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2014/4/25 10:00 · 事業考察 · 6 comments

ずーっと書こう書こうと思ってたネタなのですが、LTEになってから当たり前になったデータ量規制についてです。

今どこのキャリアも、5GBとか7GBとかの月間データ量制限があり、それを過ぎると通信速度が制限される、みたいなプランばかりになっています。LTE時代になると、なまじスループットが出るので、コア設備などを守る目的でデータ量制限をするのは当然と言えば当然なのですが、私は純粋に技術者として、これがあまりに「下手な仕組み」なのが気になっててしょうがないんです。

通信量を制限してネットワークを守る。その目的を達するにはいろんな方法があるはずなんですが、誰もがこぞって「月間の通信量の制限」を選んでいることが理解できない。日本の通信キャリア社員には馬鹿しかいないんですか、と。

もちろん、「制限があるぞ」という脅し効果で使用量を心理的に抑えこむ効果もあるのでしょうが、そんなもの結局、使う人は使うんです。最終的には7GBの上限に当たる人はたくさん出てくるんです。

さて。

簡単なことなんです。ちょっと考えれば分かるんです。

月の始め頃は、誰も規制されていません。と言うことは、みんなフルスピードで通信できます。当然、ネットワークに流れるトラフィックは多くなります。

月末に向けて、徐々に規制される人が出てきます。そういった人々は、使わないか、使えても128kbpsとかになります。ネットワーク全体に流れるトラフィックはそれにあわせて減少していきます。

そして、月末、ネットワークのトラフィックは最小化します。当然ですね、この日が、規制されている人が一番多いんですから。

そしてその翌日は月初です。全員の規制が解除されます。一斉にフルスピードに回復します。

つまり、月末と月初に、あからさまにトラフィックの偏在が生じることは、ド素人にさえ想像がつくんです。

ネットワークの運用、特に容量管理という観点では、もっとも大切なことは「平準化」です。ネットワークというのは、もっとも負荷が高い条件に合わせて設計しなければなりません。ですから、負荷の高い条件と低い条件の差をできるだけ小さくする、すなわち平準化を行う、そうすることにより無駄な設備を用意せずに済み、ネットワークコストを低減できます。

たとえば、アプリやOSのアップデートみたいな裏でこっそりやっていてもいいようなやり取りは使う人の少ない夜中に行われるようにする、そういったことも平準化の一つです。ともかく、負荷のピークをどこか別のところに移し変えれば、それだけ、ネットワークとして用意しなければならない資源は少なくて済むんです。

大量データ利用者を制限するのもそうです。大量に使う人とそうでない人のトラフィックを平準化する、そのために、大量に使う人を選択的に制限してあげる。そうすることで、ネットワーク負荷の不均衡、偏在をできるだけ小さくしてあげるんです。

ね、考えると、日本のキャリアがいかに馬鹿かが分かりますね。月初には全員規制解除状態なんです。いくら7GBで制限しても、結局は「もっとも負荷の高い月初にあわせてインフラを用意しなきゃならない」んです。平準化することにより投資負担を減らしたいというデータ量規制の本来の目的には何の役にも立ってないんです。本当に馬鹿ですね。

そういう意味では、ソフトバンクにだけはちょっとだけ賢い人がいるんです。締め日を三つに分割している。だから、トラフィックの集中は三分の一で済むんです。もともとそういう料金システムだったってのもありますが、これは規制の効果という意味で、他の二社に比べて圧倒的な差です。いくら周波数が多くても周波数間の負荷分散はそれほど上手く進むものではありませんから、周波数の多寡に関係なく、月初の品質はソフトバンクが今後飛びぬけてくることになるはずです。それでも、同じ日に多くの人の規制が一斉に解除されるという「月単位規制」は余りに馬鹿げていると私は思いますけどね。

ほんと、月単位規制のこの弊害は、今後のインフラ品質競争上のキーポイントの一つになってくると思いますよ。LTE加入者比率が3割くらいだろう現状でも、すでに各社LTEネットワークは悲鳴を上げつつあります。効果的な規制の仕組みが作れないと、あっという間に競争から脱落していくと思います。

と、こんなところに書いても誰も見なさそうですけど。それでわ。

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2014/4/25 10:00 · 事業考察 · 6 comments

最近実人口カバー率がどうとか言う話が増えて、昔ながらの人口カバー率について人口カバーと面積カバーの関係と言うのを作ったのがあまり役立たずになっちゃってる感じなので、実人口カバー率について、同じような分析をしてみました。

ネタは簡単で、国勢調査の500mメッシュデータを並べて、データにしただけです。しただけですと言いつつ、データ量が超多いのでめんどくさかったのですが。

で、このデータを作って気が付いたというか思い出したのですが、日本って、総面積の3割くらいしか人が住んでないんですね。ってことで、総面積に対する比率だとよくわからなくなるので、「人が住んでる面積に対する比率」を「実面積カバー率」と定義して、データを作成。

まずグラフ。

旧人口カバーと傾向はほぼ同じ。

次に、人口カバー率に対しての順引き・逆引き一覧表。

実人口カバー率1%刻み→実面積カバー率

実人口カバー率 実面積カバー率 面積カバー率
1% 0.04% (0.01%)
2% 0.08% (0.03%)
3% 0.13% (0.04%)
4% 0.18% (0.06%)
5% 0.23% (0.07%)
6% 0.28% (0.09%)
7% 0.34% (0.11%)
8% 0.40% (0.13%)
9% 0.46% (0.15%)
10% 0.53% (0.17%)
11% 0.59% (0.19%)
12% 0.66% (0.21%)
13% 0.73% (0.23%)
14% 0.81% (0.26%)
15% 0.88% (0.28%)
16% 0.96% (0.31%)
17% 1.04% (0.33%)
18% 1.13% (0.36%)
19% 1.21% (0.39%)
20% 1.30% (0.42%)
21% 1.39% (0.44%)
22% 1.48% (0.47%)
23% 1.58% (0.50%)
24% 1.68% (0.54%)
25% 1.78% (0.57%)
26% 1.88% (0.60%)
27% 1.99% (0.63%)
28% 2.10% (0.67%)
29% 2.21% (0.71%)
30% 2.33% (0.74%)
31% 2.45% (0.78%)
32% 2.57% (0.82%)
33% 2.69% (0.86%)
34% 2.82% (0.90%)
35% 2.96% (0.94%)
36% 3.09% (0.99%)
37% 3.23% (1.03%)
38% 3.38% (1.08%)
39% 3.52% (1.12%)
40% 3.68% (1.17%)
41% 3.83% (1.22%)
42% 3.99% (1.27%)
43% 4.15% (1.33%)
44% 4.32% (1.38%)
45% 4.50% (1.43%)
46% 4.67% (1.49%)
47% 4.86% (1.55%)
48% 5.04% (1.61%)
49% 5.23% (1.67%)
50% 5.43% (1.73%)
51% 5.64% (1.80%)
52% 5.85% (1.86%)
53% 6.06% (1.93%)
54% 6.28% (2.00%)
55% 6.51% (2.08%)
56% 6.75% (2.15%)
57% 6.99% (2.23%)
58% 7.24% (2.31%)
59% 7.50% (2.39%)
60% 7.77% (2.48%)
61% 8.05% (2.57%)
62% 8.34% (2.66%)
63% 8.64% (2.76%)
64% 8.95% (2.86%)
65% 9.28% (2.96%)
66% 9.62% (3.07%)
67% 9.97% (3.18%)
68% 10.34% (3.30%)
69% 10.72% (3.42%)
70% 11.13% (3.55%)
71% 11.56% (3.69%)
72% 12.00% (3.83%)
73% 12.48% (3.98%)
74% 12.98% (4.14%)
75% 13.51% (4.31%)
76% 14.07% (4.49%)
77% 14.67% (4.68%)
78% 15.30% (4.88%)
79% 15.99% (5.10%)
80% 16.71% (5.33%)
81% 17.50% (5.58%)
82% 18.34% (5.85%)
83% 19.25% (6.14%)
84% 20.23% (6.45%)
85% 21.30% (6.79%)
86% 22.46% (7.16%)
87% 23.72% (7.57%)
88% 25.11% (8.01%)
89% 26.65% (8.50%)
90% 28.35% (9.04%)
91% 30.25% (9.65%)
92% 32.40% (10.33%)
93% 34.84% (11.11%)
94% 37.65% (12.01%)
95% 40.96% (13.07%)
96% 44.96% (14.34%)
97% 49.97% (15.94%)
98% 56.67% (18.08%)
99% 67.03% (21.38%)
100% 100.00% (31.90%)

実面積カバー率1%刻み→実人口カバー率

実面積カバー率 実人口カバー率 面積カバー率
1% 16.45% (0.32%)
2% 27.09% (0.64%)
3% 35.32% (0.96%)
4% 42.06% (1.28%)
5% 47.78% (1.59%)
6% 52.72% (1.91%)
7% 57.03% (2.23%)
8% 60.81% (2.55%)
9% 64.15% (2.87%)
10% 67.09% (3.19%)
11% 69.69% (3.51%)
12% 71.99% (3.83%)
13% 74.04% (4.15%)
14% 75.88% (4.47%)
15% 77.53% (4.78%)
16% 79.02% (5.10%)
17% 80.37% (5.42%)
18% 81.60% (5.74%)
19% 82.73% (6.06%)
20% 83.77% (6.38%)
21% 84.73% (6.70%)
22% 85.62% (7.02%)
23% 86.44% (7.34%)
24% 87.21% (7.66%)
25% 87.92% (7.97%)
26% 88.59% (8.29%)
27% 89.22% (8.61%)
28% 89.80% (8.93%)
29% 90.35% (9.25%)
30% 90.87% (9.57%)
31% 91.36% (9.89%)
32% 91.82% (10.21%)
33% 92.26% (10.53%)
34% 92.67% (10.85%)
35% 93.06% (11.16%)
36% 93.43% (11.48%)
37% 93.78% (11.80%)
38% 94.11% (12.12%)
39% 94.43% (12.44%)
40% 94.73% (12.76%)
41% 95.01% (13.08%)
42% 95.28% (13.40%)
43% 95.54% (13.72%)
44% 95.78% (14.04%)
45% 96.01% (14.35%)
46% 96.23% (14.67%)
47% 96.44% (14.99%)
48% 96.64% (15.31%)
49% 96.82% (15.63%)
50% 97.01% (15.95%)
51% 97.18% (16.27%)
52% 97.34% (16.59%)
53% 97.49% (16.91%)
54% 97.64% (17.23%)
55% 97.78% (17.54%)
56% 97.91% (17.86%)
57% 98.04% (18.18%)
58% 98.16% (18.50%)
59% 98.27% (18.82%)
60% 98.38% (19.14%)
61% 98.49% (19.46%)
62% 98.58% (19.78%)
63% 98.68% (20.10%)
64% 98.76% (20.42%)
65% 98.85% (20.73%)
66% 98.92% (21.05%)
67% 99.00% (21.37%)
68% 99.07% (21.69%)
69% 99.13% (22.01%)
70% 99.20% (22.33%)
71% 99.26% (22.65%)
72% 99.31% (22.97%)
73% 99.37% (23.29%)
74% 99.42% (23.61%)
75% 99.46% (23.92%)
76% 99.51% (24.24%)
77% 99.55% (24.56%)
78% 99.59% (24.88%)
79% 99.63% (25.20%)
80% 99.66% (25.52%)
81% 99.69% (25.84%)
82% 99.72% (26.16%)
83% 99.75% (26.48%)
84% 99.78% (26.79%)
85% 99.80% (27.11%)
86% 99.83% (27.43%)
87% 99.85% (27.75%)
88% 99.87% (28.07%)
89% 99.89% (28.39%)
90% 99.90% (28.71%)
91% 99.92% (29.03%)
92% 99.93% (29.35%)
93% 99.95% (29.67%)
94% 99.96% (29.98%)
95% 99.97% (30.30%)
96% 99.98% (30.62%)
97% 99.98% (30.94%)
98% 99.99% (31.26%)
99% 100.00% (31.58%)
100% 100.00% (31.90%)

何かに使ってやってください。

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2012/11/21 10:00 · 事業考察, 技術動向 · (No comments)

2.5G(2.6G)帯の新割当に関して、WCP、UQはともかく突然ドコモも出てきていて、どういうことになりそうか解説が欲しいです、と言うお便りをいただきました。

前にもちょろっと書きましたが、2.5Gの上の方は衛星放送的サービスのモバHOで使ってて、そこが空いたので国際割当に従って無線ブロードバンド向けにさらに割り当てますよ、ってことになってて、どんな人が使いたいか募ってみたらさりげなくドコモが、っていうのが、今の状況。

どういう風に使いたいのか、ってのをおおざっぱに整理すると、ドコモ以外が、要するにTD-LTE。AXGPとかWiMAX2.1とか言ってますが、どちらも中身はTD-LTE。WiMAX2.0までが由緒正しきWiMAXで、その採用の可能性も(地域WiMAX事業者などでは)ありそうな要望内容ですが、まぁ普通に考えて今後デバイス調達がシュリンクしていくであろうレガシーWiMAXを新しく導入するのは筋が悪いですよね。どこに割り当てとなっても、結局はTD-LTEになるだろうと思っています。

さて問題がドコモ。ドコモがここまで徹底的にTD-LTEを嫌うとは思ってなかったんですが、上下非対称キャリアアグリゲーションの下りオンリー帯域として使う、と言っています。

キャリアアグリゲーションってのは、LTE Advancedで採用されている、複数の搬送波を束ねて高速通信を実現する方式。同じバンド内で束ねるのはもちろん、遠く離れたバンドをまたがって束ねることも可能で、さらに、上下ペアが前提のFDD-LTEであっても、上り搬送波は最低一つあればよく、束ねる他のバンドは下りだけでOK、と言うようなモードもあります。

つまりドコモが狙っているのは、たとえば、下り2GHz帯10MHz幅+下り2.5GHz帯20MHz+上り2GHz帯10MHz、みたいな組合せ。これで、下り通信速度を超ブーストできます(上りは従来通り)。この組み合わせだと、200Mbps超が可能です。

ただしこの割り当て方をした場合、ドコモに割り当てられた2.5GHz FDD-LTE下り専用帯域はまさにキャリアアグリゲーション専用帯域となり、単独で使うことはできません。アンテナロケーションや電波伝播の差分などにより2.5G以外か2.5Gかのどちらかしか届かないようなスペースってのは必ず生まれますが、そんなところでは、2.5G帯の電波は完全に無駄になります。

と言うことで、正直、ドコモへの割り当ては、単にドコモの「スペックブースト」の役割しかなく、有効利用と言う観点ではあまり有用ではないかなぁ、と言うのが私個人的な感想です。

じゃぁどこがいいかと言うと、まぁ順当なところを言えばUQなんですけどねぇ。今UQが持っているところからガードバンド10MHzを空けての割当と言うことに当初はなるわけですが、UQが旧WiMAXを巻き取ってTD-LTE化すれば、その間の10MHzも使えるようになるんですよ。もちろん、WCPが使ったとしても、UQとフレーム構成と同期を合わせれば使えるようにはなるんですが、競合事業者間でそこまで細かい部分を合わせこむのは現実的じゃないです。単純に周波数の有効利用を考えるなら、将来像まで考えればUQ一択。

あとは、グループ間のバランスもありますね。ソフトバンクグループはウィルコム・イーアクのグループ化で保有周波数で事実上トップ、加入者当たり周波数だととびぬけて多い。そう考えると、ドコモかKDDIグループに割り当てるのが順当、ってことになります。で、あとは加入者当たりって話になるとするとドコモ割当かなぁ、と言う結論にもなります。ドコモの要求はスペックブーストを指向しているとはいえ、束ねる方式でも書いた通り、束ねれば統計効果で容量増もできる、と見れば、容量観点でまるで無駄と言うわけでもないですし。

まぁこの辺は総務省のお役人と各社の話し合いになるのでどうなるかはわかりませんね。700Mのときのように、せっかくの広い帯域を細切れにするような無駄をやるのが日本の電波行政ですから、どういう結論になっても驚きません。

そんなわけで、2.5G新割当についての駄文でした。

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2012/11/21 10:00 · 事業考察, 技術動向 · (No comments)
2012/10/18 10:00 · 事業考察, 技術動向 · 3 comments

ドコモが100Mbps超のLTEを始めますよ、と言うアナウンスがあったことについて、「これっていったい何モノ?」と言うご質問をいただきました。もうわかってる人は死ぬほどわかってる話だとは思いますが、ふつーの生活をしているといきなり3倍ですと言われてもにわかに信じられないのも仕方がないわけで、今日はこれを平易に解説してみたいと思います。

ドコモが現在、大半のエリアでサービスしているのが、37.5Mbpsと表記される速度でのサービス。で、一部エリアで75Mbpsでますよーと言っていますが、まぁたいていの人はこのエリアに当たることはほとんどないと思います。おおざっぱに言って、37.5Mbpsがドコモのサービスのベースです。

さてここでXi=LTEの仕組み。LTEは、もちろん携帯と同じく電波を使ったサービスです。で、ざっくりと言うと、電波を使ったサービスでは、「電波を使う量」で、その最大通信速度がほぼ決まってきます。※良くわかっている人向け: それ以外のアンテナ数やチャネル構成が等しいとして。

で、電波を使う量の単位が、「Hz(ヘルツ)」。これをどのくらい使うかで通信速度が変わってきます。ちょっと余談になりますが、昔は、1Hz=1bpsくらいが相場でした。なので、100万Hz(1MHz)を使うと1Mbpsの通信速度と言うのが相場。だったのですが、最近はこれがものすごく改善して、1Hzで数bps出るような仕組みが作られています。LTEも大体この仲間。

で、ドコモでは、今、LTEで「5MHz」を使ったエリアを多くの場所で展開しています。この5MHzで出せる最大速度が、37.5Mbps。ここまで書けばほぼ答えですね。

LTEは、使う電波の量を柔軟に変えられるということも大きな特徴の一つ。最小で1.3MHzから、最大で20MHz (さらにもっと多くも将来は可能)を使って、しかもそれが同じキャリアで混在して使うことができます。なので、ドコモも、多くは5MHzを使っていますが、一部のエリアで、10MHzを使ったサービスをしていて、このエリアが75Mbpsエリアと言うわけです。となれば、15MHzを使えば、これが自然に112.5Mbpsになることは想像通り。

さて、こうなると、「じゃぁなんで全部のエリアで15MHzとか20MHzとかを最初から使わないのか」と言う質問が出てくると思います。これに関しては、電波についてもう一つ踏み込んで考えなければなりません。

電波は、国が許可してキャリアに割り当てます。ですので、無尽蔵に使えるわけではありません。新しい方式であるLTEですが、各キャリアは、古い方式でもらっていた電波を再利用してLTEを開始しています。

ところが、古い方式(3G)とLTEは、同じ場所で同じ電波を使ってはいけません(LTE同士でも基本的には同じ電波を使ってはいけません)。たとえば、ドコモは、バンド1と言う場所に、20MHzのカタマリを持っていて、これを5MHz毎に細切れにして使っています。3Gは、1エリアで5MHz単位で使う方式だからです。

仮に、20MHzの中の5MHzの小カタマリに、1、2、3、4と名前を付けます。3Gでは、小カタマリが一個あれば全国をカバーできます。なので、たとえば、全国で小カタマリ1を使うとします。ところが、小カタマリ一個でたくさんのユーザを捌こうとするとものすごく混雑してしまうことがあります(人口の多い場所などで)。このため、混雑したところから、小カタマリ2を使う様になります。で、さらに混雑すると小カタマリ3、それでもだめなら4まで使う、と言う様に。

さてドコモは、現在、このバンド1でLTEを開始しています。一方、このバンド1は、ドコモ3Gのメインバンドでもあるため、多くの場所で、小カタマリの1~3まで使っちゃってます。ってことは、LTEでエリアを作るために使えるのは、ほぼ小カタマリ4だけと言う状態です。

なので、ドコモはほとんどのエリアで小カタマリ一個分すなわち5MHzのサービスを行っているわけです。で、3Gで使っている小カタマリが2個で済んでいる地域(つまり人口が少ない場所など空いているエリア)では、LTEで小カタマリ2個を消費して10MHz=75Mbpsのサービスを行っています。

今回15MHz=112.5Mbpsのサービスを行うということは、LTEで小カタマリを3個使うということです。こうなると、ちょっとした人口の地域でも難しくなります。要するに、3Gで小カタマリ一個だけで通信を全部捌ける地域でしか、LTEに小カタマリ三つを使えないからです。

とはいえ、やっぱり競争上の理由で最大スペックは飾らないといけない、ってことで、とにかくできそうなところだけなんとかかんとか3Gの使用を1小カタマリに縮小統一して(LTEで3小カタマリ使うには、その周囲の電波が届きそうな結構広い範囲で3Gを1小カタマリにしておかないと電波がぶつかります)、LTEに3小カタマリを振り分けていったという感じですね。なので、112.5Mbpsサービスのエリアは本当にピンポイントになってしまっているわけです。

と言うのが、ドコモがいきなり3倍になった理由と、それでもなぜかほとんどのエリアで使えない理由。今後、3GのユーザがLTEにどんどん機種変していって3Gの「小カタマリ消費」が減っていけば、徐々に75Mbps、112.5Mbpsのエリアが広がっていくでしょうが、それにはもうちょっと時間がかかるでしょうね。でわ。

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2012/10/18 10:00 · 事業考察, 技術動向 · 3 comments
2012/10/17 10:00 · 事業考察, 品質動向 · 4 comments

先日のLTE展開プランのアップデートの図が思いのほか好評だったのですが、毎回作るのがめんどくさいのでスクリプトで自動で作るようにしました。

下記がその図です。

LTEエリア

一応毎日更新ですが、免許情報が更新される月3回くらいしか情報は反映されないと思います。

一応このエントリから常時最新情報画像を参照していますので、参考にどうぞ。

[追記]面グラフなら面積比例にした方がよくね?と言うご意見いただき、面積比例に直しました。

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2012/10/17 10:00 · 事業考察, 品質動向 · 4 comments
2012/8/27 10:00 · 事業考察 · 10 comments

[追記]最新図はこちら↓
各社LTEエリア展開状況(常時更新)

さて、前に書いた各社LTE展開プランに関して、まただいぶ状況が変わってきているので、改めてアップデートしておきたいと思います。

まずドコモ。相変わらず2GHzがメインで、なおかつ、ほとんどのエリアが5MHz幅(37.5Mbps)エリアとなっていて、状況は変わらず、エリアが徐々に広がっているだけのようです。ごく一部の地域で2GHzの15MHzを始めていたりするようで、今後は、これを徐々に増やしていくでしょうが、3Gのメインバンドともいえる2Gを都市部では削れないでしょうから、これ以上2GHzを使った拡大は難しいでしょう。一方、800MHzや1.5GHzの基地局も実験的に展開を始めているようですので、もう少ししたらこれらのエリアが急に広がり始めるかもしれません。

次にKDDI。こちらは着々と800MHzと1.5GHzを増やしていて、800MHzのロケーションの数だけでドコモに匹敵するほどになっているようです。まだサービスイン前なのに。もちろん、全くロケーション数が同じなら2GHzより800MHzの方がエリアは広く取れますから、サービスインと同時にドコモを大きく上回るエリアを実現する可能性が高く、さらに、ほぼすべての局が10MHz幅(75Mbps)となっているなど、速さ・広さともに他社を圧倒することが確定。加えて、難しいんじゃないかと思っていた2GHzも相当な勢いで建てているらしく、グローバル端末の受け入れに関しても万全です。なんだこの最強LTEキャリア。

ソフトバンクは、予想通りと言うか、自身によるFDDの展開も始めました。これはおそらくグローバル端末(と言うかLTE対応iPhone)の受け入れが主目的。ただし、ロケーション数では大きく後れを取っているうえ、10MHz幅率はドコモより下。要するに、エリアの広さでも速度の速さでも二社に大きく後れを取っている状況。これをカバーするのがWCPによるTD-LTEですが、こちらはPHSロケーションの再利用であるため、局数が多くともカバーできる範囲はかなり狭くなりがちです。あと、こちらに関しては全く同じ局に10MHz免許(FDDの5MHz幅相当)と20MHz免許(FDDの10MHz幅相当)の両方が付けられていたりして、実際にどっちの幅でサービスをしているのかわからない感じ。たぶんほとんどは20MHz幅だとは思うのですが、ちょっと不明瞭な感じですね、免許情報からは。

イーモバイルは、まぁ、うーん、頑張ってるけど、ちょっと、なぁ、って感じ。ロケーション数はソフトバンクをさらに大きく下回り、10MHz幅率もドコモ程ではないけどかなり低い。安さ以外でイーモバイルを選ぶ理由はなさそうです、残念ながら。

最後に、現時点で情報取得済み情報で図式化してみたものを。まだ完全ではないですが、おおよそ9割ほどは正確な情報のはずです。

まぁなんつーか、KDDI(au)の鬼っぷりがよくわかる図です。今後、この中の「赤い丸」がどのくらい大きくなっていくか、ってのが、各社LTEサービスの「本当のスペック」を知るうえで重要になると思うわけで、時々、この図、更新したいですね。案外作るのめんどい図なんですけど。

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2012/8/27 10:00 · 事業考察 · 10 comments
2012/8/21 10:00 · 事業考察, 品質動向 · (No comments)

ドコモの障害が増えていますね。なぜ障害が増えているか、という点については、障害が表面化する仕組みを考えてみればいいと思います。要するに、前に書いた通信事業における障害に対する考え方について辺りをおさらいしてみるといい感じかもしれません。

まず、「表面化する障害」とは何か、と言うことを考えています。障害が起こったとき、仮にどんな小さな障害でも出た瞬間に公表しなければならない、なんてことにはなっていません。と言うか、もしそんなことをしてしまうと、キャリアの障害情報ページはあっという間にぎっしりと埋まってしまいます。どんなに品質の良い機器を使っても、何しろ全国区の通信キャリアの使う機器数は膨大ですから、仮に障害率(ダウン率)1ppmだったとしても、毎日何十個という機器故障情報が障害リストを埋めてしまうことになります。

そんなわけで、実際には、加入者への影響度で公表有無を決めているようです。と言っても、各社の詳しい内規まではわかりませんが、一つの重要な基準として、「総務省への報告義務のある事故」の基準値があります。これが、「3万 以上 かつ 継続時間 2時間 以上」となっています。大体、各社ともおおむねこの基準かこの基準よりちょっと厳しいくらいの基準で、障害の公表有無を決めているようです。

ポイントは、「影響人数」と「継続時間」というところ。特に、「継続時間」については重要で、たとえば、機器故障でスタンバイ系に切り替わるときに1秒だけ影響があった、こういう場合は、障害とは言えませんね。つまり、どんなにドでかい障害であろうと、短期間で終息すればそれは障害発生と言えない、とさえ言えます。

これが、要するに対策至上主義の原典。起こってもいい。起こってから復旧までを極限まで短くせよ。

さて一方、ドコモやKDDIが採用しているのは、予防絶対主義。起こしてはならない、という考え方です。ただ、ここで短絡的に「予防絶対主義だから何かが起こってしまうと長期化してしまう」と結論してしまうのは、ちょっと違うと感じる方も多いでしょう。すなわち、「予防絶対主義と対策至上主義は両立しうるのではないか」と言う命題です。

出来うる限り完璧に予防する。同時に、何かが起きた時にも素早く復旧する技術を磨く。これは両立しそうに思えます。

結論から言うと、これは両立しないんですね。

なぜかと言うと、それは予防絶対主義の「障害時の初動対応」にあります。予防絶対主義の原典には「一度起こした障害を繰り返してはならない」というありがたい言葉が記されています。なので、万一の障害が起こった場合、その障害を繰り返さないための対応がまず最優先されるのです。すなわち、「調査のための現状保存」。

障害が起こりました。まずどのノードの障害かを突き止めます。次にそのノードの保守ベンダに連絡を入れ、調査のためのログ取りの準備をします。場合によっては現地に行く必要さえあるかもしれません。この間にたとえば「復旧のためにリセットしていいか」とベンダに聞いて、ベンダがダメーと返答したりなど無駄な時間を過ごします。ベンダがようやくログ取りをはじめ、必要なログがすべて取得出来たらようやく、リセットや電源入れ直しなどの対応を始めます。この間、おそらく1時間以上。下手すりゃ数時間です。[追記]実際の切り分けなんてやってないしログ取りなんて一瞬だろ、と言うご指摘をいただきましたが、一番時間がかかるのが、ログ取りを開始できるまでの手続きと手順です。実際に商用で運用されている装置に対してベンダがアクセスするためには膨大な儀式が必要なのです。入局作業ともなればなおさら。それが、この「無駄時間」の大半だったりします。

要するに、予防絶対主義を貫く限りは、障害に対する初動対応が「次の障害を起こさないための対策」で数時間遅れてしまう。となると、上の公表基準、報告基準であるところの「障害継続時間」が長時間化してしまうわけですね。

で、数年前まではこれでよかったんです。なぜなら、システムは比較的シンプルで、「手におえる」レベルだったから。数年に一度の大障害を糧に信頼性をグングン向上させられるシステムだったから。しかし、前にも書いた通り、新しい時代になり、いろんなシステムが複雑に絡み合い、もはや全体の把握は人間の手におえるレベルを超え始めています。システム自体が生き物のように毎日姿を変える、と言うと言い過ぎかもしれませんが、IPベースでアダプタビリティ・スケーラビリティが向上しているがために、ブラックボックス化した動作の機微がシステム全体にバタフライ効果的インパクトを与えうるものになってきています。大昔にやってたサイトで「フルIP化はシステム挙動をカオティックにするから嫌いだ」なんてことを書いた覚えがありますが、まさにそういったことが起こりつつあるというわけです。

なので、いくら予防を徹底しても、毎日のように新しい障害要因が生まれてくるわけです。もちろんその新しい障害要因のほとんどは日の目を見ずに潰されるわけですが、それをすり抜けたものが障害として花開くわけで、その新しい障害には対策できずに大障害として長時間継続を許してしまうのが、予防絶対主義、と言うことなのかなぁ、と思うわけです。

と言うことで、まぁとある筋から、なぜドコモやKDDIの障害は長時間化しやすいのか、なんていう与太話を聞いてこんな記事を書いてみたりしました。それでわ。

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2012/8/21 10:00 · 事業考察, 品質動向 · (No comments)
2012/6/27 10:00 · 事業考察, 技術動向 · 1 comment

クラウドというのがいまいち気に入らないんですよ。まぁ全面的に否定するわけじゃないんですけど、個人的には気に入らない思想で作られたクラウドってのが結構あるような気がするんです。

クラウドって、何らかの情報資源をネットワークの向こうに置いておいて、適宜利用する、っていうコンセプトですよね。もちろん、必要なときに時々アクセスするだけです、っていうのなら、たいした問題じゃないんですよ。ローカルで使うツールの一部がクラウドによって強化される、っての、つまりハイブリッド型は悪くないんです。

困るのは、なんというか、ツールそのものがクラウドってタイプ。ピュアクラウド。たとえば、スマホのアプリを立ち上げると、いきなりネットワークにアクセスして必要な情報をゲットしたりするタイプ。もちろん、その時点でネットワーク接続に失敗すると「アプリの起動に失敗しました」ってなるやつ。単純にストリーミング動画サービスも、ネットワークにアクセスできないと何もできないですよね。これもある意味でピュアクラウド的サービスだと思います。

さらには、そもそもアプリの実体はローカルには無くて、ローカルにあるアプリっぽいものは、単なるブラウザエリアだったり画像表示器だったりするタイプもこれ。インターフェースそのものをクラウド側で生成していてローカルには一切インターフェースが無いようなの。シンクライアント的な感じ。

別にこういうサービスやアプリがあることを否定するつもりはないんですけど、ちょっと気に入らないのは、ケータイキャリアたちが、こういうタイプのサービスをこぞって始めていることです。ドコモなんてひどいもんで、「ネットワークの土管化を避けるために、ネットワーククラウドを本質的な付加価値にしていく」とか言い出している始末。

まずそもそも、どうしてクラウド的サービスが個人的に気に入らないのか、ってことなんですが、答えは簡単です。ネットワークがないと使えない。今、日本で一番広いエリアで使えるであろうネットワーク手段は、携帯・PHSによるインターネット接続です。ところが、これらでさえ、圏外という場所は多分に残っています。

そして、インフラオタク的に言わせていただければ、根本的にすべてのエリアを完全にカバーするインフラというのは作れない、と思っている部分もあるんです。たとえば、イリジウムみたいに全地球をカバーできるシステムもありますが、あれだって、地下では絶対に使えません。地下どころかビルの谷間でさえ使えないこともあるくらい。単に距離的・面積的な問題で置けないことよりも、そういった些細な理由での「カバー不可」というのが、通信インフラでは根本的に残らざるを得ない、というのが私の持論です。

というのは、結局は通信インフラってのは、維持コストと収益のバランス。維持コストが無限に使えるならありとあらゆる場所を完璧にカバーできるでしょうが、収益、採算性によるキャップがかかってしまうというのが、営利企業であることの限界。狭くて人口密度の高い島国ならあるいは、と思わないでもないですが、それにしても、シンガポールならまだしも山地の多いこの国での完全カバーは厳しいでしょう。

というか、最近特に気になっているのは、東京の地下。地下鉄。駅間カバーは徐々に進んでいるとはいえ、それでもまだ一部分にすぎないし、そもそも、最近は混雑でつながらない、実質圏外。実質圏外どころか、実際に圏外表示出ますからね、ドコモの場合。ホームで電車待ち中にブラウザでリンクたどってると突然圏外表示になって、15分ほど帰ってこない。ホームで圏外表示になったらいつも電源入れ直ししてます。なんですかあれ。何が起こってるのかは大体想像はつくけど、なんですか、あれ。改善する気ゼロですか。

という様に、東京の地下には広大な「圏外エリア」が広がっています。これは一例で、土管=インフラというのは、完璧無欠ということはありえない、と私は考えるわけです。だから、少なくとも端末単位で動くようなサービスは、ネットワークが無くても動くような工夫をすべきということなんですよ。キャリア諸氏が傲慢にも「我々の土管は完璧だ」と、土管ありきのサービスをやることはとりあえず気に入らないし、それ以外のサービスプロバイダに関しては、土管なんぞあって当然、圏外の奴は死ねみたいな考え方が気に入らん。

いや本当、クラウド的に、全部の処理をサーバ側でやっちゃう、っていう概念は確かにいろんな便利な面があることは重々承知してるんですけど、個人が端末単位で使うサービスだったら、ローカルでもある程度動く仕組みを備えてほしいんです。もちろんそういう努力をしたアプリケーションも結構ありますけど、最近は本当に多いんですよ。地下鉄でアプリ立ち上げたら「ネットワークが見つかりません。アプリを終了します」。アプリの価値が赤の他人が作っているネットワークインフラに完全に依存してしまうことを、ちょっとくらい恥ずかしいとか思わないのか、と。いっそ、アプリがネットワークを利用する分の通信料をアプリ提供者に課金するっていう仕組みがあればいいのに。あれっ、これいいアイデアだ。マルウェアとかも激減するよね。よし特(以下5kB程中略)

ってことで、クラウドサービスっていうのが、ネットワークとは切っても切れないサービスで一方ネットワークというのは完璧ってことはありえないものっていう前提でサービスを設計するなら、せめてスマホ向けサービスとかはクラウドとローカルのハイブリッドで考えてほしいよなぁ、と思うお話でした。誰とは言わないけどネットワーククラウドが主力!とか言ってるキャリア殿にはしっかり考えていただきたいところです。でわ。

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2012/6/27 10:00 · 事業考察, 技術動向 · 1 comment