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2013/1/22 10:00 · 技術解説

最近、当たり前のように「LTE」とか「4G LTE」とかって言葉を使っていますが、LTEって一体何?と言うところって意外と知られていないというか、ちょっと調べ進めようとするといきなり専門用語の深みにはまってしまうような感じになっている気がします。ので、今日は猫でもわかるLTEって何?の話。

まず最初に。LTEは、「新しい無線を使った通信方式」です。新しい方式ってことは、いろいろと新しいことができるようになっているんですが、そういうのは技術オタクに任せておけばよくて、一番手っ取り早くいうと、「すごく高速でデータ通信ができる方式」です。ただ、ここで「方式」と言ってもピンと来るような人もそうそう多くないですよね。

「方式」と言うのは、「ルール」です。通信ってのは、送る人と受ける人が両方いて成り立ちます。送る人が何かを送るとき、受ける人が知っているルールで送らなければ伝わりません。もちろん逆もです。簡単に言えば、日本語しか聞けない・話せないAさんと、英語しか聞けない・離せないBさんの間には、通信は成り立ちません。言葉という「ルール」が違うからです。

20年ほど前から一般に出回り始めた携帯電話も、このルールが決められています。ところが、実際に国ごとに言葉が違って困るように、通信の方式=ルールも世界中で違っていました。いろんな言葉であちこちで好き勝手にやっていたのが大昔の話。

そのうち、世界共通のルールを作りましょう、と言う動きが盛んになります。そうやって、初期の世界共通ルールができます。この世界共通ルールを使えば世界中で同じルールで通信ができるようになります、と言うものです。

ただ、このころのルールは、たとえて言うなら「ひらがなだけで表現できる言葉を伝える」みたいなもの。ひらがな音だけでたくさんの情報を一度に伝えようとするとどうしても舌がもつれてしまいます。なので、通信で一度に送れる情報はとても少ないものです。もちろん、早口言葉の訓練をしてひらがなだけでももっと高速で情報を伝えようという仕組みもどんどん作られていきましたが、早口言葉にも限界があります。

そこで考えられたのが、「そうだ、言葉だけじゃなく漢字にして紙に書いて見せればもっと短い時間で情報を伝えられるかも」と言う発想。これが、一般的には「全く新しい方式」になります。この方式はもちろん結構速い速度で情報を伝えることができますが、ひらがなしか話せない人と情報をやり取りすることができません。とはいえ、それでも速度が速い方が良い、ってことで、どんどん普及しました。今「3G」とか言われているのが大体こんな形で古い方式を置き換えるように普及していきました。

もちろん、この場合も、紙一枚にもっとたくさんの漢字を小さな字で書きこんで一度にたくさんの情報を伝えてみよう、とか、一度に見える・見せる紙を2枚にしてみよう、とかいうような工夫をしてどんどん通信速度を上げていきます。ただ、こういうやり方を見ていればわかる通り、漢字をたくさん詰め込めば字が小さくて読み損じる可能性は高まりますし、10枚とか20枚を同時に見せられても混乱してやっぱり読み損じるかもしれません。「漢字」と言うルールにはやっぱりそれなりの限界があるんですね。

ってことで、もっと速く、と思って、こんなルールを考えてみました。「液晶ディスプレイに漢字ひらがなカタカナ混じりの文章と情景を表す絵が表示されスピーカーから効果音や説明文が流れてそれを相手に示します。それを見た人は文章と音と絵をみて相手が何を伝えようとしているか理解してください」と言うルール。一生懸命早口言葉練習してたり小さな紙に漢字をたくさん書きこもうと頑張ってた人から見れば、なんだそれインチキじゃん、とか思いますが、要するに新しい方式ってのは広い意味で「インチキ」なんですよ。これが、LTE。

こんな「ルール」が出てきてしまったら、早口言葉の練習をしたり小さな字を正しく書く練習をしたりってのがバカらしくなりますね。「新しい通信方式」ってのは、おおざっぱに言ってしまえば「古い方式がバカらしくなるもの」なんですよ。でも、なんでそんなことができるのか。それは、送り手と受け手の能力が上がってきているからなんです。最初の人はひらがな音しか理解できない人。次の人は書かれた漢字を理解できる人。最後には、文章や絵からきちんと元の情報を再構築できるすごく頭のいい人。要するに、そういう「複雑なルール」を理解するには高性能なコンピュータが必要なわけで、時代を経るごとにコンピュータがどんどん高性能になって小さくなって、そういうことができるようになったので、じゃぁ新しいルールを導入しましょう、ってことになってるんですね。

さてたとえ話はここまでにして、実際に「LTE」やその前の「3G」に話を戻しましょう。LTEや3Gにもいろんな通信速度のサービスがあって、どうも通信速度だけを見ても優劣がわかりにくくて、だから「LTE」と言う言葉だけでピンとこない、と言う人が増えているんだと思います。でも、たとえば、さっきの例を思い出しながら、「LTEで37.5Mbps」と「3Gで42Mbps」と言うサービスを想像の中で比べてみてください。

「3Gで42Mbps」は、ものすごく小さな漢字をぎっしりと紙に書いて、それを何枚も同時に見せるなんていう芸当をやることでやっとこさたどり着いた「42Mbps」です。一方、「LTEで37.5Mbps」は、文章や絵を使ってらくらくと相手に情報を伝えています。同じ「40Mbps前後」と言う数字でも、その中身が全然違いますよね。3Gの人から見ればインチキでしかないようなやり方で情報を伝えているので、LTEはLTEであるというだけで根本的に「楽」なんです。「楽」だから、理論通りに通信速度が出やすいし、「楽」だからこそ、じゃぁ次は100Mbpsだ、200Mbpsだ、なんていう話が当たり前のように出てくるんです。

ただ、新しいルール、つまり「方式」の難点は、それまでのルールで話している人と突然話せなくなってしまうこと。なので、この場合、新しいルールを知っている人が古いルールでの話し方も習得して相手に合わせてあげる、と言うことをしなきゃならなくて、ちょっと無駄があります。だから、今、携帯電話各社とも、3GからLTEに方式変更するのに四苦八苦しているわけです。

と言うことで、まとめると、「LTEとは新しい無線通信方式」「新しい方式とは旧来のルールを破るインチキ」ってことです。伊達や酔狂で「LTEすごいぞ」なんてCMやりまくってるわけじゃない、ってことなんですよ。もちろん、LTEだって無線通信方式の終着駅ではありません。LTEから見ても「おま、それインチキだろ」と突っ込み入れたくなるような方式が今後きっとどんどん出てきます。通信方式が入れ替わるっていうのは、こういうインチキの積み上げってことでご理解いただいていればいろいろと間違いないはずです。ということで、LTEって何?のお話でした。

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2013/1/22 10:00 · 技術解説 · (No comments)
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