさえないのが現実です。一方、海外の携帯電話OKの航空機でも離着陸時に電源を落とすようにいわれるのは、高度を下げて地上の電波が見えるようになると端末がみんな一斉に強力な電波を発射し始めるため。地上の電波さえ見えなくなってしまえば一切電波を出さないため、水平飛行時は携帯OKなんていうところがあったりするわけです。

と言うことで、圏外について考えてみました。でわ。

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2011/6/28 10:00 · 技術解説 · 4 comments
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4 Comments to “圏外を考える”

  1. yebisu

    サービス的圏外のというの小耳に挟みました。PS domainしか有効でないデータ端末でCS domainのみ有効のNWをつかむと電波的には圏内だけどサービス的には圏外?日本では両ドメイン有効が基本なのでしょうが海外ではありえるんですかね?

  2. ここは酷い女性兵士ですね…

    母親は兵士になった―アメリカ社会の闇日本放送出版協会 高倉 基也 Amazonアソシエイト by フェミニズムというかジェンダーフリーの行き着いた先が女性兵士だったんだな ある意味で究極の女性の社会進出の末路ともいえよう 女性兵士は看護婦や後方での雑用から階級もないまま採用され その後はちゃんと階級をもらい前線へと近づいていった 最前線での戦闘は許可されていないので一線は引かれていたはずだったが イラク戦争ではそんなことはいっていられなくなった 安定した職場で自分の能力を伸……

  3. […] さて、先日、圏外についての解説を書いたときに、「圏外でバッテリの減りが早いのはぎりぎりのところをうろついて無駄な送信が増えてしまうからでしょうか」と言う質問を頂いています。また、「高速移動するとバッテリの減りが早いと言われているのはなぜでしょうか」と言う質問もありました。この辺は、この「受信の消費電力食い」を考慮すると答えが見えてきます。 […]

  4. […] さて、前に、圏外の話でも書いたのですが、携帯電話は、エリアの中で大きく移動した場合、「自分はここにいますよ」とネットワークに教える機能を持っています。この通知をしないと、着信も出来ないし場合によってはその他のサービスもすべて使えません。この通知をしないことは「圏外」と同じことです。 […]

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