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2012/12/7 10:00 · 技術解説 · 1 comment

今回は無線通信の本当に基本的な手順について、改めて解説してみたいと思います。通信ってそもそも目に見えないし、ましてや見えない電波を使う無線通信となると専門家でさえ理解していない部分の一つや二つや10や20くらいはあったりするわけで。私は軽く100くらいは全くわかんないことがあります。でも偉そうにドヤ顔で解説します。目標は、これを読んだ皆さんがドヤ顔で友達に解説できるレベルになることです。

とりあえず、話のスタート地点として、アンテナとアンテナがあったらその間に電波のやり取りができて、電波の形をうまく整えれば0/1の信号を送れます、と言うところまでご存知のこと、と言う前提で始めます。

この状態なら、アンテナ1から電波を出してアンテナ2が受け取れば、出した0/1の信号はアンテナ1の人からアンテナ2の人にそのまま伝わります。これが一番原始的な無線通信。今でも多くの場所でこのやり方が使われています。

しかし、出た電波と言うのは、もわーっと広がるように飛びます。池に石を投げ込んだ時の波と同じような広がり方です。アンテナの形を工夫すれば方向をある程度絞ることはできますが、完全に一点に絞り込むということはできません。と言うことは、もしその飛んでいく先にもう一個のアンテナ、アンテナ3があったらどうなるでしょうか。アンテナ3の人は、図らずもアンテナ1とアンテナ2の間の通信内容を受信できてしまいますね。放送ならこれでいいんですが、1対1が基本の通信では、これはよろしくありません。

と言うことで、通信相手ごとに通信を分割する手法が用いられるわけですが、この辺の仕組みは、TDMAOFDM辺りをご覧ください。いろんな方法で、もやっと広がった電波から特定の相手に届けることができるようになっています。

しかし、問題は、「相手を特定する」と言う手順です。この辺が無線通信独特のいろんなノウハウが活きてくるところ。

たとえば、「特定しない」と言う方法があります(なんじゃそりゃ)。特定せず、全員に同じデータが届くようにして、もっと上位のプロトコル(たとえばTCP/IP)で自分宛てのデータかどうかを調べる、と言うやり方ができます。ただしこれは比較的低レベルの方式。無線LANなどがこれに近いやり方です。

一般的に相手を特定するには、まずはどちらかが声を発して相手に届ける必要があります。これはたとえば、お互いの特徴や持ち物など全く情報がない中で、初めて会う人と待ち合わせをする状態。ただ、最初の掛け声だけは「おーい、私は○○です」であるという取り決めだけがあります。

待ち合わせ場所には100人くらい他人がいて、誰が会う相手なのか分かりません。だけど掛け声だけは決まっているので、とりあえず「おーい、私は○○です」と声を出してみます。もしその掛け声が相手に聞こえる位置だったら、相手が自分に気づいてくれて、そこから会話を始めることができます。

とにかく一旦最初の会話さえ始められれば、あとは簡単ですね。声の聞こえた方向が良くわからないにしても、「おーい、私は鈴木です」に対して「はーい、私は田中です、白い服を着ています。あなたは?」「私は赤い服を着ています」「赤い服が見えました、そちらに向かいます」と言う感じでお互いを特定する情報を交換して最終的に直接会話が可能になります。

無線通信も全く同じです。最初にあらかじめ決められた方法とフォーマットで信号を発し、それを受け取った側が返答をしてすべてがスタートします。この最初の「おーい」に相当する信号を「ランダムアクセス」と言います。「ランダム」は乱数の意味ではなく任意の意味。「おーい」と声を出すのがどのタイミングでもいいので、任意のタイミングで声を発してもいいです、と言う意味で「ランダムアクセス」と呼ばれます。

では、待ち合わせ場所にいる100人くらいのうち何人かが、別々に田中さんに会いに来ていたとしましょう。たとえば、待ち合わせ時間を事前に指定していなくて、その場で決めよう、と言うことになっていた場合。

たとえば、先に鈴木さんが来て後から佐藤さんが来てそのあとに高橋さんが、と言う様にうまくタイミングがずれていれば、田中さんはそれぞれを相手すればよろしい。ただ、たまたま鈴木さんと佐藤さんが同時に来たとした場合。この場合、「おーい、私は鈴木です」と「おーい、私は佐藤です」がほぼ同時に聞こえてしまうことになります。

田中さんは、重なった声が聞こえてなんといったのかよくわからないので、とりあえず無視する、と言うのがたいていの無線通信の手順の一つです。そしてその場合、もう一つ決められている手順として、無視された鈴木さんや佐藤さんは、それぞれテキトーな時間をおいて同じように呼びかける、と言う決まりがあります。そうすると、二回目のテキトーな時間後の呼びかけが重なってしまう可能性はぐんと減ります。これを、三回、四回と繰り返して、最終的に誰か一人の最初の呼びかけが確実に田中さんに届くようにします。

それぞれの相手の最初の声が聞こえたら、「はーい、私は~~」に加えて「次は5秒後に返事お願いね」と言う様に伝え、別の人には「はーい~~次は10秒後に頼む」と言う様に伝える、などなどの方法で特定の相手との会話がかぶらないようにします。これが先ほどの通信相手ごとに通信を分割する手法です(この場合はTDMAです)。

なので、とにかく最初の呼びかけ=ランダムアクセスさえクリアしてしまえば、あとは整然と特定の相手との会話をすることができる、と言うのが多くの無線通信の手順の基本。ぶっちゃけ、無線通信手順のエッセンスはこれで全部。「ランダムアクセス」と「通信相手ごとに通信を分割する手法」を組み合わせるだけで、世の中の無線通信のほとんどを再現できます。

最後に応用問題。先ほど待ち合わせ場所に100人がいてそのうち3人が田中さんに会いたいと思っているとしましたが、もし100人全員が田中さんと約束があって会いに来ていたとしたらどうなるでしょうか。100人のうち誰かが「おーい、私は○○です」と声を発したとき、他の人が確実に黙っているという状況はどのくらいの確率で作れるでしょうか。

100人が田中さんに大して会いたいと思っていなければぶつかる確率は低いですが、すぐ会って話せると思ってきている場合、もうほとんどひっきりなしに「おーい、~」と言う声が上がっているはず。当然それぞれはぶつかり合うので、田中さんは重なった声が良く聞き取れなくて無視するわけです。無視されたらテキトーな時間後にもう一回声を出すわけですが、それもたぶん誰かと重なるでしょう。100人のうち誰も田中さんに声をかけることが出来ないという状態が延々と続いてしまうわけです。

これが、無線が混雑して全くデータアクセスができなくなったりする理由の一つ。ランダムアクセスさえ通ってしまえば、相手ごとに通信を分割する手法で遅いなりにデータ接続を維持できますが、全く通信できないような状況は、たいていの場合はランダムアクセスがぶつかりまくってなかなか田中さんに自分の存在を伝えられないような場合だったりします。大きな駅や地下鉄などで駅に入線したときに全くデータ通信ができない時間が30秒くらい続いたりするのは、たいていはこれです。

こんな状況になってしまうと、どんなに手を尽くしても混雑は回復できません。そのために必要なのが、「ランダムアクセスを止める」こと。これがいわゆる通話規制、ケータイの画面に「しばらくお待ちください」と出ちゃうタイプの規制です。田中さんが頭の上に「あ行とさ行の名字の人は話しかけないでね」と言う帽子をかぶるようなイメージ。すると、たとえば明石さんや佐藤さんはその帽子を見て黙るので、他の人が多少はつながりやすくなる、ってことです。

と言うことで、無線通信の最低限の手順は、こんな感じですよ、と言うお話。実際の無線通信では、加入者の認証とか暗号化とかいろいろ難しいことやってるんですけどね。でわ。

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2012/12/7 10:00 · 技術解説 · 1 comment
2012/12/6 10:00 · その他技術ネタ · (No comments)

LTEとWCDMA(あるいはCDMA2000)の間でハンドオーバできることについて、WCDMAやCDMA2000ができた当時なんてのはLTEなんて方式は存在しないはずだったのにどうしてできるの?と言うご質問をいただきました。今日はそんな話。

LTEの他システム連携の話で書いた通り、LTEでは、旧来の方式との連携機能を大きな特徴の一つとしています。しかし、こういった方式では、LTEだけにそんなしくみを入れこんでもダメで、旧方式の方にもそれを受け入れる素地が無きゃできない、と言うのは直観的にもっともな話で、質問者さんの疑問につながるのも当然と言えば当然です。

まずはLTE側の都合だけを言うと、そもそもLTEを作る段階ではWCDMAやCDMA2000は世に出ていますから、それに合わせて、必要な情報を扱える仕組みを備えればよろしい。もちろん情報だけでなくチャネルの構成や測定方式の仕様に関してもある程度昔の方式に合わせこめるように作らなきゃならない部分もあるんですが、これはもう新しく作る方式なので、振る舞いとかの特徴も十分にいろんな会社にノウハウが溜まっていますから、ガッチガチに作りこまなくても最大公約数程度の妥協点で作りこみは可能なんですね。

さて、それはわかった、では、WCDMAやCDMA2000側の方の事情はどうなっとるんだ、と言う話です。

先に答えを書いてしまうと、元々、古い方式の方も拡張しやすいように作ってありました、ってことになります。

WCDMAやCDMA2000は、たとえば、後に出てくる何か新しい方式と連携しなくちゃいけない、なんていうモチベーションではなく、単に、あとで新しい機能を追加したくなった時も簡単に追加できるようにしとこう、と言う単純な理由で拡張可能に作ってあります。そのおかげで、たとえばHSDPAとかそういった大胆な拡張が同じシステムの上で出来るようになっています。

ものすごく話をシンプルにしてみます。たとえば、LTEと連携するために、3G網経由でLTE網側に何か情報を伝えなきゃならない、と言うことになった時。3Gの方で何をするかと言うと、新しいメッセージを作っちゃいます。簡単に書くと、メッセージは、そのメッセージが何のメッセージなのか、と言うのを意味する通し番号(識別子)がふってあるのですが(たとえば3は位置登録要求、8は音声通話発信要求、とか)、最初に仕様を作った段階で、48以上は使ってない予約領域、みたいにしてあるんですね。なので、じゃぁ新しいメッセージには48番を使おう、もう一個必要だから49も使っちゃえ、と言う感じで増やせます。一方、そういう番号のことを知らない古い端末は、そういう自分が知らない番号のメッセージが来ても無視する、ってことも最初から決めてあります。なので、古い端末の動作がおかしくなったりせず新しい機能を追加できるんです。

また、メッセージの内容自体にも工夫があります。メッセージを記述する「言語」が一般的な記述法としてあらかじめ定義してあって、その記述法にさえ従っていれば必ずデコード・解釈できるようになっているんですね。なので、すでにあるメッセージの内容を変えなければならないような場合でも、その記述法に従って変形さえすれば、古い端末はデコードした結果自分に関係のあるところだけ読み出せるし、新しい端末は新しく追加された情報を使った新しい動作ができる、っていうことになります。

こういうやり方が主流になったのは、おおよそIMT-2000がどうとか言い始めたころ。世界中の利害関係者が集まって一つの仕様を作りましょう、と言う活動が盛んになったころ、「いろんな人の要望を聞いてたらきりがないから、そもそもの記述方法を柔軟にしておいて後で順次機能追加できるようにしておきましょう」ってことになったわけです。もちろん、一般的な記述法にしたりふんだんな予約領域を取っておくってのは、情報単価的には不利ですが、それもやっぱり伝送路が強力になってきたので、わずかくらいの無駄には目をつぶって一般化することができるようになったことも大きいですね。

ってことで、案外どんな機能でもやり方次第でいくらでも追加できちゃう、ってのが、古い方式でもLTEとの連携機能を取り入れられた理由です。余談ですが、実はWCDMAができた一番最初くらいの版に、すでにCDMA2000とのハンドオーバを記述するためのコードが入ってたりします(あくまで識別子の定義程度ですが)。IMT-2000ではグローバルローミングが必須要素で、特にWCDMAの弱かった北米のことを考えるといずれCDMA2000との連携は必要かもしれない、と言うことで入れようとした形跡があるわけです。それに比べれば、シグナリング定義のほとんどを共有しているLTEとWCDMAの間のハンドオーバなんてなーんにもハードルがありません(コア間連携のハードルはすっごく高いですが)。

と言うことで、なぜ古い方式が新しいLTEのことを知ってんの?と言うお話でした。

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2012/12/6 10:00 · その他技術ネタ · (No comments)

iPhone5でパケ詰まりが大流行らしいですが原因はなんでしょうか、と言うお便りをいただきまして、元祖パケ詰まり博士の無線にゃんが解説します。なんだよパケ詰まり博士って。

検索するといろんな情報があるようですが、現象としては、どうやらau限定で、LTEと3Gの境界で報告されている例が多いようです。いろんな説が出ていて、「800MHzを豪奢にLTEに使ったので3Gが細った説」「Qualcommチップのバグ説」「個体差説」等々。ちょっとだけ考えてみます。

と言っても、たいてい、パケ詰まりなんてのはネットワークが原因でおこるものです。元祖パケ詰まりと言えば、2000年初頭に話題をさらった使い放題PHSパケット(AIR-EDGE)のパケ詰まり。あのころは固定回線常時接続が引けない集合住宅などがまだ多く、常時接続需要が一斉にAIR-EDGEに流れ込んで、盛大なパケ詰まりを発生させていました。

原因はシンプルで、要するに集合住宅などで同じ場所で一斉に多くの端末がアクセスするために、無線チャネルがあふれていたり、あるいは地域ごとの接続サーバの許容量を超えていたり、と言うことが発生していただけです。

さてiPhoneのパケ詰まりの件で気になるのが、LTE-3Gの境界で、と言う症状ですね。LTE→3Gへの遷移が起こった時、と言うことになるかと思います。こういうことが起こるのは、要するにLTEのエリアの端っこ。たとえば、電車とかでみんな一斉に移動していると、みんなが同時にエリアの端っこを通過します。

と言うことは、結構な数の端末が一斉にLTEから3Gに遷移することになります。3Gに遷移すると、当然LTE→3Gハンドオーバが行われるわけですが、iPhoneの場合はoptimizedハンドオーバに対応していないので、この場合、いわゆる「ランダムアクセス」が行われます。[追記]WCDMAでもハンドオーバ時はランダムアクセスがあります。

端末から基地局への「最初の一発目」の信号は、どうやっても基地局から制御することはできません。ですので、言ってみりゃあてずっぽうで短い信号を一発送り、基地局がそれを受けられたら即座に返答してちゃんとしたリソース制御が始まります。このあてずっぽう信号は、普通はみんなの通信開始契機がずれているのでぶつかることは稀ですが、「みんながほぼ同時に通信を開始しようとするような状況」が生じると盛大にぶつかり合って、なかなか一発目の信号が届かず、通信が開始できないということが起こります。

つまり、LTEのエリアの端っこをみんな同時に通過することで、3Gへのハンドオーバが一斉に起こって、その時の最初のランダムアクセスがぶつかり合ってなかなかチャネルの割り当てが行われない、と言うことが起こっているんだろうと思います。昔に書いた、地下鉄での混雑の後半に書いたような一斉アクセスが地上でも起きている、ってことです。で、たいていはチップの独自実装として一定回数ランダムアクセスが失敗するとしばらくお休みしちゃう、と言う動作をします(ネットワーク保護の観点で)。このチップの動作がおそらくパケ詰まりの原因。

要するにLTEのエリアの端っこ(と言うよりたぶん「穴」)があちこちにあることがそもそもの原因かと思われます。さっさと穴ふさげ、ってのが、事業者に対して求めることでしょうね。auでの問題が多くソフトバンクでの報告が少ないのは、この穴の多さじゃないでしょうか。なんだかだでauの方は2GHzLTE局数も少なく、人口の多いところでもまだ穴がたくさんあるんじゃないかと思われます。

また、上のような理由ならauのAndroidでも起きてもよさそうですが、そこもやっぱり、AndroidはLTE800MHzを掴めるので穴に落ちにくいということもあるでしょう。また、iPhoneは非対応でAndroidは対応といわれるOptimizedハンドオーバは、eCSFBと同じように先に個別チャネルを割り当てる方式(すなわち「ランダムアクセス」が必要ない)みたいなので、ランダムアクセスのぶつかり合いによる輻輳が起きにくいのかもしれません。

ちなみにその他のいくつかの説について簡単に。「800MHzをLTEに使いすぎて3Gが細った」説は間違いです。元々、auがLTEに使っている800MHz帯の15MHzのうち10MHzは、今年7月までドコモが使っていた帯域なので、auが3Gで使える残りの帯域5MHz自体は太りも細りもしていません。2GHzで5MHzをLTEに割り当てた分については、こちらも実は、今年6月のPHS制御チャネル移行で2G帯5MHzが新たに使えるようになっているので、実質プラマイゼロだったりします。なんだかだでauはLTE開始にあたって3G帯域を全く減らさずに対応できてたりします(と言うか逆に元々それだけ少ない割当で3Gを全部捌いていたのが異常な状態だったと言えるんでしょうけど)。

Qualcommチップバグ説は、何とも言えないですが、ないとは断言できないところ。やっぱりLTE-CDMA2000のチップはマイナー系なので、バグが残りやすい傾向は強いはずです。内部的には全く親和性のないステートマシンが好き勝手に動いている状況でしょうから、それぞれの内部的なタイミングが延々とずれて、片方が通知信号を出したときにはもう片方は耳を閉じてる、みたいな状態が続いて連携が途切れている、と言うようなことは起こりうるとは思います。先ほどの「しばらくお休み」の実装がLTEとの相互遷移を考慮していないプアな作りなのかもしれません。

端末の個体問題と言う可能性もないとは断言できません。端末を取り換えたら直った、と言う報告が、検索すると出てくるので。たとえば、アンテナ感度の個体差が大きい場合は起こらないとも限りません。ハンドオーバするかどうかを決めるのは、端末が受信した電波の強さなのですが、たとえばこれがある一定の中にばらついていて、ハンドオーバするには弱すぎる(または強すぎる)受信レベルでハンドオーバが起動することで悪影響がある、と言う可能性もあります。

まぁ、上記の理由に限らず、無線でTCPをやるときは、パケ詰まりは永遠について回るテーマですね。いくつかの運の悪いパケ遅延・パケロスの重なりが雪崩式にパケ詰まりに発展する、と言うのは、PHSパケット時代にいやという程体験させていただきました。TCPはそれほどパケ遅延・パケロスが高くない前提で作られているので、無線のように遅延・ロスが日常茶飯事と言う伝送路にはあまり向かない方式だと私は思います。TCPに対してHARQみたいなモードを提唱しているところもあるようですが、標準技術になるにはまだまだ時間がかかりそうです。と言うことで、パケ詰まりについてでした。

[追記]ソフトバンクでもiPhone4S以前からiPhone5に変えたら多発しているというご指摘をたくさんいただいたため、「au限定」ではなさそうです。どっちにしろこの考察が正しいなら、ランダムアクセスが同時多発するLTE→3GハンドオーバであればWCDMAであれCDMA2000であれ理屈上は同じように発生するものと思われます。昔のメディアの山の手線一周調査とかを見てもソフトバンクは3G時代からハンドオーバ時にブチ切れるのは当たり前だったみたいなので、声が上がりにくいのだけなのかも。

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2012/12/4 23:59 · ニュースコメント · 2 comments

ドコモとパイオニアがしゃべってコンシェル技術を応用した自動車向け音声意図解釈技術を共同で開発
これと似たようなカーナビ機能を妄想してたんですけど、車内の会話を常時モニターして、いいタイミングで会話内容に最適な提案をしてくれる本物のコンシェルジュみたいな機能ってできないかなーと思ってて。「おなかすいた」「どこで食べよう」「細くて長いもの系がいい」「うーん」と会話が詰まった瞬間に「○○ラーメンはどうでしょう」と提案してくれたり、会話内容からどこに向かっているのかをあらかじめ推定しておいて、「あれ、今の信号右だっけ?」「えーちょっと待って」と会話が停まった瞬間に「今のは真っ直ぐで合ってますよ」とか答えてくれたり。ちょっとウザそうだけど、いけるんじゃないかと思うんですが、ねぇ。どうでしょう、ドコモ&パイオニアさん。

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2012/12/4 23:59 · ニュースコメント · 2 comments
2012/12/4 10:00 · 品質動向 · (No comments)

ケータイニュース.netの方でやってるスマートフォンスピードテストですが、最近意外と協力者が多くてたくさんデータが集まっています。

と言っても、なんだか夜中の3時とか早朝とかに狙ったように測定して速度アップを目論む(笑)ような人もいたりしますが、そういうところを除いてもおおざっぱに傾向が出ていて面白いので、最近の傾向をメモっといてみます。

まず、ドコモ・KDDI・ソフトバンクの3社の速度を単純に比べると、KDDI>ソフトバンク>ドコモ、と言うのがおおざっぱな傾向。ただし、KDDI、ソフトバンクの二社は先ほど書いたような明らかな統計アップ狙いの怪しい計測が多いため(笑)、全体の平均速度そのものは直接重要な指標とは言えない気がします。

一方、時間帯別の速度についての統計も公開していますが、こちらを見ると面白い傾向が出てきます。

まずドコモですが、どんな時間であってもかなり安定した一定速度が出ています。ただし、その一定速度が他の二社を大きく下回っている。ここまで時間帯に影響されず安定した速度を出しているということは、何か結構特殊なことをやってるんじゃないかとさえ思えるほど。と言っても、時間を超えてトラフィックを平準化するような技術は存在しませんから、ドコモユーザの特性と言う面もあるのかもしれません。

KDDIは、ドコモとは真逆で、時間帯による速度差が非常に大きく出ています。速いときは他の二社を圧倒的に上回る速度だけど、遅いときはがっくり落ちる、みたいな。この業界にいるとよく見る、時間帯によるトラフィック量の推移グラフをきれいにひっくり返した形の速度分布になっていて面白いですね。

ソフトバンクがちょうどドコモとKDDIの中間くらいの傾向。時間帯による差もほどほどにあるけどKDDIほど顕著ではなく、上はそんなに速くもないけど下もそんなに遅くもならない、と言う感じ。なんか、ソフトバンクとKDDIが、事業者イメージ的に逆なのが面白いです。イメージ的に、ソフトバンクは品質差が激しいけどピークを攻めるけどKDDIはそこまで攻めきれず半端にドコモに追従して中間くらいの品質とスペックになっちゃう、みたいなイメージだったんですけど。

で、もう一つ公開していますが、iPhoneの時間帯別速度比較。ちょっと意外なんですが、こちらもKDDI>ソフトバンクになってます。いろんなところで言われていますが、KDDIのiPhoneは2GHzLTEしか使えないのでエリアも狭く速度も遅い、とされていて、ってことは、LTEがつかめる率も低いはず、つまり平均速度も落ちるはず、ってことなんですが、2GHz一本に注力しているソフトバンクよりも速かったりするのはちょっと不思議。

ただ、実は別に基地局数統計で、2GHzLTE局数を帯域幅別に集計中(まだ半分くらい)だったりするんですが、2GHzLTEでもKDDIの10MHz幅局数の比率が結構高いっぽいんですよね。ソフトバンクはせいぜい1%くらいなんですがKDDIは1割以上はある感じ。もうちょっと集計が進んだら公開しますが、KDDIのiPhoneでも75Mbpsなエリアは結構広がりつつあるような感じです。この辺が、エリアが狭くても速度自体を底上げしているかもしれません。

あとは、実際に測定すると表示されるんですが(ちょっとデータベース負荷高いので常時表示はしてませんが)、そのキャリア・その時間の詳細グラフを見ると、たとえばKDDI AndroidだとLTE対応と非対応で大きく二つの山ができていたりするのが見えたりします。まだ非対応が圧倒的に多いのですが、速度計測結果に関してはLTE対応端末の普及率と言うのも大きな要因になりそうです。買い替え需要が旺盛なiPhoneの場合はLTE対応率が高くなるので、iPhoneを持つKDDI・ソフトバンクの結果がドコモよりも高い、ということも考えられます。ドコモも、LTE対応率の低い昨年秋冬くらいの端末が買い替えられていくと、徐々に追いついていくんじゃないかなぁ、と言う感じ。

と言うことで、最近の速度測定結果の傾向についてでした。

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2012/12/4 10:00 · 品質動向 · (No comments)

日本通信が総務省に苦情の申し出、ドコモの通信原価の算定に異議あり
まだやってんの?しつこいですね、日本通信も。実績値に基づき算定・清算します、ってみんなで決めたルールなんだから、文句言うなら決める前に言えよ、って感じなんですが。それに、法人向け料金が将来原価云々、って、将来原価を根拠に値付けする場合は、将来原価の変動に対するリスクも織り込んでるわけですよ。そのリスクまでしょい込んだうえで法人ユーザ獲得のために競争上戦略的な値付けをしているだけであって。どうしてMVNOへの値付けに関してその将来原価変動リスクまで一方的にMNO側がしょい込まなきゃならんのですか、っていう話ですよ。リスク込の戦略的値付けをしろっていう話なら、そもそも原価相当での貸し出し義務ってのを撤廃して、事業者が戦略的に好きに値付けできるようにしなきゃならんわけですが、それでもいいんですかね、日本通信は。

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ソフトバンクモバイル、公衆無線LANの5GHz帯対応など年度末に40万カ所へ拡充
あー余計なことを。これでせっかくの5Gも使えないバンドになっちゃいますね。ちゃんと設計しておいてくれりゃいいんだけど、下請け孫請けの営業屋がローラー作戦で置きまくってるようなものがまともに干渉設計してるわけがない。どうせバックホールは3G回線で激遅なんだから2.4Gで我慢してろよ、と言いたくなります。公害事業者。

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2012/11/28 10:00 · 技術解説 · (No comments)

PHSの通信方式を見ると、各フレームにCRCこそついているけど、誤り訂正ビットが全くないみたいです、これで通信本当に大丈夫なんでしょうか、と言うご質問をいただきました。

分かっている人には釈迦に説法で申し訳ないですが、誤り訂正の仕組みを簡単に説明。たとえば送信データが100ビットあったとします。もしこの100ビットだけを送信して、そのうちの1ビットが何かの理由で壊れてしまったとすると、これはもうこのデータに意味はありません。全部破棄です。それを検出するのがCRCの役目。PHSフレームにはこのCRCビットがついています。

さて、100ビット頑張って送ったのにたった1ビット壊れて残り99ビット破棄はさすがにもったいない。ってことで考え出されたのが、送る全ビットに複雑な計算を施して、計算結果のビットを余分なビットとしてつけておく手法。100ビットの送信のために100ビットを余分につけて200ビット送信する、みたいなイメージ。たとえば、元データのビットをa1,a2,a3…、余分ビットをb1,b2,b3…としておいて、a1が0だったらb2が1になってるはず!みたいな法則性を持たせておくんですね。一番簡単なのは元データ=余分ビット、ですが、これだとどっちかが壊れてもどっちが壊れたか分かりにくい。ってことで、もう少し複雑な計算をすることで、確実に間違いの起こった場所を特定できるような工夫がいろいろと考えられています。この余分なビットが誤り訂正ビット。最近は、元データといっしょくたにまぜこぜにしているので、誤り訂正ビットとは呼ばず、単になんちゃらコーディングとか読んでいたりもします。比較的新しい無線通信方式では必ずこの誤り訂正機能がついています。

さて質問の方に戻ります。PHSの話です。こういう仕組みがPHSにはないけどそれで大丈夫なのか、と言う話です。

元々から言えば、古い携帯電話方式はみんなこんな仕組みは持っていません。なぜかというと、古い方式になるほど、1ビットを伝送するコストが高くなるからです。もちろん、こういった誤り訂正機能を動かせるほどの演算パワーを小さな携帯端末に持たせるなんて夢にも思わない時代にできた方式だったから、と言うのもあります。

そして、PHSもまさにそんな時代に生まれた方式です。たとえば、PHSが世に出たほぼ同時期、WCDMAの仕様が作られていくとき、その複雑な演算パワーを必要とするいろんな仕組み(誤り訂正を含む)に対して、「こんなに莫大な演算エネルギーを浪費するようなデバイスが携帯電話サイズになるはずがないし、それを支えるバッテリなんて永久に出てくるはずがない」なんていうことを言う評論家さえいたほどでした。

そんなわけで、第二世代携帯電話くらいの時代は、とにかくシンプルな仕様となっていたわけです。そういう方式では、演算パワーで誤りを訂正するのではなく、単純に強い無線リンクを使う、と言う方向で問題を解決しています。前にもちょろっと書きましたが、ビットを詰め込むことで無線リンクが弱っていくことを莫大なデジタル処理で補う、と言うのがここ十数年の通信のトレンドです。デジタル処理コストが安くなることで伝送(アナログ)で無茶ができるようになってきているわけです。

ってことで、PHSは、こういうトレンドが起きる前のやり方、つまり、ほどほどに強い伝送路を確保することで、そもそもビット誤りが起きにくいようにする、と言う作戦を取っています。たとえば、フレームをできるだけ細切れにすることで、少ないビット誤りが広い範囲に波及することを防いでいたり、強い伝送路を確保するために強い変調を使っていたりします。強い変調は伝送速度が下がるし、フレームを細切れにするとヘッダの比率が上がってしまうので伝送効率の面では非常に不利なので、通信速度が上げにくいのは間違いがありません。

本来なら、たとえば同じ世代のPDCが退役するくらいのタイミングでPHSも完全に退役してもいいくらいの話なんですよね、こういった技術の進歩との兼ね合いで見ると。と考えると、「伝送路上の誤りへの弱さやそれを補うための伝送速度低下」と言う一面の弱さを持ちながらも今でも現役でいることは、PHSの持つ他の特長、自律分散による設計フリー密集配置と言う強みが、伝送の非効率をを補って余りあるからなのだろうと思います。

と言うことで、なぜPHSが誤り訂正をしていないのかについてのお話でした。

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2012/11/28 10:00 · 技術解説 · (No comments)