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2011/5/27 10:00 · サービス解説, 事業考察

面白い視点の質問をいただきました。っていうかすっかり忘れてた、って言うお話なんですけど、「一般電話・公衆電話からPHSにかけたときは距離別料金になっていて長距離は携帯宛よりも高い。070MNP化で携帯にかけたつもりで長距離PHSになってしまう恐れもある」と言うコメント、そしてどうしてそういう料金体系になっているのか、と言うご質問です。

加えて、うがった視点として、「ウィルコムが安い通話料金を実現するための原資としてそういった高額な料金を残しているのでは」とのコメントもついてましたので、まずはこの視点から。

まず大前提的なお話として、依存型PHSシステムの元々のカタチから。依存型PHSでは、PHS基地局は「NTT固定電話機」とほぼ同じ扱いです。アクセスチャージの発生のし方も、固定電話と同じ。つまり、「PHS基地局(PHS端末)から発信するときはアクセスチャージがかかる」けど「着信は無料」なんですよ。もっと正確に言うと、実は依存型PHSでは、「着信のときもPHS事業者からNTT東西に一部のアクセスチャージ(網機能利用料)を払わなきゃならない」ってことになっています。この場合、NTT東西は発信元の事業者からもアクセスチャージを取れるし、ウィルコムからもわずかながらも料金をとることができる、二重取り状態です。ただ、PHSがNTTの網機能(特に位置管理機能など)を利用しているという立場なので、NTTに制御機能に関する利用料を払わなければならないのはズルでもインチキでもありません。

つまり、ウィルコムは、いくら着信を受けても、実入りはゼロどころか着信すればするほど赤字なんです(苦笑)。なので、この辺の通話料を原資にウィルコムが割引をしているということは絶対にありえません。

ちなみに、さすがにこの状況はウィルコム一人負け確定ですから、ウィルコムも大転換を図りました。それが「ITXの導入と独自相互接続」です。ITXで独自網を作り、携帯電話各社と直接相互接続に踏み切りました。このため、携帯電話各社からウィルコムへの通話に関してはウィルコムは着信接続料収入を得られるようになりました。ただし、NTT東西を通る着信(つまり相互接続している携帯電話以外のすべての発信元からの着信)に関しては、いまだに一銭も取れないし料金の決定権もないし赤字を垂れ流しているという状態です(ひょっとすると一部のIP電話などとはそろそろ相互接続しているかも)。

さてではここまでの前提を確認した上で、長距離料金がなぜあんなことに、のほうへ。上のお話からも分かるとおり、(一部の相互接続済み事業者との間を除いて)実は長距離だろうが短距離だろうが、PHS事業者には料金決定権どころか料金に影響を与える決定ができる権利さえありません。長距離料金が高額である犯人は、ウィルコムではないということです。

となるともう犯人はNTT東西しかいませんね(苦笑)。そもそも、NTT東西の加入電話(not ひかり電話)、今でも距離別料金になっています。そして県外通信は、長距離通信事業者の設定によります。PHS基地局は原則としてNTT東西の加入電話と同じ位置づけなので、遠くからPHSを呼んだ場合は、真面目に呼び元地域のNTTに一旦着信し(ここでNTTから発信事業者へ着信アクセス料発生)、加入電話向け中継事業者網を通って(NTTcom、KDDI、SBTのどれか、ウィルコムの契約による)(ここで中継料発生、中継事業者がNTT東西へ請求→代理で回収)、端末がいる場所のPHS基地局に着信するわけです。このアクセス料、中継料をすべて積み上げた結果が発信者に課せられるアクセスチャージで、それを原価として発信事業者が料金を設定します。たとえば、NTT東西の加入電話&公衆電話は、真面目に距離別料金を課している、その結果が長距離高額な料金体系と言うわけです。

まぁ犯人も何も、そもそも「PHSはNTT東西の加入電話扱いである」ってことが原因で、NTT東西の加入電話に対しては、原則として発信地域NTTにまずつなぐ、ってのが原則だから、こういうことになっているわけです。MNPに参加できなかった理由もこれで、「070はNTTへ」と言う決まりがあり、NTTがMNPに対応する義理が無かったからなんですね。今も直接接続している事業者以外は「070はNTTへ」の原則に従った接続をしています。

ってことで、逆に言えば、070MNPが始まるタイミングで、この「070はNTTへ」と言う決まりが消えることが想定されます(というか消さないとMNPが実現できない)。ウィルコム自身が相互接続用の関門交換機を用意し、各電話事業者はそこに直接つなぐことになるわけです。このとき、この関門交換機での「アクセスチャージ」は、(ようやく)ウィルコム自身が決定権を持てるようになります。ここまで来て、距離別料金が撤廃される素地が整うわけです。

と言っても、結局PHS宛通話料金の決定権は発信事業者にありますから、どのように設定しても誰も文句は言えません。また、ウィルコムの関門交換機が各県1個くらいあれば安くも出来るでしょうが、東京と大阪にしかありませんとかだとそこまでの中継料は発信事業者負担ですから、高止まりしてしまう可能性も十分にあるとお知り置き頂いておいたほうがよろしいかと思います。

というわけで、高い公衆電話→PHS料金で儲けているのはNTT東西で、しかしMNPとは「070はNTTへ」と言う非常に大きな原則を元から取っ払うという意味であり、つまりPHS着信料金の決定権をNTTから剥奪することであり、これを機にPHS宛通話料の格差は多分一斉に改正されるだろうと考えられます(安くなる部分もありますがもちろん一部では高くなることもありうる)。ので、多分、MNP後の、携帯だと思ってかけたら遠距離PHS宛で大損した、みたいな話は(あまり)起こらなくなるのかなぁ、と。もちろん事業者別の格差は今でもあるので、0036とかでドコモだと思ってかけたらauだった、高い料金を取られた、と悔しがるのと同じくらいの格差は当然残るとは思いますが。以上、PHS宛通話料の不思議についてでした。でわ~。

↑ごめん、すごい大嘘書いた。一般加入&公衆電話発料金は着側が決めて良いんだった。でも、その原価になる接続料は「発地域NTT局に入ってから着地域PHS基地局」の距離別でNTT東西が決めるので、ややこしくなっているそもそもの原因は「070はNTTへ」と言う原則のせいです、と言うのは間違いではないです。でも嘘書きました。ごめんなさい。

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1 Comment to “PHS宛通話料がややこしいのはナゼ”

  1. ここは酷いびわ湖タワーですね…

    asahi.com(朝日新聞社):【イーゴス108】 巡る巡るよ 希望は巡る – 関西 http://www.asahi.com/kansai/travel/kansaiisan/OSK201105170051.html びわ湖タワー – Wikipedia http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%B3%E3%82%8F%E6%B9%96%E3%82%BF%E3%83%AF%E3%83%BC 廃墟遊園地 びわ湖タワー http://kiokuya-……

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