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2012/10/30 10:00 · 技術解説

Bluetoothで採用されたAFHという干渉回避技術について、「2.4Gを使う無線仕様は基本的に干渉を避けるように作られてると思ってたんですがAFH採用前はどうして大丈夫だったんでしょうか」と言うようなご質問をいただきました。またまた専門外(←ていうか専門ってどこだよ)のお話ですが、分かる範囲とあとはほぼ妄想で。

まず、前にもちょっと書いた話。2.4Gとかのいわゆる「ISMバンド」についての簡単なおさらい。ISMバンドってのは、何かの装置や工程や実験や治療法などでどうしても不要電波をばらまかざるを得ないような用途向けのバンド、ってのが出自。たとえば電子レンジ。家庭用電子レンジでも出力が1000Wとかあるわけですが、これは、無線の世界の電波強度であるμW~mWと言う単位から比べると百万倍です。携帯電話の基地局でさえせいぜい10Wの桁、大きなものでもせいぜい30W程度と言うことを考えると、1000Wがいかに巨大な電力か、と言うのがお分かりになると思います。

ここまで巨大な電力なので、いくらしっかりしたシールドをしても、当然漏れまくります。こういった、「アホみたいに巨大な電力の電磁波を使いたいけど漏れちゃうのが困るよね」と言ういろんな用途向けに、「じゃぁ、この辺なら漏らしまくってもいいですよ」と国際的に指定したのが、ISMバンドです。

そんなわけで、ISMバンドを使う通信機器については、「時々すごい干渉が入るけど我慢してね」と言うのが唯一の公式要求。なので、2.4G機器は、基本的に「干渉を避けなければいけない」とか「他の機器に干渉を与えないように気を付けなければいけない」と言う厳しい決まりはありません(帯域外発射は別問題として)。

ってことで、通信が途切れたりしてもいいのなら、別に干渉回避の仕組みなんてそもそも不要なんですね。後は、いろんな方式が独自に自助努力として「ヘンな干渉を受けても品質が落ちにくい技術」を磨きまくっているわけです。

で、Bluetooth。AFHはまさにそういう「干渉を受けても品質が落ちにくくなる技術」の一つ。Bluetoothが使っている基本方式は周波数ホッピング(Frequency Hopping; FH)。送信される信号を乗せる周波数を超高速で変化させる方式。帯域の中で信号ある位置がランダムにぴょんぴょんと跳ね回る様を「ホッピング」と言っていますが、その超高速でホッピングする「擬似ランダム位置」については別の方法であらかじめ送信側と受信側で示し合わせてあるため、その位置をお互いに知っている送受信機同士だけがお互いに通信できる、と言う暗号方式的な側面もあります。

AFHは、これの頭にAdaptive(適応)と言う接頭辞が付きます。何をするか、と言うと、その「擬似ランダム位置」にもう一つ手を加えて、干渉が入っている場合に、その干渉がある位置にホッピングしない(しにくい)ように制御する技術です。と言うことは、干渉のある位置にホッピングしてしまったために干渉によって潰される、ということがなくなるということです。

もちろん、干渉位置にホッピングしなくなるということは「選択できるホッピング位置の選択肢」が減るわけで、他のBluetoothとの相互干渉除去や暗号的な側面は理屈上は弱るわけですが、まぁ実際はこんな程度の弱体化が問題になることはあり得ないでしょうね。

じゃぁそもそもそれ以前はなぜ大丈夫だったのか。と言うと、これはもう、「FHの仕組み上」としか言いようがありません。FHは信号があちこちに跳ね回っていますから、たとえばある場所に強い干渉が入っていたとしても、信号がそこに当たる確率は非常に低く、連続で当たる確率はほぼゼロです。で、たいていの無線方式は、信号が長い時間連続で潰されでもしない限り、自力である程度まで信号を復元できるように作ってあります。要するに、FHであれば、狭い干渉波には割かし強かったということなんですね。

で、ほどほどに広い干渉波が入ってきてもほどほどに大丈夫なようになったのがAFHと言うわけです。干渉のある一帯を避けるという能動的な動作をするようになるわけで。ただ、帯域全体を完璧に叩き潰すような超広帯域干渉となると、さしものAFHでも回避することはできません。要するに干渉に対する耐性の程度問題、と言ってしまうこともできます。

と言うことで、Bluetoothで採用されたAFHについてのお話でした。でわ。

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2012/10/30 10:00 · 技術解説 · (No comments)
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