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2012/6/12 10:00 · 技術解説

少し古い質問で申し訳ないのですが、TD-LTEでガード区間とエリアの関係を教えてください、というものをいただきましたので、簡単にお答えしたいと思います。

端的にいうと、一般的にはガード区間を広くすればより広いエリアを構築できます。

ガード区間の役割は、たとえば基地局の目線に着目すれば、相手が送信する最後の1ビットが乗ったデータを受信し終わって、次に自分が送信する最初の1ビットを送り始めるまでの余裕です。通常、自分と相手が完璧にタイミングを合わせていれば、これはどんな場合でも一定の余裕になるので、エリア設計には関係しません。

しかし、まず、電波が飛ぶにはある程度時間がかかるという事実があります。このため、相手が送ったデータはどうしても一定時間遅れることになります。たとえば、3km離れた場所からの電波は、10マイクロ秒遅れることになります。自分が電波を送り、相手がそれを全部受信し終わってから送信する、ということが前提なので(TDDの一つの無線機は同時に送信と受信はできない)、自分の電波が10マイクロ秒遅れて相手に届き、それを受信し終わってから相手が送信した電波が10マイクロ秒遅れて自分に届くことになりますから、合わせて20マイクロ秒だけ、電波の開始端が遅れて届きます。ということは、自分が送り終わってから20マイクロ秒、受信機を開けて待っていても電波が届かない時間があるということです。

そして、受信機に電波が入り始めて、電波の受信が終わるのは、もともと想定していたのよりも20マイクロ秒遅れることになります。受信機の口を閉じないと自分の送信は始められませんから、自分の送信も20マイクロ秒遅らせなければなりません。もしガード区間が無い場合、相手からの電波が終わる前に自分の送信タイミングが来てしまうため、相手の電波に自分の電波をぶつけて潰してしまうことになります。じゃぁ相手の電波が終わるまで送信を待ちましょう、となれば、それこそがまさにガード区間ということになります。

ということで、ガード区間の長さは、相手と自分の間の距離をきわめて強く制限します。ということは、経路長ベースでのエリアの大きさにも強い制限が出てくる、ということです。TD-LTEでエリア設計をする場合、あらゆる電波経路の長さがガード区間で許された距離を超えないようにしなければならないため、特に反射で妙なところまで飛んでしまうような都市部では慎重に設計しなければなりません。

ところで、TD-LTEは、ガード区間が片側にしかついていませんが、これは、もともとLTEでは基地局が端末の送信タイミングを厳密に制御する仕組みがあるためです。この仕組みを流用して、エリア内のさまざまな位置にいる端末からの送信波が一斉に基地局に届くように調整すること(あるいはその逆)ができるため、ガード区間は片側だけで十分ということになります。

以上、TD-LTEのガード区間のお話でした。

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2012/6/12 10:00 · 技術解説 · (No comments)
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