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2010/11/8 10:00 · 事業考察, 技術動向

PSTNのマイグレーションに関する概括的展望についてと言うリリースがNTT東西から発表されました。

PSTN、つまりはNTT東西の持つ回線交換網を今後どのように代替わりさせていくか、と言う大方針で、この方針では、そもそも回線交換網による中継を廃止する、と言うことが発表されています。

回線交換網と言うのは、古いやり方ではありますが、それゆえに伝送路の品質が非常に高いものです。と言うのはどういうことかと言うと、古い方式と言うのは、デジタル処理技術の未熟だった時代に作られたものです。つまり、デジタル的にエラーを補償できない時代だったわけで、エラーを防ぐには伝送路のエラー率を低く保たなければならなかった、つまり伝送路の品質は高いということです。

実際には、回線交換網と言っても、物理的な信号線が発信元から受信先まで一つにつながってしまう、と言うような原始的な回線交換網はとっくに絶滅していて、ある程度デジタル的な処理で仮想的に伝送路の確保が行われています。たとえば、時分割された通信スロットの一つを完全に占拠するような形での伝送路の確保などです。

NTT東西では、これに対して、すべての交換網のIP化を進めるとしています。IPは伝送プロトコルではないため、伝送路はまた別の方式を使うことになるのですが、IPを交換網の伝送路的に使うことの利点として、IPを運ぶための伝送路にさまざまな方式を選ぶことが出来、それらが混在することが許される、と言う点があります。

IPが比較的安く構築・維持・管理が出来るのはまさにこのアダプタビリティによるところが大きく、大容量高品質を要求される基幹部分は高価な装置を、末端部分は民生品に近いイーサ程度でお茶を濁す、と言うような混在により、トータルで大幅に安くすることが出来ます。これに対して従来の回線交換では基幹から末端まで同じ品質の伝送路を確保する必要があり、末端の装置も高価にとどまってしまうというきらいがありました。

と言うことで、比較的維持費の安いIPへとシフトしていくという今回の方針ではあるのですが、やはり、古い人間としては、IPの「あやしさ」にはまだ戸惑うところも多いんですよね。何しろ、実装が自由すぎる。実装次第で遅延量も変わるしルートさえ変わりうる。ところが世の中意外と「NTT遅延量にあわせて作りました」な通信機器って多かったりして、たとえば、フルIPになって、その後その中継機器が寿命を向かえて新しい機器に取り替えてみたら遅延プロファイルががらりと変わって上記のような「NTT合わせ込み機器」が突然誤動作を始めたり、何てことも、起こり得る話なんじゃないかなぁ、なんて心配したりしています。まぁ九割九分杞憂に終わるとは思いますが。

さてもう一つ触れられているのが、相互接続の話。電話回線と言うのは事業者一人の中に閉じていてよい世界ではなく、事業者同士がお互いに接続して他事業者の加入者とも通話できる必要があります。そのために、事業者同士の相互接続と言うものがあるわけですが、現状、この相互接続方式はNTT式回線交換を利用しています。

いろんな事業者が電話網をIP化するというとき、IP同士だから直接接続すべきだ、そのほうがよいはずだ、と誰もが分かっているんですが、結局は回線交換で接続する。それはなぜかと言うと、これは先ほども書いた、「IPの実装が自由すぎるから」です。逆にNTT式回線交換は自由度がほとんど無いため、仕様どおりに作りさえすれば簡単に相互接続が可能です。

特に、IP化すると言うときは、ほとんどの場合、SIP+RTPかその派生品を使ったVoIP網を作ることになるわけですが、何しろVoIPの実装は百のベンダがあれば百通りのやり方がある、と言うくらい自由度が高い。これを相互接続可能なレベルまで集約するのはめちゃくちゃ大変です。

何しろ、結局は、直さなくて良い人は多くても一人、それ以外の人はみんな何らかの修正を自社IP網に入れなきゃならないわけです。公共電話網向けのネットワークは、どんなに小さなくだらない作業でも、びっくりするほどの開発費がかかります。しかも、実際には規模が大きく声の大きい大事業者の要望ほど通りやすく、零細事業者側の改造量のほうが増えてしまうため、事業へのインパクトは比率的に大きくなってしまいます。とすれば、零細事業者から順に相互接続アライアンスから逃げ出すということも起こりかねません。

と言うわけで、将来的な完全なIP化のためには、NTT東西だけでなく、周りの電話網事業者もがっつり巻き込まないといけないわけで、なかなか一筋縄ではいかないかもしれません。しかし、2025年、今から15年と考えれば、ネットワーク機器は2、3順くらいしてしまう期間です。それまでに国内相互接続のための標準実装をTTCだかどこだかで規定してしまえばまだ間に合う期間。そういう意味もあって、今この時期に大方針の発表という運びになったのかなぁなんて思います。

本日はNTTマイグレーションに関してでした。

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2010/11/8 10:00 · 事業考察, 技術動向 · 1 comment
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1 Comment to “NTT PSTNマイグレーション”

  1. […] This post was mentioned on Twitter by 山田志門(Shimon Yamada), 無線にゃん. 無線にゃん said: NTT PSTNマイグレーション http://wnyan.jp/123 […]

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