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先日のドコモの通信障害で一躍時のキーワードとなった「制御信号」なのですが、これに関して、具体的に何を指しているのか、そしてなぜスマホではそれが増えるのか、というご質問をいただきました。

発表されたレベルだと具体的にどの「信号」を指しているのかあまり明らかではないのですが、おそらくは一般的には「シグナリング」と呼ばれているものを日本語訳したところの「信号」ということであろうと仮定して話を進めます。

ドコモの発表では、「チャットやVoIPなど」と、あたかも特定のアプリケーションがこの「信号」を発生させるかのように書かれていますが、基本的には、アプリケーションそのものは(一部の例外を除き)信号を発生させることはありません。あくまでアプリケーションはIPネットワーク上で通常のIPトラフィックを発生させるのみです。

では、実際の障害の原因となった制御信号とは一体何で、どんな時に発生するのか。できるだけ平易に説明してみます。

携帯電話がネットワークに接続する際、「今から接続したいです」という「申請」をします。これに対して、ネットワークは「その前に、あなたは誰?」などという様に確認を開始します。こういったやり取りを何往復かして、接続するための情報(接続者の属性や契約状況、ネットワークの対応状況、などなど)が一揃いそろったところで、「では接続を許可します。○○というルートを使ってIP通信を行ってください」とネットワークが端末に接続許可をすることでようやく通信が開始できるようになります。

実際にこれらのやり取り(制御メッセージ)は、通信そのものとは全く別の特別なやり方でやり取りされています。それを捌くサーバも全く別のものです(仮にハードウェアとしては一つでも、処理システムとしては独立している)。こういった、接続のための調整用の制御信号のやり取りをするシステムを、「呼処理(こしょり)系システム」などと呼びます。

つまり、「制御信号」と呼ばれているものは、この呼処理系の信号のことです。一方、実際のトラフィックは全部ひとまとめに「ユーザデータ」とか「トラフィック系」とか呼ばれます。これは、無線ネットワークとしては単にカプセル化されたビット列を右から左に流しているだけのシステムです。

呼処理系とユーザデータの一番大きな違いは、まさにその部分です。ユーザデータは一過性の、ただ目の前を通り過ぎるビット列であって、その中身を一切関知する必要がありません。だから、サーバのリソースも、そのビット列が通る瞬間だけ浪費され、通り過ぎれば瞬時に解放されます。

一方、呼処理系は、相手との会話が今どんな状況か、相手のIDはなんだったか、処理しているメッセージの内容はどんなだったか、というのを、全部のやり取りが終わるまで覚えておかなければなりません。人間の知覚では一瞬に近いやり取りですが、莫大な数の相手をするサーバから見れば、この「覚えておかなければならない時間」というのは非常に長い時間です。それぞれの相手向けのセッションの一つ一つが「ステートマシン」(自分の状態を覚え変化させる仮想機械)を持ち、リアルタイムに処理を行っているわけですから、サーバのリソースの消費特性はユーザトラフィックを捌くのとは全く別物になります。

たとえば、ユーザトラフィックであれば、大量のパケットが大量に到着した場合、それを格納できるサイズのメモリを用意して待ち行列に放り込んでおけば、あとは一つの処理プログラムが逐次処理をして待ち行列を消化してくれます。しかし、呼処理であればそうはいきません。大量に来た呼処理メッセージの一つ一つをそのオーナーのステートマシンに渡さなければならないし、それぞれのステートマシンが複雑な制御処理を行う必要があります。偶然、何万分の一でしか起こらないようなタイミングのバッティングというものが、莫大な数のステートマシンが同時に動くことで起こる可能性が高まります。もちろん、振り分け処理部が輻輳を起こしてメッセージをステートマシンに渡すのが遅れてしまうと、期待した時間内にメッセージの返答が来ないように見えてしまうため、さらに再送を繰り返すなどで大量のメッセージを生み出してしまうことも起こります。

つまり、ステートマシンそのものが大量にあることで、それ自身が呼処理メッセージ(制御信号)をさらに多く生み出し混雑を加速させることが起こりうるわけです。これが、単なるユーザトラフィックの輻輳よりも制御信号の輻輳が恐ろしいところです。

さて、こういうものが制御信号です、としたうえでドコモの発表に立ち戻ると、「VoIPやチャットが」と言うのは明らかにおかしいことがわかりますね。VoIPやチャットのアプリが使うのはあくまでIP上のデータ、つまりビットが右から左に流れるだけのユーザトラフィックです。アプリそのものが原因であるということは絶対にありえません。

そうではなくて、そういったアプリが定期的に起動して、新着メッセージの有無を確認しようとIPパケットを送信する、その時に、OSは「お、IPパケットが出るからちょっとネットワークにつなぎましょうか」という感じで、毎回ネットワーク接続を起動するんです。当然、接続するための下準備である呼処理が開始されます。つまり、「IPパケットを何度も定期的にやり取りするタイプのアプリ全般が輻輳の元の原因」であって、間違っても「VoIPだから悪い」というわけではないんです。ちょっとドコモにしては軽率な誤りです。

スマートフォンというのは特にこの辺が面倒で、何らかのIPパケットのやり取りが発生しそうになると、自動的にネットワーク接続を開始(復帰)させようとします。スマートフォンではたいていはIP Always Onなので、IP接続の再起動ということはしないのですが、パケット通信では通信トラフィックがない場合は「休止状態」となっていて、これを「アクティブ状態」に復帰させる必要があります。ゼロスタート程ではないにしろ、この復帰手順でもそこそこの量の制御信号が必要とされます。これを、わずか数パケットを送るために定期的に起動されていては確かに制御信号の量は大変なものになります。

また、一部のアプリでは特に面倒な「例外」があって、というのが、ネットワークからのパケット着信がありうる、ということです。これにはいくつかのタイプがあるのですが、細かい違いを割愛すると、ネットワークから何らかのデータを端末に送りつけるときには、端末が休止状態や完全な切断状態でも強引にパケット接続をさせることができる機能。端末の定期送受信とは同期せずに好き勝手にパケットを送りつけてくるアプリがあると、これも制御信号を逼迫させます。VoIPやチャットなどは特にこのタイプの通信を多発させやすいため、ドコモがあえてやり玉に挙げたのかもしれません。

古い携帯電話では、パケット接続の起動・切断は比較的明示的に行われるもので、大体、「接続してから切断するまでに発生するユーザトラフィック」というのがモデル化されていました。これを「コールモデル」と言うのですが、ネットワークの装置を設計するときは必ずコールモデルを立て、呼処理に回すリソースとトラフィック処理に回すリソースをうまくバランスさせたりするわけです。

ところが、スマートフォンは、こういった固定的なコールモデルが全く通用しない。突然のヒットアプリの出現でコールモデルがリアルタイムでゴロリと変わる。古い携帯電話では、キャリア自身が機能追加しない限り変わらなかったトラフィックの発生の仕方が、スマートフォンではキャリアのあずかり知らぬところでひっくり返される可能性が出てきたんですね。これが、ドコモの見誤りの最大の原因。ひいては、ドコモがいろんな装置を独自開発していたことがかえって仇なした例とも言えるでしょう。グローバルベンダは海外の多数の例に基づき、いろんな状況に対応できる柔軟なシステムを作りますが(その分マージンが大きく無駄ともいえるんですが)、ドコモの独自開発では、おそらくドコモ自身のコールモデルに基づき可能な限り効率的なものを目指そうとしていたのでしょう。それが、いつの間にか変わっていたスマートフォンのコールモデルに対応できなくなっていた、と考えられます。

特定のアプリが悪いのではなく、そもそもスマートフォンに対しては、ネットワークの作り方に関する考え方を変えなければならない、ということなんですね。コールモデルは常に変動するものという前提で作らないと、今回のような手痛い障害を起こしうる、と。ドコモは、今まさにスマートフォン移行でこの苦しみを味わっているところです。

ということで、制御信号とな何か、と、ドコモの障害とはなんだったのか、についてのお話でした。

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さて、雨後の筍・・・とかいうと失礼なのかもしれませんが、携帯電話事業者が今年相次いでLTEを開始すると発表。しかも、ずいぶん前から用意していたドコモ・KDDIはともかく、LTE開始を発表して間もないソフトバンク・イーモバイルがすごい速さでLTEをサービスインすることについて、なぜそんなことになっているかの考察。

いや、これはもう古い携帯電話システムをある程度知っている人なら、そんなに「ちょっとやってみる」みたいに始められるようなものじゃないはずだ携帯電話システムというのは、と思うはずなんですよね。とにかく携帯電話システムは鈍重で融通が利かないものが多いんです。

たとえば、LTE未満の携帯電話システム、WCDMAやCDMA2000では、まず、携帯電話基地局と基地局制御装置が別の位置においてあることが一般的。別の位置になくても、その間には、各方式に独自のインターフェースが一つ切ってあります。それぞれのインタフェースがこれまた独自の性能要求を持っていたりします(たとえばきっちり1ミリ秒グリッドで動作しなきゃならないとか)。ということは、その独自インタフェースに対応したハードウェアとミドルウェアとOSが必要になります。つまり、ほぼ0からハードもOSもソフトも設計・開発しなきゃならない。これが、制御装置とかだけじゃなくゲートウェイとか認証装置とかもろもろに同じように面倒な事情が乗っかっています。

しかも、インフラベンダごとにその作り方は独自なので、あるベンダから買うものをほかのハードで流用できないわけで、ほとんどの場合、インフラベンダの言い値でハードを買わされる羽目になります。何しろ、インフラベンダが「売ってあげない」と言ったらお手上げなわけで、事業者は良いカモです。

もちろん、インターフェースがすべてぶつ切りなので、その階層ごとにそれぞれ独立した一つのネットワークを維持管理しなければなりません。しかもそれらすべてがこれまた異なる性能・品質を求めるようなものを、です。

こうなると当然値段も保守費も大幅に上がってしまうため、一つのシステムを持ったらもう一つ別のものを持つというのは、よほど体力がない限り難しい。業界3位とはいえ決算書ベースではKDDIをすでに凌駕した2位であるソフトバンクでさえ、複数システムの維持はあまりに重い課題で、ちょっと前まではLTEに手を出しあぐねていたというところがあります。

にもかかわらず、言ってみれば零細事業者であるイーモバイルでさえあっという間にLTEを始めますみたいな話になっているのはどういうことか、ということなんですが、要するに、上で書いた問題点がすっきり片付きつつあるんですよね、最近。

LTEインフラのもっとも大きな特徴の一つが、「IPフルフラットネットワーク」です。つまり、一つの大きなIP網の中に、加入者管理サーバも移動管理サーバも接続ゲートウェイもそしてすべての基地局さえもが対等に参加するというシステム。IPであるが故の「遅延揺らぎ」「パケロス」などを許容できる設計。これは究極的には「IP」というたった一つのインターフェースにすべての装置が相乗りできるということを意味します。

当然、従来はいろんな独自インターフェースを事業者が自分で定義しなきゃならなかった「運用・監視系ネットワーク」も同じIP網に乗せることができます(VPNくらいは切るでしょうけど)。要するに、「とりあえず全国カバーできるIP網いっこ」を用意して、あとは必要に応じて装置を買ってきてぶら下げればとりあえずはLTEが動いちゃう。

また、LTEになってから、インターフェースのベースがすべてIPであるため、汎用のサーバ装置、汎用のOSがそのまま使えるようになる傾向が強いようです。なので、ハードとしては一般的なハードを一括で買い、その上に乗せるソフトウェアだけでLTEの各ノードを実現する、そういうやり方が通用するようになっているようです。極論すれば、基地局でさえ半分はこの方法で作れなくもありません(もう半分は無線出力を担う部分=RRH)。

こうなるとソフトウェア技術の強い会社が基地局の無線部分以外について汎用サーバに乗せられるような「LTEノードアプリ」としてガシガシと作って提供できるようになります。自然競争も激しくなり、かなり安く「ノード」を入手できるようになります。そのため、零細(失礼)のイーモバイルでさえ、とりあえず現在のWCDMAネットワークのコアあたりに使っているIP網上にVPN一つ切ってLTE各ノードを何も考えずにぶら下げるだけでLTEがサービス開始できちゃったりするわけです。

また、一番面倒な無線部(RRH)に関しても、最近のものはマルチテクノロジ対応が一般的です。つまり、同じRRHでWCDMAもLTEも出力できる、というものです。意識せずにマルチテクノロジ対応のRRHをすでに展開済みであれば、その根元にLTE基地局(の半分を実現するソフトウェア入りサーバ=BBU)を追加で置くだけで何となくLTEっぽいものができちゃう。これが、LTEのすごいところなんですね。

ソフトバンク(というかWCP)のLTEもほぼこの発想で、PHS用IP網に汎用LTEノードをガシガシぶら下げただけだと思われます。加えて、アンテナはPHS共用(もともとXGP対応のため1.9G/2.5Gデュアル化済み)。だから、あとは併設できる小さな基地局装置を買ってきてばらまけば完了です。

という感じで、LTEは、ネットワーク事業者に非常に優しいシステムになっているわけで、そのあたりが、最近すごい速度で新事業者がサービスインできている理由かなぁ、と思います。いや、究極的には、LTEの全ノードを一台のサーバの中にソフトウェアだけで仮想的に実現する、なんてこともできるようになるかもしれず、そうなったらいよいよ事業者の負担は軽くなります。既存事業者がレガシーネットワークとの連携をする限りこれは絵に描いた餅ですが、今後、周波数さえある程度手当できれば、こういった究極的な集中管理ネットワークによる超閉域LTE事業者、なんてものも出てくるようになるかもしれません。

ということで、LTE整備が楽になってきてるっぽいよ、という考察でした。

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2011/12/27 10:00 · ニュース解説 · 1 comment

iOS 5.0.1で気になるバッテリ駆動時間は伸びたか?という記事に関して、「緊急地震速報を切るだけでバッテリ持続が大幅に伸びたと書いてあるが、緊急地震速報の本来の仕組み上は影響がないはずでは」というご質問をいただきました。

えーと、しょっぱなから種明かししますが、記事で扱っているのは、ソフトバンク版のiPhoneですね。ソフトバンクのネットワークはダイナミックな緊急地震速報に対応していないみたいです。つまり、無線チャネル的には、緊急地震速報を常時送信している状態。単に、地震がないときは空っぽにしてあるだけで、無線チャネルは開きっぱなし。なので、それに対応する端末も、緊急地震速報用のチャネルを常時受信しています(常時といってももちろん一定間隔の間欠受信ですけど)。

というような話はこちらの記事の追記で軽く触れているのですが、緊急地震速報を実現する仕組みであるCBSシステムというのは元々は全員で同じ情報を一斉受信するための仕組みで、受信設定してある端末は、このチャネルがある状態では常時見ていること、というのが本来の動作なんですね。

ただこれではあまりにバッテリ持ちが悪い。一方、このチャネルが設定されているかどうかというのは別の報知情報という同じく一斉送信情報の中に含まれていて、だったらこの報知情報の中のCBSのON/OFFをダイナミックに変えてやればいいじゃない、というのがドコモのアプローチ。報知情報がダイナミックに変わるときは自動的にページング(呼び出し)が出ることになっているので、通常の待ち受け状態の端末でもその変化を知ることができ、ゆえにバッテリ持ちに一切影響なく緊急地震速報を実現できるということになります。さらに、ドコモでは最近は新しいETWSを採用していて、これは上記報知情報に直接地震速報を載せるタイプのため、CBS用のチャネルを見に行く必要さえなく速報性が大幅に高まっています。

一方、auのCDMA2000では、BCSMSというSMSの強化版のような方式を採用しています。もともと、CDMA2000のページングチャネルというのは、なんだかいろんな下り向け情報を載せられるようにできていて、実は通常SMSもページングチャネルで送れるようになっているみたいです(いろいろ調べてみた結果)。まぁそれは余談としても、BCSMSもSMSと同じようにページングでトリガをかけるので、やはり通常の待ち受け状態と全く同じ状態で緊急地震速報を待ち受けることができ、バッテリへの影響は皆無です。

そんなわけで、標準仕様をうまく組み合わせてバッテリ影響を回避したドコモや、標準上バッテリ影響が皆無のCDMA2000を使うauに比べ、ソフトバンクは「標準の流用としての緊急地震速報」を本当に標準のままで使っているために、機能をONにしておくだけで何倍もの無線電力を使っていることになります。

消費電力の話でも書いた通り、無線機の消費電力というのはおそらく密度でいえば携帯電話機の中では断トツ、それが、頑張って頑張って受信タイミングを超短くして低消費電力化したのがページングチャネルの間欠受信というシステムなんですが、CBSの常時受信なんてのはそんな努力を根底からぶっ壊すようなシステムなわけで、そりゃこれをON/OFFするだけで消費電力はあほみたいに違ってきます。

ということで件の記事での低消費電力化、緊急地震速報をOFFにする、という対策はソフトバンク版だけに有効な対策なのでご注意。au版は緊急地震速報をOFFにしてもバッテリ持ちは変わりませんのでOFFにしないようにしてください(au版ってそもそもOFFにできないのかな?)。

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2011/12/27 10:00 · ニュース解説 · 1 comment

小ネタ。[ZTE ジャパン] ZTEがWireless City Planningに納入したAXGP基地局が2011年11月に商用予定と言うニュースに関してのコメントで、「ICICやCCIAは自律分散じゃないか」との指摘があるとの話、どう思いますか、と言うメールをいただきました。

さて、元々のPHSの自律分散機能とは、基地局が隣の基地局の電波を自分で受信し、それを邪魔しないように自分の居場所を見つける、と言うような機能と、端末に通話チャネルが割り当てられるときに、一定時間キャリアセンスを行ってチャネルが空いていることを確認する、と言う機能の二つを指しています。

一方、件のリリースに書いてある「ICIC」と「CCIA」と言うのは、標準技術的なものであると仮定すれば、隣同士のセル(基地局)が、お互いに自分が使っているリソース情報を交換して、リソースの使い方を変える、と言う技術です。つまり、基地局同士が接続され協調するという意味では「自律分散」ではなく、汎セル・リソース制御とでもいうべきものです。

具体的に何をするかと言うと、LTEで定義されているリソースブロック(RB)の単位で自分がどこを使っているかを隣接セルに通知し、隣接セルはそれに基づいて同じ周波数&スロットを占有するRBの電力を落として距離の近い端末に割り当てる、と言うようなことをします。こうすることで、お互いにセル端にいる端末に同じRBを高い電力で割り当てて干渉してしまうことを防ぐわけです。

CCIAについては標準の用語ではないようですが、標準でこれに該当しそうなのは、セルIDとRACHの割り当ての協調機能。セルIDは、それによってセルから常時送信しているリファレンス信号の位置が決まるため、セルIDをお互いに被らないようにすることで干渉を減らせますし、RACHは端末から基地局への最初のアクセス信号、これを送信可能なタイミングは基地局が決めるのですが、これもタイミングが被らないように協調することで端末の信号同士が混信してしまうのを防ぐことが出来ます。これを総称してCCIAとしているのだと思います。

つまり、LTEの協調機能は全然「自律」じゃないんですね。他律。あくまで他律。相手から教えてもらった情報を元に動作を変えるもの。そしてもっと重要なのは、そうやって隣同士を関連付けること自体には技術の入り込む余地がありません。「どのセルとどのセルが隣り合っているか」と言うのは、人手で決めるしかないんです。もちろん、「隣接セル情報の自動更新」と言う機能も標準で定められていますが、この場合の「隣接セル」とは「ハンドオーバ可能な隣接セル」のことであり、「セル端の干渉協調をするための隣接セル」とは全く別物になってしまうことが予想されます。と言うより、仮にハンドオーバ可能な全ての局と干渉協調関係を結ぶと、それが積み重なってあらゆるリソースが制限対象になってしまい、まともに動かなくなると思います。あくまで特別なパートナーシップを結んだ局同士での協調。

と言うことで、そういう設計が必要と言う意味でも「自律分散」とは程遠いんですね。PHSの自律分散は、実際に電波を受信してみて邪魔になっているかどうかで判断します。だから設計不要。その代わり、「受信してみる」と言う動作に非常に長い時間がかかるため、接続が遅い、移動に弱い、広帯域化しにくい、などなどのデメリットも出てくるわけです。

ちなみに、ICICなどは標準化されていますが、実際は標準化されていないのと同じ。一番重要な、「隣からこういう情報が来たらこう動く」と言うところが白紙です。つまり、そういったアルゴリズムは、キャリアやベンダが自分で決めなさい、と言うこと。となると、この機能を有効に働かせるためには、全ての基地局ソフトウェアをキャリアが開発するか、同じエリアは同じベンダの基地局で統一するかしないといけないということになります。非常に使いにくい技術なんですね。ってことで、一部の例外を除き大抵はエリアごとにベンダを統一し、こういった独自機能をうまく使う方法で進めているようです。

以上、LTEの局間協調機能に関する小ネタ。でした。

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2011/10/27 10:00 · ニュース解説 · 1 comment

小ネタ。「iPhoneのモデムチップがMDM6610で、auのHIGH SPEED対応のARROWS ZがMDM6600で、後継チップ使っているはずのiPhoneがHIGH SPEED対応していないのは納得いかない」(意訳)とのことです。

すみません、正直、チップ屋のラインナップポリシーは分からないんですが、Qualcommに関しては、数字が大きければ単純に機能が多いというものでもなかった気がします。最初にデモンストレーション的な意味で全部いりスペシャルチップ出して、機能削ってコストを安くした版を後から出す、ってこともあった気がする。

ので、ひょっとすると、6610はHIGH SPEED (Rev.B)対応を削った版かもしんないですね。Rev.Bって結構でかいバージョンアップだから回路規模もかなり大きくて、それ削るだけで全然コストが違う、なんてことは十分にあるかも。受信帯域幅が3倍なのでアナログ回路にも大きな影響がありそうだし。あるいは、6600に対してRev.Bを削って空いたダイ容量(?)にUMTSを入れた、とかかも。

よくわかんないですが、6610が単純に6600の機能アップ版と言うものでもなさそうなので、UMTS対応&機能限定版か、あるいは、アナログ回路部分のコスト削減のために機能をOFFにしてあるか、って感じかなぁ、と。

ついでに小ネタその2。「iPhone4Sのau版で○が出て速度が遅くなるのは一体何?回避方法はないの?」と言うご質問。

なんなんでしょうね、あれ(笑)。いや、多分1xに落ちてるんだろうって言う話は処々で出ていて、まぁ多分その通りなんでしょうけど、「1x」って表示しないで「○」ってところが、微妙な笑いを誘います。

で、1xってのは回線交換ベースのシステムで、と言ってももちろんパケット通信(的な)システムも持っていて、その最大速度が一応144kbpsなので、速度がかなり制限されてしまう、と言うのはその通り。

なんですが、噂になっているほどの高確率で出るようなものじゃないと思うんですけど。ってのが、私も、iPhone4Sと全く同じ無線構成、つまり2GHzと新800MHzしか対応していないEVOを常用していて、1xになっていることってほとんど無いんです。

1x表示を見るのは、地下鉄でトンネル内の圏外状態におちて、その後次の駅が見えてきたときに数秒間だけ1x表示が出ます。その後、すぐに3G表示に変わって、普通の3G通信が出来るんですよね。それ以外の場所で1x表示を見たことが無い。

ただ、この地下鉄のとき、1x表示になった瞬間にブラウザのリンクをクリックしたりすると、もちろん1xで通信が始まるんですが、この通信が終わって落ち着く(つまり休止状態=ドーマントになる)まで、1x表示を引っ張る傾向があります。1xからEVDOへのアクティブ状態での遷移ってのはあまりうまく出来ないのかも(出来ることもたまにあるので)。一応違う搬送波なので、周波数間ハンドオーバになり、つまり、別周波数メジャメントって言うめんどくさい動作が必要になるので、確かに1xがアクティブに通信中は遷移しにくいのかも知れません。

でもなぜiPhoneでは噂になるほどこれがおきているのか。不思議です。多分、ですが、一応、完全なTDMAのEVDOと違って、1xは拡散方式なので拡散利得があり、その分わずかながらEVDOよりエリアが広いことが考えられます。そこにきて、iPhone4Sでもおそらくデスグリップ問題は存在します、筐体がアンテナである以上は確実に。今回はダイバシティ受信でデスグリップ問題の顕在化を回避するようになっていますが、パイロット信号(待ち受け信号)を受信するときはダイバシティは働かないはずなので、このデスグリップで受信感度が劣化し、結果としてわずかに優位な1xを掴んじゃうケースが増えているのかも。←大嘘書いてるかもしれないのでご注意。

と言うことで小ネタ二連発でした。

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2011/10/27 10:00 · ニュース解説 · 1 comment

先日、ドコモが災害対策用の大ゾーン局を展開するというニュースに関して、ご質問を頂いています。

曰く「基地局→端末の電波は届いても、端末→基地局の電波が届かなくなったりしないのか」「セルエリア内に大量の端末が含まれることになるがそれだけの同時接続に耐えられる技術があるのか、もしあるならそれを普通の基地局に適用できないのか」。

まず第一の問題、電波が届くのかどうか。これは、前に技術解説でも書いたリンクバジェットの考え方が必要です。つまり、「無線回路設計」です。

無線回路設計では下りのリンクバジェットと上りのリンクバジェットを計算し、それがきっちり平衡するようにします。下りのリンクバジェットが大きすぎれば基地局のパワーを落としたりして調整するなんてことをします。その前提で、この大セルが出来るということは、きちんと上りと下りのリンクバジェットがバランスできる条件になっているといえそうです。

通常、狭いセルの下にいる端末は、規定で定められた最大パワーを使うことはほとんどありません。相当な余力があるのが普通です。なので、まずは単純に、WCDMA規格の中の電力制御だけで上り下りの不均衡の大部分を是正することが出来ます。

また、もう一つリンクバジェットで重要なのは「受信感度」です。受信感度と一言で言ってもその中にはいろんな要素があり、無線デバイスの本当の受信感度にくわえて、ダイバシティ受信などの受信技術で受信感度を積み増しすることも出来ます。

受信感度の最大の敵は、自己干渉。機器自身が出すさまざまな電磁ノイズが受信機に回り込んで受信感度を下げること。これを防ぐことは実は簡単で、そういった回り込みを避ける非常に高級な設計にすれば良いわけです。もちろんこれは大変なコストになりますが、この大ゾーン局採用の部品は災害用専用設計の特注品で単品コスト度外視で作っちゃおう、と割り切るだけでOK。要するに災害用大セルでは非常に高価なデバイスと非常に高価な設計を使うことで受信感度を極限まで高めて、上りリンクバジェットの不足を補っていることが想像できます。

と言うことで、要するに、非常に高性能の電磁気回路を使うことで、端末→基地局の電波の通りが悪くなる可能性は防げます。元々、基地局って結構たくさん使うものなので、受信感度はある程度妥協してコスト低減するものですが、コストさえかければ受信感度はいくらでも上げられるわけで、この大ゾーン局のような実質一品もの(と言っても全国100台ほどありますけど)は相当お高いものを使ってもコストインパクトはさほど大きくありません。

次に、セル内にたくさんの端末がいることによる問題。残念ながら、こればかりは解決法はありません。いくら基地局の処理能力を高めても、信号干渉比とエラー率の関係は崩せません。信号干渉比、つまりSIRは、ある端末の信号が、他の端末の信号の合計に対してどの程度の強さか、と言う値。つまり、端末の数が増えれば、単純にこの比率は落ちていきます。

SIRは、理想的な電力制御が出来ていて、10台いれば1/10、100台いれば1/100です。一方、エラー率とは、無線上のビットが劣化・干渉などの原因でどの程度潰れて読めなくなるかと言う比率。単純比例ではありませんが、SIRが増えればエラー率も増えるという単調な関係がありますし、情報理論上の限界値も明らかになっていて、それ以上の通信品質は物理的に絶対に得られません。

つまり、どんな技術を使っても、宇宙の法則を崩せないのと同じ理由で、究極的に同時に通信できる端末の数を増やすことは出来ません。もちろん通常はその前に基地局の装置処理能力の限界のほうが先に来ちゃうわけですが、東京みたいな超密集地であれだけの大セルを動かせば、物理的な限界が先に来る可能性も十分にあります。

現実には、やはり「緊急じゃない通信にはご遠慮いただく」と言う原則で運用するんじゃないかなぁ、と思います。緊急通報と優先端末以外にはかなりきつい発信制限をかけるという感じで。WCDMAなのでサイコロ方式ではなく循環方式、利用者からみれば、一定時間ごとに一定の確率で発信できるチャンスをもらえる、と言うことになります。

元々、携帯電話のシステムって、セル(基地局)一個で10kmとか30kmとかをカバーする前提で作ってあるんですよね。その前提は最新の仕様の諸所にも痕跡を残しています。現実には、デジタルデバイスが極端に値下がりしたため、安い無線デバイスを使った安い基地局で小さなセルを多数並べたほうがコスト的にも容量的にもお得という状況になったので、1セルが1~2km以下と言うのが一般的になっています。別にドコモの超大ゾーン局、無線方式的にはイレギュラーでもなんでもなく、むしろクラシカルでオーソドックスな使い方なわけで、容量以外に関しては無線技術的には難しいところはありません。

まぁそうは言っても、日本のような過密都市ではビル陰などの不感地帯が多発するため大ゾーンセルは通常サービスには向きません。あくまで緊急用として、こういった超大ゾーン局ですっぽりと覆っておくというのは一周回って面白いアイデアだと思います。

ってことで、ドコモが大ゾーン災害対策セル展開についての解説でした。

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2011/10/19 10:00 · ニュース解説, 事業考察 · 1 comment

ドコモが今回の発表で、禁断の「制限無し自キャリア内完全音声定額」を打ち出しました。これに関して、一つ思い当たったので。いや、とっくに気づいている人も多いと思いますが。

例の新プラン、実は、Xi対応スマホ専用です。その他のスマホはもちろんフィーチャーフォンもこのプランを使うことが出来ません。Xiスマホを契約した人だけが、この新プランを利用することが出来ます。

つまり、このドコモのキャリア内完全定額、めちゃくちゃ壮大な「エサ」です。少しでも多くの人をXiに誘導するための。

なぜそこまでしてXiに誘導したいのか、それはもういわずもがな。既存WCDMA網の逼迫です。それを解消するには、周波数利用効率の高い方式に加入者を誘導することが必要です。

さらにXi(LTE)は周波数利用効率が高いだけでなく、その契約内容が実質のデータ通信従量制です。7GBを超えたら128kbps制限、たしかに月2~3GBしか使わないおとなしいユーザーにとってはさほどきつい制限ではありませんが、7GBも使うようなヘビーユーザからみたら7GB以上は使うなと言っているのと同じです。それ以上使いたかったら2GBごとに2,625円払ってね、と言う意味では、事実上のデータ従量課金と同義。

つまり、海外事業者がスマートフォンの通信量増大に耐えかねて定額制を廃止したのと同じことを、ばれないように超デカい「エサ」を使って実現しようとしているのが、このドコモのXi契約限定キャリア内通話定額です。

現実的に、1加入者あたり1GB以上にもなるといわれるスマートフォントラフィックに比べれば、音声を話し放題にするトラフィック増大なんて高が知れているわけです、今となれば。そりゃ昔は音声話し放題となれば凄まじいトラフィックがネットワークを襲うことが危惧されたわけですが、そんなものが屁にもならないくらい、今のスマートフォンたちは莫大なデータ帯域を消費してくれているわけです。

なんだかだで各社とも、回線交換コアのベースをIPに移行しつつあります。こうなると、回線交換特有のリソースの問題も、データ通信量の増大によるIPコアの逼迫と両天秤にかけて議論できるようになるわけですね。となれば、後は無線も含めて純粋なビット量の問題。圧倒的に大量のビットを消費するデータを追い出すためなら音声でそこそこのビットを発生させることもやむなし、と考えるわけです。

もちろん、ウィルコムやソフトバンクによる音声定額の実績も綿密に分析した上で、案外、大したトラフィック増にはならなさそうだ、とも考えていると思います。ヘビーな通話相手って結局は限られた友人と家族くらいしかいないので、「5000万人が定額対象」になっても影響は小さいと考えられるわけです。

ってことで、ネットワークや収益にさほどインパクトを与えずに、事実上の従量制移行をしてしまおうというのがXi音声定額の正体だと私は考えています。どうでしょ。

ところで。Xiに機種変更して契約をXi定額にして、そのUSIMを変更前の電話機に入れて使っても良いんですよね。いや確認しただけですよ。あ、でもそれだとパケット定額料がスマホ対象の料金に固定なのかぁ。よほどドコモ相手の通話が多くないと料金的に得ってところにまではならなさそうですねぇ。

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2011/10/19 10:00 · ニュース解説, 事業考察 · 1 comment

最近、いろいろなところで目にするのが、次の700/900MHz帯を誰が取るのか、と言うこと、それに付随して、これらの帯域を「プラチナバンド」と呼んで万能視する流れなのですが、これに関してはちょっと言いたいところがありまして、簡単にまとめて見ます。

700/900MHz帯の割当が近い今日この頃ですが、特にソフトバンクについて、「900MHzさえ手に入れば繋がらない問題などが全て解決する」と言う論調があまりに幅を利かせていて、これはもう完全に某氏の過剰宣伝に洗脳されているところが無くもないわけで、その辺の現実をある程度分析させていただきます。

と言うのも、900MHzを手に入れれば全てが解決する、と言うのはまず基本的には「嘘」です。確かに900MHz帯のほうが、2GHz帯よりも、電波の減衰が小さいのは事実です。しかし、過去に何度か書いたかもしれませんが、電波に関しては「飛ばす技術」よりも「飛ばさない技術」のほうがはるかに重要なんです。

もちろん出力を落とせば飛ばない、これ当たり前。なんですが、「設計どおりのところにはきっちり飛ばすけどそれ以外の場所には飛ばさない」と言うことなんです。これを行うためには、たとえば、地上2mくらいの低い位置にアンテナを置いて飛ばす、なんてことをやると完全にアウトです。

飛ばさないようにするには、非常に高い位置から吹き降ろすように電波を発射することが必要です。だからこそ、携帯電話の基地局は高い位置にアンテナを据えつけるわけです。また、鉛直面内の指向性をアンテナに持たせなければならない都合上、直列アレイ型のアンテナを使わなければなりません。

高い周波数であれば自然に減衰してくれるので、ほどほどの高さからほどほどの角度で吹き降ろせばよく、逆に低い周波数の「飛ぶ」恩恵を受けつつもきっちりと「飛ばさない」ためには高い位置から角度をつけて吹かなければなりません。細かい議論を考えればずれてきますが、これはもう大雑把に周波数に反比例すると思って良いです。

また、アンテナの素子サイズ、こちらはほぼ厳密に周波数に反比例します。それを直列アレイで並べなければならないため、アンテナ全体のサイズも周波数に反比例します。

要するに、900MHzの基地局に関しては、2GHz基地局に比べると「鉄塔の高さはほぼ2倍」「アンテナのサイズもほぼ2倍」と言うことが言えるわけです(もちろん厳密には違います)。

でこれはもう勘所の話になるので厳密な話ではなく恐縮ですが、「寸法が倍」ってことは、面積は4倍、体積は8倍です。従来の4倍の面積の土地を必要とし、8倍の重量の躯体となる、と言うことです。従来の2GHz基地局とは何から何まで違います。当然併設なんて出来る話ではありません。

つまり、ロケーションも設備もこれから新たに手当てしなければなりません。ドコモが1990年代にPDCでコツコツとエリアを広げてきた、あの努力を再現しなければならないんです。ドコモはその努力の結果、800MHzに対応したロケーションと設備を持ち、そこにFOMA 800MHzを併設することで「プラスエリア」の広大なエリアを一挙に構築できました。残念ながらソフトバンクにはそれをする基礎がありません。「ドコモがプラスエリアを広げたようにエリアを広げる」ことは絶対にありえないというわけです。もちろん、入手したウィルコムのロケーションも使えません。1.9G用の設計であるウィルコムロケーションは、2GHz帯には転用できても、900MHz帯には絶対に転用できません(聞いたところ、ウィルコムロケーションにおいているのは結局1.5G局ではなく2G局だそうです)。

最近、割当が決まってもいないのに900MHz用のロケーションの手配をしている、なんていうニュースが出ていましたが、それはもっともな話で、はっきりいって再利用できるロケーションと設備が無いためゼロからやり直し、割当をもらってから始めても何年もかかってようやく追いつけるかどうかと言うくらいに、低い周波数帯の整備は大変だからなんです。これだけの勇み足でも、おそらく当面は全く整備が追いつかないと思います。ともかく900MHz帯は、資本的コストも時間的コストも非常に高額になる帯域だということが意図的に無視されている気がするんですよね。

また、端末の問題もあります。よく「iPhoneが900MHzに対応しているからそのまま使える」と言う議論がありますが、日本の900MHzは、近くにドコモ850MHzがあるため、与干渉の基準をクリアしなければなりません。現行の標準で作ったものは(たまたまクリアできるものもありますが)基本的にこの基準がクリアできることを試験できていません。たまたまクリアできても試験を通していないものは「クリアできない」扱いで電波法違反。つまり、端末も全て準備しなおしです。

いや、一生懸命ソフトバンクを貶すばかりの議論になってしまっていますが、ちょっと最近の「900さえ取れればなんとかなる」的な論調があまりに浅薄でイラついていて、こんな感じになっちゃってるところもあって、ちょっとごめんなさいしておきます。

ちなみに、もしドコモやKDDIが900を取れたら、現行の800MHz用の設備をほぼ再利用可能なので、あっという間に全国にエリアが広がります。700も基本は同じ。

「プラチナバンド」と言って利点ばかりがもてはやされることが多いのですが、それらの利点があっても余りあるほど「高コスト」なのが、このプラチナバンド。「プラチナ」が単に「優れている」だけでなく「お値段が高い」と言う意味も含んでそう呼ぶのであれば、まさに的を射た表現ではあるんですけどね。

と言うことでプラチナバンドに関してこういう意見もありますよのお話でした。

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