今日のネタはLTEの無線インターフェース篇。無線インターフェース部分に特に着目して説明します。
LTEはいわずと知れたOFDM技術。サブキャリアを大量に束ねることで帯域を確保するというのが基本コンセプトです。一般的には、OFDMのサブキャリア間隔は15kHzで、たとえば10MHzシステムではこれが600個束ねて実現されています。
と書くと、15kHz x 600では9MHzにしかならないではないか、と言う声が出てくると思いますが、昔別のところでも書きました、OFDMではサイドの漏れ電力が重なって大きくなってしまうという問題があり、データが乗っているのは9MHzでも実際の占有帯域幅としては10MHzで考えないといけないようになってしまっています。この辺は他の広帯域システムでも似たようなものなので、実際のデータが乗っている部分と占有幅に差があることはごく普通のことと思ってください。
さて、このサブキャリア、これをどのように管理しているのかと言いますと、もちろん、一つ一つ別個に管理してもいいのですが、それでは管理データが大きくなりすぎて、基地局と端末の間のコマンドのやり取りサイズが大きくなりすぎます。かといって、全体をまとめてON/OFFするだけでは収容ユーザ数が限られすぎます。と言うことで、ある程度両立できる妥協点として、LTEではサブキャリア12個をひとまとまりとして管理します。OFDM系方式ではほとんどが似たような「カタマリ単位」での管理を行っていますので、興味のある方は調べてみてください。
で、このひとまとまりを、LTEではRB(Resource Block)と呼んでいて、これを最低単位として、各ユーザにどの位置のRBを何個割り当てるか、を時々刻々管理しています。
さて、時々刻々と書きましたが、今度は時間方向の分割について。いろんな方式と同じく、LTEでは時間方向の分割(TDMA)も活用しています。大きくは「フレーム」で10msごと、その下に「サブフレーム」として1msで分割され、各サブフレームも0.5msの「スロット」に分かれています。
この、「スロット」が無線リソースの最小単位で、各「スロット」の頭に、端末向けの割当情報が載せられています。端末はこの頭部分の割当情報を読み取り、自分がどのRBで今受信を指示されているのか、と言うことを知り、実際にそのRBを読み取って受信データを復元する、と言うことを毎スロット行っているわけです(必ずしも毎スロットでなくても良いような割当方法もあります)。
と言うことで、割当の最小単位は0.5ms x 12サブキャリア、となり、サブキャリアの伝送速度は各スロットごとに7シンボル(OFDMの必須要素である「GI」のために単純計算より少し減ります)、しかし頭の1~2シンボルは例の割当情報に費やされるので、実際のデータ部分は5シンボルと考えると、最低の割当状態では1秒間に12万シンボルを受信できることになります。
LTEではQPSKから64QAMまでの変調が定義されているので、240kbps~720kbpsが最低割当数が連続した場合の速度となります。もちろん、さらに、スロット単位で割当を共有させ、10スロットに1回だけとか20スロットに1回だけ割り当てるなんていうことも出来ますので、最低速度に関しては結構自由自在、つまり、収容ユーザ数はかなり自由度が高いと言えます。
さて、先ほどほうっておいた「フレーム」「サブフレーム」と言う単位は何に使っているのかと言うと、簡単に言えば通信中ではない端末向けの報知情報・ページング信号などの繰り返し単位と送信位置の指定単位として使われています。大雑把に言えば、報知情報はフレームごとに繰り返され、その報知情報がフレーム内のどのへんにあるかと言うのはサブフレームで指定される、と言う感じです。そのほかにもこの単位の使い道はあるのですが、ここでは割愛。
と言うことでかなり物理構成に偏った解説になってしまいましたが、LTEが実際に無線区間をどのように使っているのか?についての解説をさせていただきました。ネットワークアーキテクチャの解説とか、いる?
[…] This post was mentioned on Twitter by 山田志門(Shimon Yamada), 無線にゃん. 無線にゃん said: LTE (2.無線インターフェース篇) http://wnyan.jp/165 […]