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2012/8/10 10:00 · ニュース解説, 技術動向

先日、VoLTEの音質の話を書いたところ、その直後?にSamsungとLGがVoLTE端末を作りました、と言うニュースがありました。で、これに関して、「どういう方式なのでしょうか、OTTでしょうか」というようなご質問がありましたので、タイムリーなうちに記事にしておきます。

ちなみに、「OTT」というのは「Over The Top」のことで、一般的には、キャリアが提供しているインターネット接続サービスよりも上のレイヤでいろいろやるような人やサービスのことです。たとえば、NTTcomの050plusなんてのは典型的なOTT IP電話サービスです。要するに、「The インターネット」の相互接続性を頼りにしたサービス一般ですね。

一方、そうではない、「非OTT」なのは、たとえばキャリアのインターネット接続サービスそのものだったり、普通の電話サービスだったりです。キャリアが独自に相互接続性を保証することでEnd-Endの通信が成り立つようなもの。インターネット接続サービスは、キャリアがIXか一次プロバイダかに直接接続することで接続性を保証しますし、電話は、キャリア内の交換網で電話同士を接続し、キャリア外に向けては、相手キャリアとの直接相互接続で接続性を保証します。もちろんキャリアがOTTを提供してもいいわけで、特にドコモなんぞは「土管化を避ける!」みたいな旗を掲げていろんなOTT的サービスに参入していますね。

さて、本来の意味でのVoLTEは、「非OTT」です。基本的な仕組みはVoIPなので、IPルートさえ通ればどこにでもつながる、と言うのが本来の形のように思えますが、VoLTEの基本は、VoLTE音声トラフィックは「The インターネット」には直接出ていくことはなく、キャリア内で交換され、他キャリアには相互接続点でのみ出ていく、と言うのが形になります。「The インターネット」は、原則論としてどこの誰のノードを経由するかを送信側が限定することはできません。だから、潜在的にありとあらゆる品質劣化を受ける可能性を持っています。VoLTEはキャリアグレードの電話サービスとして、そういう危険エリアにトラフィックをさらすことなく交換を完結させることになっています(そういう意味では、ソフトバンクの「The インターネット」経由のフェムトなんてのは、キャリアグレード品質を保証できないOTTに近いサービスと言えます)。

ってことで、「ちゃんと標準化されたVoLTE」なら、非OTTのはず。です。で、今回の発表を見ると、まずは韓国LGU+に供給し、ついで米国MetroPCSにも提供する、となっているので、これはおそらく各キャリア独自のOTTではなく同じ標準に従ったVoLTE、つまり非OTTのVoLTEではないかなぁ、と思います。あくまで私の推測ではありますが。

ちなみに、3GPPでのVoLTEの仕様自体は相当前に固まっていて、2010年時点で端末への実装のガイドライン的なものもいろいろとできていたりするので、今年のこのくらいの時期に本物のVoLTE端末が出てきても全然不思議ではないです。どっちかと言うとインフラの対応の方がずっと遅れることが予想されていたので、LGU+やMetroPCSのような割と小規模でチャレンジングなキャリアが先行してようやくインフラ導入にこぎつけた、というような感じではないでしょうか。

ということで、簡単ですが私なりの所感を書かせていただきました。

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