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2011/8/25 10:00 · サービス解説 · (No comments)

と言うことで先日のエントリーのあまりの楽さに味をしめて、今度は、携帯電話各社のスマートフォンテザリング対応状況と料金・スペックの比較&まとめ。

ドコモ KDDI ソフトバンク イーモバイル
可/不可 WiMAX対応機のみ○ ×
定額料金 10,395円 5,460円 4,280~6,580円(基本料込)
テザリング通信方式 HSDPA WiMAX or CDMA HSDPA
テザリング通信速度 14Mbps/5.7Mbps 40Mbps/10Mbps or 3.1Mbps/2.4Mbps 7.2Mbps/5.8Mbps
テザリング中の本体使用 PC通信扱い
キャリアサービス利用不可
※spモードメール送受信のみ可
スマホ通信扱い(共通) スマホ通信扱い(共通)
テザリング有効化ウィジェット なし デフォルトであり デフォルトであり
その他 128kbps限定であれば定額料5,985円 WiMAX利用は+500円

こんな感じ。あ、一応、「○○を××すればどのキャリアでも出来るよ!」とか「△△を□□すればもっと安く出来るよ!」と言うツッコミは禁止の方向で。キャリアが公式に認めていない方法は当然キャリアからネットワーク的に制限される可能性がありますし、はっきり言ってそういった方法って、一般人から見ればスーパーハッカー並の超絶テクニックなんですよ。出来る人は「手順さえ守ればカンタン」と思うんでしょうけど、前提としてそういったproceduralな思考が出来るって言う一番高いハードルがあることを忘れているんですよね。「出来る人」が「出来ない人」を理解できないのはこの辺に問題があるんですよねぇ。話がそれましたが、とにかく、「お仕着せ」で出来ること以外は原則「出来ない」と分類した上でのまとめです。

料金的にはイーモバが一番ですが、やはりエリアに不満が出そうです。少なくとも、私の経験的に言うと、帰省や旅行ではイーモバは確実に圏外だったので。エリアマップを見る限り、関東近郊はほどほどに充実していますが、後述のau+WiMAXに比べるべくも無く。また、購入方法によって料金が変動するし、もう条件がしっちゃかめっちゃかで何がどうなっているのかさっぱり分からない超複雑な料金体系。同じフラット料金プランなのに10通りくらいの料金プランがひしめいていて、「実際に店頭で買ったらどの料金になるのか」が全く分からない状態。なので、この表では、幅のある表記にさせていただきました。

料金・エリア・スピードのバランスではやはりKDDIが突出しています。CDMAの超広いエリアのどこで使っても同じ料金だし、WiMAXエリア内ならテザリング最速だし、それでいてスマートフォンを普通に使う料金からの追加は一切不要、と言ういたれりつくせり状態。ただし今のところ1機種、EVOのみ。しかし、この秋にはWiMAX対応スマートフォンが何機種か出るという話もありますし、選択肢が拡がりそうです。LTEになってもこの料金体系は維持してほしいですね。

全機種対応を謳うドコモですが、テザリングするととたんに料金が1万円オーバーになってしまうのはいただけない。一応、128kbpsに制限すれば6千円弱に抑えられる、と言うことにはなっていますが、さすがにこのご時勢、128kbpsでは相当なストレスを我慢する必要が出てきそうです。ドコモがテザリング解禁!と大々的にやったのも、単にドコモもやってるよというアリバイ作りに近いような気がするひどい料金設定、ちょっとこれで使う気にはなれません。

ソフトバンクは公式にはテザリング非対応。そんなわけで、iPhoneユーザはあれやこれやの工夫をしてテザリング(的なこと)をしようと努力していますが、JailBreakが必要だったりプロキシ対応のアプリケーションしか動かせなかったりとやはり制限は多いようです。いずれにしても公式で非対応である以上、どの方法も突然塞がれても文句は言えないわけで、まぁソフトバンクなら素直にスマートフォン単体でネットを楽しんでれば良いじゃない、と思います。

と言う感じでテザリングに関する料金とスペックのまとめでした。

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2011/8/25 10:00 · サービス解説 · (No comments)
2011/8/19 10:00 · サービス解説 · 10 comments

※更新しました。2011/10/21
※更新しました。ドコモ条件を修正しました。確認方法有無を追加しました。

auの通信速度規制のニュースもあったので、とりあえず各社のスマートフォン向け速度規制の現状がどうなっているかをまとめてみるのが本日のネタ。中の人っぽい人にちょっと情報ももらえたので。

ドコモ KDDI ソフトバンク イーモバイル
制限条件 当日まで過去三日間で300万パケットを超えた場合 前日まで過去三日間で300万パケットを超えた場合 先々月の1ヶ月で1000万パケットを超えた場合、および特定のファイル・アプリ・サイト 前日21時~当日21時までで300万パケットを超えた場合
制限内容 混雑基地局のみ優先度低下 混雑基地局のみ優先度低下 混雑時間に速度制限、およびファイル内容の間引き 当日21時~翌日2時まで速度制限
制限から解除までの時間 1日~3日 1日~3日 1ヶ月~2ヶ月 1日
規制対象パケット使用量確認方法 あり あり なし なし
制限条件の1日当たり通信量換算 122MB 122MB 41MB 366MB
その他 テザリングは対象外? EVOだけは月間5GB突破で当月内規制
WiMAXは累計・規制の対象外
対象ファイル=MPEG、AVI、MOV、BMP、JPEG、GIF
対象アプリ=VoIP系
対象サイト=動画、高画質画像、長時間接続

大体こんな感じになっているようです。

ドコモ・KDDIは、無線ネットワーク機能としてQoSに近い制御をユーザごとに行うようで、その基地局エリアが空いていれば速度制限対象ユーザでも速度が落ちることはないようです。一方ソフトバンク・イーモバイルはもっと上位で対象ユーザ宛ての通信量を絞っているようで、全体として混雑してくると、局所的に空いているエリアでも速度が絞られることが出てくるようです。

この辺の違い、やっぱり、無線ネットワーク装置を自前で開発しているか買っているだけか、と言う大きな違いですね。自前で開発しているドコモ・KDDIは、無線割当アルゴリズムを加入者情報によって変化させる、なんていうカスタマイズが比較的簡単に出来ますが、そうではないソフトバンクとイーモバイルは、そういった細かい制御の開発には相当手間取るわけで、であれば混雑時間に上位で絞ってしまえ、と言うことに落ち着いたものと思われます。

追記2011/10/21:
実際の規制の見え方に大きな違いがありますので簡単に説明。ドコモ、KDDIは、無線基地局内で、送信予約パケットをユーザ別に並べ替えするにあたって、規制対象ユーザだけちょっとずつ後回しにします。なので、速度の下がり方は「相対的」。同じセル内(半径500m~2kmくらい)のライバルと比べると遅くなる、という規制のされ方なので、「実測結果が一律○kbps以下だったら規制されている」という判断は不可能です。一方、ソフトバンク、イーモバイルは、インターネットから規制対象端末に抜けるトラフィックを一定速度に絞ります。なので、どんなエリアにいても単純に「規制されたら○kbps以上は出ない」という動きになります。つまり速度の下がり方は「絶対的」。現在自分が規制中かどうか判別するに当たってはこれに留意しなければなりません。

ドコモ KDDI ソフトバンク イーモバイル
見え方 周りの人よりなんか遅い 周りの人よりなんか遅い 時間帯により最大速度が○kbps以下になる 時間帯により最大速度が○kbps以下になる
判別方法 ほどほど混雑した基地局エリアで規制されていない端末と速度を比べる(統計有意な測定数が必要) ほどほど混雑した基地局エリアで規制されていない端末と速度を比べる(統計有意な測定数が必要) 23時台などの混雑時間に非常に空いているエリアで一定の速度以上が出ないことを確認する 23時台などの混雑時間に非常に空いているエリアで一定の速度以上が出ないことを確認する

あとソフトバンク独特の制御として、アプリの種類やファイルや接続先サイトによる制限をかけています。アプリに関しては、VoIPが混雑時に絞られ、ファイルは一部圧縮率変換をかけて容量を減らしているようです(jpgは品質低減やjpg2000への変換、gif/pngは色数削減など)。サイトに関しては多分速度制限だと思いますが、具体的なところは明らかになっていません。

と言うことで、以上まとめと軽いコメントで。

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2011/8/19 10:00 · サービス解説 · 10 comments

さて先日、良く海外にいらっしゃるという方から、緊急通報に関する疑問と言うのをいただきましたので、紹介してみたいと思います。

本意を失わない程度で端折って引用しますと、

1)韓国において、日本から持ち込んだドコモのケータイにSIMを入れていない状態で緊急呼が可能なのはなぜ?そのとき回線はどう接続されているの?

2)韓国携帯(SIMロック付)にドコモSIMを入れ、日本で起動すると、一応ドコモに位置登録はされるが使えない状態、しかし110や119などは発信可能。ところが111にダイヤルすると「緊急呼接続ガイダンスです」とドコモでおなじみの人のトーキが流れ「警察は1消防は2海上保安庁は3をプッシュしてください」というガイダンスが日本語と英語で流れ、112(韓国警察)をダイヤルすると直接日本の警察に接続される、これらはなぜ?

猫)うちにも、猫が5玉いて、極めて自立的に家の中をうろうろしています。
でも、「ごはん~」と一斉呼をかけるとあらゆるタスクを停止して自動的に食事場所に集合してきます。

質問主様のブログ→「ソウルしてますか?」
※リンクご迷惑でしたらお知らせください。リンク外します。

さて、先日、規制と優先の解説で書いたとおり、携帯電話は、緊急通報をするときは、「今自分緊急っすから!」と言う情報をアクセスのときに付け加えます。これを見て、ネットワークは優先的につないであげるなどの処理を行うことが出来ます。

また、携帯電話は世界中どの国に行っても、その国の緊急通報を利用することが出来るようになっています(一部例外を除く)。緊急通報番号をダイヤルすると、「緊急っすから!」と言うシグナルを自動で生成してくれます。と言うことはどういうことか、と言うと。

携帯電話には、緊急通報番号の一覧が内蔵されているということです。まず携帯電話自身がダイヤルされた番号が緊急通報かどうかを判別しなければならないからです。この緊急通報番号の世界リストは、いろいろな国際的な勧告で制定されているもので、全対応を必須とはしていませんが、普通の携帯電話端末であれば勧告に載っているリストはすべて対応しているものです。

そして、SIM無し緊急通報について。これは3GPPの話になりますが、SIM無しの場合、加入者認証を行うための加入者IDが取得できません。ので、通常の音声発信シーケンスは頓挫することになるのですが、しかし、なんと3GPPには緊急発呼専用のシーケンスが用意されています。シーケンスどころか、制御メッセージも緊急発呼専用のものが用意されているくらいです。その場合、そのメッセージ・シーケンスには加入者IDなどを載せる必要はありません。と言うか、そのメッセージで発呼したらネットワークはメッセージが壊れているのでない限り即座に緊急通報先につないであげるというくらい特別な動作を要求するメッセージです。

通常、SIMが入っていなかったり、SIMに書いてある事業者情報では位置登録できない場合(ローミング協定がない場合など)では、携帯電話の画面は「圏外」になります。しかし、緊急発呼をする場合、端末は対応している周波数を全サーチし(サーチする順番は端末メーカの作りこみによる)、最初に見つかったネットワークにいきなり緊急発呼メッセージを送りつけてしまいます。緊急通報がまさに特別なのはこのあたりの作りこみです。位置登録しなくても緊急発呼が許されているわけです。というか、位置登録した場合、端末はそのエリアでだけ通用する「仮ID」見たいなものをもらうのですが、緊急発呼では「自分のIDを載せる必要がない」ので、この「仮ID」さえ不要となるわけです。

後は、日韓の番号に関する不思議な動作に関して。緊急番号かどうかは端末内のテーブルで判断できますが、実際にどこに繋がるのかは分かりません。一方、そのダイヤルを受けたドコモは、それをきちんとつないであげる必要があります。とはいえ、日本の110や119以外の番号が緊急発呼メッセージに載っていたらとても困ります。困ったらどうするのか。

とりあえず、読み替えます。112などはどうやらほとんどの国で警察オンリーになっているようなので、警察(110)と読み替えてつないでいるようで、また、111は国によって意味が全然違うみたいなので、どこにつなぐのかを選ばせている、と言うのが真相っぽいです。この辺は事業者のポリシーによるので、ひょっとすると他の事業者ではどちらの場合も選択させるトーキーが流れる、なんてこともあるかもしれません。

海外に行くとき、国際対応の端末をもっていても行く国がローミングに対応した事業者で全カバーされているとも限りませんし、その国の緊急通報番号を暗記していくことも稀。そういう時にあわてて自分の知っている緊急番号をダイヤルしても繋がるようにしている、と言うのが緊急通報の仕組みです。実は、同じ国内であってもこれは動きます。ソフトバンクの端末で圏外になっているときでも、ドコモの電波が入っていれば緊急通報だけは繋がるようになっています(共通帯域の2GHz帯だけですが)。イーモバは1.7Gしか対応していないのでちょっときびしいかも。auは方式が違うので根本的に無理。

SIM無しで緊急通報が出来る仕組み、世界中どこに行ってもとりあえず110まわしときゃなんとかなると言う仕組み、こうやって端末やネットワークが総出で助ける仕組みを回しているわけです。まぁもちろん、一部の国では「110?そんなの知らん」と弾いたりする、なんてウワサ(?)も聞きますが。

さて最後になりましたが、
> 猫)うちにも、猫が5玉いて、極めて自立的に家の中をうろうろしています。
猫の数助詞に「玉」を使うことの斬新さに驚きました。うちには3玉います。当家の猫どももほどほど自律的に家の中をうろうろしています。しかし、案外共依存性があり、誰かがくそ暑い部屋にこもっていると、暑い暑いという顔をしながら他のやつらもそこにこもってお付き合いしたりしています。また、「ごはんページング」でタスクを中止しないのが特徴です。と言うより、やつらがほしいというタイミング以外でごはんを差し上げても召し上がっていただけません。つまりページングの効かないタイプです。常に近距離でページングもないとなると、つまり無線LAN的です。あ、違う、無線にゃん的です。つまりうちの猫は(以下略)

と言うことで、SIM無しケータイでの緊急通報やローミングでの緊急通報の対応に関しての解説でした。

[追記] 質問主様から更なる情報いただきました。韓国で買ったケータイにソフトバンクUSIMを入れたら国内で緊急通報が出来なかったとのこと。私もすごく気になって、自宅においてある解約済みSB端末を確認したところ、SIM無しメニューには「緊急発呼」と言うメニューはあるものの、緊急通報が発呼直後に蹴っ飛ばされています。どうせSIMロックな端末だからと緊急呼をないがしろにしているのか、SB端末が最初にサーチ・補足するであろうSB網が呼を蹴っ飛ばしているのか・・・質問主様の情報から考えると「網で蹴っている」がありえそうですが、なにぶんモノが緊急呼、いろいろ実験してみるというわけにも行かないので、ちょっと真相は分からないです。

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そういえばありましたね、プッシュトーク(某記事コメントより)。と言うことで、今日は単なる懐かしい話。

Push To Talk(PTT)ってのが、流行りました。一時期。大昔にやっていたこのサイトのの前身の前身くらいのサイトで一度書いた記憶がありますが、あれって、一時は「ケータイでトランシーバ」みたいにものすごく勘違いして話が広まったんですよね。ケータイの電話機同士が直接トランシーバで通話するから通話料が無料なんだぞ、みたいな感じで。

実体は、電話機のPTTボタンを押している間に話すとそれが通話先に伝わり、ボタンを放すと相手の話していることを聞くモードに戻る、的な、なんと言うか、普通の電話みたいに耳にはりつけっぱなりで使うというよりは、古いトランシーバのような使い方、ってだけなんですよね。だからどこかの海外記事で「トランシーバ」って書かれてそれをそのまま翻訳した日本の記事で「携帯でトランシーバが実現するPTTがホット」みたいに書かれて、一部に変な誤解が広まっちゃった感じでした。

もちろんご利益はあって、普通の通話だと回線交換チャネルをずっと占有するので、時間に応じた料金がかかりますが、PTTはパケットチャネルを使ったアプリケーションの一種。なので、相手とはずっとセッションを張りっぱなしにでき、話したときだけパケット課金されるので(日本では1通話いくらの課金でしたが)、会話量は少ないけど長時間やり取りが続く、みたいな使い方に最適。また、多人数への同報もできることも特徴。

要するにトランシーバに近い使い方で、何かの作業をしながら時々指示や報告をリアルタイムで全員に伝える、みたいな用途には確かにちょうどよかったんです。

しかし日本では全然鳴かず飛ばずで終わり。ってのはやっぱりそういうユースケースを完全に読み違えていたからなんでしょうね。日本でのサービス、ドコモもauも、明らかに「グループ会話」って言うカテゴリでサービス開始。あくまで「会話」と位置づけていたので、会話に絞ったUIや端末になっていました。

でも上で書いたとおり、長い間張りっぱなしで時々指示が来る、みたいな使い方がPTTが真髄を発揮する場面。「会話(コンバセーション)」ではなく「呼びかけ(コール)」がPTTの本来の使い方だと思うんですね。仲良しグループで他愛もない会話をする、そんな用途に、発言権の取り合いになるPTTを使うのは明らかに相性が悪い。だけど、マイクロ波アンテナ工事現場で「A側アンテナ電源上げます」みたいな一言の「呼びかけ」をするにはちょうど良い、そう思いませんか?

「離れた場所で」「何らかの共同作業をしている」と言う状況が、PTTが活躍する一番の場所。もちろん、PTTはそれに特化した端末を用意すべきで、折りたたみ端末に押しにくいサイドボタンで、なんてのは論外、やはり無骨で耐衝撃性の強い端末を腰にぶら下げ、騒音下でも聞こえる大出力スピーカを備え、分厚い手袋をつけていても押せる大きなPTTボタン、そういうものにしておかなきゃならない。

で、離れた場所で共同作業っていうと、私なんかが最初に思いつくのは、先ほど書いたように長距離マイクロ波の工事とか、長距離通信路の工事とか。うん、通信インフラ屋なんですね。通信インフラ屋と言えばドコモにKDDIに。お前らまず自分で使えよ、と(笑)。

まぁどっちにしろ、そういう用途に対しても他の手段が充実しすぎていたため、流行は一過性で終わったということですね。いろいろ試してみるのは良いんですけど、やっぱり需要の矛先を間違えるとせっかくの機能が無駄になるわけで、もう少し考えればよかったのになぁと言う一言でした。

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面白い視点の質問をいただきました。っていうかすっかり忘れてた、って言うお話なんですけど、「一般電話・公衆電話からPHSにかけたときは距離別料金になっていて長距離は携帯宛よりも高い。070MNP化で携帯にかけたつもりで長距離PHSになってしまう恐れもある」と言うコメント、そしてどうしてそういう料金体系になっているのか、と言うご質問です。

加えて、うがった視点として、「ウィルコムが安い通話料金を実現するための原資としてそういった高額な料金を残しているのでは」とのコメントもついてましたので、まずはこの視点から。

まず大前提的なお話として、依存型PHSシステムの元々のカタチから。依存型PHSでは、PHS基地局は「NTT固定電話機」とほぼ同じ扱いです。アクセスチャージの発生のし方も、固定電話と同じ。つまり、「PHS基地局(PHS端末)から発信するときはアクセスチャージがかかる」けど「着信は無料」なんですよ。もっと正確に言うと、実は依存型PHSでは、「着信のときもPHS事業者からNTT東西に一部のアクセスチャージ(網機能利用料)を払わなきゃならない」ってことになっています。この場合、NTT東西は発信元の事業者からもアクセスチャージを取れるし、ウィルコムからもわずかながらも料金をとることができる、二重取り状態です。ただ、PHSがNTTの網機能(特に位置管理機能など)を利用しているという立場なので、NTTに制御機能に関する利用料を払わなければならないのはズルでもインチキでもありません。

つまり、ウィルコムは、いくら着信を受けても、実入りはゼロどころか着信すればするほど赤字なんです(苦笑)。なので、この辺の通話料を原資にウィルコムが割引をしているということは絶対にありえません。

ちなみに、さすがにこの状況はウィルコム一人負け確定ですから、ウィルコムも大転換を図りました。それが「ITXの導入と独自相互接続」です。ITXで独自網を作り、携帯電話各社と直接相互接続に踏み切りました。このため、携帯電話各社からウィルコムへの通話に関してはウィルコムは着信接続料収入を得られるようになりました。ただし、NTT東西を通る着信(つまり相互接続している携帯電話以外のすべての発信元からの着信)に関しては、いまだに一銭も取れないし料金の決定権もないし赤字を垂れ流しているという状態です(ひょっとすると一部のIP電話などとはそろそろ相互接続しているかも)。

さてではここまでの前提を確認した上で、長距離料金がなぜあんなことに、のほうへ。上のお話からも分かるとおり、(一部の相互接続済み事業者との間を除いて)実は長距離だろうが短距離だろうが、PHS事業者には料金決定権どころか料金に影響を与える決定ができる権利さえありません。長距離料金が高額である犯人は、ウィルコムではないということです。

となるともう犯人はNTT東西しかいませんね(苦笑)。そもそも、NTT東西の加入電話(not ひかり電話)、今でも距離別料金になっています。そして県外通信は、長距離通信事業者の設定によります。PHS基地局は原則としてNTT東西の加入電話と同じ位置づけなので、遠くからPHSを呼んだ場合は、真面目に呼び元地域のNTTに一旦着信し(ここでNTTから発信事業者へ着信アクセス料発生)、加入電話向け中継事業者網を通って(NTTcom、KDDI、SBTのどれか、ウィルコムの契約による)(ここで中継料発生、中継事業者がNTT東西へ請求→代理で回収)、端末がいる場所のPHS基地局に着信するわけです。このアクセス料、中継料をすべて積み上げた結果が発信者に課せられるアクセスチャージで、それを原価として発信事業者が料金を設定します。たとえば、NTT東西の加入電話&公衆電話は、真面目に距離別料金を課している、その結果が長距離高額な料金体系と言うわけです。

まぁ犯人も何も、そもそも「PHSはNTT東西の加入電話扱いである」ってことが原因で、NTT東西の加入電話に対しては、原則として発信地域NTTにまずつなぐ、ってのが原則だから、こういうことになっているわけです。MNPに参加できなかった理由もこれで、「070はNTTへ」と言う決まりがあり、NTTがMNPに対応する義理が無かったからなんですね。今も直接接続している事業者以外は「070はNTTへ」の原則に従った接続をしています。

ってことで、逆に言えば、070MNPが始まるタイミングで、この「070はNTTへ」と言う決まりが消えることが想定されます(というか消さないとMNPが実現できない)。ウィルコム自身が相互接続用の関門交換機を用意し、各電話事業者はそこに直接つなぐことになるわけです。このとき、この関門交換機での「アクセスチャージ」は、(ようやく)ウィルコム自身が決定権を持てるようになります。ここまで来て、距離別料金が撤廃される素地が整うわけです。

と言っても、結局PHS宛通話料金の決定権は発信事業者にありますから、どのように設定しても誰も文句は言えません。また、ウィルコムの関門交換機が各県1個くらいあれば安くも出来るでしょうが、東京と大阪にしかありませんとかだとそこまでの中継料は発信事業者負担ですから、高止まりしてしまう可能性も十分にあるとお知り置き頂いておいたほうがよろしいかと思います。

というわけで、高い公衆電話→PHS料金で儲けているのはNTT東西で、しかしMNPとは「070はNTTへ」と言う非常に大きな原則を元から取っ払うという意味であり、つまりPHS着信料金の決定権をNTTから剥奪することであり、これを機にPHS宛通話料の格差は多分一斉に改正されるだろうと考えられます(安くなる部分もありますがもちろん一部では高くなることもありうる)。ので、多分、MNP後の、携帯だと思ってかけたら遠距離PHS宛で大損した、みたいな話は(あまり)起こらなくなるのかなぁ、と。もちろん事業者別の格差は今でもあるので、0036とかでドコモだと思ってかけたらauだった、高い料金を取られた、と悔しがるのと同じくらいの格差は当然残るとは思いますが。以上、PHS宛通話料の不思議についてでした。でわ~。

↑ごめん、すごい大嘘書いた。一般加入&公衆電話発料金は着側が決めて良いんだった。でも、その原価になる接続料は「発地域NTT局に入ってから着地域PHS基地局」の距離別でNTT東西が決めるので、ややこしくなっているそもそもの原因は「070はNTTへ」と言う原則のせいです、と言うのは間違いではないです。でも嘘書きました。ごめんなさい。

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2011/5/11 10:00 · サービス解説 · (No comments)

メールで質問をいただきました。以前、DTIモバイルが安い理由で、非常に広い範囲(基本的に全国)の利用者全体の利用帯域の合計がコストになっているので安い代わりに無線が混んでいなくても接続点の混雑で遅くなることもありますよ、と書いた件について、UQのMVNOでも同じことが起こるでしょうか、という質問をいただいています。

基本的に、同じことは起こります。もちろんそれは、MVNO事業者がどの接続形態を選ぶかというところに大きく依ります。

MVNOの解説(123)でも書きましたが、MVNOには多くの接続形態があり、MVNO側がその中のどれを使ってどのようにサービスを提供するかを自由に選ぶことができます。そして、DTIモバイルのような超ベストエフォートタイプは結構大がかりなネットワーク装置をMVNO自身が用意しなければならない反面料金の自由度が高く、逆に再販型はMVNOが何も用意せずに始められるものまであります(その代り料金の自由度はほぼゼロ、実質単なる代理店状態)。

なので、そのMVNOが超ベストエフォートになってしまうかどうかは、MVNOごとに違うのが原則ですが、DTIモバイルのような場合は明らかに回線毎再販価格を下回るため相互接続型だな、と分かります。しかし、逆になるとどうなっているのかはわからないというのが正直なところです。

さて今回の質問では、具体的にヨドバシのWiMAXはどうなのでしょうか、というご質問も添えられていたため、ヨドバシWiMAXを見てみます。すると、料金プランは2種類、4480円定額と年間契約3880円定額、380~4980円2段階定額の3種類となっています。一方、UQのMVNO貸出条件を見てみると、再販型は3千円ちょっとの完全定額か340~3500円くらいの二段階定額、相互接続型は1回線1900円+全国容量いくら、という形です。

こうなると割と話は簡単で、接続料金に関しては、これはもうヨドバシWiMAXは確実に再販型です。相互接続型料金は基本料が1900円なので、380円スタートのヨドバシ2段階プランはこの場合原価割れ。また、相互接続型料金なら、もっとアグレッシブな料金を用意してもいいのに、結局UQオリジナルプラン丸コピーにヨドバシの自社提供無線LANをセットしただけという内容は、料金の自由度がかなり低いことを感じさせます。

実際の接続形態についてはUQの場合は相互接続型でも再販型料金を選べるという面倒くさい規約になっているのですが、相互接続型であっても、再販型料金であれば全国容量当たりにかかる費用は光ポートの実費だけであるため、実質全国ひっくるめての容量制限は生じません。また、再販型料金を選ぶ以上、よほどの理由(ユーザごとのサービス制御や課金をおこないたいなど)がない限りは、やたらとめんどくさい施設の整備が必要な相互接続型よりも再販型を選ぶのが自然です。つまり、再販された端末からインターネットの間にはボトルネックとなりうるヨドバシ独自のネットワークを挟んでいない可能性が高いといえます(UQ網からインターネット直通)。

となれば、UQオリジナルを選んでもヨドバシMVNOを選んでもさほど変わりはないのではないか、というのが私の意見です。もちろん、ヨドバシネットワークを挟んでいる可能性はゼロではありませんので、どうしても素のWiMAXにこだわりたいならUQを選ぶのもよいかもしれませんが、ヨドバシ版に関してはそこまで神経質にならなくてもいいかなー、と。

ぶっちゃけ、オリジナル版よりも妙に安いとか妙に凝った料金システムになってる(日割りができるとか時間チケットがあるとかプリペイドがあるとか)、などというプランを持っているMVNOでない限り、つまりオリジナルよりわずかに安いか何か特典がついているだけのほぼ丸コピープランばかりのMVNOであれば、たいていは再販型なので超ベストエフォートにはなっていないと思います。

ということで、UQ WiMAXのMVNOは超ベストエフォートか、について考えてみました。でわ~。

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2011/5/11 10:00 · サービス解説 · (No comments)

さて久々の質問より。「企業がナビダイヤルを採用するのはなぜでしょうか、通話料が高額でやな感じです」(意訳)と言うご質問。これについて、簡単に解説。

そもそもナビダイヤルってなんじゃらほい、と言う向きもなきにしもあらずなので、まずはそこから。

ナビダイヤルは、NTTコミュニケーションズが提供する「0570」から始まる番号。正確には、「ナビダイヤル」と言うサービスに割り当てられているのは「0570-0」で、実はこれ以外の事業者も0570番号を使っています。

NTTコミュニケーションズが提供している「ナビダイヤル」は、固定電話回線が引かれている事業所に対して、別途0570から始まる番号を割り当てる、と言うイメージです。このため、たとえば03-1234-5678と言う電話回線に0570-012-345と言う番号を割り当てれば、その電話に対しては03-1234-5678でも0570-012-345のどちらでも電話をかけることが出来る、と言うことになります。

これだけでは対した恩恵は無いように思われますが、これに加えて、別の電話番号の回線も同じ0570番号に束ねることが出来ます。先ほどの0570-012-345に対して、もう一つ、03-1234-5679と言う番号も割り当てれば、0570-012-345にかけた場合、どちらか空いている方に自動でつないでくれる、と言うことが実現できます。

いや、ただこれだけなら、複数回線収容の代表番号を設定すれば済む話だよね、と言われるとそうです。しかしナビダイヤルではさらに重要なポイントがあって、と言うのが、「複数の地域にまたがって電話番号を束ねることが出来る」と言う最大の恩恵があります。たとえば03-1234-5678と06-1234-5678を同じ0570-012-345に束ねておくと、0570番号にかけた場合、もし東京番号がビジーだったら自動で大阪に接続、と言うことをしてくれます。

実はこれ、元々は電気通信番号規則の兼ね合いでできなかったことなんです。一般的な市内回線への番号については地域番号を使うのが大原則。なので、東京と大阪を一つの番号に、たとえば03にかけたら大阪につながる、なんてことはやっちゃいけないという規則なんです。ただし、やっぱり「サービスごとに割り当てる」という概念の番号も必要とされ、そういう流れで出来たのが、0120や0570って言う番号。その仕組みを利用してNTTコミュニケーションズが始めたのがフリーダイヤル・ナビダイヤルってことです。

であるわけで、つまり、複数地域にあったり、あるいはどの場所に接続されるか分からない一般的な番号、と言うものとしてはそもそも0120とか0570を使うしかないというのが規則で決まっているわけです。複数地域をまとめたいという要求ももちろん、コールセンターの移設で電話番号が変わってしまう可能性をあらかじめ吸収してしまえるということから、0570番号が使われているわけですね。

さてこうなれば、後は採用する企業側の都合の問題。0120と0570のどちらを使うか、となると、0120であればかける側は通話料無料だけど企業が通話料を負担しなきゃならない、0570はかける側が負担するけど企業側は無料(あるいは一定を負担するオプションもあり)、と言うことで、要するに(顧客満足を無視しても)通信コストを削減したい企業が着信無料の0570番号を選んでいる、と言うだけの話なんですね。まぁ元々一般番号にかけても通話料はかかるわけで、であれば0570番号で発信者負担になっても別にいいでしょ、と言うのが企業側の考えだし、そこで、0120を採用しない企業はダメだ、なんてことを言うつもりもなく、ただどちらを選んでいるかと言う問題です。

ただし問題は、0570番号は一般電話よりもかなり高額に設定されているということと、電話の種類によってはつながらないことがある、と言うことですね。実はこれも企業側の都合である場合が多いです。と言うのが、ナビダイヤルサービスに「通話料一律オプション」があります。全国どこからかけても、どの種別の電話からかけても通話料を一律にし、差額を企業側が負担する、と言うサービス。半分フリーダイヤルみたいなものです。これを指定すると、たとえば携帯電話からかけた場合の超高額なナビダイヤル通話料の大半を企業が負担することになってしまいます。それを嫌って、「携帯電話から着信不可」を合わせて設定してしまうわけです。また、「一律」サービスを利用しない場合は、そもそもNTTコミュニケーションズが設定した高額なナビダイヤル通話料が適用されてしまうことになるため、携帯電話から0570番号にかける場合は「高額」か「かからない」かのどちらかになってしまう場合が多いと言うことになってしまうわけです。

と言うことで、まぁ、企業が採用する動機は、複数地域番号をまとめたり、地域を意識させない番号にしたいというもので、高額なのはNTTコミュニケーションズがそういう設定にしているから、で、それを企業が負担するか負担しないかを選ぶことも出来るし、同時にどの種別の電話からの着信を受けるかも企業が決めることが出来る、と言うわけで、要するに大半は企業のコスト調整が原因となって高額だったりかけられなかったりする、と言うのがナビダイヤル。接続できる出来ないの問題で言えばフリーダイヤルと同じです。

ちなみに、PHSだけはナビダイヤルにかけることが出来ません。これは、PHS側の交換機(の機能を担っているNTT交換機)の問題です。PHSでは通常はNTT交換機にルーティング先スイッチ作業を丸投げするものですが、NTTのPHS対応交換機は既に改修期限をすぎていて新しいネットワーク番号に対応出来ないみたいです。一方、事実上唯一のPHS事業者ウィルコムでは今独自ネットワーク化を進めていて交換機能を自社IPネットワーク上に移設する作業中であるため、そちらの完了を待てばIPネットワークからの直接接続で実現されるものと考えられます。

と言うことで本日はナビダイヤルの謎についての考察でした。でわー。

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