ずーっと書こう書こうと思ってたネタなのですが、LTEになってから当たり前になったデータ量規制についてです。
今どこのキャリアも、5GBとか7GBとかの月間データ量制限があり、それを過ぎると通信速度が制限される、みたいなプランばかりになっています。LTE時代になると、なまじスループットが出るので、コア設備などを守る目的でデータ量制限をするのは当然と言えば当然なのですが、私は純粋に技術者として、これがあまりに「下手な仕組み」なのが気になっててしょうがないんです。
通信量を制限してネットワークを守る。その目的を達するにはいろんな方法があるはずなんですが、誰もがこぞって「月間の通信量の制限」を選んでいることが理解できない。日本の通信キャリア社員には馬鹿しかいないんですか、と。
もちろん、「制限があるぞ」という脅し効果で使用量を心理的に抑えこむ効果もあるのでしょうが、そんなもの結局、使う人は使うんです。最終的には7GBの上限に当たる人はたくさん出てくるんです。
さて。
簡単なことなんです。ちょっと考えれば分かるんです。
月の始め頃は、誰も規制されていません。と言うことは、みんなフルスピードで通信できます。当然、ネットワークに流れるトラフィックは多くなります。
月末に向けて、徐々に規制される人が出てきます。そういった人々は、使わないか、使えても128kbpsとかになります。ネットワーク全体に流れるトラフィックはそれにあわせて減少していきます。
そして、月末、ネットワークのトラフィックは最小化します。当然ですね、この日が、規制されている人が一番多いんですから。
そしてその翌日は月初です。全員の規制が解除されます。一斉にフルスピードに回復します。
つまり、月末と月初に、あからさまにトラフィックの偏在が生じることは、ド素人にさえ想像がつくんです。
ネットワークの運用、特に容量管理という観点では、もっとも大切なことは「平準化」です。ネットワークというのは、もっとも負荷が高い条件に合わせて設計しなければなりません。ですから、負荷の高い条件と低い条件の差をできるだけ小さくする、すなわち平準化を行う、そうすることにより無駄な設備を用意せずに済み、ネットワークコストを低減できます。
たとえば、アプリやOSのアップデートみたいな裏でこっそりやっていてもいいようなやり取りは使う人の少ない夜中に行われるようにする、そういったことも平準化の一つです。ともかく、負荷のピークをどこか別のところに移し変えれば、それだけ、ネットワークとして用意しなければならない資源は少なくて済むんです。
大量データ利用者を制限するのもそうです。大量に使う人とそうでない人のトラフィックを平準化する、そのために、大量に使う人を選択的に制限してあげる。そうすることで、ネットワーク負荷の不均衡、偏在をできるだけ小さくしてあげるんです。
ね、考えると、日本のキャリアがいかに馬鹿かが分かりますね。月初には全員規制解除状態なんです。いくら7GBで制限しても、結局は「もっとも負荷の高い月初にあわせてインフラを用意しなきゃならない」んです。平準化することにより投資負担を減らしたいというデータ量規制の本来の目的には何の役にも立ってないんです。本当に馬鹿ですね。
そういう意味では、ソフトバンクにだけはちょっとだけ賢い人がいるんです。締め日を三つに分割している。だから、トラフィックの集中は三分の一で済むんです。もともとそういう料金システムだったってのもありますが、これは規制の効果という意味で、他の二社に比べて圧倒的な差です。いくら周波数が多くても周波数間の負荷分散はそれほど上手く進むものではありませんから、周波数の多寡に関係なく、月初の品質はソフトバンクが今後飛びぬけてくることになるはずです。それでも、同じ日に多くの人の規制が一斉に解除されるという「月単位規制」は余りに馬鹿げていると私は思いますけどね。
ほんと、月単位規制のこの弊害は、今後のインフラ品質競争上のキーポイントの一つになってくると思いますよ。LTE加入者比率が3割くらいだろう現状でも、すでに各社LTEネットワークは悲鳴を上げつつあります。効果的な規制の仕組みが作れないと、あっという間に競争から脱落していくと思います。
と、こんなところに書いても誰も見なさそうですけど。それでわ。

TWEET