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2011/4/22 10:00 · ニュース解説, 事業考察

いまさらですが、計画停電と携帯電話サービスの話。

計画停電は、携帯電話の基地局や交換局にも問答無用で襲い掛かっている模様で、実際に予備電源を備えていない基地局が停止しているらしいという話も聞こえてきたりします。今回、具体的にどういう影響があるのかをもう少し突っ込んで考えてみたいと思います。

まず話のベースとしては、今回の計画停電に関しての電話取材結果イーモバ等補足)と、少し前に総務省が決定した予備電源を有しない携帯電話基地局設置の容認と言うあたりになるかと思います。

まずは総務省の決定事項について。2008年、総務省は「予備電源」、つまりバックアップ電源を持っていない基地局を設置しても良いよ、と発表しました。これは逆に言えば、それ以前は必ず予備電源が必要であったということです。電気通信設備規則では、携帯電話基地局については必ず予備電源を持っていなければならないとルール化されています(UQやウィルコムについては後で)。また、この義務の緩和後は、特に屋内や地下などの対策に関しては、屋外・地上に出れば予備電源具備局に接続できる場合に限り予備電源不要とされました。

また、公表されていないガイドラインとして、最低3時間通常動作ができるだけの容量を持つべし、と言う決まりもある模様。こちらは強制規則ではないためあくまで各事業者の努力目標となりますが、原則としてこれを守ることになっています。

で、これに対する電話取材結果を見れば、大体そのとおりになっています。一社を除いて(苦笑)。ドコモ・KDDI・イーモバイルはガイドラインどおり、最低3時間の動作が保証されていますが、ウワサ程度に聞いたところではソフトバンクだけはコスト削減のためにガイドラインを無視して動作時間保証の出来ない適当なUPSを使っているようで、電力の小さい局なら長時間動くけど大きい局だとガイドラインにはるかに届かない、みたいな事が起きるようです。このため、この取材に対するコメントもあやふやで「数時間は動くと思うけど地域や状況によって使用できなくなるかも」と言う答えになってしまっています(計画停電3時間であれば大丈夫とほぼ断言しているドコモ・KDDI・イーモバイルとは非常に対照的)。

そもそも、先日まで行われていた計画停電、タイムテーブル上では3時間40分になっていましたが、しかし実際に行われたのは、○時20分の開始時刻に対して次の正時、つまり[○+1]時ちょうどでした(どこの地域も同じだったのかな?私の自宅所属グループと隣接別グループは例外なくこうでした)。つまり、計画停電は最長でも3時間に抑えられていたんです。これ、通信設備の予備電源ガイドライン「3時間」を考慮した設定だったのではないかと私は考えています。3時間であれば、(ガイドラインを守っている会社の設備なら)確実に役務提供を継続できる、と言うわけです。守っていない会社のことはしらん、と言うことになるんでしょうが(苦笑)。

さてこういうわけで、夏場に計画停電がもし再開されても(一社を除いて)安泰だなー、と思っちゃうのですが、ちょっと気になることがあって。予備電源、つまりバッテリそのものの問題が気になるんです。元々、携帯電話基地局の予備バッテリは、普通は使用されないものと言う前提です。短期間で充放電を繰り返すものではなく、常に一定以上の容量を維持して、その生涯で1回か2回の不測の停電に備える、そういう種類のものです。そういう要求仕様で作られたバッテリに対して多回数の充放電は深刻なダメージを与えるのではないかと私は考えています。ぶっちゃけ、夏を乗り越えられないんじゃないの?くらいの。

特に夏場は深刻で、何しろ非常に高温の環境でのかなり深い放電です。なんかいろいろ劣化しそうですよね。携帯電話基地局(の特に古くて大出力のもの)は、基地局そのものと付帯設備を小さな建屋に収納し、建屋をエアコンで冷やしているものも多いのですが、停電時はエアコンも減力運転(あるいは停止)せざるを得ないはずなので、外気よりもさらに高温の環境に晒されることになりそうです。これがほぼ毎日です。生涯に数回くらいしか来ないと思ってた長時間停電が毎日。ほらやっぱりいろいろ劣化しそう。

と言うことで、この夏、計画停電が再開したとき、大丈夫だと思ってたキャリアでももしかすると局所的な停波が(計画停電の終わり際とかで)ぽつぽつと出てくるかもしれません。また、万一制御局のバッテリが上がってしまったら、地域丸ごと圏外と言うこともありえます(さすがにこれは対策されるでしょうけど)。とにかく何をとっても今回の災害は想定外だらけで、今年中は携帯電話サービスに関しても何が起こるかわからないですよ、と脅しめいたことを書いておいてみたりします。

さて後回しにしていた、ウィルコムとUQの件。元々、携帯電話ではないPHSとBWAは、予備電源具備の対象外でした。「携帯電話は重要通信を扱うけど他はそうじゃないから」と言うことなんですけど、ご存知のとおり、PHSでも緊急通報は出来ますし災害用優先電話も各省庁や警察消防に提供されています。ただPHSはとにかく基地局数が膨大で、一度「不要」と言ったものを後から義務化するのはさすがに無理です。ので「不要」と言う規則自体には変更はありませんが、ウィルコムは一応官庁などからの要望に自発的に応える形で、重要なエリアについては一定割合で予備電源を設置してきました。と言うわけで、東京都内や地域の役所近辺とかだと予備電源があって停電中もつながったりするみたいですが、基本的には無理、と思っていたほうが良いでしょう。また、UQはそもそもそういった重要通信をBWA上で提供していないので、基本的に予備電源は持たないようです。

と言うことで、計画停電による携帯電話サービスへの影響について、ちょっとだけ突っ込んでみました。でわ~。

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2 Comments to “計画停電の携帯電話サービスへの影響”

  1. ここは酷い阪急うめだ本店地下迷宮ですね…

    【2ch】ニュー速クオリティ:【大阪】梅田阪急、全面開業延期へ 地下に構造不明の建設物が埋まっていたため http://news4vip.livedoor.biz/archives/51780200.html 阪急百貨店には悪いが謎の構造物とか胸熱 ゼネコンに値切りすぎて受注事態に至ったりと曰く付き そもそも阪急ってこういうガチな土木建築は苦手なのかもしれんな あと社史の研究ってこういう場合に明確に便益が出てくるわけだが しかも戦前のRCって鬼強度だから解体って結構大変なのよね……

  2. ランタン…

    ランタンLED60灯が停電の時に役立ちました!持ってて安心、明るいLED60灯が激安販売中…

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