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20 EU states fail to implement new telecoms legislation
欧州で、MNPの義務化、料金プラン透明化の義務化、ユーザデータ保護の義務化を盛り込んだ通信事業法の改正が一斉に行われようとしていましたが、27のメンバー国のうち20カ国で改正に至らなかったようです。MNPや料金プランはともかく、ユーザデータ保護に関しては、たとえば画像圧縮サービスや接続先URLによる速度制限などサービスメニューの一つとなっているものを完全に潰してしまうものであるため、抵抗が大きいようです(ネット中立性と同じ議論ですね)。実は日本でウィルコムやソフトバンクがやっている画像圧縮・動画圧縮・テキスト圧縮は、事業法的には結構グレーゾーンらしいですが(「データ傍受の事前説明と包括許諾」と言うやりかたで運用できているみたい)、もしこういった欧米のルールが輸入されるとグレーどころか完全に真っ黒になるというサービス。個人的には、データ保護とか中立性とかを盾に事業者のサービスを制限してしまうこういった動きは余り歓迎できませんが、どうなるか分かりませんね。
台風6号の影響、ソフトバンクで通信障害
うーん、やっぱりこういうときにちびちびと差が出てくるんですよね。災害に強いキャリアと弱いキャリア。あらかじめ障害に備えてオーバーラップ構成をしやすくしたり、電源系統をわざと隣接局で別々にしておくなどきめ細かな対処を行っていれば、停電程度でエリアが面的にやられるということはおきにくいわけですが、一朝一夕でエリア構築をしただけではこんな細やかな対策はしきれていないということでしょう。とかなんとか言う話はまた明日。
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2011/7/20 10:00 · ひとりごと · (No comments)

iPhoneを使っている人をほぼ日常的に見るようになって、同じように日常的にみるようになった光景ってのがあるんですよね。

都心の、ビルの下とかに半地下みたいな食堂ってあるじゃないですか。サラリーマンのランチを当てにしてるような食堂。そういうところに時々入ると、必ず見る光景があってですね。

iPhone持っている人が、iPhoneをフリフリしながら店の入り口から出て行って、しばらくして戻ってきて、また出て行って、ってのを繰り返している光景(笑)。

実際問題、ソフトバンク、あれだけ基地局増やしたのに、なんでまだこんな状況なのか、ってのが全く分からない。何をどうやったら、「電波を改善せずに基地局数だけを倍以上に増やす」なんていう神業を実現できるのかが、不思議なんですよ。いくら2GHzでもね、あの基地局数に相当するだけ細かくセルを割って設置していれば、少なくとも都心でそんな光景を見ることなんてゼロになるんじゃないかと思ってたんですけど、相変わらずと言う感じ。

実際には、以前にもちょこっと書きましたが、ほとんどが既存ネットワークへのインパクトを最小にするために1.5GHz帯で、しかもセル半径も非常に小さくして1.5帯同士でも干渉しないようにしている、と言うのが基地局大量増加の実際かなー、と思っています。だからこそ、余りに余った1.5G帯専用のPC接続定額サービスを始めたり、とか。

もちろん大量増設のもう一つの真相として、PHSロケーションの転用により基地局建設の最大のネックである用地交渉のオーバヘッドが大幅に削減できたから、って言う理由もあり、ってことは、「セル同士がぶつかりまくっても全然平気なPHSのロケーション」に下手に既存周波数で基地局を打つと致命的なダメージになりかねない、でも実際どのくらい危ないかは正直分からない、だから原則は既存周波数では再利用しないようにしよう、なんて言う舞台裏がありそうな気がします。既存周波数=2GHz帯ってことなんですが。

実際問題として、ソフトバンクのメイン周波数であり、iPhoneが唯一対応している2GHzは、ほとんど容量対策や地下対策はしていないのではないかなぁ、と思うわけで。と言うのが、基地局が増えても半地下でiPhoneが繋がらないことの原因なのでしょうね。ひょっとすると、都心部では、1.5G対応端末と非対応端末の間で非常に大きなサービス格差が生まれているかもしれません(エリア・速度ともに)。

と言うことをなんとなくぼんやりと思う今日この頃。

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2011/7/20 10:00 · ひとりごと · (No comments)
2011/7/19 23:59 · ニュースコメント · 1 comment
iPhone 3G/3GS利用者はOS更新を、音声品質が悪化の恐れ
最初はネットワーク側のトランスコーダかボコーダかその辺をいじくるので、本体側のエコキャンとかの音声調整アルゴリズムをいじくる必要があるとかいう話かと思ったら、周波数選択関係の変更っぽい。単に初期選択周波数を乱数化するだけなのか、ネットワーク起動の周波数間ハンドオーバ・周波数間リセレクションにチップレベルで対応するのか、は不明。っていうか周波数間ハンドオーバとかって標準機能(not option)じゃなかったかなぁ。ネットワークから強制起動する部分だけオプションとかだっけ。今更仕様読むのめんどくさいや。たぶん、音声に限らず、データについても周波数間の負荷分散ができるようになるので、多少は快適になるんじゃないかなぁなんて思いますが、どうでしょうか。
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2011/7/19 23:59 · ニュースコメント · 1 comment
新たな保険サービスドコモ 医療保険を提供開始
なんか画面遷移例を見てると審査がないっぽいんだけど、あるのかな?年齢や既往歴関係なく一律料金で同じ補償が受けられる保険としてなら価値はありそうだけど。ただこういう保険って結局支払いを受ける手続きが面倒なんですよねぇ。そういうのも、電子カルテ連携とかでケータイでの手続きだけで出来るようになればいいんだけど。なんだかだで散発的に出てくる電子カルテプロジェクトは押しなべて全く進まないし。医療と保険はサービス業の連携サービスとしては未開の地ともいえますけど、電子化が一番進んでいない業界でもあるので、難しそうですね。
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2011/7/15 20:00 · 更新情報 · (No comments)

ケータイニュース.netのほうで、最繁時の各社の代表速度を取得し始めました。これは、mpw.jpさんのデータから、各時間ごとの代表速度を求め、そこから「最も混雑している時間の速度」を算出するものです。平均値を単純にとっても、空きまくりの時間の速度でいくらでも平均値は上がっちゃうので、「本当の実使用感」を反映しにくいと思って。いや、夜中の2時とか3時に大量に計測して平均速度を上げようという工作員がいるんですよ、実際(苦笑)。

算出ルールは次のとおり。
・ある一時間の中で、機種ごとの平均値のリストの中央値をその時間の代表値とする
・各時間の代表値の中で最も小さな値を「最繁時通信速度代表値」とする

以上です。ただ、実際は中央値を取れないほど計測人数が少ないこともあるため、「計測機種数が五機種になるまで時間を遡る」と言う処理も入れています。これで安心。

こんなんだけど意外と単純な平均値と似たような傾向の数字が出て面白いですね。計測回数が十分に増え、計測頻度が携帯電話網の混雑度と比例しているという状態に収束して行けばほぼ一致するはずなのでほどほど近い値が出て当然。一方少ない計測回数でも単純平均よりはより最繁時の実力値を反映し易いはずです。

一応結果は毎日24時過ぎにツイッターでつぶやく予定。あともう少しデータがたまったらグラフ表示も開始しますのでよろしくです。

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2011/7/15 20:00 · 更新情報 · (No comments)
2011/7/15 10:00 · ひとりごと, 技術動向 · 2 comments

そういえば先日、某カメラ屋で、最近発売された、eインク採用の書籍リーダを触ったんです。やっぱり、長時間使えるってことと直射日光下でも読める、自発光しないので目に優しい、などなどから考えて、長時間の読書にはeインクしかないよな、と思っていて。で、最近いろいろ出てきているっぽいので、じゃぁ目に付いたのだけ触ってみますか、ってことで。その触った感じを、Kindleユーザ視点で。

まず、auのbiblio leaf。なんとなく実機が置いてあったので触ってみたのですが。えー、これ、何をどうしたらこの状態で発売しようなんて話になったんでしょう。画面描画をはじめあらゆる動作がびっくりするほど遅い。とてもじゃないけど、日常ユースには耐えない。ありえない。使えない。

正直、国内書籍を気軽に買って読んで、ってことを考えたら、biblio leafは結構ランキング上位の候補だったんですよ。Kindleはなんだかだで国内対応はなさそうだと思うと、じゃぁ国内書籍を気軽に楽しもうと思ったら、単独でエリアを気にせず使える候補はこれしかないと思ってた。んですが、実際に触ってみて、瞬時にランキング圏外行き。

あれですね、最低限、Kindleくらいは触ってから作ってるだろうと思ってたんですが、甘かったですね。Kindleなんてこれっぽっちも触ってないですね、あれ作った人。「eインクはページめくりが遅い」と言う一般評価だけしか知らないから、あの激遅描画で満足しちゃった感じ。確かにKindleの描画も遅いですよ。だけど、限度ってもんがありますよ。Kindle3の話ではありますが、やっぱり描画が遅いなりにも、最低限ストレスを感じさせないところまではブラッシュアップされてますから。残念ながら、biblio leafはその最低限に到達していませんでした。売れてるって話は聞かなかったけど、ありゃぁ売れませんよ。店頭で触った瞬間にありえないって投げ出すレベル。Kindleでeインクの特性に慣れている私でさえそうだったんですから、一般の人には見向きもされないでしょうね。

ソーラーパネルでバッテリー補助とか面白いアイデアはついていたんだけど、担当者のレベルが低すぎたのが災いでした、って感じ。あの商売をもう少しでも続けていくつもりがあるのなら、今の製品を即座に販売停止して、次のモデルを投入しないと、ほうっておくとどんどん悪評だけが広がっていくと思いますよ。良く考えたほうが良いですよ>KDDIさん。

ってことで、UIの使い勝手とか対応フォーマットとかを評価しようと思ったらそこまでたどり着けませんでした、のbiblio leafでした。

さて次に、ソニーのReader。もうそのものずばりのネーミングで。biblio leafのあんまりな出来にがっくりしながら触ってみると。こっちは、かなりサクサク。Kindleと同程度か、やや超えているくらい。コンテンツを直接画面タッチで選べるのも、上下左右カーソルキーでポチポチ選ばなきゃならないKindleよりも使い易いくらいです。

中間色の表現も上手そうで(この辺はどっちかって言うと書籍ファイル側で頑張ってるのかも知れませんが)、結構きれいな表示でいろんな書籍を楽しめそうでした。また、サイズも、結構コンパクトに感じます。厚みが割としっかりしているのが、逆にコンパクトさを感じさせている感じでした。

ただし。ページめくりが、画面タッチか、下のほうの左右キーでしか出来ないんですね。どっちも、どちらかの手で本体を支えた状態ではその手では操作できない。つまり、100%、両手操作が必須ってことです。Kindleは、左右両方の表面からサイド面にかけて斜めに押せるページめくりキー(かなりでかい)がついていて、片手で持って片手でページめくりが、進むも戻るも自由に出来ます。電車でつり革持っている状態で気軽に本が読める。抱えるように持ってもつまむように持っても、どういう持ち方でもページめくりに不便することはありません。残念ながら、Readerはそういった配慮が皆無です。どうやっても片手だけで読書をすることが出来ません。

なかなか惜しいところまでは行ってるんですけどね、こっちも、しっかりと実際のユースケースを詰めきれていない感じ。電車内で立ったまま文庫本を読むためにあごでページめくりできるグッズまで売られているご時勢だというのに、「莫大な数の書籍をいつでも持ち歩ける」と言う「モビリティ重視派向け端末」のはずなのにも関わらず、最もポピュラーなモビリティ手段である電車つり革モビリティを完全に無視って、どういうことなんでしょうね。

その他のeインクタイプは残念ながら展示が無かったので2機種だけですが、日本の電子書籍は、まだまだ広がりそうにないですね。そりゃ、スマートフォンなどのサクサクインターフェースでの読書は確かに拡がりつつありますけど、多分、本当にじっくりと読みたい長時間読書派は、スマートフォンでは取り込めないと思います。ぶっちゃけ飛行機で10時間以上飛んでいてバッテリが持つ、と言うのは私としては最低限の要求だし、似たような要求を持つ「本読み」は多いはず。今は、今まで読書にほとんど時間を費やしていなかった裾野層が気軽に読書に入れるからと言う理由でスマートフォンベースで徐々にライト利用層として入ってきている状態。そこが飽和したとき、では本当に読書を趣味とするボリューム層を取り込めるか、と考えると、今の端末たちではいまいち役者不足が目立ちます。

ぶっちゃけ、Kindleが、電子読書端末としてはあまりに飛びぬけている。これでタッチ操作にも対応すればいいんだけど、と言うくらい(出るというウワサもあるけど)。と言うことで、Kindleの日本書籍対応をすごく期待するんですけど、こればっかりは、日本のゆがみまくった出版利権が、ねぇ。音楽も書籍も、グローバルでやっているコンテンツベンダをみていると、ものすごく気をつけて日本だけには触らないように苦心しているのが分かるんです。日本だけは触ると死ぬ、くらいの避け方。何とかならんもんですかね。

関係ないところに話が飛びましたが、eインク書籍リーダの店頭インプレッションでした。でわ。

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2011/7/15 10:00 · ひとりごと, 技術動向 · 2 comments
2011/7/14 23:59 · ニュースコメント · 1 comment
アマゾン、タブレットPCを準備中か–WSJ報道
Amazon謹製のAndroidタブレットが準備中と言う記事なんだけど、個人的には、タッチ対応Kindleが興味深い。現状、電子書籍リーダとしてのKindleの完成度の高さはずば抜けていて、これがタッチに対応(なおかつタッチを能動的にOFFに出来るメカニカルスイッチでもあれば)となれば、まさに鬼に金棒。先日いくつかの電子書籍リーダを電気店で触ってきたんですがその出来があんまりで(別稿起こします)。と言うことで、タッチ対応のKindle、お値段によってはまた買っちゃうかも。
中国電信、2011年内にiPhoneを提供へ–Reuters報道
AppleがiPhoneの販路拡大戦略を進めています。CDMA版をVerizonで発売してから販売シェアが一時的に7割アップしたという話もあるくらいですので、CDMA版と言う武器を手に販路を広げていく作戦です。まずは中国でCDMAを手がけるチャイナテレコム。こうなると、同じくCDMAなKDDIでの発売も期待しちゃいますね。後は、インドのリライアンス辺りがターゲットになってるかなぁと言う感じ。LTE/WCDMA/CDMA/GSMクアドモードな夢のiPhoneとかが出ると面白いんですけどね。
Hacking Group Uses Vodafone Femtocells to Record Other Peoples Phone Calls
フェムトセルをハックする方法。やっぱり出てきちゃいましたかー、って感じです。元々フェムトでザ・インターネットを経由させるのさえ危険ではないかと言われていたのですが、フェムトを実質ユーザに手渡してしまうことの危険性を指摘しています。確かに全ソフトウェアを書き換えることさえ出来てしまえばやり放題ですね。一旦ユーザの手元に行ってしまえば、後は何でも出来ます。物理的にケーブルを抜いてしまえば監視不能になるし、ハードをこじ開けてしまえば電気的にさまざまな細工が出来るようになります。そうやってソフトを書き換えてしまい、こっそり公共の場所に仕掛ければ、他人の通話をこっそり記録することが出来る、と言うことです。しかも、認証網から重要なキーを成りすましで取得することが出来る可能性さえ指摘されています。どっちにしろ、個人の家に携帯電話網の最重要構成要素である基地局を配る、と言うことは、それ相応のリスクを負うものだということで。CDMA方式上干渉問題が起こるから配ることに躊躇していたのかなぁ、と思っていたドコモ・KDDIですが、こういった問題も予見して配る範囲を限定していたのかもしれませんね。何万局も配りまくっちゃったソフトバンクは、数が多いだけにハック危険性は高いわけで、ある程度覚悟は必要かも知れませんね。
モバキャス、V-Highマルチメディア放送のネーミングが決定
モバイルマルチメディア放送の名前は「モバキャス」に決まったようです。なんか、MediaFLOが落選して放送波によるIPマルチキャストが出来なくなったって時点で完全に興味をなくしちゃったこの件、言ってみりゃ単に現行テレビ放送と同程度のモノをもう一個用意しますってだけなんですよね。全然興味がわかなーい。方式的にはリアルタイムの映像放送とファイル転送だけしか出来ないっぽい、結局。エリア的には超マクロ構成でジオロケーショナル情報配信も出来ないし。広大なエリアで同じファイル転送コンテナをみんなで奪い合うことになることを考えれば、オンデマンドファイル取得なんていう通信事業者らしいアイデアもほとんど現実的に使い物にならないんじゃないでしょうか(ファイル要求したら翌日までには降ってきますよ、程度とか)。つくづく、微細エリア分割とIPマルチキャスト可能だったMediaFLOの落選を残念に思うわけです。
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2011/7/14 23:59 · ニュースコメント · 1 comment
2011/7/14 10:00 · 技術解説 · (No comments)

無線通信、というかその他の有線通信でもよく使われる言葉に「リンクバジェット」というのがあります。今回はこの話。あ、例によって、定義上正確な話ではなく、あくまで概念的に理解し易いようにデフォルメしていますのでご了承ください。

リンクバジェットを一言で言ってしまうと、「通信の送信者と受信者の間にどれだけ『つなぐパワー』があるかを単純比較できる指標」です。つなぐパワーは、お互いに接続した無線機がぴったりくっつけておいてあったとき、その繋がっている状態に「どの程度の余裕があるか」を意味します。ここから無線機同士を徐々に引き離していくということは間に損失が挿入される、すなわち「リンクバジェットを消費する」と言うことを意味するので、リンクバジェットの数字はそのままつなげられる距離、つまり、ある技術とサービスがどのくらいのエリアで使えるのかを見積もることに使うことが出来るものです。

たとえば、PHSで基地局送信がピーク2Wで送信アンテナ利得16dBi、端末は受信アンテナ利得0dBi、周波数は1.9Gで、というのと、WCDMAで送信ピーク20Wで利得20dBi、受信利得は0dB、周波数は2Gで、といわれて、単純にどちらがより遠くまでつながるかを比較するのは難しいですよね。何しろ、根本の方式が違うので、単純比較できないのです。

ここでリンクバジェットという指標を持ってきます。このリンクバジェットでは、方式や技術が持っている「つなげるためのパワー」をすべて「dB」に換算してしまいます。たとえば、送信電力は単純に40dBmで送信しているなら「40dB」とか、送信利得もそのままで。逆にそれらと単位をあわせるために、受信側では受信感度をやはり同じく○○dBmの単位で出してそのままリンクバジェットに足す。こういう具合に、送り側と受け側の単位に気をつけながら、単純に「送る力」「受ける力」をdBに換算していきます。あとは簡単。全部足し算しちゃう。

WCDMAとかは拡散利得とか隣接セル干渉許容量とかいろいろとめんどくさいことがあるので式は非常に複雑になるのですが、そこさえクリアしてしまえば、あとはどんな方式だろうがまったく同じ単位で比較可能になります。たとえばある方式である電力で運用したときはリンクバジェットは150dBでした、別の方式である電力で運用したら140dBでした、となれば、前者の方式を使ったほうがエリアは10dB分広いんだな、と簡単に推測できます。あるいはある方式で下り(基地局→端末)が120dBで上り(端末→基地局)が115dB、と言う結果が出たら、上りが5dB足りないから、ちょっといいデバイスを持ってきて基地局の受信感度を5dBアップするとちょうどいいバランスですよ、なんていう検討にも使えるわけです。

さらにこの考え方の利点は、一端算出したリンクバジェットに、個別の技術を付けたり取ったりするのが簡単ということ。たとえば、違う周波数にまったく同じデータを送り、受信側で二つのデータを合成して誤りを減らす、という技術があるとすると、単純に二倍した分の利得(3dB)と周波数を変えていることによるわずかな利得を足して大体4dBくらいの利得が取れる、なんていわれます。すると、リンクバジェットに単に4dBを足せばよいことになります。どんな方式であっても。

逆に、従来QPSKで通信していたのを、速度を向上させたいので16QAMにしました、となると、信号のノイズ耐性は16QAMはQPSKの約半分ですから、ノイズが3dB上がったと考えて再計算する代わりに、3dB分のリンクバジェットを失う、と考えると楽です。つまり、最初のベースのリンクバジェットが得られれば、そこにいろんな技術を足したり引いたりしたときのエリア半径を見積もるのにちょうどいい指標ということです。

もっとすごいのは、たとえば、本当にデジタルデータの上だけの話として、パケットにエラーがあった場合に再送する、というプロトコルを定義したとしても、これを理論計算やシミュレーションでリンクバジェットに換算出来ちゃう、ということ。再送プロトコルがある分、データ自体に強度があるから、無線区間はもう少しだけエラーが多くなってもかまわない、という風に強引に換算しちゃう。たとえば、エラーが倍になっても通信できるような補償プロトコルを導入した場合、無線区間でエラーが倍になることに相当する信号劣化分(あるいはノイズの増分)に相当するdB値を、そのままリンクバジェットに足しちゃう。すると、「この再送プロトコルがあれば、エリアが3dB分よくなったことと考えることが出来る」と言う無茶な計算も成り立っちゃう。

いや、実際の無線回路設計のときにはこんなの考慮に入れちゃダメですよ(>本職の方)。でも、もう少し大雑把に、無線方式とかサービスとかに対して「これってどのくらい実用エリアを広げられそうかな?(限定されちゃいそうかな?)」ということを考えるとき、こういった再送方式とかも強引にリンクバジェットに換算しちゃうと、最終的なユーザへの見え方を考慮するときにとても便利、と言う話です。

さっきみたいに、QPSKだったのを16QAMにしてスピードアップ、というのもそうですし、それにたとえば「変調クラスをチャンネル埋め込みにして高速変調すると」なんていう効果もdBに換算しちゃったり、さらにコーディング(エラーが起きてもデータ復元が一定確率で出来るように処理をすること)を入れることで速度は30%落ちるけど利得が5dBとれるぜ、とか言うことを同じ土俵で議論できるようになります。

最初にも書いたとおり、リンクバジェットの数字はほぼ直接的にサービスエリアに変換できますから、いろんな技術を応用したサービスがあった場合、サービスごとにリンクバジェットへの影響を算出さえ出来れば、そのサービスの提供エリアを直接見積もることもでき、そうすれば、エリアシミュレータなどにその数字をぶち込むことで、一発でサービス提供エリアマップが作れてしまう、と言うわけです。

というような、広い意味でのリンクバジェットの数字を使うと、いろいろと便利なわけで、結構いろんなところでこういう使われ方をしているようです。今後、新しい技術が出てきたら、こういう「無理やり換算」をやってエリア見積もりとかをやってみるのも面白そうですね。

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2011/7/14 10:00 · 技術解説 · (No comments)