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最近、いろいろなところで目にするのが、次の700/900MHz帯を誰が取るのか、と言うこと、それに付随して、これらの帯域を「プラチナバンド」と呼んで万能視する流れなのですが、これに関してはちょっと言いたいところがありまして、簡単にまとめて見ます。

700/900MHz帯の割当が近い今日この頃ですが、特にソフトバンクについて、「900MHzさえ手に入れば繋がらない問題などが全て解決する」と言う論調があまりに幅を利かせていて、これはもう完全に某氏の過剰宣伝に洗脳されているところが無くもないわけで、その辺の現実をある程度分析させていただきます。

と言うのも、900MHzを手に入れれば全てが解決する、と言うのはまず基本的には「嘘」です。確かに900MHz帯のほうが、2GHz帯よりも、電波の減衰が小さいのは事実です。しかし、過去に何度か書いたかもしれませんが、電波に関しては「飛ばす技術」よりも「飛ばさない技術」のほうがはるかに重要なんです。

もちろん出力を落とせば飛ばない、これ当たり前。なんですが、「設計どおりのところにはきっちり飛ばすけどそれ以外の場所には飛ばさない」と言うことなんです。これを行うためには、たとえば、地上2mくらいの低い位置にアンテナを置いて飛ばす、なんてことをやると完全にアウトです。

飛ばさないようにするには、非常に高い位置から吹き降ろすように電波を発射することが必要です。だからこそ、携帯電話の基地局は高い位置にアンテナを据えつけるわけです。また、鉛直面内の指向性をアンテナに持たせなければならない都合上、直列アレイ型のアンテナを使わなければなりません。

高い周波数であれば自然に減衰してくれるので、ほどほどの高さからほどほどの角度で吹き降ろせばよく、逆に低い周波数の「飛ぶ」恩恵を受けつつもきっちりと「飛ばさない」ためには高い位置から角度をつけて吹かなければなりません。細かい議論を考えればずれてきますが、これはもう大雑把に周波数に反比例すると思って良いです。

また、アンテナの素子サイズ、こちらはほぼ厳密に周波数に反比例します。それを直列アレイで並べなければならないため、アンテナ全体のサイズも周波数に反比例します。

要するに、900MHzの基地局に関しては、2GHz基地局に比べると「鉄塔の高さはほぼ2倍」「アンテナのサイズもほぼ2倍」と言うことが言えるわけです(もちろん厳密には違います)。

でこれはもう勘所の話になるので厳密な話ではなく恐縮ですが、「寸法が倍」ってことは、面積は4倍、体積は8倍です。従来の4倍の面積の土地を必要とし、8倍の重量の躯体となる、と言うことです。従来の2GHz基地局とは何から何まで違います。当然併設なんて出来る話ではありません。

つまり、ロケーションも設備もこれから新たに手当てしなければなりません。ドコモが1990年代にPDCでコツコツとエリアを広げてきた、あの努力を再現しなければならないんです。ドコモはその努力の結果、800MHzに対応したロケーションと設備を持ち、そこにFOMA 800MHzを併設することで「プラスエリア」の広大なエリアを一挙に構築できました。残念ながらソフトバンクにはそれをする基礎がありません。「ドコモがプラスエリアを広げたようにエリアを広げる」ことは絶対にありえないというわけです。もちろん、入手したウィルコムのロケーションも使えません。1.9G用の設計であるウィルコムロケーションは、2GHz帯には転用できても、900MHz帯には絶対に転用できません(聞いたところ、ウィルコムロケーションにおいているのは結局1.5G局ではなく2G局だそうです)。

最近、割当が決まってもいないのに900MHz用のロケーションの手配をしている、なんていうニュースが出ていましたが、それはもっともな話で、はっきりいって再利用できるロケーションと設備が無いためゼロからやり直し、割当をもらってから始めても何年もかかってようやく追いつけるかどうかと言うくらいに、低い周波数帯の整備は大変だからなんです。これだけの勇み足でも、おそらく当面は全く整備が追いつかないと思います。ともかく900MHz帯は、資本的コストも時間的コストも非常に高額になる帯域だということが意図的に無視されている気がするんですよね。

また、端末の問題もあります。よく「iPhoneが900MHzに対応しているからそのまま使える」と言う議論がありますが、日本の900MHzは、近くにドコモ850MHzがあるため、与干渉の基準をクリアしなければなりません。現行の標準で作ったものは(たまたまクリアできるものもありますが)基本的にこの基準がクリアできることを試験できていません。たまたまクリアできても試験を通していないものは「クリアできない」扱いで電波法違反。つまり、端末も全て準備しなおしです。

いや、一生懸命ソフトバンクを貶すばかりの議論になってしまっていますが、ちょっと最近の「900さえ取れればなんとかなる」的な論調があまりに浅薄でイラついていて、こんな感じになっちゃってるところもあって、ちょっとごめんなさいしておきます。

ちなみに、もしドコモやKDDIが900を取れたら、現行の800MHz用の設備をほぼ再利用可能なので、あっという間に全国にエリアが広がります。700も基本は同じ。

「プラチナバンド」と言って利点ばかりがもてはやされることが多いのですが、それらの利点があっても余りあるほど「高コスト」なのが、このプラチナバンド。「プラチナ」が単に「優れている」だけでなく「お値段が高い」と言う意味も含んでそう呼ぶのであれば、まさに的を射た表現ではあるんですけどね。

と言うことでプラチナバンドに関してこういう意見もありますよのお話でした。

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またご質問より。「iPhoneの話題で、au版は音声とパケットが同時に出来ないといわれていますが、そもそもなぜ出来ないのでしょうか」と言うご質問を頂いています。

そもそもなぜ出来ないか。これは、CDMA2000の標準仕様の問題である、と誤解されている方が大半だと思うのですが、実は、CDMA2000標準仕様では、音声パケットの同時接続は禁止されていません。ではなぜなんでしょうか、と言うと、前にちらりと書いた、「音声とパケットが別の搬送波である」と言うことが関係しています。

別の搬送波、と言うより、全く別のシステムなんですね。だから、同時接続には全く縛りはありません。ただ一方、普通は携帯電話の無線機は1個しか積んでいません。なので、音声の搬送波に無線機をチューンすれば音声しか使えなくなり、パケットの搬送波に無線機をチューンすればパケットしか使えなくなる、と言うこと。

ここまで書けばなんとなく想像がつくと思います。たとえば、テレビやレコーダのダブルチューナーなんてのは、二つの搬送波を同時に受信するために使われていますが、これは、言ってみれば無線機が二つある、と言うこと。CDMAでも、無線機を二つ積めば、音声とデータを同時に扱うことは出来るわけです。

去年流れたiPhoneが初のCDMA音声パケット同時接続対応機器になるかもと言う噂は結局実現はしていませんが、標準仕様的にもネットワーク的にも、同時接続が出来ない理由は全くありません。単に、端末コストと実装サイズの問題で、無線機を2台積むということが出来ないという点が問題なだけなんですね。標準仕様の問題ではなく、コスト削減したい端末屋さんの問題なんです。

また、ここまで音声とパケットと言うように書いてきましたが、厳密には、「1xシステム」と「EVDOシステム」で、実は両方とも音声とパケットを持っています。たまたま世界のほぼ全てのCDMAキャリアが1xを音声と低速データ用、EVDOをパケット専用、と言う使い分けをしているだけです。EVDOでも、VoIPベースの音声を提供することが出来、実はauでもシステム的には可能になっています。もうすっかり忘れられていますが、昔auがテレビ電話をやっていたあれ、あれはEVDO上のVoIPシステムそのもの。だから、この仕組みを使えば音声とパケットの同時接続は無線機1台でも可能です。が、この場合はEVDO音声コアとレガシー音声を相互接続するという非常に面倒な手続きが必要になるため、実現性は無線機を二個積むよりははるかに低いと思います。

と言うことで、要は無線機をもいっこ積めば出来る、って言う話なんですが、まぁただでさえ実装密度が上がっている最近の端末では、これは厳しいでしょうね。無線機はアナログデバイスなので実装面積も広め。無線機をもう一個積む余裕があるのなら、WiMAXでも積んだほうがよほどご利益があります。ただ、VerizonもiPhoneで同時接続できないことをAT&Tからかなりネガキャンされてまいっているので、新しいiPhoneで無理に押し込んだ可能性もゼロではないですが、まぁ、無いでしょうね(苦笑)。あれ、でも4Sは無線アンテナが二系統になったって話も・・・?←追記:ゴメン、これ単なるアンテナ切替式ダイバシティ受信なので受信機は一個しか積んでないみたいです。

追記:じゃぁなんでWCDMAはできるの?と言う質問もいただきました。簡単に言うと、WCDMAでは一つの搬送波に音声とパケットが混在しています。なので、無線機1台で両方扱うことが出来るわけです。もちろんそれは利点ばかりではありません。以下、簡単にまとめておきます。

WCDMA CDMA2000
利点 無線機1台で同時利用できる
搬送波が広いため最大通信速度を大きく出来る
音声の混雑がパケットに影響しない(逆も同様)
搬送波が多いため搬送波間でトラフィックが分散し混雑しにくい/品質が落ちても回復しやすい
欠点 音声が増えるとパケットが混雑する
1搬送波を多人数で共有するため混雑しやすい/落ちた品質を回復しにくい
無線機1台で同時利用できない
速度を上げるためには搬送波を束ねる上位技術が必要(Rev.B)
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2011/9/30 10:00 · ニュース解説 · (No comments)

先日、iPhoneに関してKDDIとAppleの思惑について書いたところ、やっぱり多かった反響は、Appleの思惑を満たすのであればKDDIよりドコモが適切ではないか、と言うものです。

もちろんそのとおりで、おそらく何も無いところから日本の4つの3Gキャリアの中から一社を選べといわれれば、誰だってドコモを選ぶと思います。

おそらくAppleだって、まずはドコモに持ちかけたはずです。あえてシェアの低い事業者を選ぶ、なんていう戦略をとっていたとは思えないので。たとえば最大マーケットの米国では、当然のように2頭の一角AT&Tを選び、次いでVerizonを追加。2大事業者をがっちり押さえているわけですから、日本でだってドコモに売って欲しいはずです。

ただ、当時の交渉の結果、ドコモとは折り合わず、ソフトバンクに売ることにしました。と言う状況から、今度は日本で次のキャリアを選ぼうと思ったとき、やはりドコモがいいなぁ、と思うのが当然だと思います。同じWCDMAなら認証の取り直しとかなんとか言う面倒な話も必要ないですしね。

ただ、一度は折り合わなかったドコモとの交渉、そう簡単に妥結はしなさそうだなぁなんて思ってたら、一方で、iPhoneで蹴散らして瀕死のKDDIが起き上がって仲間になりたそうにこっちをみているわけですよ、きっと。あ、そういえばKDDIもLTEやるらしいし、ちょっと調べたらKDDIのほうがLTE投資計画がでかいぞ、よし、まずはコイツを押さえとこう。・・・と思っても不思議ではありません。

要するに、Apple的なネットワーク拡大戦略の一端にKDDIが引っかかった、と言う状況だと思うんですね、KDDIから出るとするなら。一方、Appleは、何も販売キャリアを限定する必要は無いのですから、さらにドコモから売っても良いんですよ。

AppleがKDDIから出したい理由としてはこんなのが考えられる、と言うのに加え、実は、それよりも強い理由を、ドコモに対して持っているはずだ、と私は考えています。

だから、今度のiPhoneが、ソフトバンク、KDDIだけじゃなくドコモから出てもおかしくないと思うんです。結局そこは、ドコモがそこまでして自社垂直統合を破壊しかねないiPhoneを欲しがっているかどうか、そこだけだと思います。なんだかだでドコモはまだ順調ですから、急ぐ理由はなく、KDDIが販売数的に成功し、収益的にも成功しているのを見てからでも遅くない、と考えていてもおかしくないとも思います。

と言うことで、次のiPhoneについては、本命→ソフトバンク&au体制、対抗→ソフトバンクのみ体制維持、穴→ソフトバンク&au&ドコモ三社同時発売!、大穴→auのみ体制へ転換ソフトバンク涙目、って感じで考えています。あくまで、ドコモから出る可能性もある、と。と言うことでiPhoneに絡む思惑の補足でした。

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2011/9/30 10:00 · ニュース解説 · (No comments)
2011/9/27 10:00 · ニュース解説 · 4 comments

さて今日は、話題になっている、KDDIがiPhoneを出すとか出さないとか言う話について、KDDIとAppleの二社の視点から考えてみたいと思います。

まずはKDDI視点。

KDDIとしては、ここ数年絶不調で、とにかく何をやっても当たらないという状態が続き、シェア3位のソフトバンクが純増1位で伸び続け、グループ加入者数では間もなく逆転を許す、と言うところにまで追い詰められていると言う状況。

このような状況の中で、ようやく流行のスマートフォンに力を入れ始めたところですが、それでもいまいち市場は反応しない。おそらく渾身の一作であるIS03が、あっさりドコモ・ソフトバンクから同等機種が出たために平凡な売り上げに終わったあたりから、大きな方向転換を迫られたという事情があるかと思います。

そうなると、純増トップを支える強力なプロダクトであるiPhoneに目が向きます。折りしも、iPhoneはCDMA搭載タイプが話題になりつつあった頃。であれば、CDMAだからと言う理由で土俵にも上がれなかったKDDIにもチャンスがあるということになります。

一方、KDDIとてiPhoneによるトラフィックの増大は看過できない問題です。ソフトバンクがiPhoneトラフィックで四苦八苦している状況を目の当たりにして、iPhoneに手を出せるか、と言うのは微妙な問題。さらに言えば、Androidでも自社による垂直統合を目指す中にあって、完全に他社に主導権を渡してしまうiPhoneはビジネス的にも受け入れがたいものではないかと思います。

とはいえ、トラフィックの問題は、むしろiPhoneよりも通信量が多いといわれるAndroidへの対策を余儀なくされる状況にあり、また、Androidとて、KDDI垂直統合からは大きく外れ、むしろコンテンツ代行収入よりもパケット定額セット率向上によるARPU増のほうが収益向上に資する、と言う状況になってきたのかもしれません。独自Wi-Fi AP 10万局などトラフィック対策を打ち出した以上、最強プロダクトであるiPhoneを迎え入れたほうが得策と考えられたのでしょう。

さて次にApple。

Appleとしては、OSシェアでAndroidに追いつかれた後はあっという間に引き離され、このままではMacOSがたどった「シェアの力に潰される」と言う状況を再現しかねません。まだまだ安泰の人気を誇っていますが、それがいつどんなきっかけで一挙に潰されるか分からない状況。

その状況の脆弱さの原因は、「単一プロダクト」「取り扱いキャリア限定」であることは誰にも否めません。であれば、どちらも何らかの方法で解消し、常にオプションとバックアッププランを持ち続ける必要に迫られていたと考えられます。

「単一プロダクト」が脆弱性となりうるのは、やはり、その一つのプロダクトが市場の需要を大きく外してしまったときです。それは失望につながり、その次のプロダクトでの大きなシェア低減を招きます。まだ噂レベルではありますが、次(の次?)のプロダクトでは、新しいハードウェアとともに、現行のiPhone4の廉価版とも言うべきものを出す、とされていますが、これは、今現在確実に売れている、支持されているものを再生産し、新プロダクトの大ゴケに備えている、とも考えられます。

「キャリア限定」が脆弱性となるのは、もちろん今のソフトバンクのように、ネットワークが弱くユーザエクスペリエンスが低下するような状況。ネットワークに強く依存するプロダクトであるスマートフォンにおいては、ネットワークの品質低下はそのままスマートフォンプラットフォームの悪評にさえなりかねません。それを避けるためにも、あらゆるリージョンで2つ以上のネットワークの選択肢を提供すべく戦略転換している、と言うのが今の状況だと思います。

そして、キャリアを限定することにはもう一つのリスクがあります。それはテクノロジー、つまり「方式」のリスクです。もちろん、WCDMAとCDMA2000を比べて、WCDMAが負けて廃れて消えるということは絶対無いと言い切れますが、先進技術についてはどうでしょうか。つまり、LTE。日本でLTEを導入するのは今のところドコモとKDDIだけです。ソフトバンクは例によって口だけで、導入可能帯域はWCDMAで使い果たし、導入するかどうか自体に「?」マーク付き状態。となると、LTE導入が確実で、しかも日本では最もエリア充実が早いであろうKDDIを、LTE対応iPhoneの展開先として確保しておくことは、Appleにとっても重要なリスクヘッジの一つと言えます。もちろんネットワーク依存プロダクトとしてのスマートフォンにとっては、先進技術LTEがそのユーザエクスペリエンスを大きく改善する最大の武器ともいえますから、LTEキャリアを世界的に押さえていく必要があるという状況であるはずです。

と言うことで、強力なプロダクトが欲しいKDDIと、ネットワーク的なリスクヘッジとLTE展開先が欲しいAppleの思惑が一致した結果として、KDDIからiPhoneが発売される、と言うところに結びつくのは自然であると考えられるわけです。個人的には、KDDIの旧態依然とした体質が異質なiPhoneを受け入れられず退けてしまうだろうと考えていましたが、そうも言っていられない状況なのかもしれません。

と言うことで、KDDIとAppleについて、auネットワークでiPhoneを展開する理由を考えてみる一言でした。でわ。

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2011/9/27 10:00 · ニュース解説 · 4 comments
2011/9/22 10:00 · ニュース解説 · (No comments)

申請はmmbiの1社、V-Highマルチメディア放送のソフト事業者と言うニュースに関して、マルチメディア放送も実はつまずきかけているんじゃないでしょうか、と言うご質問をいただきました。

実際、ソフト事業者として合計8社の枠を設定して募集したにもかかわらず、応募したのはハード事業者のmmbiだけと言う結果、これは市場の熱がすっかり冷めてしまったんじゃないかと言う見方をしてしまうのも仕方がありません。

これにはいくつかの理由が考えられます。まず、本当にマルチメディア放送がビジネスになりうるのか、まだ全く見通しが立たない現時点で参入に踏み切れないからではないか、と言うもの。最も保守的な見解として。

そりゃ、(携帯電話の周波数のように)確実に金になると分かっているのなら、必至で枠を取りにいきますが、このソフト事業はまだ誰も踏み込んだことの無い領域。どちらかと言えば携帯電話のコンテンツプロバイダに近いところ。ある日、「iモードと言う情報を有料で配信するシステムを作るので、コンテンツ作りたい人集まってくださーい」と突然誰かが言い始めて、おっ、そりゃ儲かりそうだ、と飛びつけるかどうかです。iモードに対応した機器がまだ世の中に一台も出ていない段階で。

しかもマルチメディア放送の事業者は一応認可事業、だめそうだからやーめた、ってことを簡単にやっていいものではありません(ケンカ上等で平気でやっちゃう人もいますけど)。なので余計に及び腰にならざるを得ないでしょう。

一方、うがった見方をすれば、mmbiの方式、ISDB-Tmmのシステム的な部分をよくよく調査した結果、こんなの商売になるか、とそっぽを向かれた可能性もなきにしもあらず。そもそも、なんだかだでISDB-Tmmって、現行のデジタルテレビ放送そのままなんですよね。ちょっといじくってるけど、やれることはほぼ現行そのまま。MPEG動画のキャスティングと限定された型のファイルのキャスティングだけ。地上波と全く同じ。じゃぁ、普通の地上波でやってもいいじゃん、と。むしろ、地上波と競合する分、それに勝てるコンテンツを作らなきゃならない、そんなの無理じゃん、と。

選定当初から、私は「純IP放送」のMediaFLOと「動画限定放送」のISDB-Tmmを比べ、後者は現行テレビの再生産に過ぎず、新たなサービスを行うなら当然前者、「無線を使ったIP放送と言う新しいメディア」を興すべきだ、と主張していたわけですが、結局当局の判断は後者。その結果が、結局はハード事業者とソフト事業者が同一人物で独占という、現行テレビ放送の再生産にしかならなかったわけで。もちろんこのシステム的な理由で参入が少なかったのかどうかには疑問が残るものの、MediaFLOが当選していればまた状況は違ったんじゃないかなぁ、と思わざるを得ないんですよね。

ともかく、まずはmmbi自身による放送サービスのビジネス性と、携帯電話へのデバイスの搭載がどの程度になるのかを見極めるというフェーズが当分続くのかなぁ、というのがマルチメディア放送の現状。ドコモが肩入れしているとはいえ、ここまで肩透かしな募集結果が出ると、ちょっと今後が気になる状況なわけですが、まずはサービス開始を待ちたいところです。それでは。

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2011/9/22 10:00 · ニュース解説 · (No comments)
2011/9/12 10:00 · ニュース解説 · 1 comment

九州大学などが地下街無線LAN化に成功と言うニュースについて、何がすごいのかよく分からないので解説して欲しいというご質問をいただきましたので、今日はこのネタです。

ニュースの内容としては、無線LANで地下街をカバーするために必要なケーブル敷設コストなどを大幅に削減したというもので、そこに使われた技術は無線バックホール技術である、としています。

これは簡単に言えば、ある無線LANのスポットからの電波を隣のスポットが利用することでケーブルを使わず、無線LAN同士を数珠繋ぎで地下街をみっちりとカバーできたんですよ、と言うことになるわけですが、これの何がすごいのか、大学まで技術協力するようなことか、と言うのが不思議なところ、と言うところなのですが。

正直に言うと、私も何がすごいのかよく分かりません。が、この技術が、「別にそんなにすごくない」「けど実地実験としてはレアなシステムで貴重なデータを取れる機会である」と捉えればさっくりと謎が解けます。

大学が協力、というのは、要するに、研究室の大学院生たちが新しいメッシュ接続用のアルゴリズムを開発した、それをどこかで実地実験したい、と言うお話だと思うんですよね。で、あちこちに声をかけて地下街カバー計画を立ち上げ、実際にアルゴリズムを適用したアクセスポイントでメッシュネットワークを作ってみました、と。そうすると、アルゴリズムの有用性や問題点などのデータがごっそりと取れます。このデータがあれば学位論文も安泰、めでたしめでたし、と。

さて、大学の協力の話はおいといて、そもそもの技術としての無線LANメッシュネットワークは非常に古い考え方で、とはいえ、フィールドでこれを実現した例はほとんどない、と言うレアなものです。というのも、こういったネットワークが今まであまり必要とされていなかったからなんですよね。ケーブルを引っ張りまわすほうが楽で信頼性も高いし。そういう意味で、大学にとっては貴重な実地検証機会で、ニュースにもなったのかなぁ、と思います。

さて、さっきからメッシュメッシュと言っていますが、これは要するに数珠繋ぎ方式のこと。ただ、単に数珠繋ぎにするのではなく、いくつかの隣接アクセスポイントが見える場合、そのどれとの間でリンクを持つのか、実際のパケットをどれに対して送るのか、などなどをダイナミックに制御できるものをメッシュと特に言うことが多いようです。

たとえば、有線接続されたアクセスポイントAの周りにアクセスポイントB、C、Dを置き、B、Cの隣にE、Fを置く、と言う場合、Eは固定でBに接続し、Bは固定でAに接続する、と言う手動設定であれば、これはもう実に簡単で、個人でも組めるネットワークです(ただし干渉を避けるため周波数の設計はある程度必要)。同じく、Fは固定でCにつなぎ、Cは固定でAに、と言う要領で。

ただ、これがもう少し遠くになり、たとえばアクセスポイントGは、E→B→Aと言うルートとF→C→Aと言うルートどちらも選べる、と言うこともしばしば起こります。ここでもし固定でE側につなぐと、当然ながら中継する中途のE、BはF、Cに比べて負荷が大きくなります。そこで、メッシュネットワークでは、Gは、EとF両方につないでしまい、ランダムあるいは何らかの情報(たとえばACKパケットの遅延量など)に基づいてパケットを送る先を自律選択するようなことを行います。

この利点は、もしBの負荷が一時的にものすごく高くなった場合、それを検知したGが即座にF側の利用度を上げる、などの制御が出来ることです。もちろん、中途のアクセスポイントが落ちた場合も同様。信頼性の低い2.4G無線LANだからこそ、メッシュ的に複数のルートを選択可能にしておくことが、無線をバックホールに使うときに必要になってくる、と言うことです。

おそらく、今回はこういった形でのネットワークが出来た、と言うことではないかと思います。もちろん、ダイナミック制御と言うよりは、一応複数リンクを持っておいて、どちらかをアクティブに設定し、もしアクティブ側がパケットが流れなくなったら自動でスタンバイ側にパケットを送ることで通信が落ちないようにする、と言うような簡単なアクティブスタンバイ方式ではないかと思います。

もちろんこれはすべて推測ですが、現実に無線LANでべったり面的にカバーしようと思ったら、やはりメッシュネットワークの活用と言う選択肢は避けて通れませんから、このタイプの機器が一般に出回り始めたら、広い地下鉄駅や地下街などでの無線LAN環境が劇的に向上するかもしれませんね。

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2011/9/12 10:00 · ニュース解説 · 1 comment

あれっ、そういえば、auの新しい機種、IS11PT、WCDMA(HSDPA)に対応しちゃってるんですよね。いや、これでふと思いついて。

いや、SIMロック解除議論があるじゃないですか。今のところ、イーモバイルがSIMロックなし販売を開始、ドコモが正式にSIMロック解除を受け付ける体制。ソフトバンクは緊急地震速報のときと同じく例によってアリバイ作りのために1機種だけ受け付けるとか言っている状況で。

この中で、auだけ仲間はずれなんですよ。通信方式が違うから、SIMロック解除しても意味がないよね、ってことで。

でも、IS11PT、SIMロック解除の意味あるよね。WCDMA対応しちゃってるんですもん。グローバルバンドに対応しているってことは、ドコモ・ソフトバンクの2GHz帯に対応しているはずなんですよ。ってことは、IS11PTのSIMロック解除すれば、ドコモ・ソフトバンクのネットワークで使えます。理屈上は。

いや、USIMスロットがCDMA2000加入者情報にしか対応していなくて、GSM/WCDMAはローミングオンリー、なんていうすごくめんどくさい作りにしてある可能性もゼロではないですけど、普通はそんな作りはしないはず。逆に、ローミング対応のSIMにGSM/WCDMAのローミング用のUMTS互換加入者情報を書き込んであり、GSM/WCDMAが直接それを読む形のはず。ってことは、そこにドコモ加入者情報が書かれているUSIMが刺さっていれば、それを直接読んでドコモネットワークにアタッチできるはず。

auもSIMロック解除に参加していくべきなんじゃね?なんて思うんですけど、どうでしょう。まぁ、auとしては、「出て行く側」はあっても「入ってくる側」がないので仮に解除しても不公平極まる状態なんですけど。だけど、公平な競争が出来るはずのソフトバンクがごちゃごちゃ言って解除しない構えを崩さない状況で、auは不公平だけど解除しますよ、って大々的に発表すれば、企業イメージはかなり上がるんじゃないかなぁ、なんて。ホンネは、「言い訳ばかりのあの会社を追い込んで欲しい」(笑)。

そうそう、孫先生が度々言ってる「SIMロック解除はコストアップになる」っての、あれ、技術的には嘘ですから。あの意味は、「SIMロック解除したら、うちの網を使う前提で売って販売店に払ったインセンティブ(奨励金)が4万ほど無駄になる」って言う意味。元々、どこの端末でも、SIMロック解除機能は搭載されています(私の知る限りは)。そもそもSIMフリーにして行わなきゃならないテストってのがあるし。専用ジグ使えば簡単にSIMフリーに出来ますから。その対ジグ用のソフトウェアの受け口を、キャリアショップ用に普通のシリアル接続にも開放してあげるだけでOK。あるいは、専用ジグを全キャリアショップに配備すれば端末対応さえ不要。つまり、単にキャリアが方針としてやるかやらないか、ってだけの問題。だから、方針として「やる」と決めれば、どこのキャリアでもどの端末でもすぐにSIM解除は出来ます。

と言うくだらない一言でした。

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2011/7/24 12:03 · ニュース解説 · (No comments)