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2012/2/17 10:00 · 品質動向

iPhoneのSiriが日本語対応する件で、突然トラフィックが増えて大変なんじゃないでしょうか、というご意見をいただきました。

うん、全くそんなこと考えたこともありませんでした。先日の障害とコールモデルの話で書いた、「ヒットアプリがトラフィックモデルを変える」の話を地で行くような話ですよね。書いた私が気づいてないんだから、世話ないですね。

Siriの詳しい仕組みはあまりよくわかっていませんが、「音声データをそのままあるいはちょっとだけ加工してセンターに送って解析する」という手法をとっているようです。つまり、ちょっとした言葉でもほぼ生の音声データを送ることになるため結構巨大なデータ量になってしまう可能性があるということ。

こちらのほうでSiriのデータ使用量の検証を行っていますが、その中で特に参考になるのが、SMSとe-mailについての検証。英語で6単語と10単語で12KBと18KB、15単語で36KB、40単語で109KBという結果。1単語当たり2KBちょいという結構精度の高いデータが出ています。

ネイティブの発話速度が大体200単語/分と言われていますから、1秒当たり3.3単語、6.6kB分。おおよそ、50kbps強というところです。何となく、48kbpsないし56kbpsコーデックにヘッダがついた、くらいな気がします。

さて一方、これがどのくらいの使われ方をするのか。ここで問題になるのが、Siriの発生させるトラフィックが、通常のインターネットトラフィックの中心であるダウンロード方向(下り方向)ではなくアップロード方向(上り方向)である、ということですね。

単純に考えると、つまりこれは、インターネットからのダウンロードにあまり影響を与えずに済む、ということになります。であれば、Siriの利用は、少なくとも今の下りデータの逼迫には問題を与えないのではないかと言えそうです。ただ、無線上は、下りデータがなくても上りでデータを送る場合は上下ともに最低限のチャネル確保が必要であるため、CDMA方式の容量であるところの「空間電力」はしっかりと消費してしまうので、影響皆無とはいきません。が、Siriを使う頻度を考えれば大した問題ではないでしょう。

一方、上りデータが思ったよりも多くなる、ということが、困ったことを起こさないとも限りません。そもそもが、インターネット中心であれば上りトラフィックは非常にマイノリティのはずなので、頻度の低いSiriでもインパクトは大きく出ます。これは、無線そのものの影響というよりは、それより上のネットワークアーキテクチャの部分、特に地域ごとや全国で集線をかけているような部分で、「下からこんなにデータパケットが飛んでくることになるとは思わなかった」みたいな問題を起こすかもしれません。

Siriの利用頻度にもよりますが、たとえば1クエリ(コマンド)が5秒以下、みんなが一日10クエリ使ったとして、1キャリアにiPhoneユーザが500万人いるとすると、1.5~1.8TB。完全に平均すると144~200Mbps。仮に特定の1時間に50%が集中すると考えると、1.7~2.5Gbps。きれいに分散すれば、現状何百Gbpsという単位で困った困ったといっているキャリア諸氏から見れば、微々たるトラフィックと言えるかもしれませんが、特定の時間に利用が集中する場合はちょっと見過ごせないトラフィックの増かも。また、この量のほぼすべてが「上り」という特性上の特異性がある、という感じ。

まぁ上の計算は徹底的に厳しい条件を集めた計算なので、なんだかだでSiriでものすごく異常で面白い使い方が発見されて大流行なんてことにならなければとりあえずは大丈夫そうな気がします。そもそもがスマホってのはほんの1パケット送るためだけに勝手に回線繋いで莫大な無線資源を浪費してくれちゃう困りものデバイスなので、それに比べれば、ユーザが自発的に操作する分なんてのはかわいいものという気がします。

ということで、Siri日本語対応の影響を考えてみました。でわ。

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2012/2/17 10:00 · 品質動向 · (No comments)
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