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2011/11/15 10:00 · ニュース解説, 技術動向

小ネタ。[ZTE ジャパン] ZTEがWireless City Planningに納入したAXGP基地局が2011年11月に商用予定と言うニュースに関してのコメントで、「ICICやCCIAは自律分散じゃないか」との指摘があるとの話、どう思いますか、と言うメールをいただきました。

さて、元々のPHSの自律分散機能とは、基地局が隣の基地局の電波を自分で受信し、それを邪魔しないように自分の居場所を見つける、と言うような機能と、端末に通話チャネルが割り当てられるときに、一定時間キャリアセンスを行ってチャネルが空いていることを確認する、と言う機能の二つを指しています。

一方、件のリリースに書いてある「ICIC」と「CCIA」と言うのは、標準技術的なものであると仮定すれば、隣同士のセル(基地局)が、お互いに自分が使っているリソース情報を交換して、リソースの使い方を変える、と言う技術です。つまり、基地局同士が接続され協調するという意味では「自律分散」ではなく、汎セル・リソース制御とでもいうべきものです。

具体的に何をするかと言うと、LTEで定義されているリソースブロック(RB)の単位で自分がどこを使っているかを隣接セルに通知し、隣接セルはそれに基づいて同じ周波数&スロットを占有するRBの電力を落として距離の近い端末に割り当てる、と言うようなことをします。こうすることで、お互いにセル端にいる端末に同じRBを高い電力で割り当てて干渉してしまうことを防ぐわけです。

CCIAについては標準の用語ではないようですが、標準でこれに該当しそうなのは、セルIDとRACHの割り当ての協調機能。セルIDは、それによってセルから常時送信しているリファレンス信号の位置が決まるため、セルIDをお互いに被らないようにすることで干渉を減らせますし、RACHは端末から基地局への最初のアクセス信号、これを送信可能なタイミングは基地局が決めるのですが、これもタイミングが被らないように協調することで端末の信号同士が混信してしまうのを防ぐことが出来ます。これを総称してCCIAとしているのだと思います。

つまり、LTEの協調機能は全然「自律」じゃないんですね。他律。あくまで他律。相手から教えてもらった情報を元に動作を変えるもの。そしてもっと重要なのは、そうやって隣同士を関連付けること自体には技術の入り込む余地がありません。「どのセルとどのセルが隣り合っているか」と言うのは、人手で決めるしかないんです。もちろん、「隣接セル情報の自動更新」と言う機能も標準で定められていますが、この場合の「隣接セル」とは「ハンドオーバ可能な隣接セル」のことであり、「セル端の干渉協調をするための隣接セル」とは全く別物になってしまうことが予想されます。と言うより、仮にハンドオーバ可能な全ての局と干渉協調関係を結ぶと、それが積み重なってあらゆるリソースが制限対象になってしまい、まともに動かなくなると思います。あくまで特別なパートナーシップを結んだ局同士での協調。

と言うことで、そういう設計が必要と言う意味でも「自律分散」とは程遠いんですね。PHSの自律分散は、実際に電波を受信してみて邪魔になっているかどうかで判断します。だから設計不要。その代わり、「受信してみる」と言う動作に非常に長い時間がかかるため、接続が遅い、移動に弱い、広帯域化しにくい、などなどのデメリットも出てくるわけです。

ちなみに、ICICなどは標準化されていますが、実際は標準化されていないのと同じ。一番重要な、「隣からこういう情報が来たらこう動く」と言うところが白紙です。つまり、そういったアルゴリズムは、キャリアやベンダが自分で決めなさい、と言うこと。となると、この機能を有効に働かせるためには、全ての基地局ソフトウェアをキャリアが開発するか、同じエリアは同じベンダの基地局で統一するかしないといけないということになります。非常に使いにくい技術なんですね。ってことで、一部の例外を除き大抵はエリアごとにベンダを統一し、こういった独自機能をうまく使う方法で進めているようです。

以上、LTEの局間協調機能に関する小ネタ。でした。

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