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2018/3/2 09:55 · 事業考察

もうすぐテザリングが有料化しますね。

ああ、とりあえずキャンペーンの無期限延長をしたドコモとか、元から契約後2年だけ無料だった古いプランを除く。

そもそもね、なんでテザリングが有料なんだ、っていうツッコミがありますよね。データ通信路が開いていたら、それをその後どう料理しようがユーザの勝手でしょ、と。

これはもう、本当にキャリアのご都合なんですよね。いや、「こっそり料金追加して儲けてやろう」なんていう意味ではなく。いや、その意図も多少はあったかもしれませんけど。

テザリングするとAPNが強制的に切り替わる、なんて話はもう飽きるくらいに話を聞きましたが、まずは、それはなぜ? ってこと。その部分がね、実はもともと理由が不明瞭なんです。が、なんとなく想像がつきます。というのがね、いわゆるi-mode時代の遺産だと思うんです。管理下の端末がダイレクトにアクセスするネットワークと、PCがアクセスできるネットワークのサービスレベルやらセキュリティレベルやらがばらばらに管理されてた、たとえば、i-modeとmoperaではまったく別のネットワークだった、その名残と考えると分かりやすいと思います。要するに前例主義。「一般のPCがアクセスできるAPNと、(端末認証だのコンテンツ認証だの料金回収代行だののいろんな機能のある)spmode用のAPNを一緒にするのはまずいだろう」という判断。キャリアが端末向けアドレス帯域を公表しコンテンツ側がソースIPアドレスで挙動を変えたりなんていうことがまだ当然だった時代のお話。「今まで受け継がれてきたもろもろの仕掛けをひっくり返すのはまずいよ」と。もしコンテンツ側がソースIPアドレスだけでi-mode向けの特典コンテンツの表示有無を判断していたとしたら、そこにPCが入ってきて特典コンテンツを持っていってPC上で無限にコピーするなんてことをされるかもしれない。そういうことをされないためにも、端末向けネットワークは厳重に隔離しなくちゃね、と。その「厳重に隔離しなくちゃね」という部分だけが形式上のポリシーとして残っちゃったわけです。

ということで、従来と同じことをしとけばとりあえず安全だろ、ってことで、各社、テザリングするときは別のAPNに切り替わるように仕掛けを入れることになったわけです。

とはいえ、別のAPNを一つ追加で管理するというのは、それなりにコストのかかるお話です。「PCで無茶な使い方をされるかもしれないから」ってのが建前ですが、本音としては、APNを一個余計に持つことのコストを何とかペイさせなくちゃ、ってことなんです。

分かりますよ、APNなんて所詮論理的な区分に過ぎないんだからコストなんて、っていう。でも、論理的な区分に過ぎないとしても、APNが一つ余計にあることで、もっと下層の伝送装置にいろいろと設定を入れなきゃならないし、端末の受け入れ試験でもAPN対向試験の工数が単純に倍、組み合わせで+αになる。それらの履歴を管理し続けたり、別の理由での保守(装置入れ替えやら端末のアップデートやら)のたびにそれらの工数が余計にかかる。それぞれは微々たる物でも、「APNを一つ余計に持つことによるコストの総額」は割りとバカにならない額になるんじゃないかと思うんですね。で、あとは、各社の社内政治のお話。そのコスト増は誰が持つんだという押し付け合いの結果、「ユーザに負担していただきましょう」。

いやはや、ほほえましいですね。「従来の仕組みを変えたくない」「余計なコストがかかるのがやだ」「自分の部門がそのコストを持ちたくない」「(あわよくばARPU向上に貢献したとほめられちゃおう)」……などなど、実に人間的なエゴが積もりに積もって、テザリング有料化に繋がっているわけです(あくまで想像です)。

ドコモは、SIMロックフリー関連のいろんな外部的な圧力もあり、IMEI制限撤廃からの事実上spmode分離の堤防決壊を契機として、やめちゃうことにしましたが、他社は決断できますかね。いろいろ言ってもテザリング専用APNは維持しなきゃならないしそのコストはユーザに転嫁しなくちゃなあ、なんて悩んでると思います。スタート地点で、i-mode時代の栄光を捨ててゼロベースで考えられれば、こんなことにはならなかったんだろうと思うんですけどね。

なんて考えると、巨大キャリアの面々がとても人間くさい身近なものに感じませんか?

(なんだこの締めは)

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2018/3/2 09:55 · 事業考察 · (No comments)
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