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2011/5/26 10:00 · 事業考察, 技術動向 · 6 comments

いや、いつからなのかははっきりしないんですけど。少なくとも5月頭からは。

一応都内、と言うか「都心」と言っても良いくらいのところにオフィスのある会社にいるんですが、昼休みにiモードが繋がらない。

全く繋がらないわけじゃないんです。ただ、特に12時台は3回に1回くらいは「しばらくおまちください(パケット)」になるんです。これって通信接続規制がかかっているときの表示ですよね、確か。

12時台だけじゃなく、11時半頃に見たこともあるし、13時過ぎにも見たことがあります。要するにこの辺の時間帯で大雑把に規制がかかっているということです。また地域的にも結構ばらつきがあるようで、同じ都内でも規制?なにそれ?な人がいたりもする。

通信規制の仕組みは、緊急地震速報と同じで基地局から端末に一方的に送りつける情報の中に「今規制中だからちょっと黙っててね」と言う情報を載せておくというもの。端末が一旦基地局に問い合わせて「アンタダメ」と言われるような仕組みもありますが、この場合は毎回上りトラフィックが発生してしまうし基地局の処理リソースも食うため、輻輳を抑制する効果は限定的です。やっぱり事前に「いいから黙れ」と申し付けるのが、規制の主流です。パケットを使おうとして瞬時に「おまちください」と出るのは基本この仕組み。そうでない場合はとりあえず接続中画面が開いてからやり直せといわれます。

が、普通、そんなに規制ってしないものなんですよ。いや、規制をする仕組み上、あまり頻繁にON/OFFするのは、結構めんどいんですよ(異なるネットワークノード間で保守インターフェースが違うためオンラインで自動一括処理は難しい)。なので、ちょっと昔は、あらかじめ分かりきっている輻輳イベント(お祭りとか年末年始とか)に対してはタイマーを仕込んでおいて機械的に対応するなんてのが普通でしたし、突発的な輻輳発生の場合は自動でONになるけど、どの時点で解除して良いかは機械的には判断できないので規制解除は手動だったりします。となると、後の解除オペがめんどいので、いくら「突発的」でもカンタンには発動させない、よほど「やばい」状況にならないと規制発動までは行かないようにしてあるものなんですよ。

と言うことを考えると、ほぼ毎日、時間も1時間か2時間か、([追記]しかも影響範囲から言っておそらくほぼセル単位での規制)しかも規制率もそんなに高くない規制を自動的に繰り返してるって、結構すごいことかも、なんて思ったりして。かなり高級な規制発動・解除システムが動いていることが伺えるわけです([追記]普通は手動で、しかも交換局単位くらいでがばっとやるんだけど、今時々起るやんわり規制は歩いて5分ほどの定食屋ではまったく再現せず=おそらく完全にセル単位で自律的にリアルタイムのアテンプト数ベースで超細かく規制率を変動させているっぽい)。震災のときも、ドコモは比較的早い段階で混乱なく規制解除できたのにauは一部地域でだらだらと規制が残っていたりしましたよね。

ただ、いくら高級なシステムが動いていて電波オタク的にニヤニヤできても、パケットが使えないというのは利用者としては不満です。というか、ドコモのネットワーク、そこまで追い込まれちゃってんの?と言うことなんですよ。インフラ最強を自認し他認されるドコモが、利用者のお昼休みの暇つぶしアクセスくらいで規制発動せざるを得ないほど逼迫してるのかー、ってことですよ。

ドコモもインフラ最強とは言え、やっぱりどうしてもぶつからなきゃならない壁は存在します。携帯電話エリアの容量アップとなると、まずは周波数増量、ついで、エリア(セル)の分割です。しかし、セルを分割するにしても、都市部ではどうしてもこれ以上分割できないところが出てきます。セル半径に対して建造物の大きさが無視できない大きさになるような状況です。こういう場所でセル分割をして半径を小さくすると建造物の陰で品質が劣化しますし、屋内品質も劣化します。つまりセルエッジ形状がでこぼこ&不連続になり、きれいに分割できなくなってしまうわけです。

こういうところでは、屋内対応やビル陰張り出し局対応とセットでセル分割を進めることが必要になりますが、もちろんすべての屋内につつがなく基地局を置けるなんてことはありえないわけで、セル分割が出来ないということもありますし、ある周波数の電波は届かなくても仕方がないと割り切ってセル分割しつつ別の周波数は分割せずエリアカバーを維持します、みたいな事をすることも考えられます。どっちにしろどこかにトラフィックが集中してしまうことになってしまいます。

ドコモも相当投資はしていましたが、それでもこのお昼休み規制をみると、いよいよ、都心部では投資だけではどうにもならない「本当の限界」に近いのかもしれない、と言う気がします。実はドコモだけでなくauもではないかと思われ(とはいえEVOはWiMAXなので規制されているかどうか分からない)、ドコモ・auが相次いでWiFi展開を急ぐことを表明したのも、そういう限界に同時に近づきつつあるのかなぁ、と言う気がします。元からWiFi全力だったソフトバンクは言わずもがななのですが、逆にそれにしては今までよく頑張っているなぁ、と言う感じですね。

ということで、最近ドコモがパケット接続規制をしてるっぽいよと言うお話でした。

[追記]用語が錯綜しているので、少し整理してみました。興味のある方はお読みください。

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2011/5/26 10:00 · 事業考察, 技術動向 · 6 comments
2011/5/12 10:00 · 事業考察 · (No comments)

ケータイニュース.netのほうで、mpwさんのデータの集計グラフを表示しているのですが、まずは今日時点のスナップショットを。

一番上の点線が各日に記録された最大速度、そして太い線が平均速度、一番下の点線(ほとんど見えません)が最低速度、と言う表示にしています。

これが、前とほとんど傾向は変わってないですね。一つ意外だったのが、「最大速度」は常にKDDIが圧倒的に飛びぬけているってこと。1波で7.2Mbpsを出せるHSDPAより3波で9MbpsというMC-EVDOの方が最大速度はやっぱり速い、とはいえ、測定データ上はその本来の比率以上の差があります。実はやっぱりマルチキャリアシステムのほうがピークレートは出やすいってことなのかなぁ。

で、12万局だ圧倒的なネットワーク容量だと嘯くソフトバンクは、やはり最下位の座から全く抜け出せていません。むしろ最下位安定。最大速度も最下位、平均速度も最下位。ドコモと同じシステムでドコモより圧倒的に多い基地局数だと自慢するのですから、最大速度は2位安定、平均速度は1位安定でもおかしくないはずなんですよね。もし「12万局の投資」が本当に意味のある投資であったなら。このことからも、12万局の投資達成も、所詮は単なる数合わせに過ぎなかったことがよく分かります。

今後も時々こうやって取り上げてみたいと思います。何しろ今後は業界最高水準の2年1兆円投資、さぞかしすさまじい結果を見せてくれるはずですから、ソフトバンクさんが(笑)。

あ、ちなみに、ケータイニュース.netのページでグラフをクリックすると、3ヶ月、1年の傾向も見られますよ。現時点ではあまり意味が無いので告知していませんでしたけど。

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2011/5/12 10:00 · 事業考察 · (No comments)

メールでご質問をいただきました。こちらの記事で、KDDIがLTEとWiMAX両方の投資を継続すると述べていて、これが実に無駄に感じるがどのような意義があるのか、という趣意のご質問。

記事中では、3Gネットワークの破たんの問題を、どんなにたくさん投資をしようとそれが「いつ」だけの問題であり、どの事業者も必ず破たんに直面する、と、思いがけず鋭い指摘が見られます。実際、スマートフォンの流行で無線ネットワーク事情は一変してしまい、従来の「需要を容量以内に収める」という基本的な考え方は過去のものになりつつあります。容量は容量、需要は需要、もし需要が容量を超えたら、容量を超えた需要は(どうせお金にならないので)切り捨てて良し、という方向になりつつあります。

そういうわけで、全事業者がスマートフォンの大量導入で完全にその方向を向いてしまった以上、氏の指摘する「誰もがいつかは直面する」という指摘は的を射ていると感じました。で、KDDIではそれをどう考えているかというと、LTEとWiMAXへの負荷分散がライセンス事業者としてのまず最初の解であると考えている、というお話となります。

二重投資が無駄か無駄じゃないかというと、たとえば需要がさほど伸びない状況で単にユーザに豪奢なメニューを提供するだけのための二系統ネットワークであれば、これは完全に無駄ですが、今は、容量がまったく追いつかない状況。とにかく使える帯域は使い切るというのが絶対に必要になります。となると、他社との奪い合いの起こらないライセンス帯域への投資は何より最優先すべきことで、その片方がたまたまWiMAXでした、という話に過ぎないと考えます。

もちろん、個人的にはここには大きな無駄が潜んでいると感じます。ぶっちゃけ、ソフトバンクの言うように、2.6G帯はTD-LTEへと向かうべきだと思うわけで。WiMAXはワールドワイドではほぼ失敗が確定し、ここからWiMAX/2対応モジュールを作る会社は大きく狭まるはずです。このままWiMAXに投資を続ければ、待っているのは端末価格の高騰による競争力激減。そういう意味では、WiMAXへの投資は将来の莫大なコストをひっぱってくるという意味で「大きな無駄」かもしれません。

また、TD-LTEの有線ネットワーク部分はLTEと100%互換なので、ネットワークの共有可否という意味で、TD-LTEではなくWiMAXへ投資するのは大変な無駄です。WiMAXへの投資は、もちろんエリア拡大を淡々と続けつつ、いずれはWiMAX3波のうち1波、2波と徐々にTD-LTEへとシフトしていくというのが、当面はまさに「二重投資」に近い状況となりますが、将来的には様々な部分で大きな投資抑制を引っ張ってこれるはずです。

そういう意味では、ソフトバンクが余った帯域でTD-LTEに向かっているのはセンスが良いのですが、一方、ソフトバンクはFDDのLTEをどうも当面はやらないつもりらしくて。LTEを(も)やるという約束でもらった1.5G帯も、そっくりHSDPAに使い切っている模様。ということは、重要な「TDDとFDDでの有線ネットワーク共有」という恩恵が活きず、ちょっと片手落ちと見えます。HSDPAの有線系インターフェースはLTEとはあまり互換がないので。

ドコモはどうもそういうことはあまり考えてなくて、ライセンスFDD帯域でのLTE一本で突き進む感じ。そもそもTDD帯域も持っていないし。とはいえ、ドコモはKDDIをはるかに超えるアグレッシブな投資を非公式に計画しているという話もあるので、たとえば800MHz帯でLTE面カバーしつつ2G帯/1.5G帯で10MHz x 2 & 15MHzシステムによる超マイクロセル展開ですさまじい容量を確保する、という方向かもしれません。まぁそんな変態じみた投資をするにしても、さすがドコモ大先生、としか言わざるを得ませんけど。

最後に、KDDIが無線LANへの負荷分散を考えているというお話も記事中にちらりと出ていたのが気になります。フレッツスポット1万APを「少ない」と切り捨てているところから、今後、少なくとも1万を超えるAP数のサービスを開始することが予想されます。なんとなくだけど、ほどほど大きなAP数を持つ独立系無線LAN事業者を複数一斉に買収するんじゃないかという臭いがします(笑)。

ということで、LTEとWiMAXへの投資は二重投資かのお話でした。でわ~。

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ということで、久々に帰省してきたので、各社のエリア状況をまとめてみます。

ドコモ。ここは私の田舎では圧倒的に広いエリアを誇っていましたが、良くも悪くも変化なし。実家の居間の床に端末を放ると圏外になるところもそのまま(笑)。ドコモのパケット定額を契約して初めての帰省だったのですが、田舎なので帯域すきまくりなんじゃないかと思ったらそうでもなく、結構通信速度は遅かったです。まぁそれでもどこでも使える安心感はピカイチという感じでした。

auについては、依然は実家の庭で精一杯背伸びして端末を持ち上げるとなんとか電波が入るかも、程度でした。ぶっちゃけ、まったく使えないキャリア。しかし、今回帰ってみると、実家から直線距離で300m位のところにかなり大型の基地局が立ち、3Gも非常に快適に使えるようになりました。エリアマップの表示は前と全然変わってないんですけどね。WiMAXも開業予定とされていたのですが、まだ開業していません。たぶん、その超でかい鉄塔に併設する予定なんでしょうけど、何分私の実家付近は光回線がひっぱれない僻地なので、WiMAXのバックホールの確保に難航しているのかもしれません。どっちにしろ、実家だけでいえば一番使えるキャリアに変化。ただし、そこから少し山の方に遊びに行くと圏外が多め。まだドコモには及びません。

ソフトバンク、まったく一ミリも使えないという状況でしたが、今回もまったく一ミリも使えません。ただ、市街に出る道すがらに新しい局が6局ほど建っていました。全部、ウィルコムかドコモPHSかアステルのPHS基地局が昔あった場所に(笑)。すべて、2ポートアンテナオムニの超小型局で、カバー範囲は視界内だけという程度。つまり、幹線道路沿いは入るけど少し丘を越えるとほぼダメという状況のようです。また、1㎞以上離れていたり至近距離(100m程度)(以前ウィルコムPHS局があった場所とアステル局のあった場所)に2局が密接しているなんてことがあったりと、エリア設計のセオリーなんて完全無視、単に設置可能なビル/建柱があるから置いたというだけの局だらけ。特に2局密接設置は本当に謎。同じ周波数なら絶対干渉するし、別周波数なら同じ局にまとめるのが当然なのになんでこんなことに、という感じ。ソフトバンクが乱発している小型基地局は、たぶん原則として1周波数にしか対応していないのでしょうね。普通の局を置けば私の実家も余裕でカバーできるはずの場所(実家至近ウィルコム局から300mほどしか離れていない)もそういった粗末な基地局であるために、私の実家は完全に圏外でした。あと気になることがあって、2局ほど、GPS受信アンテナを備えていました。非同期のソフトバンク網では不要なはずのGPS。これ、TD-LTEですよ。TD-LTEは同期必須なので、その導入に備えてGPSをあらかじめ設置しているのかも。位置情報サービス補助用ということも考えられるけど、あんな小さなオムニ局2局だけでやる意味もあまりわからないし。しかしソフトバンクがそこまで先行投資するということも考えられないので、とりあえず「謎」ってことにしておきます。←なんかの見間違えかもしれない気がしてきた・・・写真でも撮っておけばよかった・・・WiMAXかもという情報もあるけど、エリアマップではWiMAXエリア外なんですよねぇ、そのへん。実家周辺はびっくりするような飛び地でエリア化予定地域だったので←今確認したら実家近所エリア化予定が消えてた!ひどい。[追記]

ウィルコムは、ソフトバンクの基地局のために3局ほど引っこ抜かれてエリアはボロボロです。もうまともに使えるキャリアじゃありません。かろうじて実家至近の基地局は残っていたので、実家が使える状態は維持されていましたが、幹線沿いの局が何局もソフトバンク化してしまい、通話しながら移動することはたぶん完全に不可能になってしまっていると思います。それでその周辺局を8本槍や指向性アンテナにでもしてエリアを補償してくれるのならいいんですが、そんなサポートもなしに単に引っこ抜きまくっているので、ダメダメ。今回の帰省で完全にウィルコムを見限りました。まぁ、基地局ロケーションを奪うためだけに買収した親会社の下でエリアが維持されないのは当然といえば当然ですけどね。

という感じで、久々の帰省で各社いろいろと状況に変化がありましたよ、のお話でした。

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いまさらですが、計画停電と携帯電話サービスの話。

計画停電は、携帯電話の基地局や交換局にも問答無用で襲い掛かっている模様で、実際に予備電源を備えていない基地局が停止しているらしいという話も聞こえてきたりします。今回、具体的にどういう影響があるのかをもう少し突っ込んで考えてみたいと思います。

まず話のベースとしては、今回の計画停電に関しての電話取材結果イーモバ等補足)と、少し前に総務省が決定した予備電源を有しない携帯電話基地局設置の容認と言うあたりになるかと思います。

まずは総務省の決定事項について。2008年、総務省は「予備電源」、つまりバックアップ電源を持っていない基地局を設置しても良いよ、と発表しました。これは逆に言えば、それ以前は必ず予備電源が必要であったということです。電気通信設備規則では、携帯電話基地局については必ず予備電源を持っていなければならないとルール化されています(UQやウィルコムについては後で)。また、この義務の緩和後は、特に屋内や地下などの対策に関しては、屋外・地上に出れば予備電源具備局に接続できる場合に限り予備電源不要とされました。

また、公表されていないガイドラインとして、最低3時間通常動作ができるだけの容量を持つべし、と言う決まりもある模様。こちらは強制規則ではないためあくまで各事業者の努力目標となりますが、原則としてこれを守ることになっています。

で、これに対する電話取材結果を見れば、大体そのとおりになっています。一社を除いて(苦笑)。ドコモ・KDDI・イーモバイルはガイドラインどおり、最低3時間の動作が保証されていますが、ウワサ程度に聞いたところではソフトバンクだけはコスト削減のためにガイドラインを無視して動作時間保証の出来ない適当なUPSを使っているようで、電力の小さい局なら長時間動くけど大きい局だとガイドラインにはるかに届かない、みたいな事が起きるようです。このため、この取材に対するコメントもあやふやで「数時間は動くと思うけど地域や状況によって使用できなくなるかも」と言う答えになってしまっています(計画停電3時間であれば大丈夫とほぼ断言しているドコモ・KDDI・イーモバイルとは非常に対照的)。

そもそも、先日まで行われていた計画停電、タイムテーブル上では3時間40分になっていましたが、しかし実際に行われたのは、○時20分の開始時刻に対して次の正時、つまり[○+1]時ちょうどでした(どこの地域も同じだったのかな?私の自宅所属グループと隣接別グループは例外なくこうでした)。つまり、計画停電は最長でも3時間に抑えられていたんです。これ、通信設備の予備電源ガイドライン「3時間」を考慮した設定だったのではないかと私は考えています。3時間であれば、(ガイドラインを守っている会社の設備なら)確実に役務提供を継続できる、と言うわけです。守っていない会社のことはしらん、と言うことになるんでしょうが(苦笑)。

さてこういうわけで、夏場に計画停電がもし再開されても(一社を除いて)安泰だなー、と思っちゃうのですが、ちょっと気になることがあって。予備電源、つまりバッテリそのものの問題が気になるんです。元々、携帯電話基地局の予備バッテリは、普通は使用されないものと言う前提です。短期間で充放電を繰り返すものではなく、常に一定以上の容量を維持して、その生涯で1回か2回の不測の停電に備える、そういう種類のものです。そういう要求仕様で作られたバッテリに対して多回数の充放電は深刻なダメージを与えるのではないかと私は考えています。ぶっちゃけ、夏を乗り越えられないんじゃないの?くらいの。

特に夏場は深刻で、何しろ非常に高温の環境でのかなり深い放電です。なんかいろいろ劣化しそうですよね。携帯電話基地局(の特に古くて大出力のもの)は、基地局そのものと付帯設備を小さな建屋に収納し、建屋をエアコンで冷やしているものも多いのですが、停電時はエアコンも減力運転(あるいは停止)せざるを得ないはずなので、外気よりもさらに高温の環境に晒されることになりそうです。これがほぼ毎日です。生涯に数回くらいしか来ないと思ってた長時間停電が毎日。ほらやっぱりいろいろ劣化しそう。

と言うことで、この夏、計画停電が再開したとき、大丈夫だと思ってたキャリアでももしかすると局所的な停波が(計画停電の終わり際とかで)ぽつぽつと出てくるかもしれません。また、万一制御局のバッテリが上がってしまったら、地域丸ごと圏外と言うこともありえます(さすがにこれは対策されるでしょうけど)。とにかく何をとっても今回の災害は想定外だらけで、今年中は携帯電話サービスに関しても何が起こるかわからないですよ、と脅しめいたことを書いておいてみたりします。

さて後回しにしていた、ウィルコムとUQの件。元々、携帯電話ではないPHSとBWAは、予備電源具備の対象外でした。「携帯電話は重要通信を扱うけど他はそうじゃないから」と言うことなんですけど、ご存知のとおり、PHSでも緊急通報は出来ますし災害用優先電話も各省庁や警察消防に提供されています。ただPHSはとにかく基地局数が膨大で、一度「不要」と言ったものを後から義務化するのはさすがに無理です。ので「不要」と言う規則自体には変更はありませんが、ウィルコムは一応官庁などからの要望に自発的に応える形で、重要なエリアについては一定割合で予備電源を設置してきました。と言うわけで、東京都内や地域の役所近辺とかだと予備電源があって停電中もつながったりするみたいですが、基本的には無理、と思っていたほうが良いでしょう。また、UQはそもそもそういった重要通信をBWA上で提供していないので、基本的に予備電源は持たないようです。

と言うことで、計画停電による携帯電話サービスへの影響について、ちょっとだけ突っ込んでみました。でわ~。

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さて久々の質問より。「企業がナビダイヤルを採用するのはなぜでしょうか、通話料が高額でやな感じです」(意訳)と言うご質問。これについて、簡単に解説。

そもそもナビダイヤルってなんじゃらほい、と言う向きもなきにしもあらずなので、まずはそこから。

ナビダイヤルは、NTTコミュニケーションズが提供する「0570」から始まる番号。正確には、「ナビダイヤル」と言うサービスに割り当てられているのは「0570-0」で、実はこれ以外の事業者も0570番号を使っています。

NTTコミュニケーションズが提供している「ナビダイヤル」は、固定電話回線が引かれている事業所に対して、別途0570から始まる番号を割り当てる、と言うイメージです。このため、たとえば03-1234-5678と言う電話回線に0570-012-345と言う番号を割り当てれば、その電話に対しては03-1234-5678でも0570-012-345のどちらでも電話をかけることが出来る、と言うことになります。

これだけでは対した恩恵は無いように思われますが、これに加えて、別の電話番号の回線も同じ0570番号に束ねることが出来ます。先ほどの0570-012-345に対して、もう一つ、03-1234-5679と言う番号も割り当てれば、0570-012-345にかけた場合、どちらか空いている方に自動でつないでくれる、と言うことが実現できます。

いや、ただこれだけなら、複数回線収容の代表番号を設定すれば済む話だよね、と言われるとそうです。しかしナビダイヤルではさらに重要なポイントがあって、と言うのが、「複数の地域にまたがって電話番号を束ねることが出来る」と言う最大の恩恵があります。たとえば03-1234-5678と06-1234-5678を同じ0570-012-345に束ねておくと、0570番号にかけた場合、もし東京番号がビジーだったら自動で大阪に接続、と言うことをしてくれます。

実はこれ、元々は電気通信番号規則の兼ね合いでできなかったことなんです。一般的な市内回線への番号については地域番号を使うのが大原則。なので、東京と大阪を一つの番号に、たとえば03にかけたら大阪につながる、なんてことはやっちゃいけないという規則なんです。ただし、やっぱり「サービスごとに割り当てる」という概念の番号も必要とされ、そういう流れで出来たのが、0120や0570って言う番号。その仕組みを利用してNTTコミュニケーションズが始めたのがフリーダイヤル・ナビダイヤルってことです。

であるわけで、つまり、複数地域にあったり、あるいはどの場所に接続されるか分からない一般的な番号、と言うものとしてはそもそも0120とか0570を使うしかないというのが規則で決まっているわけです。複数地域をまとめたいという要求ももちろん、コールセンターの移設で電話番号が変わってしまう可能性をあらかじめ吸収してしまえるということから、0570番号が使われているわけですね。

さてこうなれば、後は採用する企業側の都合の問題。0120と0570のどちらを使うか、となると、0120であればかける側は通話料無料だけど企業が通話料を負担しなきゃならない、0570はかける側が負担するけど企業側は無料(あるいは一定を負担するオプションもあり)、と言うことで、要するに(顧客満足を無視しても)通信コストを削減したい企業が着信無料の0570番号を選んでいる、と言うだけの話なんですね。まぁ元々一般番号にかけても通話料はかかるわけで、であれば0570番号で発信者負担になっても別にいいでしょ、と言うのが企業側の考えだし、そこで、0120を採用しない企業はダメだ、なんてことを言うつもりもなく、ただどちらを選んでいるかと言う問題です。

ただし問題は、0570番号は一般電話よりもかなり高額に設定されているということと、電話の種類によってはつながらないことがある、と言うことですね。実はこれも企業側の都合である場合が多いです。と言うのが、ナビダイヤルサービスに「通話料一律オプション」があります。全国どこからかけても、どの種別の電話からかけても通話料を一律にし、差額を企業側が負担する、と言うサービス。半分フリーダイヤルみたいなものです。これを指定すると、たとえば携帯電話からかけた場合の超高額なナビダイヤル通話料の大半を企業が負担することになってしまいます。それを嫌って、「携帯電話から着信不可」を合わせて設定してしまうわけです。また、「一律」サービスを利用しない場合は、そもそもNTTコミュニケーションズが設定した高額なナビダイヤル通話料が適用されてしまうことになるため、携帯電話から0570番号にかける場合は「高額」か「かからない」かのどちらかになってしまう場合が多いと言うことになってしまうわけです。

と言うことで、まぁ、企業が採用する動機は、複数地域番号をまとめたり、地域を意識させない番号にしたいというもので、高額なのはNTTコミュニケーションズがそういう設定にしているから、で、それを企業が負担するか負担しないかを選ぶことも出来るし、同時にどの種別の電話からの着信を受けるかも企業が決めることが出来る、と言うわけで、要するに大半は企業のコスト調整が原因となって高額だったりかけられなかったりする、と言うのがナビダイヤル。接続できる出来ないの問題で言えばフリーダイヤルと同じです。

ちなみに、PHSだけはナビダイヤルにかけることが出来ません。これは、PHS側の交換機(の機能を担っているNTT交換機)の問題です。PHSでは通常はNTT交換機にルーティング先スイッチ作業を丸投げするものですが、NTTのPHS対応交換機は既に改修期限をすぎていて新しいネットワーク番号に対応出来ないみたいです。一方、事実上唯一のPHS事業者ウィルコムでは今独自ネットワーク化を進めていて交換機能を自社IPネットワーク上に移設する作業中であるため、そちらの完了を待てばIPネットワークからの直接接続で実現されるものと考えられます。

と言うことで本日はナビダイヤルの謎についての考察でした。でわー。

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携帯電話事業者も今回の震災では大変な被害を受けていて、さらに生活インフラの一つとしての「通信」を被災の中で提供するという奮迅の活躍を見せてくれたわけですが、被災がどういう状況かとか対策や復興がどのように行われるのかを簡単に考察してみたいと思います。

今回の大震災で携帯電話ネットワークが被った被害のうち、私が知る限り最大のものは「停電」です。小耳に挟んだお話によると、8割から9割は停電による停波が原因となった障害。であるので、電源回復に合わせて勝手に復旧しているものも多いようです。

停電の場合、通常は無停電電源装置によるバックアップが効くのですが、今回は停電時間があまりに長く、ほとんど役に立ちませんでした。また、そのような長時間の停電を想定していなかった一部事業者では実際に停電で倒れた基地局数の把握もうまくいっていなかったのではないかと考えられます(停波エリアに対して発表停波局数が少なすぎる事業者とか)。実際その某事業者は某所(一応3/19時点魚拓)では復旧が最も遅れていて、これは「倒れていることが把握できていない」ためにリスタートをかけることも出来ない状態が続いているからなのかもしれません。

実際、停電した局は電源が回復しただけでは即座に回復は出来ず、復旧したというセットアップ信号に対して何らかのネットワーク側からの応答コマンドとそれによるネットワークへの参加が必須です。であるため、「勝手に復旧する」とはいえ、この復旧には大変な労力がかかり、電源が回復している地域でも完全な復旧には時間がかかる場合があるといえます。

しかし電源断による障害は軽いほうであるといえます。それ以外の障害については、「ゆれ・津波による設備故障(倒壊・内部ケーブル断など)」「ゆれ・津波によるバックホール断」が考えられます。いずれもかなりインパクトの大きな障害です。

前者である場合、実際に現地に立ち入っての作業が必要となります。また当然ながら、修理機材の持ち込みも必須です。このため、故障箇所によってはかなり大きな工事用車両が現場に入れなければならないことがほとんどでしょう。ゆれや津波で大規模な破壊が起きた場所では当然交通も被害を受けており、なおかつ、被災者への物資輸送が最優先されなければならないため、このような状況で被災した基地局の復興はかなり遅れることが見込まれます。陸前高田市や釜石市など被害の大きかった地域では、かなりの長期間にわたって、近隣基地局によるカバーと移動基地局車による対応が続く可能性が高いといえます。

さらに厄介なのが後者。バックホールが何らかの形で断たれてしまった場合、特にそれが有線ケーブルによるバックホールであれば、その断地点を特定し、地面をほじくり返すような工事が必要です。こういったバックホールは路線沿いに埋設されているのが一般的であるため、道路を長期間占有しての工事になります。これは先ほどと同じ理由でさほど優先度を上げられる工事ではないため、復旧はさらに遅くなるでしょう。

もちろん、無線バックホールであれば簡単そうに思えますが、無線バックホールが損なわれているという場合、それを中継するアンテナが障害を受けている可能性が高いといえます。そして、そのような中継アンテナは得てして被害を受けたビルの屋上に取り付けてあったりするものです。ビルの被害の回復が最優先ですし、被害状況によってはビル自体が取り壊しとなるでしょうから、有線バックホールと同じく復旧は困難を極めるでしょう。また壊れているのがピンポイントではなく広範囲にわたっている場合もありえますし、再設置となれば無線回路の再設計ですから、これもまた復旧を遅らせる面倒な手順です。

また、ウワサレベルですが、コア中継網がいくつか断たれているという話も聞こえてきます。たとえばKDDIやNCOMの海底ケーブルの陸揚げ局が被災して米国向け回線が狭くなっているというニュースがありましたが、おそらく同じ陸揚げ局に国内コア網の海底ケーブルも接続されていたはずです。もちろん国内網は二重三重の冗長がかけられているので通信途絶にまでは至っていないようですが、冗長回復を急がなければ単純な設備障害で通信に影響が出るという綱渡り状態を脱せないわけで、これも各社急務と言えます。

さて、こういった根本的な復旧に先立ち、各社ともに暫定対応を進めているようです。まず単純なところでは、移動基地局車。衛星回線をバックホールに使った基地局を背中に乗せた車を派遣し、その周辺をエリア化するという対処です。これが最も早かったのは衛星回線の手配がしやすいKDDI、それからドコモ。一週間ほど遅れてソフトバンクも出したようですが、衛星回線なのか中継リピータなのかは不明です。

この対処で当面エリアは回復しますが、「バックホール容量・処理能力が低いため多回線収容が出来ない」「送信電力が限られるためエリアが狭い」と言う弱点があります。やはり車載程度の基地局ではどうしても送信電力を大きく出来ない。正確には、そりゃ送信機で10Wとか20Wくらい吹くのは簡単ですが、それだけを吹いても性能を維持できるアナログ装置群は消費電力と発熱が半端じゃないわけで、車載装置には厳しい。と言うわけで、どうしても車載基地局ではカバーできる範囲に限界があります。

もう一つ、既に各社が始めているのが、周辺基地局によるカバー。周辺の基地局のアンテナチルト(傾き)を調整し、停波している基地局のカバーエリアにまで電波が届くようにしています。これに関しては、大抵の場合はやはり手作業での調整が必要となるのですが、基地局装置の修理とは違い、工員が鉄塔に上ってネジをぐりぐりやれば済むので、大きな作業は必要ないはず。なので、この対策で復旧しているエリアも多いかと思います。遠隔でチルトをにょろにょろ変えられるアンテナもあるとは聞きますが、信頼性を考えると携帯インフラの一番の肝であるアンテナの根元に駆動部を持たせるなんてことを(日本の事業者が)するとは思えないなぁ、と言うのが私の感触。なので大抵は手作業かなぁと思っています。

と言う感じで、当面は移動局と周辺局からのカバーでしのぎ、壊れた局を徐々に再建設していくという形になるでしょうね。ビル自体が壊れちゃったなんていう話もあるはずなので、震災前と同じ状況にまでは戻れないでしょうが、半年くらいあれば何とか近いレベルにまでは復旧するのではないかなぁ、と言う感じです。

と言うことで、震災による携帯電話インフラへのインパクトと復旧についての考察でした。でわ~。

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2011/3/24 10:00 · 事業考察 · (No comments)

携帯電話の料金プランはどのように決まるのか?と言う点について、憶測混じりのたわごとを並べてみたいと思います。

もちろん、単純には、「こういったプランを作ってみたら売れるんじゃね?」と言うところから始まり、いくつかのパラメータを振って路上アンケートなどで加入意向度を測定し、基準以上の加入意向が測定されたらサービス化、と言うのが、おそらく普通の流れだとは思うのですが、そこにもう一つ、重要な要素があるような気がするのです。

それが、課金システム。携帯電話網には、当然ながら、通話や通信の量を測ってそれに対して料金を課すためのシステムが付随しています。そしてこの課金システムは、どちらかと言うと通信技術上のインターフェースよりは、加入者データベースの構造とか事業者の財務会計システムの構成などに引きずられる傾向が強い、と言うようなイメージがあります(あくまでイメージです、一部ウワサ程度にそういう傾向があると聞いたこともありますが)。

さて話を料金プランの設計の段階に戻します。たとえば、こういうプラン、考えるだけならタダですが、実現できるでしょうか。

通話料は10円/30秒だけど半径1km以内にいる人との通話は無料で、メールも同じく1km以内の人とのやり取りは無料で、加えて自分と相手の両方が5年以上のユーザなら一度メールや通話をやり取りすれば基本料から300円引きになります。

こういうプランを作れるかな、と考えると、まぁなんとなく作れそうな気がします。発信と着信のときにGPSで位置情報を取る、と言うような余計な手間がかかりますが、対応した端末だけ、と言うようにすればできますし、毎月の請求書発行のときに全通話ログを検索して発信位置と着信位置の直線距離を計算して1km以内なら非課金にするという処理をすればいいし5年以上加入の相手がいるかどうか判定すれば割引も出来ますよね。

多分、携帯電話キャリアで課金システムを作っている人がこれを見たら「ふざけんな」と怒るんじゃないでしょうか(笑)。理屈上こういうことが出来る、と言うことと、現実にこういうプランが作れる、と言うことは全く別と言うこと。たとえば、通話ログにGPS情報を載せるというだけで通話ログデータベースの構造がごっそりと変わり、もちろん情報量が一気に膨れ上がります。GPS情報をhttpベースでどこかのサーバに一旦保存するとすれば、そこから毎回位置情報を引っ張り出して通話ログに付与する、と言う処理が必要になります。それを、だれがどんなトリガーでやるのか、さらに呼処理系NWとコンテンツ系NWと端末の時刻同期はどうするのか、なんて考え始めたら気が狂いそうです。

また、請求書発行のときに全通話ログと相手先加入期間を検索、なんて、データベースの負荷を考えるとありえない処理です。少なくとも日本の事業者は数千万の加入者を持っていて、属性ごとにその数倍の加入者データベースを保持しています。それに対して、通話ログ数倍した検索をメッシュで行う、こんな処理が1日どころか1ヶ月かかっても終わるかどうか。

さらに、割引や無料化は、財務上の処理も必要です。そこももちろん「決め」の問題なのですが、単なる決算報告なら請求情報だけ積み上げることにすればたいした手間ではないですが、実際には管理会計のために一旦売り上げてから消しこむ、みたいな事をしないといけないことが多いはずです。もし財務会計システムがたとえば通話相手先別にそういう手順に対応していなかったら、このプランも実現できません。

と言うように、課金システムの作りや処理能力で、料金プラン自体が実現できないことが多々出てくるのではないか、と考えられます。実際そういう制約でお蔵入りした幻のプランのウワサも聞いたことがありますし、むしろ料金プランの企画者が何度もそういう理由でプランをお蔵入りさせられることを繰り返され、意識をそれに縛られてしまって自由なプランの発想が出来なくなっている、と言う現実があるはずです。

このため、私は正直、この課金システムと言うのは、携帯電話事業者の競争上、非常に強力な競争力確保と差別化の武器になると考えています。他社が容易に追従できないような料金プランを矢継ぎ早に繰り出せる柔軟な課金システムと言うのは、それだけでインフラ力や端末調達力をはるかに超える強力な武器だと思うのです。なにせ、「通信」と言う無形の役務(=サービス)を提供するという事業者の本質の観点からは、料金プランと言うのは唯一加入者に見える商品です。端末売り切りが一般になりさらにSIMロック解除さえも進行中にあっては、ますますその性質は強くなるはずです。

であれば、料金プランをいかに魅力的に、しかし他社が真似できないようにするか、と言うのが、今後の競争では重要な位置を占めると思うのです。

真似できないという一つの裏づけは「インフラ」でしたが、これも、「品質度外視」と言う通信事業界の非常識を常識として持ち込む事業者が現れ、その裏づけは崩壊しています。となれば、真似できないという裏づけの一つは、確実に「柔軟な課金システム」であり、ここに力を入れない事業者は確実に凋落していくと考えます。

と、えらそうに書きましたがこれは後付の理論。実は、ソフトバンクがなぜこれだけ躍進し、KDDIが凋落しているのか、と言うのを分析した結果。ソフトバンクは例のブループランとかオレンジプランとか「24時間以内追随宣言」とか、あの頃、「そんな馬鹿なことが出来るわけがない」と各事業者(の課金システムに明るい人々)が高をくくっていたところに、それをほぼ実現して見せました。

実はあの当時、課金システムが全く追いつかないため半ば手作業でそれをやっていると言う笑い話もあったくらいだったのですが、その経験を活かしてしっかりと課金システムを練り上げ、どんなプランにも柔軟に対応できるように昇華していったことが、後のソフトバンクの躍進を支えているはずです。何しろ、他社がどんな魅力的なプランを出してもすぐに追随してその魅力を削いでしまうのですから。今考えればまさに「料金プラン殺し」。相手の身じろぎさえ許さない強力な作戦です。

一方、KDDIはその対極。一つの料金プランを作るのに半年も一年もかけて課金システムの改造をしなければならないようです。課金システムの柔軟性そのものにはほとんど手を入れず、新しい料金プランのために専用の課金スクリプト(?)を投入しなければならないようなシステムのようで、散々遅れた挙句投入したメール放題プランはさくっと真似されて終わってしまっています。

ドコモはソフトバンクのような動きこそ見せていませんが、背後では相当しっかりしたシステムの改善があったように思われます。KDDIのメール放題プランの投入から1ヶ月に満たずに追随プランを発表しています。これがKDDIなら半年も一年もかけて旬を逃してしまうところですが、ドコモはうまくKDDIの発表直後にかぶせて、ドコモからKDDIへの流出を防ぐことに成功しました。

つまりKDDIは料金施策上何をやっても他社に潰されるし他社の真似さえできない、と言う状況、一方ソフトバンクは最初に超魅力的なプランを出しておいて、システム対応の鈍重な他社が魅力的なプランをリリースしようとすれば即座に同じプランをぶつけて潰すということを繰り返して自社のブランドを守ることで躍進した、と言う対極の対応が見えるんですね。

こういうことについて、「なぜやらないのか」ではなく、おそらく課金システム上「できない」と言うのが事実ではないかと私は考え及んだ挙句、こういう文書を書かせていただくこととなりました。と言うことで上に書いたことは大半は憶測ですので、あまり真に受けないで下さい、と予防線を張りつつ、このあたりで。

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2011/3/24 10:00 · 事業考察 · (No comments)