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2014/8/5 10:00 · 技術動向

たくさん質問をいただいていて、長いものだと何ヶ月も放置しています。すみません。

できるだけネタとして取り上げていきたいところです。

今日は、キャリアアグリゲーション。

これって何なんですか?とか、どんなご利益があるんですか?(意訳)というご質問を何件かいただいています。

まず、キャリアアグリゲーションとは。

LTEの次の世代、LTE-Advanceの主要技術の一つで、これをもって、LTE系が正式に4G (IMT-Advanced)に到達するとされている技術です。まあ、今はIMT側も態度が軟化していて3.9G系も全部4Gって呼んでいいよ、ってことになってるみたいですが。

簡単に言うと、複数の搬送波(キャリア)を束ねる(アグリゲーション)技術です。終わり。ひどい。

さて、複数の電波を束ねる、というネタは、古くからネタに事欠きません。とりあえず、高速化と考えたとき、複数の電波を束ねるのは常套手段です。ただし問題は、たとえば、時分割の電波を複数束ねるなら簡単だけれども、周波数分割な電波を複数束ねるのは非常に難度が高い、ということ。TDMAなGSMやPDCやPHSでは早くから束ねる技術が出てきていたのに、CDMA系ではなかなか実用化されなかったのはそういうわけです。

異なる周波数の搬送波を「同時刻に」受信することは、簡単にはできないんです。それぞれの無線波にあわせた無線機と、そこから取り出した内部波形の処理部分(ベースバンド)が必要になるので、回路規模が大きくなりがちなんですね。

ところが、LTE、というか、OFDMAには、一つ、ズルができる点があります。それが、「もともと小さなサブキャリアを束ねた方式」ってところです。つまり、最初から束ねてるんですね。それを、比較的簡単な数学的処理で実現している。その数学的処理をハードウェアでごりっとやる方法もかなり古くに確立している。

となると、LTEで複数のキャリアを束ねることのハードルが一気に下がります。回路規模が小さくて済むようになるんですね。

また、それでもどうしても出てくるアナログ無線回路の部分でも最近、いいものが出てきています。というか、むしろキャリアアグリゲーションを当て込んだ新技術なのですが、離れた別々のバンドの周波数を選択的に透過するようなことを部品一個で実現するようなものです(ダイプレクサとかクアドラプレクサとか呼ばれているようです)。

こういった部品を使い、内部的な中心周波数(ベースバンド周波数)を上手くシフトして、最後にはサブキャリア束ね用の回路にまるっとぶち込む。それだけで、複数搬送波を束ねるという面倒な技術が実現してしまいます。

ということで、特にLTEでこれが出てきた理由は、これに加えて、背後の制御ノード技術の進化もあったりなかったりするのですが、その辺は省略。とにかく、こんな感じで複数の搬送波を束ねてハイスピードを出すのがキャリアアグリゲーション。

ただ、高速化するだけがキャリアアグリゲーションのご利益ではありません。重要なのは、複数の搬送波の中でデータ量が自動的にバランスされる、というところです。

この辺は古くからある「束ねる方式」とご利益は共通なのですが、ある搬送波が混雑していて別の搬送波が混雑していない場合。もちろん、混雑しているところの割り当ては少なめ、空いているところは多めの割り当てができます。ってことは、空いているほうに優先的にたくさんのデータを流していることになります。搬送波の間で自動的に負荷分散ができちゃってるんですね。

特にLTEが優秀なのは、それがかなり小さな単位(PDCPパケット単位)でできちゃうところ。たとえば、PHSの束ねる方式は、「マルチリンクPPP」を使っていました。この方式、束ねた複数のPPPが同期している必要があったので、搬送波間の負荷分散という意味ではほとんど無意味でした。それ以外の方式も、リンク間の受信連携、すなわち「基地局の裏側のフロー制御」にいろんな制限があるために綺麗な負荷分散がしにくかったのですが、LTEではそれがほとんどシームレスにできるような仕組みが整っています。

最後に。たとえば、20MHzの搬送波一つと10MHz+10MHzのキャリアアグリゲーション、結果としてどっちがいいの?というきわめてマニアックな質問について。

たいして変わらないと思います。ただし、制御シグナルのオーバーヘッドが多い分、スループットの面ではキャリアアグリゲーションの方が不利でしょうね。一方、移動時など電波環境が変わりやすい場合、別々の特性のバンドを束ねていることで「片方が悪くなってももう片方が大丈夫」という状況が起こりやすくなるので、キャリアアグリゲーションの方が安定するだろうと想像できます。それと、キャリアアグリゲーションだと上りは片方だけでいいので、電力密度を高くできる=上りが届きやすくなる=エリアが広め、ということも考えられると思います(この差は微々たる物になるでしょうけど)。

ということでキャリアアグリゲーションについてでした。

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2014/8/5 10:00 · 技術動向 · (No comments)
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