【俺たちのIoT】第7回:IoT向きの通信規格だが……LTEに対応するIoT機器がそれほど多くない理由
うーん、LTEはIoT向けの規格……じゃないなあ。複雑な設定が不要でインターネットに繋がる、ってのは、あくまでユーザ視点であって、規格の観点から言えば、LTEほど複雑な手順でインターネット接続を実現してる規格は珍しいくらいです。もちろん、それがユーザから見て隠されている分には問題ないんですけど、IoTは、その複雑さのデメリットがもろに出てきます。IoTに必要なのは、少データ量を短遅延で長期間省電力で、しかも大量の端末を、ってところでしょうが、LTEはその『接続するまでの手続き』が複雑すぎるので、少データ量の場合は手続きのほうがはるかに大きくなるし、大量の端末となると手続きだけで無線装置容量(装置そのものの処理能力)が逼迫します。また、手続きを省略するためにAlways Onを突き詰めようとすると今度は省電力に難が出ます。LTEは、繋がっている間は基地局と端末の間で結構密に連携するように作られているからです。と言うのも、LTEはGSM/WCDMAという方式の後継として、高度なモビリティをサポートできるよう、モビリティに伴う環境変動を短時間で検出・補償するように作られているためです。ということで、(現在サービス中の)LTEは、お世辞にもIoTに向いているとはいえません。最近確定したIoT向けのいくつかのオプション(NB-IoTとかCatM1とかCat0)なら多少は……と思いますが、SAEのアーキテクチャの中であれこれやる以上、専用に作られたネットワークには到底かなわないだろうなあ、と思うのです。LPWA系が本命かなあ、と。いや、個人的に、LPWAっていう非インフラ志向な新しいネットワークの立ち上げを間近に見てみたいってだけですが(笑)。
