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2012/7/31 10:00 · 技術解説

なんだか、最近、衛星通信に関する質問をたくさんいただきます。正直私自身も衛星通信に興味はあるもののあまり詳しくないという状態なので、自分用にまとめる勢いで衛星通信について書いてみます。一応、衛星放送も衛星通信の片方向版ってことで、おおざっぱな仕組みは同じ(はず)なので、まとめて、ってことで。

と言っても、細かい方式や仕様の話はとりあえず置いときます(とりあえずどころか未来永劫置いとく可能性が高いです)。というのも、方式や仕様に関しては、ほとんどそのシステム専用に設計したものが多いからです。そんなことになっている理由は、まぁ正直言うとよくわからないけどたぶん成り行きだよね、としか言えないんですが、そもそも、衛星通信が非常に高額なシステムで、置き換えもほとんど起こらないし、帯域構成も唯一性が高く、それを高効率で運用するためには方式を専用に設計してでも効率化を図る必要があり、なおかつ相互接続する可能性もほぼないためかなぁ、と思うわけで、まぁ、いろんな理由があってたぶん専用方式なんでしょう。

ということで、方式には踏み込まず、おおざっぱな仕組みの話。衛星通信と言った場合、特殊な例外を除くと、基本的には無線回線的に「地上局1」→「衛星」→「地上局2」という三角形で通信が成り立っているものです。たいていの場合は、地上局のうちの一つが交換局の役割をすることが必要で、となると、衛星通信を使って加入者←→加入者の通信を行うには、「地上局2」→「衛星」→「地上局1」(→交換機で交換)→「衛星」→「地上局3」という逆W字型の通信経路になる、ということになります。

これは、「移動局」→「基地局」(→交換機で交換)→「移動局」という形になる携帯電話などの地上無線とはかなり違って見えます。これを、全く同じように見えるような形に書き直そうとするとどんな形になるでしょうか。衛星通信の一つのタイプは、まさにそういう考え方で作られたもの。

上の逆W字型経路で、「衛星」と書いてある場所を、試しに「鏡」と書き直してみると、これが出来上がります。「地上局2」→(鏡)→「地上局1」→(鏡)→「地上局3」、という形です。鏡は単なる通信経路の一つなので、そこで方向が変わっているだけで相手はあくまで地上局2と地上局1、という様に見ることができます。衛星通信の一つで古くから使われているものは、まさにこれ。地上から送った電波を衛星で跳ね返しているだけです。

もちろん跳ね返すといっても、本当に鏡で反射しているだけではなく、ちゃんと受け取った電波を電力をかけて増幅して再送信してあげるような仕組みになっています。また、同じ周波数を使うとさすがに問題を起こすので、周波数もちゃんと別のところにシフトしてあげる仕組みも持っています。と言っても、衛星としては、入り口から入ってきた電波波形を増幅再送信してあげるだけでいいので構造もシンプル。しかも、(よほど大きな変更でない限り)方式を変えてもOKです。この一連のセット(受信して変換して増幅して送信する)のことを「トランスポンダ」と読んでいます。

さて、一つのタイプをこれだと言いましたが、もう一つのタイプがあります。いや、この二つのタイプは私の中でのタイプ分けなので、一般的な衛星通信に関する説明でこの二つをあえて別タイプと紹介しているものは見たことがないのですが、どうも、無線NWオタク的には、この二つは全く別物に見えるんですよね。

一つ目を「反射型」と言うなら、二つ目は、いわば「交換型」とでも言いたいところ。つまり、衛星自体が交換機能を地上に向けて提供しているようなものです。

ただ、交換機能と言っても、機能の大半を地上の交換局に依存していたりあるいはそれ自身でパケットのルーティングまでやっちゃうものまでいろんなタイプがあるのでひとまとめには出来なさそうですが、私の中の基準では、ぶっちゃけ、衛星本体で電波を「復調」して「ベースバンドとして処理」しているかどうか、というのが大きな分かれ目になっています。

地上局から衛星局に送信された電波に乗っているデータを、0、1のレベルに戻し、そこから交換対象となるレイヤーまでヘッダとかをちゃんとはぎ取って、その対象のヘッダを解析し、次に、次の送信先向けのヘッダをきちんとかぶせて送信部に送る、と言うところまでやるタイプ。単なる反射型と違うのは、衛星自身が、プロトコルを理解し送信先を判別している、と言うところです。

衛星自身がプロトコルを理解するということは、もちろん、衛星にプロトコルスタックが作り付けになっているということ。つまり、反射型の利点である「方式変更に強い」という利点がかなりの部分で失われてしまうことになります。地上からのファームウェア書き換えという荒業も、ハードウェア能力による限界を延ばすことまではできません。

一方、交換型の利点は、衛星そのものが、「基地局」としての役割を果たす、と言うこと。これは、まずひとつ目には、交換が必要な加入者←→加入者通信の場合にも逆W字経路を経ず、逆V字経路だけで終結できる、という意味での経路の大幅短縮、という利点があります。二つ目の利点としては、たとえば衛星をハブ/ルータとしたLANを思い浮かべた時、存在しないアドレスへの送信がルータでカットされるように、衛星で無駄な通信を省くことで貴重な衛星回線帯域を節約する、と言うことができるようになります。いずれも、衛星回線帯域を節約することにつながります。

ということで、もちろん用途により使い分けるのでしょうが、この二つのどちらかがおおざっぱに衛星の方式と言えそうな気がします。細かい分け方をすればもっとわかれるのでしょうが。

古い方式や放送系は、ほとんどが反射型のはずです。何しろシンプルですし。インマルサットとかそういうものは、相手方地上局があることが前提になっているっぽいので、たぶん反射型でしょう。

一方、交換型のシステムはちょっとずつ増えてきているようなイメージ。イリジウムなんてまさにこの方式の究極で、衛星内で回線の交換までやっちゃうので、衛星間回線を通して別の衛星から直接加入者につなぐことまでできるという変態っぷり。

また、ちょっと前に打ちあがったインターネット衛星「きずな」なんてのは両方のモードを持っていて、固定のビーム間で単に反射するだけのトランスポンダと、複数のビームの間で交換までやってしまうトランスポンダを持っていて同時に動かせるみたいです。

というのが衛星通信の大まかなしくみ。だと思います。いや、本当に詳しい技術情報が公開されないので、実のところよくわかんないんですよね。まぁ、公開しちゃまずいんでしょうね、普通に空見れば見えちゃうものだし。ってことでこの辺で。

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2012/7/31 10:00 · 技術解説 · (No comments)
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