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2011/3/7 10:00 · 技術解説

TDMAだけを解説するって機会があまり無いので、ちょっと頑張ってみます。半ページほどでネタがなくなって力尽きるかもしれませんがそのときはそのときで。

TDMAとは、時分割多重アクセスの略字。字面だけを見れば、時間で分割してたくさん重ねてアクセスする、と言うことになります。

実際TDMAはそのとおりのもので、実は解説そのものはこれで終わり、と言ってしまっても良いくらい、単純明快な方式です。

簡単に言うと、TDMAでは時間をある大きさに区切り、その区切った時間それぞれを別々のアクセス希望者で分け合って使いましょう、と言う方式。一つしかない道具を二人で使うとき、もちろん必要な人が必要なときに使うのが一番ですが、どちらも常に必要だと思っているような場合は、「じゃぁ1時から2時はAさん、で2時から3時はBさん、後は1時間ごとに交代交代で使いましょう」とルールを決めますよね。これが、TDMAです。

一番単純なTDMAはこのように「区切り時間一定」「割り当て頻度一定」「利用者数一定」と言うもの。しかし実際の通信では、これらの条件が満たされることはなかなかありません。なので、高度な通信方式になればなるほど、これらの条件を緩めて使い易く、と言うように進化しています。

たとえば、割り当て頻度一定と言うのは、最初から最大10人で使うと決めておいて、10回に1回だけ使っても良いよ、と言うように決めることです。通信ではこれはミリ秒と言う短い単位で分割されるため、たとえば1ミリ秒ごとに分割した時間なら1秒に1000回分の利用可能時間(スロット)があり、10回に1回使ってよいなら1秒間に100回、このスロットを使うことが出来ることになります。

またこの場合、利用者数も最大10人と固定しています。10人より少ない場合はだれも使っていない空きスロットが発生しますが、10人より多い場合は余った人があぶれる、と言うことになります。これが一番単純な場合です。

こういった規則正しいTDMAは古い方式(初期のGSM、PHS、PDC)では当然のように使われていましたが、基地局や端末の処理能力向上に従い、もっと無駄の無い使い方が出来ないか、と考えられるようになります。

たとえば、先ほど出てきた、最大10人と言う場合、8人しか使っていない場合は2人分のスロットが余ります。この場合、たとえば区切り間隔を1ミリ秒から1.25ミリ秒に増やして8人でぴったり使い切る、と言うようなことも考えられますが、これは現実には無理。この区切り間隔を変えるための情報を交換するにしても、その情報にエラー一つ起こるだけでシステム全体が崩壊するほど影響が大きいため、「区切り間隔一定」と言う原則は、残念ながらほとんどの場合揺らぐことがありません。その代わり、割り当て頻度を変えます。

単純には、8人のうち2人、特にたくさんの通信をしたい、と言う人が手を挙げて、残った2スロットを追加で使わせてもらう、と言うことができるようにしたりします。8人のうち2人は倍の速度で通信が出来、6人は従来通りの速度です。もし1人しかいなければ、10スロット独占で従来の10倍の速度が出ます。GSM、PDC、PHSで初期の頃に「通信速度アップ」として拡張された方式はほぼ例外なくこのやり方です。このため、「最大速度が一気に10倍に!」(この例の場合)なんてことになりますが、実際は使っている人数が少ない場合だけ。人数が増えれば当然速度は従来同等にまで落ちます。つまりこの辺から規則正しい無線のTDMAでもベストエフォートと言う言葉が使われ始めるようになります。

次に考えたのは、11人目も入れる方法は無いだろうか、と言う点。単純に、10回に1回を11回に1回、に増やせばよいのですが、最初に「スロット10個で一巡ですよ」(フレーム長=10スロット)と決めてしまっているので、これをいまさら11個で一巡、と定義しなおすと、今までの端末が通信できなくなってしまいます。そこで、10回に1回と言う最低条件は変えず、「一巡分を丸々飛ばし飛ばしで使ってみよう」と言うことに思い当たります。つまり、頻度で言えば20回に1回。10回に1回だけどそのうち2回に1回はお休みします、と言うようにすれば、互換性もそのままにもう一人入れるようになります。当然、1秒に一人100スロットだったものが、一人50スロットに落ちるので通信速度は半分ですが、そこまでの速度が要らないサービスの人は、そのくらいで我慢してもらいましょう、と言うのがこの考え方。いわゆる「ハーフレート」と言うのはこれのことで、少ない無線資源に多くの人を収容したいという要求から生まれました。

さぁこれでどんな場合でもカバーできるのか、となると、これもまだ問題が残っています。と言うのは、先ほどの「最大10倍速!」と「最大2倍収容!」、どっちをとってもそうでない方が有効に使えなくなってしまいます。そこで次に思いついたのが、「ある一巡(フレーム)の中でどのスロットをだれが使うかを毎回変えちゃってみたらどうだろう」と言うところ。つまり、フレームの中に10スロットあるけど、そのすべてのスロット一つ一つに「だれが使う」と言う印をつけちゃう。そしてそれを毎回変えられるようにする。そうすると、ある人が突発的にたくさんのデータを送りたいときは一時的に全スロットをその人用にする、あるいは、データが無い人には全く割り当てず、データがあるときだけちょこっとスロットを与える。こういうやり方が徐々に主流になります。これがTDMAベースでのパケット通信の仕組みの基礎で、こういう仕組みを「適応スケジューリング」と言います。

この最後の考え方は今では完全に主流派で、開発の止まった古い方式を除けば、あらゆる通信方式で取り入れられています。もちろんこのやり方、基地局のアルゴリズム次第で従来と同じ安定した割り当てもできるので、今までの方式をすべて包含しているともいえます。100人つなぎたいという人がいたら、全員10巡に一度1スロット割り当てちゃえば100人を収容できちゃう。あるいは、一人10スロット連続割り当てをしちゃう代わりにそれを100巡に一回だけ、としても同じことが可能。フレキシビリティが高いのが利点です。利用者への割当だけでなく、通信をするために重要な情報を載せたスロットをわざと長周期で、半ばランダム的に配置することで重要な情報同士がぶつからないようにする、という使い方も一部でされています。

と言うように、TDMAと言う方式自体は実は今でも多ユーザ収容のために主流として使われています。なくなってきたのは「Only TDMA」と言う方式。PDCやPHSなどです。また、EV-DOもある意味ではOnly TDMAと言うこともできますが、こちらは拡散技術がベースにあるという意味では純粋なTDMAとはやや違うかな?という感じ。TDMA方式は決して古いものではなく、こなれた使い易い技術と言うわけです。

何か二つのものを分けるときにはその間の「壁」をどれだけ強いものを選べるかと言う点が重要となり、その意味では「時間」はまだだれも飛び越えたことの無い最強の壁。「時間」を分割の壁として使うTDMAは今後ますます多用途に活用されていくでしょうね。といったところで本日はこれにて。

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2011/3/7 10:00 · 技術解説 · (No comments)
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