SIMフリー版のiPhone5が買えるようになったんですが、どうやら、「2GHzの3Gだけ」と言うよくわからん縛りがあったりするようです。これに関して、「850MHz(Band5)帯でドコモの800帯はカバーできてるけどなんで?」と言うご質問と、「LTEも2GHzが対応してるのになんで?」と言うご質問をいただいています。憶測交じりで解説。
800MHz帯は世界中で大人気の帯域なので、あらゆる国でいろんな使い方がされています。日本も例外とならず、米国とほぼ同じような使い方をしています。で、米国で使われている「Band5」と言うのがあるのですが、これが実は、ドコモが使っている「Band19」をすっぽりとカバーしているため、Band5対応の端末はドコモ帯域に完全に対応しています。
しかしここから非常にややこしい話なのですが、実は、帯域のMHzの数字が同じでも、実はそのまま使えるというものではありません。こればかりは本当に理不尽でわかりにくい仕組みなのですが、端末が動作できるかどうかは、MHzの数字ではなく、バンド番号(上でいう5とか19)で決まっています。
なぜこんなことになっているのかと言うと、実は、バンド番号ごとに別々の端末テスト規定があるからです。たとえば、同じく850MHz近辺の送受信ができる端末を作ったとしても、最終的には「Band5用テスト」だけをパスしたものは、Band5でしか動作せず、Band19では動作してはいけないという決まりがあるのです。
なので、この端末の場合は、最終試験で、Band5のテストとBand19のテストを両方パスして各国の公的機関に認定をもらわなければなりません。たとえば、単に二つ分のテストをパスさせるための準備やらお布施やらがもったいないというだけの理由で、Band5だけのテストで済ませちゃえ、と言う理由でのBand19非対応もあり得てしまうんです。
実際にはもう少しめいどい話がBand5とBand19にはあって、実はこの二つのバンド、テスト規定のパス基準が違います。Band19の方が思いっきり厳しい規定になっています(日本の電波法規定がものすごく厳しいからなんですが;そもそも似たような帯域なのに日本向けのバンド番号が独立しているものが多いのもこの理由)。しかもBand19なんて世界でドコモしか使っていません。なので、Band19をパスさせるってのは、どうせドコモで使われることがないんならできればサボりたいネタの一つなんですね。もちろん、知っている人は知っていると思いますが、Band5とBand19の両対応端末を作る場合の特例的な緩和措置があるので、規定そのものの厳しい基準を通さなきゃならないってほどでもないんですが、それでもめんどいものはめんどい、ってことです。iPhoneみたいに莫大な数が売れちゃう端末ともなると、それをサボれば1台3円のコストダウンだったとしても大変な利益寄与ですから、やっぱりそっちに向いちゃうんじゃないかと思います。
とかなんとかいう、非常に細かい話もあって、同じ800帯なのにサポートできてないなんて話もあるんですが、まぁこれもあと1年もすればデバイス価格がぐーんと下がってあっさりとサポートするようになると思います。今ははっきり言ってLTE対応デバイスは売り手市場で高止まりしてるんですよね。この辺が落ち着けば、たぶん。
さてもう一つ、バンド的には対応しているはずの2GHz帯で、なぜかドコモのLTEが使えない話なんですが、普通に考えれば、ドコモがiPhoneからの接続を弾いている、と言うことになるかと思います。めんどくさいですから。たとえば、単にXi端末でない端末IDからの接続はLTEからデタッチさせちゃうなんてのは簡単。ただ、iOSの新しい版だとつながるなんていうウワサもあるみたいですが、iOSのアップデートだけで治るのであれば、ドコモは弾いたりしてないけどiPhone側が対応してなかっただけ、と言うことも考えられます。
と言うことで、ドコモ網でのiPhone利用に関するお話でした。
[…] SIMフリーiPhone5とドコモLTE | 無線にゃんSIMフリー版のiPhone5が買えるようになったんですが、どうやら、「2GHzの3Gだけ」と言うよくわからん縛りがあったりするようです。これに関して、「850MHz(Band5)帯でドコモの800帯はカバーできてるけどなんで?」と言うご質問と、「LTEも2GHzが対応してるのになんで?」と言うご質問をいただいています。憶測交じりで解説。 800MHz帯は世界中で大人気の帯域なので、あらゆる国でい… […]