LINE Out 無料開放への批判は妥当か
うーん、私は良いとも悪いとも思わなかったけど、この記事はちょっと微妙かなあ。ってのが、「最初に集中するのがLINEのゲートウェイ」ってところ。今回、多くの被災地では、生き残った数少ない基地局や車載基地局で通信がまかなわれていましたよね。だから、実は最初に集中するのは「携帯電話基地局」なんです。そして、車載基地局の多くは衛星回線を使っていて、非常に容量が乏しいという特徴もある。そんな中に、LINEの通話を流すのは、実に非効率。回線交換じゃないパケット通信なら無尽蔵、と思っている人、さすがにいないと思いますが、それでも、パケットならみんなが交互に使えるから輻輳は起こりにくいよね、って思っている人は多いはず。でも実際は、「一つのアクティブなパケットセッション」を維持するためには、大量のリソースが必要なんです。実は回線交換よりも多いくらい。だから、3GやLTEでは、数秒から十数秒無通信が続くとバックグラウンドでパケットセッションはスリープします。そうすることでたくさんの同時接続を維持するわけですが、LINE通話のように通信が途切れない状況だと、このスリープも働きません。もちろんシンプルなフレームを使っている回線交換(あるいはVoLTE)よりもIP通信である分多くのデータもくっついて流れます。結果として、基地局目線で言えば普通の回線交換電話より何倍もリソースを使ってしまうハメになるんです。もちろん受信側の回線交換ネットワークの負担も気になりますが、それよりも無線基地局の負担が心配。ってことで、基本、災害時はできればWEBベースの伝言板を活用し、通話もIP電話なんて使わず普通の電話(特に公衆電話)を使いましょう、とは言っておきたいですね。
