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2010/10/6 10:00 · 事業考察

今、日本で一番うまく行っているように見えるのがソフトバンク。純増数は全キャリア一位を維持し、過去最大を更新し続けているような状況です。そんなソフトバンクのテーマは、ずばり「割り切り」。

ソフトバンクは、ボーダフォンから譲られたときから、さまざまな部分で大胆な「割り切り」を実施してきました。「このユーザをだますような割賦システムはどうか?」→「今数を取れさえすればよい、満足度低下はそのときに考えろ」、「この料金プランでは無線容量は逼迫してしまうのでは?」→「安さを追求することが先、足りなくなったらそのとき考えろ」。

一応公共の通信を担う電気通信事業者としては、過去に類を見ない、大胆すぎるほどの割り切りを実施してきたのがソフトバンク。言ってみれば、「ソフトバンクの獲得戦略が第一、通信事業者としての責務は後回しにしろ」と言う、超大胆な割り切りがまずあったように思います。

もちろん、私は、ソフトバンクの通信事業者としての責任を度々追及していますが、会社戦略としてはこんなことは枝葉のこと。怒られて頭を下げるだけで済むのなら、こんなに安いことはありません。容量が足りなくて速度が出なくなってきた、それでだれが困りますか、といわれて、困る人はいないと割り切ったらそれでOK。実際、だれも困っていないんです。速度が出なくても使っている人はそれなりに満足している。特にiPhoneなどは比べる相手がいないわけですから、比較されて評価が下がる心配も無い。

そんなもの(インフラ)にわざわざ金をかけることこそ、経営者としては無能の範疇なのかもしれません。インフラに1億円つぎ込めば、100人の解約者中一人くらいの解約は防げるかも知れませんが、販売店に1億円入れれば1000人以上の加入者がとれます。こんな単純な損得勘定ができないドコモやauは、なぜならソフトバンクにできる「割り切り」ができないでいるからだと考えます。

十分な加入者数を稼ぎ上げ、販売コストへの注ぎ込みによる獲得と投資コスト削減による満足度低下による解約が同じ額でつりあうようになったときに、ようやくインフラ投資の腰を上げればよい。先に完璧なインフラを作っておくなんてのは、愚策下策最悪手。インフラ事業者として褒められた態度ではないですが、だからこそ、インフラ事業者にこういう考えを持ち込める孫先生の「天才性」を感じずにいられません。

しかし不安は、ドコモの圧倒的なインフラ力。ドコモはインフラを最強にした上で、今ゆっくりと仕切り線の前に立ったところです。このドコモが本気でぶつかったとき、ソフトバンクは耐えられるのか。

ソフトバンクの財務は、はっきり言ってまだ脆弱です。しかしそれでもバランスシートを拡大し続けているのは、要するにあくなき成長戦略です。昔からソフトバンクの戦略は身の丈を超えるほどにバランスシートを拡大し圧倒的なコストパワーで一瞬のうちに業界トップを獲る、と言うもの。ところが、この戦略が成る前にドコモがさまざまな常識のくびきをかなぐり捨てて販売面で本気を出したら、危ないかもしれません。

ソフトバンクがその危機を避けて成長していくにはどうすればよいか。これは、これまでソフトバンクがやってきたことを再生産すればよいと思います。つまり、業界や資本や思想に縛られない合従連衡。使えるものは何でも使い、必要ならライバルにも塩を送る。今、以前はライバルとしてしのぎを削っていたウィルコムを手中に収めその基地局ロケーションを得ました。あるいは次は、既に蹴散らしたKDDIとあえて組み、KDDIの磐石な地上網(中継・光・CATV)を得るというのが、一番大胆な戦略と成りうるかもしれません。

もしソフトバンクKDDI連合対NTTグループと言う対立構造が実現したら、過去の通信業界で一番エキサイティングな時代が来るかもしれません。「割り切り」のソフトバンクにしか実現できない未来だと思います。

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2010/10/6 10:00 · 事業考察 · 1 comment
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1 Comment to “5日連続キャリア戦略分析室(第3日:ソフトバンク)”

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