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2010/10/27 10:00 · 事業考察

さて、一時期はiPhoneは本当に普及し定着するのか、と危ぶむ声も無きにしも非ずだったのですが、最近の動向を見ていると、どうやらiPhoneの定着はほぼ確実になってきているように思われます。

個別に情報提供頂いたところによると、iPhoneの国内販売数は、毎月30万台を超えている模様で、まだまだ伸びの弱いAndroid(合計10万台程度)に大きく水をあけています。

新規販売がこれだけの勢いであれば、累計利用者数はかなりの数に上るわけで、少なくとも、ほぼ単一の機能性を持ったほぼ単一の機種群がこれだけの数稼動していた状況と言うのは過去にはほとんどなかったはずです。となれば当然、この機種に特化した市場が生まれますし、事実そうなってきています。iPhoneにしか提供されないサービスやシステムが雨後のたけのこのように増えてきています。

要するに、全く新しい市場が形成されてきており、それが、普及と定着を後押ししている、と言う状況です。これは、iPhoneにはあれができないこれができない云々とは別問題で、機能性とは独立して数の論理でインフラ化してきているということです。

iPhoneが一つのインフラとして認識されていることの現われとして、iPhone上で動作するさまざまなサービスのクライアントの提供があります。従来はPC向け、あるいは携帯電話向けにしか提供されなかったようなクライアントがiPhone向けとして独立して提供され、そのバリエーションはもはや数える気にもならないほどです。

よく、iPhoneの利点として「世界で何十万のアプリケーションが」と言うことが言われますが、単にアプリケーションが提供されるだけではインフラ化が進んでいるとはいえません。それよりは、他の(元々は)無関係のサービスのクライアントが提供され、他のサービスのインフラとして利用され始めることが、普及と定着の一つの指標ではないかと私は考えます。

そういう意味では、Androidはまだまだ出遅れているといわざるを得ません。数こそ出始めていますが、他のサービスにインフラを提供するというところまでまだ到達できていないように思えます。それでは、Androidはどのようにしたら普及と定着、つまりインフラ化するのでしょうか。

一つは、iPhoneと全く同じように、他のサービス向けのクライアントを充実させていくことです。しかし、これは先行しているiPhoneを後から追うことはできても、追い抜くことは難しいでしょう。インフラビジネスの基本は「数で先行したら勝ち」です。自社の製品やサービスを、より多い数、早い時期にユーザの手元に届けたほうが勝ちです。追うほうはそう簡単に逆転にはたどり着けません。

もう一つの案は、iPhoneとは全く別の方向のインフラ化です。それは、たとえば、ケータイキャリアの統合サービスのベースOSとしての価値です。ベースOSをAndroidにし、その上にケータイキャリアの統合サービスプラットフォームを載せる(たとえばドコモのオペレーターパックのように)、そのためのインフラとしてAndroidを利用する、と言う方向なら、iPhoneと競合せずにインフラ化を狙えます。

以前にニュースコメントでも少し書きましたが、日本では「放り出し系サービス」はあまり流行りません。機能や拡張性を提供して後は好き勝手にやればいい、と言う市場は確かに存在しますが、現実には「すべてお仕着せ」を望む消費者のほうが圧倒的に多いということが過去の例で既に分かってきています。実を言えばiPhone自体が「お仕着せ系」統合型サービスとさえいえます。となれば、今後も従来の統合型サービスは継続するでしょうし、相変わらずメインマーケットであり続けるでしょうが、Androidはこういったキャリア個別の統合型サービスのベースとして利用されうると考えます。

むしろ、汎用OSをカスタマイズしたものより、最初から電話や通信向けAPIやサービスが用意されている分、Androidを利用することでキャリア統合型サービスのプラットフォームの提供も容易になり、新たな参入さえ期待できるかもしれません。新たに参入したメーカも、キャリア提供のプラットフォームを載せるだけで簡単にキャリア仕様の端末が作れます。

iPhoneはおそらく今後も(ほぼ唯一の)グローバルな統合サービスとして発展していくでしょう。しかし、キャリアは各国各地域にローカライズした統合サービスをきめ細かに提供することで、iPhoneでは埋められない独自の要求に答えていくことになります。iPhoneがローカルなインフラにはなりにくいように、キャリアサービスはグローバルなインフラにはなれません。そのため開発には大きな投資がしにくく、開発の容易性を高めるにはきわめてオープンなOSが必要であり、そこがAndroidの一番重要なマーケットであると考えます。今からグローバルなインフラでiPhoneと真っ向から競合することだけを考えても無意味ではないかと思います(長い時間をかけて競り勝つというシナリオももちろん考えられますが、時間がかかりすぎます)。

と言うことで、今回はiPhoneの普及とAndroidの追い上げの可能性について考えてみました。

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2010/10/27 10:00 · 事業考察 · (No comments)
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