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2018/3/30 10:00 · 技術動向 · (No comments)

質問たくさんいただいています。

高校生の発明した新方式「MARIA」について、あれって本当に実用化できるの? 本当にすごい効果があるの?

えー、元の論文を読めてないので、なんともいえません。さらに正直に言うと、論文を読んでもなんともいえないと思います(笑)。ざっくりニュースを流し読みしてその上で方式を想像してみたところ、何しろ高度な数学の素養が必要っぽいですから。自慢じゃないですが、私は数学が大嫌いです。無線なんて直感です(コラ)。

で、ニュースを見た感じ、変調方式そのものに色付けしておいて空間多重をする方式のように見えます。OFDMの発展方式として、各サブキャリアをさらにCDMAで拡散処理することで電力多重する方式ってのがありましたが、なんだか、それに近い方式のように思えます。

空間多重をした後、それを復調するとき、時間方向、周波数方向に広がった伝送波全体を見渡してみると、全体的にうすぼんやりとしているんですよね(イメージの話)。で、よーく目を凝らしてみるとどうやらいくつかのパターンが重なっているらしい。ってことで、特定のパターンに着目して復調パラメータをいじくるとあら不思議、きれいな伝送波が取り出せちゃう。別のパターンに着目するとまた別の伝送波が取り出せちゃう。これが、MIMOの基本。

その「着目するパターン」をどのように定義するか、ってのはそれこそ無限に考えられ、たとえば、LTEでは、広い伝送波の極一部のブロックに「既知の信号を埋め込んでおく」という方法を取っています。MIMOの多重数が増えるごとに、その「既知の信号(を埋め込んだブロック)」を増やしていく、ということで、多重数を増していく方式です。

MARIAが何をしているのかよくわからんのですが、伝送波全体にわたって、変調方式(位相差)のパターンを施すようなものなんじゃないかな、と思います。その位相差パターンは既知のものとして送信側と受信側で共有しておく前提で。すると、位相差パターンが一致しない伝送波は全体として相殺されて薄まり、一致するパターンが浮き出してくる。これを全部のパターンでやっていけば、定義したパターンの数だけ多重化できる。そんな感じかなーと思うんです。

MIMOは、各アンテナから別のストリームを送信してそれが反射などなどで別経路を通ることで既知信号の位相ズレを起こす、それを上手く受信側で取り出すわけですが、MARIAは、意図的に最初から位相ズレを埋め込んでおくわけですね。ということは、アンテナが複数である必要もありません。だから、MIMOよりはCDMAに近い概念なんだろうな、と。アナログレベルでコードを埋め込んじゃうわけです。

ってことで、そうなれば、効能も限界もCDMAと同じ。同時接続数とエリア半径を犠牲にすればいくらでも性能を向上させられるという恐ろしい方式になるわけです。最後期のCDMAもとにかく束ねるコード数を増やしまくってカタログスペックを上げまくっていましたよね。あれと同じことが出来るようになります。ただ、当然ですが、それを処理しきるだけのアナログデバイスの線形性とデジタルデバイスのパワーが必要になります。

デバイスが無茶だからといっても、CDMAでさえ登場当時は「そんな無茶な方式が成り立つものか」と言われていたくらいですから、今現在そんな無茶なデバイスが存在しないからといって将来的にMARIAが成り立たないとはいえません。似たような候補がいくつかある中で、候補として取り上げられる可能性はゼロではないだろうなー、と言っておきます。

もうちょっと詳しい解説記事とかないかなあ。

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2018/3/30 10:00 · 技術動向 · (No comments)
2018/3/29 16:00 · その他技術ネタ · (No comments)

マルチギガ化したよ。いや、新しいONU自体は思ったより早く届いたんですけど、入れ替え期限まで60日もあったんでほっといた(苦笑)。

で、先日、twitterにとってつけたようにooklaの計測結果貼り付けちゃった件に気づいた方もいらっしゃるかもしれませんが、コピペできなかったんでメモ代わりにtwitterに投稿しておいたやつです。

当然、家のLANが全部1Gbpsなので、1G以上は出ないのは分かった上で測定してみたんですが。

下り600Mbpsくらい。まあこのくらいの数字はよく見る数字なので、こんなもんか。むしろ変わんないのか。えー。

上り900Mbps。この数字は初めて。調子がいいときで800Mbps前後だったので、ネットに抜ける回線自体が太くなったことでマージンが出来て宅内回線ギリギリまで使いきれてる感じになったのかな?

そんな感じ。上りがほんのりとパワーアップしているのに対して下りは今まで通り、ってことを考えると、下りに関しては、NICを10Gにしてもそこまでは上がらないかも、なんて思います。ちなみに我が家のインターネット回線の用途、トラフィック軸でランキングつけたらたぶんネットへの動画送信(実家や車載からのリモート視聴とか)が突き抜けて多いと思うので、なんにせよ上りが強くなるのはうれしいです。

だれか10G NICちょーだい。ロープロファイルで。

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2018/3/29 16:00 · その他技術ネタ · (No comments)

そうそう、3/1にauひかりが5G/10Gのサービスを始めてですね、確認してみたらうちも見事にサービスエリア内でした。

ってことで、よっしゃー、追加料金なしで5Gになるなら申し込んじゃうぞー、と思ってですね、申し込もうと思いつつ、そうそう、宅内側もマルチギガ対応にしないと意味ないよね、とおもむろにamazonなんぞで検索してみて。

しょうがない。10G対応スイッチが3万円前後ってのは、まあ分かる。これでもかなり安くなった。最悪、マルチギガにしたいPCだけHGWの10GBASE-Tポートに挿しちゃえばいいし。

10G対応のNICが、冗談みたいな値段。怪しいものを除くと、PCIeアダプタが軒並み2万円前後ですよ。なんじゃそりゃ。5GBASE-T対応のUSBアダプタなんてものもあるんじゃないかなーって検索してみたら確かに引っかかったけど、6万超え。なんじゃそりゃ。

家の中の配線は、一応、cat6 37m未満で設計したんですね。いや、ハウスメーカーのなんか社内規格の関係でcat6e/a以上のケーブルを採用できないとかなんとかで苦肉の策で、だったんですけど。で、スイッチはハウスメーカーの埋め込み品を断って、LAN集合コンセント(パネル)だけ作ってもらって、自分で持ち込みにして、スイッチだけ交換すれば10G-LANが構築できるよ、っていうもくろみだったんですけど。

NICがネック。ニックがネック。ニックキュウはネッコ。

まあそんな感じで。

とりあえず手数料以外はかからないので申し込みはするんですが、5Gの本気スピードを見るのはまだ先になりそうです。5G←→10Gの間の契約変更はペナルティなしで出来そうなので、環境がそろったら一瞬10Gに切り替えて本気を見てみたいですね。

まあそんな感じで。

(オチなし)

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はまってる人多いんじゃないかと思って、エントリーしておきます。

Windows10で、無線LANと携帯ネットワーク(内蔵無線WAN/LTE)を同時にONにして置き、なおかつ、どちらも「自動的に接続」に設定してあるとき。
気が付くと、無線LANが切断されていることがあるんですね。自宅なのに、LTE接続で使ってることが。

頻発するので、自宅にいるときはわざわざ携帯ネットワークをOFFにしたりしていたんですけど、めんどくさいなあ、って思ってて。ネットワークアダプタのメトリックを携帯ネットワーク>無線LAN>イーサネット、の順にして、ルーティングの優先度を変えてみたりしたけど、ダメ。

調べてみたら、Windows10には、ネットワーク接続の「数」を最小化するっていう機能があるんですね。省電力のために、なるべく接続数を絞ろうとするみたい。で、スリープから復帰したときとか、たいていは無線LANが接続、その後携帯ネットワークが接続、って順番で、どうも、そのタイミングで「じゃ無線LANいらないよね」って切断してくれちゃってるみたい。

ということで、解決策は、レジストリエディタでした。

コマンド名実行でregeditを実行。
場所は、
[HKEY_LOCAL_MACHINE] -> [Software] -> [Policies] -> [Microsoft] -> [Windows] -> [WcmSvc] -> [Local]

ここに、
[fMinimizeConnections]という名前で[DWORD32]の値を追加します。値は”0″で。すでに存在している場合は、値が”1″になっていると思うので、これを”0″に変えます。

一応これで直りました。お役立てください。

値が存在していて”0″になってて、それでも同じ症状に悩んでいたら・・・わかりません(コラ)。

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2015/6/18 10:00 · 技術動向 · (No comments)

4Gの次の5Gって話がすでに出始めています。これがどんなものになるのか、って話。

実はまだ5Gの明確な要件はまとまってないんですが、大体いろんな会社がどんなものになるかを想定してそこに向かって技術展示を始めているのが今の状況ですね。Wireless Japanとかでも結構出てました。

ポイントは、今のLTE-Aではカバーしきれない需要を拾い上げるための技術、というところになりそうです。今のLTEでカバーできないのはどんなところか?というと、例えば、Gbpsをはるかに超える高速通信とか、1ms以下の超低遅延とか、M2M向けの超多数接続&超低電力、という辺りをどの開発者も狙っているみたいですね。

それが具体的にどんなインターフェースを生むのか?という点については、残念ながらまだ予測できません。ただ、なんとなくですが、「超高周波の活用」と「超短時間バースト」あたりがキーになりそうな感じです。

ただね、実のところ、こういった需要ってどのくらいあるの?という疑問がわくんですよ。

いや、需要があるのはわかってるんです。今後、5Gのシナリオで描かれている需要はアホみたいに増えるだろうことはわかってるんですよ。ただ、それを現実に落としたときの「5Gの」需要があるかどうか、ってことなんです。

超高周波活用。これは、セル半径が著しく小さくなることを意味します。

超短時間バースト。これも、セル半径に強い制約をかけます。

超低電力という点でも、行き着く先では有効セルを狭くせざるを得なくなるでしょう。

セルが小さくなる。否応無くセルが小さくなっちゃうんです、5Gでは。そうすると誰が困るって、ぶっちゃけ、通信事業者ですよね。設計が大変なのはもとより、セルが小さいのにM2M的な超ロングテールの需要をカバーしなきゃならない=カバレッジホールを許容できないシステム、局数(=ロケーション数)は指数的に増えていきます。

にもかかわらず、収益への貢献は小さい。残っているフロンティア=超ロングテールの領域は、要するに「LTEを使うほどじゃないんだけど」って領域。月額100円なら払ってもいいけど月額5000円はありえない、って領域が取り残されているわけです。従来よりも指数関数的に増大する基地局にかかるコストと、月額100円程度のロングテールの獲得、天秤にかけて、まともな事業者なら投資しませんって。だったら、LTE-Aの束ねるキャリア数を増やして「超高速」の部分だけを突出させ、月額数万円を出せるレベルのヘビーユーザを囲い込んでいったほうがはるかに効率的なんです。あるいは、そんなヘビーユーザがたむろしているような場所だけ限定的に5G投資する、とか。

てな感じで、私は5Gに関してはあまり期待していないというか、絵に描いた餅感をどうしてもぬぐえないのですが、過去にもLTEに対して似たようなことを言った記憶があるので、ぜひともこのコラムを「最強の逆予想」としてがんばってくださいね~>メーカ、事業者諸氏

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2015/6/18 10:00 · 技術動向 · (No comments)
2015/2/17 10:00 · 技術動向 · (No comments)

ちょっと前に我が家を新築したのです。

いきなりでわけわかんないと思いますが、今日の話はDECTです。欧州版PHSとか呼ばれたりもする、アレ。

前の家では、DECTがぼろぼろだったんですよ。逆ですね、DECTを使うとCS放送がぼろぼろにやられてました。たぶん、ブースター周りで甘い工事があったんだろうと思うんですが(何しろ25年近く前の地元工務店の施工+地元工務店のリフォームが何度か)、いまさら原因特定するのも面倒だし、DECTをあきらめてたんです。ただ、せっかく買った機器は取っておいたんですけど。

で、新しい家。さすがにその辺の施工はしっかりしてて、DECTを使ってもまったく問題なくなりました。ひゃっほぃ。

そんなわけで、電話はDECT、加えて、音声モニタとかそういうのもDECT方式で導入して快適です。

なんでDECTにこだわるのかって、そりゃ、干渉が無いからです。DECTの使う1.9G帯は日本ではもともとPHS用の帯域で、そこで使うことが認められているのは、PHSやDECTといった「与干渉防護機構」が技術規格そのものに含まれている方式だけ。だから、(CS-IFなどの不慮の干渉を除けば)原理的に干渉を受けない・与えないんですね。

少なくとも汚れきった2.4G帯を使ったデジタルコードレスなんてナンセンスなことこの上ない。Bluetoothも同じ。いくら干渉耐力の強い方式だって、広帯域バーストを食らえば余裕で切れます。身近なところでは電子レンジとかね。最近、特に音声伝送にはBluetoothで2.4G帯を使う流れが増えているようですが、まあ、自分で使う分には干渉でノイズが入ろうが知ったこっちゃなくても、みんなが使う流れは再び2.4Gを汚す流れなんですよね。

ぶっちゃけ、職場でも最近、Bluetoothヘッドセットを使う人が増えていて、電話中にブツブツノイズ入ったり切れたりって事が増えてます。明らかにベースのノイズレベルが上がっていてS/Nが下がってきているんですよ。加えて、街中には乱立する公衆Wi-Fiでしょ。もう2.4G帯は核の炎に包まれたあとの世紀末と同じですよ。力こそ正義のヒャッハー状態ですよ。

だからこそ、DECTなんです。いや、ちょっと前まではPHSって言うところなんですけど、もう、PHSのチップを作れるところがほとんどなくなってきていて、公衆PHS専業みたいになってるので、自営PHSのチップをほぼ誰も作れない状態になってきているんですよね。その点、DECTはグローバルでまだまだ市場があって、割と簡単にいろんな機器に組み込める。最近も「えっ、こんなのにもDECT使ってんだ!?」みたいなのを見てですね、まだまだDECTの可能性を感じたわけです。

そんなわけで、何が「DECTはまだか」なのかって言うと、ぶっちゃけ、スマホとかのモバイル機器にDECT搭載するのまだかなあ、って話なんです。DECT方式のヘッドセット/ハンドセット。特にハンドセットは一般品がそのままつながるはず(理屈上は)なので、選択肢も広がっていいこと尽くめ。家庭用電話機とモバイル機器と簡易オーディオ機器の間でいろんなタイプの子機を相互で使えるとか、便利ですよね。

ソフトバンクは旧ウィルコムを吸収したうえEメールアドレスの引継ぎまでできるようにしてPHS清算を急加速していますし、その暁には1.9G帯全域を自営DECTに開放してほしいですね。ほんと、いろいろ遊べる便利な仕様なのですよ、DECTは。

ってことで、もっといろんなDECT機器、かもーん。

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2015/2/17 10:00 · 技術動向 · (No comments)
2014/8/5 10:00 · 技術動向 · (No comments)

たくさん質問をいただいていて、長いものだと何ヶ月も放置しています。すみません。

できるだけネタとして取り上げていきたいところです。

今日は、キャリアアグリゲーション。

これって何なんですか?とか、どんなご利益があるんですか?(意訳)というご質問を何件かいただいています。

まず、キャリアアグリゲーションとは。

LTEの次の世代、LTE-Advanceの主要技術の一つで、これをもって、LTE系が正式に4G (IMT-Advanced)に到達するとされている技術です。まあ、今はIMT側も態度が軟化していて3.9G系も全部4Gって呼んでいいよ、ってことになってるみたいですが。

簡単に言うと、複数の搬送波(キャリア)を束ねる(アグリゲーション)技術です。終わり。ひどい。

さて、複数の電波を束ねる、というネタは、古くからネタに事欠きません。とりあえず、高速化と考えたとき、複数の電波を束ねるのは常套手段です。ただし問題は、たとえば、時分割の電波を複数束ねるなら簡単だけれども、周波数分割な電波を複数束ねるのは非常に難度が高い、ということ。TDMAなGSMやPDCやPHSでは早くから束ねる技術が出てきていたのに、CDMA系ではなかなか実用化されなかったのはそういうわけです。

異なる周波数の搬送波を「同時刻に」受信することは、簡単にはできないんです。それぞれの無線波にあわせた無線機と、そこから取り出した内部波形の処理部分(ベースバンド)が必要になるので、回路規模が大きくなりがちなんですね。

ところが、LTE、というか、OFDMAには、一つ、ズルができる点があります。それが、「もともと小さなサブキャリアを束ねた方式」ってところです。つまり、最初から束ねてるんですね。それを、比較的簡単な数学的処理で実現している。その数学的処理をハードウェアでごりっとやる方法もかなり古くに確立している。

となると、LTEで複数のキャリアを束ねることのハードルが一気に下がります。回路規模が小さくて済むようになるんですね。

また、それでもどうしても出てくるアナログ無線回路の部分でも最近、いいものが出てきています。というか、むしろキャリアアグリゲーションを当て込んだ新技術なのですが、離れた別々のバンドの周波数を選択的に透過するようなことを部品一個で実現するようなものです(ダイプレクサとかクアドラプレクサとか呼ばれているようです)。

こういった部品を使い、内部的な中心周波数(ベースバンド周波数)を上手くシフトして、最後にはサブキャリア束ね用の回路にまるっとぶち込む。それだけで、複数搬送波を束ねるという面倒な技術が実現してしまいます。

ということで、特にLTEでこれが出てきた理由は、これに加えて、背後の制御ノード技術の進化もあったりなかったりするのですが、その辺は省略。とにかく、こんな感じで複数の搬送波を束ねてハイスピードを出すのがキャリアアグリゲーション。

ただ、高速化するだけがキャリアアグリゲーションのご利益ではありません。重要なのは、複数の搬送波の中でデータ量が自動的にバランスされる、というところです。

この辺は古くからある「束ねる方式」とご利益は共通なのですが、ある搬送波が混雑していて別の搬送波が混雑していない場合。もちろん、混雑しているところの割り当ては少なめ、空いているところは多めの割り当てができます。ってことは、空いているほうに優先的にたくさんのデータを流していることになります。搬送波の間で自動的に負荷分散ができちゃってるんですね。

特にLTEが優秀なのは、それがかなり小さな単位(PDCPパケット単位)でできちゃうところ。たとえば、PHSの束ねる方式は、「マルチリンクPPP」を使っていました。この方式、束ねた複数のPPPが同期している必要があったので、搬送波間の負荷分散という意味ではほとんど無意味でした。それ以外の方式も、リンク間の受信連携、すなわち「基地局の裏側のフロー制御」にいろんな制限があるために綺麗な負荷分散がしにくかったのですが、LTEではそれがほとんどシームレスにできるような仕組みが整っています。

最後に。たとえば、20MHzの搬送波一つと10MHz+10MHzのキャリアアグリゲーション、結果としてどっちがいいの?というきわめてマニアックな質問について。

たいして変わらないと思います。ただし、制御シグナルのオーバーヘッドが多い分、スループットの面ではキャリアアグリゲーションの方が不利でしょうね。一方、移動時など電波環境が変わりやすい場合、別々の特性のバンドを束ねていることで「片方が悪くなってももう片方が大丈夫」という状況が起こりやすくなるので、キャリアアグリゲーションの方が安定するだろうと想像できます。それと、キャリアアグリゲーションだと上りは片方だけでいいので、電力密度を高くできる=上りが届きやすくなる=エリアが広め、ということも考えられると思います(この差は微々たる物になるでしょうけど)。

ということでキャリアアグリゲーションについてでした。

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2014/8/5 10:00 · 技術動向 · (No comments)

どうしてスマホにハードウェアキーが無くなっていっちゃったんでしょうね、と言うお便りをいくつかいただいています。本当にどうしてでしょうね。

片方の都合はよく分かるんです。作る側の都合。可動部って一番コストがかかるから作りたくないんです。何度でも書きますが、全面タッチパネルのカマボコ板が一番低コストで誰にでも作れるんです。ボタンだのヒンジだのをつけるとそれだけでどんどん設計難度が上がっていきます。

技術の蓄積が無くても、お試しレベルで作れちゃうのがカマボコ板。凝ったデザインになればもちろん複雑な組み立てラインが必要でそれなりの会社にしか作れないでしょうが、それでも、内部設計は簡単。出来合いの配置図どおりにチップとアンテナを配置するだけで作れちゃうレベル。一方物理ボタンがここに増えていくと、つまり、電気的な接点が余計に増えていくわけです。電気的な接点は無線設計上は厄介な邪魔者。ちゃんと技術があればそれでも性能の出るものを作れますが、それでは、新興国の安物にコスト競争でとてもかなわない、と言うことなんでしょうね。

作る側としては、一台作るごとにコストの発生するハードウェアに余計な仕掛けを入れるよりは、売れば売るほどコストを回収できるソフトウェアに力を入れたほうがいい、と判断するのは、自然なことだと思います。通信環境が整っているので、実際のコーディングは地球の裏でやっても良い訳ですし、であれば、一番人件費の安い国をいつだって好きなように選べる、と言うのも、ソフト重視の流れを強く後押ししています。

もう片方の都合。使う側の都合なのですが、こちらがよく分からない。確かに、タッチパネルがひとつあればあらゆる操作ができちゃうので、物理ボタンは必須ではない、ってことはよく分かるんです。ただ、思いのほかそれを不便と思う人が少ないんですよね。

むしろ、全部タッチパネルのほうがかっこいい的な流れじゃないですか、今。よろしくないですね(個人的に)。どうしてタッチ操作しかなくてまともに使えるのかが、まったくもってわからんのです。正直、タッチ操作情報端末の黎明期(palmとかzaurusとか)からタッチ機器をそれなりに使いこなしてきたと自負する私でも、タッチ操作はメインの操作方法にはなりえない、としか言えないのです。

まず、スマホを持ったとき、片面の9割以上が「触ると反応する操作部であり操作しないときは触っちゃダメエリア」ってのが苦痛。せめてタッチ部と把持部を分けてくれればいいんだけど、全面ですからね。あと、触って操作する前に操作しようとしている対象が間違っていないかどうかを確認できないってのも苦痛。タッチして操作が入力された後でタッチ位置がずれてたと初めて分かるインターフェース。物理キーなら今指がどのキーの上にあるかを操作する前に確認できる。もちろん確認しなくたって操作ができる。完全にマニピュレータとしてデグレ。

だと思うんだけど、いまいちこれを理解してくれる人がいないんですよね。なんで?タッチ操作なら全部できるし好きなところ押せるから便利だしフリックとかなんとかの新しい操作もできるじゃん。と言う感じで。もちろんその通りだから、タッチパネルをやめろなんていうつもりは無くて、タッチパネルを物理キーの置き換えにしちゃうのをやめろ、って話なんですけどね。理想の端末インターフェースの組み合わせは、Advanced W-ZERO3[es]。懐かしい。把持すべき場所はハードキー主体で誤操作なし、画面はタッチ操作可能。さらにQWERTYキーまで隠し持って。あれはWMだったのでタッチ操作が貧弱でしたが、あの形でAndroid作れたらかなりいいものになると思うんですけどねぇ。きっと売れないんでしょうねぇ(苦笑)。

質問への回答じゃなくて愚痴になっちゃいましたが、いろんな事情があるんでしょうね、と言うお話。ほんとに愚痴だなこれ。

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